プリウスPHVにみんなで乗ることがEV化への近道?【案外本気です】
こんばんは、@kojisaitojpです。電気自動車(BEV)に対してやたらと攻撃的なのは実はごく一部の層に限られているのではないか?と思うことがよくあります。
200万以下で航続距離500キロって無茶苦茶な。
200万円以下なら7割が購入検討、EV普及の鍵は「価格」—パーク24調べ | レスポンス(https://t.co/b4E2gHIblc) https://t.co/RMZA8I50tG— saito koji@次の海外旅行の前にEV購入? (@kojisaitojp) May 7, 2021
私は思わず「無茶苦茶な」という感想を言ってしまいましたが、「200万円以下なら」とか「航続距離が何キロ以上なら」という条件付きではありますがEVを試してみたいと思っている潜在的な購買層がかなりの数いるようです。
私のようにいくつもEVを体験していると何も感じなくなりますが、おそらくガソリン車しか乗ったことのない方は「EV試してみたいけど何となく不安」という感覚がある方はまだかなりの数いらっしゃると思います。
今日はそんな方々にEVを知ってもらうための足掛かりとして「みんなでプリウスPHVに乗ってみよう」という普段の私では考えられない企画で記事を書いてみます。
一応言っておきますが冷やかしでも何でもなく案外本気ですよ(笑)。
目次
買ってしまうと「EV走行」ばかりしたくなるプリウスPHV
さてトヨタ車、特にプリウスなどはいつもの私であれば攻撃対象になるのですが、今日は真逆の方向からアプローチしてみます。
先に言っておきますが本日推奨するのは「プリウスPHV」であってハイブリッドのプリウスではありません。
トヨタではなぜかPHEVのことをPHVと自称していますが、世界的に一般的なカテゴリーでは「PHEV(プラグインハイブリッド)」のカテゴリーに入るものです。
つまりガソリンエンジンと駆動用のバッテリー(もちろんBEVよりは小型です)の両方を搭載しており、バッテリーのみでのEV走行も可能、ガソリンエンジンを回してハイブリッド走行も可能なモデルです。
トヨタ プリウスPHV | トヨタ自動車WEBサイト
トヨタ プリウスPHV の公式サイト。走行性能、充電・給電、機能・装備、コネクティッドサービス、安全性能などの紹介をはじめ、見積りシミュレーション、試乗予約などができます。
トヨタの公式ホームページでも「EVモードで60キロ走行可能」と堂々と宣言しています。
落ち着いて考えてみましょう。「60キロバッテリーのみで走れるってことは片道30キロまでOK?」ということになりますよね?
【車の利用に関する調査】走行距離は月に1000km以上が30%:時事ドットコム
[おトクにマイカー 定額カルモくん]最寄りのコンビニまでも車を使う人は約半数。車社会の実態が明らかに。月額定額カーリース「おトクにマイカー 定額カルモくん」を運営するナイル株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長 高橋 飛翔)は、自家用車を持っている全国の男女1,363名に、月平均でどれくらい車に乗っているかや移動の用途などについてインターネット調査を実施しましたので、調査結果をお知らせ致します。【調査背景】地方では一人1台という車社会の日本ですが、実際に車を持っている方は、どのように車を使…
「その程度の距離じゃ」と思うかもしれませんが、自家用車を保有している人の7割以上が1ヶ月の走行距離が1000キロ未満です。つまり1日平均だと30キロくらい。
トヨタ発表の60キロはJC08モードという全くアテにならない基準ですが30キロであればほぼ間違いなく走れます。
EVでよく浴びせられる「万が一バッテリーなくなったらどうするんだ?」という不安とも無縁です、バッテリーがなくなれば勝手にエンジンがかかってハイブリッド走行に切り替わりますので、そこから何百キロでも走れます。
ただし一回プリウスPHVに乗ってしまうと、この「エンジンがかかる」というのを嫌がるようになる人が多数のようです。
むしろ、プリウスPHVオーナーはほぼ全員「エンジンかかったら負け」みたいな感覚で乗ってますからね🤣
— Brownie (@browniejp) May 6, 2021
実際に1日の走行距離が40〜50キロくらいであればバッテリーのみで走行し、家に帰ったら充電(プリウスPHVのバッテリー容量なら家庭用の100Vコンセントでもそれほど時間がかからず充電可能ですのでEVの充電器すら不要です)すれば翌朝は再びバッテリーのみで走行可能な状態に復活しています。
EVのことがわかってくると「100Vじゃ足りないから200Vに」とか「充電器つけよう」という意識が芽生えてきますが、最初であれば、しかもPHEVであれば100Vコンセントでも十分です。
慣れてきたプリウスPHVのオーナーからは「最近全くガソリンスタンドに行かなくなった」という声がよく聞こえてきます。
あ、念のために言っておきますが「俺は1日100キロ以上走るからそれじゃ困るんだけど」とか「毎週東京と大阪往復してるんだから電気だけで足りるわけない」とか例外を持ち出して批判するのは止めましょう。
以前も言いましたが世の中ではごく少数しか存在しない例外を持ち出して批判するのは非常にレベルの低い話になるのでやめましょう。
「〜だからEVは普及しない」と言うのは揚げ足取り?【やりたくない理由探し?】
電気自動車の話をしているとありえないようなレアケースを持ち出されて「これができないんじゃEVは普及しない」と叩かれることがあります。しかし滅多に発生しないようなケースばかり取り上げたり、たまたま起きた故障などを取り上げて「だからEVなんて」と叩くのはフェアではありません。「例外思考」と呼ぶやらない理由探しの典型例です。
あくまでも世の中の多数派に当てはまる提案として出しているだけですので。
いざという時のガソリンエンジンという「保険」付きでEV走行を試すことができるというのは非常に魅力的な選択肢です。
私も含めてある程度EVに慣れてくると「エンジンなんかなくても全く問題がない」ということを体で理解してしまうのですが、これまでガソリン車しか乗ったことがない、EVを試してみたいけど何となく不安と思っている方にはプリウスPHVが最もおすすめできるEVの入門車になります。
EVに慣れた人間にあれこれ言われてもなかなか信用できないでしょうが、自分でEV走行をしてみると「あれ? 別にエンジンなんかなくても問題ないぞ」と気づくことができます。
ヨーロッパでもスウェーデンは例外的にPHEVが優位なのはなぜ?
