「EVシフトは原発が必須」とデマを流す日本トップの企業?【豊田社長ご乱心?】
こんばんは、@kojisaitojpです。まだヨーロッパ旅行で書く記事もありますし、その後行った大阪・神戸でも書きたい記事はあるのですが、こんなネタが出てきたので割り込みで取り上げます。
ついに1687件の発狂したコメントが(笑)。
トヨタ社長「EV反対派」は誤解#Yahooニュースhttps://t.co/jrsXCtJocM— saito koji@ヨーロッパからの隔離も終了 (@kojisaitojp) December 10, 2021
まぁ私からすると「またデマを撒き散らしてEV化を妨害するキャンペーンか」というのが正直な感想ですが。
ですので今日はこの記事に対する反論を中心に書きたいと思います。
ヤフコメを見てるといつも思うのですが、こういう記事に「豊田社長のおっしゃる通りだ!」と大量にコメントを書き込むのは工作員の臭いしかしなくて恐ろしいところですが。
とはいえこのネタは既にこの有名YouTuberが取り上げてますので、「真似だ」と言われないように違う視点から書いてみます。
この動画で述べられている「二酸化炭素の排出量」については私の記事では触れません。
その部分については上記の動画に任せておいて、私の視点からはタイトルで「原発」と書いたように「電力」の問題について豊田社長の発言がいかに誤ったものであるか解説したいと思います。
目次
豊田社長のEVへの発言の何がまずいのか?
今回のトヨタの豊田社長へのインタビューではご本人が自分はEVに否定的な立場ではないと主張しながら以下のようなことを言っています。
自動車が位置するのは「使う」セクションなので、ガソリンを使わないEVに置き換えれば、二酸化炭素の排出はなくなる。ところが、EVで使用する蓄電池の生産には多くの電力が必要であり、その電力が火力発電由来の場合、生産時にかなりの二酸化炭素を排出する。日本は火力発電の割合が75%と非常に高いため、自動車の電動化だけでは二酸化炭素の排出削減につながらないのです。
また、国内の全乗用車をEV化した場合の必要な電力量を試算したところ、電力ピーク時での発電能力でもまかなえず、原子力発電なら10基、火力発電なら20基の増設が必要になるのです。
(『「よく誤解されるんですよ」トヨタ自動車・豊田章男社長が明かす“カーボンニュートラルとEV”への本音』より引用))
この中の「二酸化炭素の排出量」についての話が大間違いである点については冒頭で引用したEVネイティブ氏の動画でたっぷりと解説されてますので私は触れません。真似だと言われると癪ですし。
ちなみにこの「二酸化炭素の排出量」については私もかなり前の記事であの「マツダ論文」を例に取り上げていますのでこちらをご参照いただければ私の立場がわかるかと思います。
電気自動車(BEV)に乗っても二酸化炭素排出量は変わらない?【〇〇論文の弊害】
EVを否定したい方々が必ず持ち出す根拠として「バッテリーの生産で二酸化炭素が出る」「バッテリーの交換が必要になるからエコじゃない」「火力で発電した電力で充電しても意味がない」などがありますが、これらは既に時代遅れの批判で、現在の再生可能エネルギーにシフトした状況には既に合わない批判となっていることを解説します。
原子力発電という日本人が東日本大震災以来アレルギーを持っているものをわざわざ持ち出して「日本でEVを普及させると原発が必要になるぞ」と脅してくる姿勢は「そこまでしてEV化を妨害したいの?」と思うところです。
などというと「電力が足りなくなったらどうするんだ!」と猛烈に批判してくる人がいそうですが、現実はこんなものです。
元々、EV化しても電力使用量は増えないと予測もされていますが、仮に現状維持だとしても一人当たり8kWpの発電能力を確保すれば電気は足りるんですよ。今時のパネルなら24枚、しかも、産業構造の変化で化石車関連の消費量が激減しますしね
— Suomi Masuda (@SuomiMasuda) December 12, 2021
こちらは実際に太陽光発電などの事業をされている方の発言ですので傾聴に値すると思うのですが、ほんのわずかに太陽光などの再エネで供給する電力が増えれば解決する問題だと断言されています。
と再エネの話をすると「夜はどうするんだ!」と再エネの不安定さを指摘して猛反発してくる方が必ず現れるのですが、むしろそこに対する解決策がEVであり、テスラのパワーウォールなどに見られる「蓄電池」なのです。
- 昼間太陽光で発電した電力を蓄電池に充電
- 夜は蓄電池からの電力供給で賄う
- それでも足りない分の需給調整をEVに担わせる
実は日本にはテスラやフォルクスワーゲンよりも早く「V2H(Vehicle to home)」という技術を開発した歴史があります。
「EVを蓄電池代わりに使う」まで言ってしまうと「外出してる時はどうするんだ!こんなのは机上の空論だ!」と怒り狂う人が必ず現れるのですが、基本的には蓄電池にその役割を担わせて、それだけでは足りない場合(例えば災害で停電した時など)にEVを蓄電池代わりに活用すればいいのでは?と思う次第です。
