コンパクトカーで電気自動車はどこまで進化できるのか?【2023年までの話です】
こんばんは、@kojisaitojpです。日本では相変わらず電気自動車を否定したい方々がSNSや5ちゃんねるなどの匿名掲示板にウヨウヨいます。
なぜかアンチ電気自動車の奴って「〜になったら買ってやる」みたいな感じで、ガソリン車が絶対的に上という前提の上から目線で語るんだよな。
— saito koji@次の海外旅行はいつ? (@kojisaitojp) December 29, 2020
「航続距離が1000キロ超えたら買ってやる」とか「10分で満充電できるようになったら買ってやる」的な「ガソリン車に乗っている俺様=偉い」的な上から目線で電気自動車に無理難題を押し付けるタイプの物言いをする人が多いのが「結局日本語しかできない空間で自分が絶対だと思っている世界の中の田舎者」に見えてしまいます。
そんなのを見ているとアンチ電気自動車の方々に対抗して、ハイスペックの電気自動車を例に挙げて「ほら、このくらいなら内燃機関車(ガソリン車)と大差ないよ」とマウントを取り返すことも可能なのですが、それは意味がないなと思うようになりました。
そこで今日は一般の人でも手が出る水準の「コンパクトカーの電気自動車」にスポットを当てて紹介してみたいと思います。
目次
高級車ではなくコンパクトカーの電気自動車が肝
例えば一部で話題のアメリカの新興EVベンチャー「Lucid」が2021年発売予定の「LucidAir」などに触れると航続距離が832キロ、急速充電も300kWに対応とお化けスペック(20分でほぼ満充電)ではありますが、予定されている車両価格が上級グレードで約1700万円など、普通に生活していると絶対に手が届かないレベルの電気自動車の話をしてもあまり意味がないかなと思いました。
航続距離やバッテリー容量も驚異ですし、「車内が飛行機のファーストクラス」と豪語するようなゴージャスでゆとりのある内装もテスラを超えるとんでもないスペックです。
本当にこのスペックで出せればの話ですが、現時点では最高レベルの電気自動車になります。
こういう車を取り上げて「驚異のハイスペック」と記事を書いても「でもこんな値段じゃ買えない」と言われて、「電気自動車=高い」という偏見を強化するだけなので止めておきます。
「富裕層ビジネス」を必要以上に取り上げることの無意味さは以前書いているので気になればご参照いただければと思います。
富裕層対象のビジネスってどうよ?【失敗しやすい?】
起業しようとすると「富裕層対象のビジネスは単価が高い」とすすめられることが多いです。確かに一件辺りの単価が高いので一人で起業しても十分やっていけるイメージがあります。しかし富裕層、社会的に成功した方々というのは一般人とは違った常識・価値観の世界に生きていて、これを知らないと富裕層ビジネスは大失敗するリスクがあります。
そこで今回は2021年〜2023年に発売が予定されている「コンパクトカーの電気自動車(ヨーロッパでいうAセグメント・Bセグメント)」について触れてみたいと思います。
以下の車種について現時点でわかることをお伝えします。
- フォルクスワーゲン「Id1」
- フィアット「500EV」
- プジョー「e-208」
全て内燃機関車(ガソリン車・ディーゼル車)で実績のある、ヨーロッパの古参メーカーが発売する電気自動車になります。
フォルクスワーゲン「Id.1」
当初は「ゴルフ」という従来の車体のプラットフォームの車種を電気自動車化して「e-ゴルフ」や「e-Up!(日本では2021年発売予定)」として電気自動車化を始めたフォルクスワーゲン社ですが、先日の記事でも書いたように「Idシリーズ」という電気自動車専用のプラットフォームで電気自動車をリリースすることが発表されています。
「トヨタ ミライ」と「フォルクスワーゲンId3」に見える電気自動車に対する姿勢の違いとは?