例えば昨日も取り上げたEVが世界で最も普及しているノルウェーの隣がスウェーデンですが、同じようにEV化率はドイツ、フランス、イギリスなどの主要国と比べると高めですが、この中にはBEVとほぼ同等の比率でPHEVも含まれています。
これはスウェーデンが本国であるボルボが昨年まで販売の中心をPHEVにしていたのが最も大きな理由なのですが、現在でもそれなりに売れています。
まぁ2030年以降新車販売が禁止になると考えればあと9年ありますので「もう一回位はPHEVでも問題ないかな」と考えることもできますし「もしものための用心としてもう少し充電インフラが整うまではPHEVで」という層がいても何も不思議ではありません。
車種別で見るとフォルクスワーゲンの「ID.4」や「ID.3」などがいよいよランクインしたのは昨日述べた他のヨーロッパ諸国と共通で、「ID.3なんて全く売れてない」と豪語していた某自動車ジャーナリストの願望は裏切られ続けています(笑)。
ボルボも現在唯一のBEVである「XC-40 Recharge」がランクイン(ポールスターブランドも含めると2台)しています。
ボルボの場合は先日も記事にしたように「2030年以降は全車EV化」を宣言していますので、スウェーデンでも今後比率がBEVに移っていくでしょうけど。
ボルボの「全車電気自動車化(BEV)」とOTAアップデートの衝撃とは?【対照的なガラパゴス日本】
今度はスウェーデンのボルボが2030年からの「全車電気自動車化(BEV)」を発表しました。オンライン販売に切り替えながらも「サブスク形式」という独自の販売方法で既存のディーラー網を残す方向で(雇用を維持する方向で)電気自動車化するという北欧らしい電気自動車への対応方法を発表したボルボの戦略について解説します。
ボルボが「C40Recharge」で提起する「所有」へのチャレンジとは?【サブスク・カーシェアへ】
先日取り上げたボルボの2030年からの全車電気自動車化には「サブスクリプション」で提供するという、自動車業界では当たり前だった「所有」という概念すら覆す可能性があります。「若者の車離れ」などと言われますが、月額課金で維持費もかからない、いつでも解約できるとなれば若者の車への興味を復活させるポテンシャルがあります。
あ、一応言っておきますが「EVだと寒さに弱いのからスウェーデンではPHEVなんだよ」とかいう寒いツッコミはやめてくださいね。
隣のノルウェーも同じくらい寒いですが世界で最もEVが普及していますので(笑)。
日本市場限定ならPHEVから入ってBEVへ進むのもありかも?
世界的な流れ、特に最も急速にEV化を進めているヨーロッパ市場では「PHEVすらも締め出そう」という流れもあります。
欧州がガソリン車やHVだけでなく充電可能でなPHEVも早期の規制を検討、今後数年以内に販売が難しくなる可能性。
もし法案が可決された場合、インフラ整備の更なる加速が期待されています🧐
EU Wants To Phase Out PHEVs Sooner To Accelerate EV Transition https://t.co/PmMEaP6SQT
— 🌸八重さくら🌸 (@yaesakura2019) April 13, 2021
ヨーロッパではPHEVをBEVへの足掛かりとして乗ってみるという選択肢はなくなりつつありますが、日本ではまだまだ有効な選択肢です。
先ほども言ったようにネット上でプリウスPHVのオーナーなどの書き込みを見ていると「何ヶ月ぶりの給油」とか「今月は給油ゼロで乗り切ったぜ」のように「どこまで電気のみで走れるか?」という競争をやっている人々をたくさん発見できます。
電気自動車に関して既に「後進国」まで後退してしまった日本の場合、まずはPHEVでもいいので電気のみで走行できるという状態を体験してみることが何よりも必要ではないでしょうか?
電気だけで何十キロ走れて、夜には家で充電すれば翌日も電気のみで走行できる、この感覚が身についてしまうといつの間にか「あれ?エンジン要らなくね?」とか「エンジン外してもっと大きいバッテリー欲しい」と思うようになるのはこれまでのオーナーの話を聞いているとほぼ間違いないようです。
どこかのメーカーが「水素エンジン」まで開発して残存させようと躍起になっているエンジンが、自社のPHEVによって「エンジン要らなくね?」と思われてしまうというのは皮肉なことですが、自業自得です。
自らが「未来永劫残したい」と思っているガソリンエンジンが、自社のしかもガソリンエンジンを搭載した車によって不要であると認識されるという面白い展開が今後待っているかもしれません。
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