実際にテスラのイーロンマスクがその辺りまで意識してるのかはわかりませんが、現時点ではテスラ車には給電機能は搭載されていません(サイバートラックなど今後発売予定の車種は不明)。
蓄電池の役割を担わせるんは「パワーウォール」、EVは再エネで発電した電力で充電して走るものと現時点では明確に分けています。
とはいえテスラもこの「電力問題」については「パワーウォール(蓄電池)」と「ソーラールーフ(太陽光パネル)」を自社で生産し販売することで、再エネを中心とした「持続可能な社会」という明確なビジョンを描いています。
ですので私はブログでもTwitterでも日々「テスラはただの車メーカーだと思ったら大間違いだよ」という発言を繰り返しているのですが、実はテスラ以上に「ただの車メーカーでは終わらないポテンシャル」のある会社がありました。
それがトヨタなのです。いや「トヨタだった(過去形)」というべきでしょうか。
本来ならテスラより有利な立場だったはずのトヨタ
まぁ私の論調だとついついボロクソに批判してしまうトヨタなのですが、それも「本来であればテスラやフォルクスワーゲン以上にEVをやりやすい立場だったのに」という認識が原因です。
系列企業で住宅(トヨタホーム)・再エネ(豊田通商)とやる気になればいくらでも活用できるってテスラよりもフォルクスワーゲンよりも有利な立場だった(過去形)んだけどな。言うだけ時間の無駄だけど(笑)。
— saito koji@ヨーロッパからの隔離も終了 (@kojisaitojp) December 12, 2021
本来であれば同じグループ企業にトヨタホーム(住宅)、豊田通商(再エネ)と活用すればこれらの系列企業を持たないテスラやフォルクスワーゲンよりもEV化・再エネシフトをやりやすい立場だったのがトヨタという企業の本当の姿でした(もう過去形ですが)。
「やればできるはずなのにやろうとしない。それどころかEV化・再エネシフトを妨害する」立場でいることが私の怒りの原因となります。
ちなみに豊田通商がアフリカで再エネ事業に力を入れているという話は以前ケニアの地熱発電を例に書いた記事がありますのでこちらをご参照ください。
アフリカに輸出される中古車も電気自動車化?【想像以上のペースです】
日本では売れないような多走行・低年式の中古車がアジアやアフリカの発展途上国に輸出されるのは昔からの流れですが、その中古車にも電気自動車化の波が押し寄せているようです。ですが日本から輸出できる電気自動車が日産リーフのみなのもあり、韓国のヒュンダイなどもアフリカ市場に参入してきて、日本の独壇場だった世界にも変化が見えます。
「できない理由」を探すより「どうすればできるのか?」を考えるべき?【典型例が地熱発電】
「できない理由」を並べる姿勢を批判していますが、EVと並ぶ例として「再生可能エネルギー」があります。特に火山が多い日本には世界3位と言われる地熱資源が眠っていると言われていますが、「温泉が枯れる」「国立公園は開発不可」のように「できない理由」に阻まれて「どうすればできるのか?」を考える方向に進んでいないのが問題です。
上記の記事で解説したようにケニアで地熱発電をやっているのは東芝と豊田通商という日本企業であるのに日本では活躍の場がないという残念な状態なのが日本の現実です。
以前フォルクスワーゲンのV2Gの構想について解説した記事がありますが、本来であれば住宅と再エネは系列企業、EVだけではなく自宅の蓄電池にも使うバッテリーの製造は一緒に合弁会社(プライムプラネットエナジーソリューション)を立ち上げたパナソニックとの協業関係を生かせばテスラよりもフォルクスワーゲンよりもEV化・再エネシフトを進めやすい立場だったのがトヨタなのです。
いや、これだけやる気のない現状を見ると「トヨタだった(過去形)」と言うべきでしょうか。
ちなみにフォルクスワーゲンの「V2G(EVをグリッドに接続させることで不安定な再エネの需給調整の役割を担わせる)」についてはこちらの記事をご参照いただければと思います。
「脱炭素」を追い風に再エネも活用するフォルクスワーゲンのEV以外の戦略とは?【トヨタは逆走】
先日の「Power Day」でフォルクスワーゲングループが提案したのはバッテリーの生産や充電インフラの整備という「電気自動車(BEV)」の側面だけではありません。「V2H」のシステムを利用してグリッドと双方向のやり取りを可能にする「電力供給の調整弁」として活用するという再生可能エネルギーの欠点を解消する壮大な計画です。
この記事を書いた時も「机上の空論だ!」と猛烈に批判してきた人がいましたが、別にフォルクスワーゲンは全てのEVにグリッドへ接続することを求めてるわけではありません。
あくまでグリッドに接続するのは任意で、このプロジェクトに協力してくれるフォルクスワーゲンのユーザーには急速充電を一定量まで無料にするというギブアンドテイクの関係を提唱してるだけです。
ですがこのようなプロジェクトは「トヨタホーム」という系列で住宅をやっている会社があるのですからトヨタがやる気にさえなれば簡単にできたことです。あくまでもう「できた(過去形)」ですけど。
EV化・再エネシフトを妨害する諸悪の根源がトヨタ?