水素燃料電池車「トヨタミライ」の新型が発表されましたが、相変わらず高級車並の価格で、気軽に手を出せる価格にはなっていません。これに対し、「ビートル」「ゴルフ」に続く主力車種としてフォルクスワーゲンでは「ID.3」という誰もが購入可能な価格帯で電気自動車をリリースすることを発表しています。価格面に見える姿勢を検討します。
最初に発売されるのは「Id.3」と「Id.4」という少し大きめの企画ですが、2023年には最もコンパクトな「Id.1」のリリースを予定しています。
現在でいう「e-Up!」とほぼ同サイズの車種ですので、軽自動車という規格のないヨーロッパでは最もコンパクトなサイズになります。
「車体が小さいとバッテリーが小さい→航続距離が短い」と不安になるところですが、
現行の「e-Up!」が「搭載バッテリー容量36.8kWh、EPA航続距離230キロ、最大充電出力40kW」です。正直これでも(EPA航続距離なのでほぼ実走行距離)日常使いには十分耐えられますし、充電出力が40kWなので30分の急速充電でも半分以上は充電可能です。
これに対し2023年予定の「Id.1」では「搭載バッテリー容量45kWh、EPA航続距離300キロ、最大充電出力は不明」とのことです。急速充電の速度が今より下がることはないでしょうが。
300キロ走れるのであれば東京を出発して福島県・静岡県までは移動可能な距離です。これで日常使いできないと叩くことはできないスペックです。
フィアット「500EV」
日本でも既に知名度抜群のフィアット500が2020年に電気自動車としてリリースされました。
ベースグレードの「フィアット500 Action」で「搭載バッテリー容量23.8kWh、EPA航続距離161キロ、最大充電出力50kW」です。車体が軽自動車並みに小さいのでバッテリー搭載容量には限界がありますが、最大充電出力を50kWにすることで30分もあればほぼ満充電できるという「バッテリー容量の限界を急速充電で補う」タイプの電気自動車です。
上級グレードの「フィアット500 Passion」だと「搭載バッテリー容量42kWh、EPA航続距離285キロ、最大充電出力85kW」と全てにおいてベースグレードの上を行っており(車体のサイズを考えると驚異的です)、先ほどのフォルクスワーゲン「Id.1」とほぼ同程度の性能が期待できます。
また最大充電出力が85kWですので、バッテリー容量が大きくなったモデルでも30分でほぼ満充電可能です。
(わかりやすいようにあえて「満充電」と言ってますが、スマホと違い電気自動車はバッテリーを痛めないように80%くらいの充電で走るのが一般的です)
なおこちらの「Passion」ですとガソリン車のフィアット500同様の「2+1」という観音開きのドアが付いており、後部座席にも直接乗り込める仕様です。
ちなみに「フィアット500EV」とほぼ同程度の車体として先日も紹介した「ホンダ e」が挙げられます。
「ドイツカーオブザイヤー」を取った「ホンダe」から感じるやる気のなさとは?
ホンダ初の電気自動車「ホンダe」が日本でも発売されました。テスラとは正反対のコンセプトで街乗りに特化したコンパクトさ、デュアルディスプレイやiPhoneのSiriのような音声対応など日本車の長所を生かした部分などが評価され、ドイツでカーオブザイヤーを受賞しました。しかし日本で走る場合、問題点がいくつか生じています。
しかし「ホンダ e」とフィアット500の上位グレード「Passion」だとフィアット500の方が50万円ほど安いですし、EPA航続距離もホンダeの196キロに対し「フィアット500 Passion」だと285キロと航続距離でも負けています。
安い理由として考えられるのは「ホンダ e」がデュアルディスプレイやiPhoneのSiriのような音声対応など独自のナビが特徴的であるのに対し、フィアット500はベースグレードの「Action」ではナビなしでスマホのアプリを通してナビ機能を連動させるというやり方な点が考えられます。
「ナビもねぇのかよ」と日本では怒る方も多いでしょうが、見方を変えれば「車でしか使えないナビにバカ高い料金払うならスマホでよくね?」とも言えます。
実際私の場合ゴルフ5はナビなしのモデルを激安で購入して、iPhone11Proにナビやオーディオの代わりをさせていますが何の問題も感じたことはありません。
大画面じゃないと見づらいと思った時も私のiPad miniを横に置けば解決してます。
「カーナビ」という装備自体も「欲しい人だけ買えば」にしておいて、コスト重視で行くならスマホで十分代替できます。
プジョー「e-208」
プジョー「e-208」は以前の記事でも取り上げたことがありますが、プジョー「e-208」は既に日本市場にも上陸を果たしています。
スペック的には「搭載バッテリー容量50kWh、EPA航続距離303キロ、最大充電出力100kW」と急速充電を高機能にしてきたところがプジョーの特徴です。
この最大充電出力であれば30分もあればほぼ満充電にできます。
ただしこれは「ヨーロッパの充電規格ならね」という残念な真実があります。
日本の急速充電規格である「チャデモ」に合わせて日本仕様のe-208は最大充電出力を50kWに制限しています。
先日埼玉県川口市にテスラの「最大250kW」の充電ステーションができたことにも触れましたが、日本の場合テスラ以外の充電施設のスペックに大きな問題があります。
プジョー「e-208」のスペックを最大限に生かす充電設備が用意されていないのが非常に残念です。
「コンパクトカーのev化」に必須なのは「急速充電」の充実?
