「テスラ・サイバートラック」の4680バッテリーが韓国メーカーに?【パナソニックもオワコン?】

お金 ビジネス 趣味

こんばんは、@kojisaitojpです。テスラの「サイバートラック」という私がTwitter上で日々欲しい欲しいと叫んでいるEVに大きな変化があったようです。

この「4680セル」というのはテスラが現在開発中のバッテリーで(詳細は後)、日本のパナソニックがかなり力を入れて開発していたものです。

それがパナソニックよりも先に韓国LGエナジーソリューションとサムソンSDIが共同で開発した4680セルバッテリーのサンプルがテスラに供給されたというニュースです。

先に結論を言ってしまうとこの「4680セル」のバッテリーでシェアを失うとパナソニックが一気に窮地に陥ります。

そこで今日はテスラが「サイバートラック」や「Semi」などの大型車に搭載予定の「4680セル」についての解説とパナソニックの現状について解説します。

「4680セル」はパナソニックも注力するテスラの最新バッテリー

公道テスト中のサイバートラック
まず初心者向けに解説しておくと、この「4680セル」と呼ばれるバッテリーは、直径46ミリ、長さ80ミリ(従来のバッテリーは直径21ミリ、長さ70ミリの「2170セル」)である点から「4680セル」と呼ばれますが、このサイズに変更するだけで、従来のバッテリーの5倍のエネルギー、6倍の出力、そして航続距離にして16%の向上が見込まれるそうです。

この4680セルバッテリーを現在テスラが開発を進める「サイバートラック」や「Semi」などの大型車、先日も「宙に浮く」ことを話題にした二代目のロードスターなどハイパフォーマンが要求されるEVに用いる予定で、2022年にも実用化したいとイーロンマスクが表明しています。

電極素材も改良されており、正極はバッテリーの充放電に耐えるコバルトの使用をやめ、コーティング剤や添加物を工夫することでコバルトよりも価格の安いニッケルを使用します。またその一方で負極は、現在使用しているグラファイトよりもリチウムが多く蓄えられるシリコンが使用されます。

これにより全体の発熱量が下がり、中心部の冷却がスムーズに行えるようになり、従来のバッテリーと比較し、エネルギー、出力がそれぞれ5倍、6倍となり、航続距離は16%向上するとのことです。

この「4680セル」のバッテリーをテスラの元からのサプライヤーであるパナソニックとLGエナジーソリューションが開発していましたが、LGとサムソンが共同で4680セルバッテリーのサンプルをテスラに提供したというのが冒頭のニュースです。

それにより完成した試作品が上記のツイートの画像です。ただの新しいバッテリーというだけではなく「Structural Battery」とテスラが呼ぶ、シャシーに直接バッテリーを埋め込む(従来のセル→モジュール→バッテリーパックを廃止)ことでバッテリーの搭載量を増やし、より航続距離を伸ばそうという新しい試みです。

テスラのstructuralバッテリー

この「Structural Battery」については以前「シャシーと一体となって生産されるのでバッテリー交換式にはできない」という文脈で説明したことがあります。

テスラが最もハイパフォーマンスなバッテリーとして位置付ける「4680セル」を以前から開発しているパナソニックが韓国勢に遅れを取っているという危機的な状況であることが明らかになってしまいました。

LG化学改めLGエナジーソリューション

反対に一昨日紹介した「モデルY・スタンダードレンジ」や私も先日カーシェアで試乗した「モデル3・スタンダードレンジプラス(上海製)」のように廉価版の車種には低コストのLFPバッテリーを採用するなど、車種に応じてパフォーマンス重視のバッテリーとコスト重視のバッテリーを使い分けるのがテスラの戦略です。

こちらのLFPバッテリーは中国CATL社製のものが用いられていますので、コスト重視のバッテリーにもパナソニックの出番はありません。

中国勢のみならず韓国勢にも追われるパナソニック

パナソニック
以前から「EVのバッテリーの主導権は中国メーカーが握っている」ようなことを私のブログでも紹介してきましたが、パナソニックは中国勢・韓国勢に遅れ始めているのが現実です。

下記のグラフのように2015年段階では世界シェアでトップだったのが現在(2020年)は3位、もしテスラとの関係が解消・縮小方向に行けば更に世界シェアが低下することは必至な状況です。

2015年のバッテリー世界シェア
2020年のバッテリー世界シェア

元々はパナソニックの独壇場だった車載用バッテリーの分野に中国勢・韓国勢がこの10年で猛追してきたというのが最近の流れです。

それでもパナソニックは世界最大のEVメーカーであるテスラとの関係があったので世界のトップレベルに君臨して来れたのですが、現在テスラが最優先で開発を進める「4680セル」を韓国勢に取られるようなことがあればたちまちピンチに陥ります。