そして私のところにも「こうすればEV化が推進できる」というような提言をするたびに意味不明の誹謗中傷が飛んできます。
スマホと一緒で駐車場にこんな感じでコンセントついたら誰も不便に感じなくなるよ。 pic.twitter.com/UU3FuB22zU
— saito koji@ヨーロッパからの隔離も終了 (@kojisaitojp) December 11, 2021
これは大阪から帰ってきた時に羽田空港の中を歩いているとスマホの充電向けのコンセントが目に入ったので思わず呟いたのですが、こんなつぶやきにも「そんなことしたら電力が足りなくなる。原発が必須になる」などという私が嫌がること、しかもそれが理屈として全く通らない野次を飛ばしてくる輩がいました。
先ほどの豊田社長もそうですが、なぜかEVの話になると「原発が必要になる」という、再エネ推進派が不快感を抱くことを平気で言ってくる勢力がいるようです。
この画像は羽田空港で撮影したものですが、空港はターミナルビルという広大な敷地がありますから例えば屋根に太陽光パネルを敷くだけでその程度の電力は賄えて、のみならず空港ターミナルビルの電力も賄えます。
空港を大規模な太陽光発電所に? そのポテンシャルと課題
障害物のない広大な敷地をもつ空港は、ソーラーパネルを設置するにはうってつけの場所に思える。さらにこのほど発表された研究ではその高いポテンシャルも示されたが、ソーラーパネルの設置には規則や費用、蓄電などの面で多くの課題も残っている。
実際に世界レベルでは空港の屋根を巨大な発電所として活用するというアイディアは既に出ていますし、アメリカの空港では既に実行に移されている例も紹介されています。
なんてことを言うとおそらく「太陽光パネルから反射する光が飛行の妨げになる」などと張り切って文句を言ってくる人がいるでしょうけど、上記の記事を読んでから言ってください。最新の太陽光パネルではそのような弊害は発生しないとはっきり述べられています。
空港を発電所にして電力供給を賄うことは全く現実的な話です。そこに原発という文字はありません。
しかも羽田空港の場合海に面した空港ですから、東京湾で洋上風力発電をするなどというアイディアもあります。
他にも充電インフラ問題を解決するためにこんな提言もしました。
街中の至る所に充電器があってという実際の風景が想像できないんだろうな。 pic.twitter.com/y7vIfkY7qP
— saito koji@ヨーロッパからの隔離も終了 (@kojisaitojp) December 12, 2021
これは以前の記事でも紹介したことがありますが、既にパリやロンドンでは一般的に見られる光景で、日本でいうパーキングメーターの部分に普通充電器を設置して駐車中に充電するというやり方です。
普通充電ですからよほど長時間駐車しない限り満充電になることはないのですが、そんなことはどうでもいいです。極端に言えば駐車場所から次の目的地へ移動する電力、家に帰るなら帰宅するまでの電力が充電できれば問題ありません。
ですので「これを日本にも設置しよう」と発言したのですが、これに対して「日本だと充電器に衝突して破壊する奴がいるから無理だ」のような野次が飛んできました。
私からすると「日本人よりフランス人の方が運転マナー悪いし、運転も洗いの知らないのか」と思うだけです(笑)。
ヨーロッパだとフランスやスペイン、イタリアなどラテン系の国は基本的に運転が荒いです。ですので日本よりフランスの方が充電器が破壊されるリスクが高いと思うのですが「できない理由」を並べてくる輩には想像できないことなのでしょう。
このようにトヨタの豊田社長だけではなく、TwitterやヤフコメなどでもEVや再エネに対する誤った認識から来る誹謗中傷が日々飛び交っています。
この状況で日本を代表する企業のトップがその間違った認識を煽るような発言をするというのは「EV化を妨害したいんだな」という悪意以外の何ものでもないと感じるのは私だけでしょうか?
こんなことをしていれば日本だけが世界の脱炭素、それに伴うEV化・再エネシフトの流れから取り残されるだけです。
某有名YouTuberなら「日本企業の奮起を期待したい」と締めの台詞として言うのでしょうが、私は反対に「こんな企業が日本を代表する企業と言われてる時点で終わりだな」と感じるだけです。
「奮起したくないならヨーロッパ・中国・アメリカから総攻撃を食らって倒れればいい」と思うだけです。
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