というのもパナソニックは他に大口の顧客がいないからです。

以前トヨタとパナソニックが共同で設立した「プライムプラネットエナジーソリューション」については解説したことがありますが、年間のバッテリー生産量が0.38GWhとテスラのギガファクトリーやフォルクスワーゲン、GM、フォードなどが展開するバッテリー生産工場と比較すると1/100くらいの生産量です。

それどころか先日取り上げた日産とエンビジョンAESCがイギリスに設立したバッテリー工場が当初は年間9GWh(2030年には25GWhへ拡張予定)と比較しても1/10くらいの規模です。

トヨタやマツダ、ホンダなどのEVにバッテリーを供給していることは知られていますが、まだEVを本格的に生産していませんのでバッテリーの供給量はわずかです。

これに対し韓国勢ではLGエナジーソリューションズがGMとSKイノベーションはフォードと共同でバッテリー工場を立ち上げるなどアメリカの自動車メーカーとの関係を深めています。

中国勢も例えばCATLであればBMW、ダイムラー、フォルクスワーゲン、プジョー、そしてトヨタ、日産、ホンダなどにも提供しており、世界中の自動車大手に「全方位」で供給しています(だからこそ世界シェア1位になれる)。

BYDはバッテリーメーカーでありながら自社でEVを生産しており、何度か紹介しましたが「Bladeバッテリ」という独自のLFPバッテリーや乗用車のみならずEVバスを世界中に輸出していることでも有名です。

先日発表されたトヨタの「BZ4X」でもサプライヤーに名を連ねていることは私も以前の記事で紹介しました。

テスラもバッテリーを自社で生産する方向に切り替えている最中ですし、そのための協業の相手もギガファクトリー上海では中国のCATLと韓国のLGエナジーソリューション、アメリカではパナニックとLGエナジーソリューションズとパートナーを増やしています。

以前であれば世界トップのシェアを誇ったパナソニックがここから勢力を盛り返せるのか、それとも更に衰退していくかのカギをテスラが握っていると言っても過言ではない状況です。

4680セルが採用されずテスラに切られたらパナソニックもオワコンへ?

キャンプ仕様のサイバートラック
しかし当のパナソニックに「危機感あるの?」と思わせるような出来事も起きています。

この1年で10倍以上に膨れ上がったテスラの株式をパナソニックが売却した、それによって取得時の24億円が4000億円に化けたという話は「上手いこと儲けたな」とか「莫大なキャッシュを手にしたことで更なる投資が期待できる」と日本国内のメディアでは肯定的に評価する声もありますが、それだけでしょうか?

テスラの立場からすると「株主じゃなくなったパナソニックなんていつ提携解消してもいいや」と思うかもしれません。

業務提携している会社がある程度の大株主として君臨していると発言力もありますので雑に扱うことはできません。これまでテスラが様々な車種にパナソニック製のバッテリーを用いてきたのは品質だけの問題ではなく、「資本関係」だったことも影響しているかもしれません。

反対に言えば「資本関係がなくなったんだから、提供する製品に問題があればいつでも切れる」となります。

例えばブログを読んでいらっしゃる皆さんの会社で「会社に持ち帰って検討します」と取引先に言ってしまったことありませんか?

「え?自分には決める権限がないし、どこがまずいの?」と思うのが日本の文脈かもしれません。

ですがこのような態度は欧米ではウケません。「じゃあ何で権限のある社員が来ないんだ?」「権限のない社員と打ち合わせしても話が進まないから時間の無駄」と「即決できない=スピード感のない会社」と思われてしまうだけです。

実際にイーロンマスクもパナソニックに対しては度々不満を漏らしていたようです。

今回の4680バッテリーの件に関しても同様で、実際に韓国メーカーがどの程度の完成度のものをサンプルとして提供したのかは分かりませんが、パナソニックより早く提供していることは事実です。

「完璧なものを作っているから時間がかかるんだ」と言い訳したくなる気持ちがわからないではないですが、ライバル企業が先にサンプルを提供し、満足とまでは行かなくても「これならどうにか商品化できる」と判断されればその時点で勝負ありです。

「品質では絶対に負けない」と言っていても提供が遅れてしまえば「もういいよ」と言われてしまいます。

車載用バッテリーで最大の顧客であるテスラを失ってしまえばパナソニックが一気に窮地に陥ることでしょう。

かつては世界トップのシェアを誇ったパナソニックも「オワコン」となる日が近いのかもしれません。そうならないためには今すぐにでも4680セルを用意してテスラに提供することが求められています。

人気記事日本国内のシーシャカフェ総まとめと自宅でシーシャをやる方法【随時追加】

人気記事電気自動車(EV)を日本で普及させるために誤解を解消する【過去記事総まとめ】