さて本日見てきたようなコンパクトカーの電気自動車を見ていると「車体が小さいのでバッテリー容量に限界がある=航続距離にも限界がある」というのは現時点では客観的事実として残ります。
これを取り上げて「だから電気自動車なんてダメだ。ハイブリッド最強」と日本国内でしか通じない方向に行くか、「急速充電を充実させて、短時間で充電できるようにすれば問題ない」「充電設備をヨーロッパ並に増やしていつでも充電できるようにすればOK」という世界の流れに乗るかで日本の未来が決まると言うことができます。
日本の急速充電は「チャデモ」という独自規格ゆえに、先ほどのフォルクスワーゲンId1やプジョーe-208のスペックを生かしきれないという残念な真実があります。
ガソリン車であれば輸入車に対してこのような差別があっても、それに対抗できるスペックの国産車が多数あったので問題になりませんでしたが、現在の日本市場で国産の電気自動車が実質日産リーフしか存在しない状況でこれが起きるとたちまち大問題になります。
電気自動車はバッテリーより充電スタンドの整備が重要?
電気自動車に対する批判として「バッテリー」の限界から来る走行距離の短さを指摘する声は多いです。ですが仮に急速充電が普及し、高速道路のSAなどで食事をしている間に十分に充電できれば誰も悩むことなく電気自動車を利用できます。また走行距離が短いことが本当に不便なのかについてもあえて航続距離の短いEVを例に検証して見ます。
繰り返しになりますが、ヨーロッパ・中国が電気自動車一択、アメリカもバイデン政権の誕生により電気自動車重視の方向に舵を切ることがほぼ間違いない状況で日本だけ独自路線なんて通じるのでしょうか?
日本の人口が1億ちょっと、中国は14億、アメリカは3億、ヨーロッパが7億です。多勢に無勢の状況です。人口が1億ちょっと(しかもこれから減少する)の国の独自規格が合計24億人の国々で支配的な規格をひっくり返せるというのであれば別ですが、そうでなければ独自規格に固執して国が衰退するだけです。
先日紹介したカヌー社や先ほどの「Lucid」社もそうですが、アメリカや中国にはこのような新興のEVベンチャーが多数乱立しています。もちろん今後競争によって淘汰される企業もたくさん出るでしょうが、5年後10年後にはテスラのようになっている会社もあることでしょう。
今思い返せば例えばFacebookが2012年にナスダックに上場した時も「上場ゴール」だとか「こんなの今だけ」と散々バカにされましたが、今や「GAFA」と呼ばれるアメリカをいや世界でもトップクラスの時価総額の企業に成長しています。
日本という狭い島国で、日本語しか通じない環境で「電気自動車は使えない」とか「ハイブリッドこそ素晴らしい」といくら叫んでいても世界の流れには何の影響も与えません。
世界の流れが間違ってると本当に思うなら日本語で文句言うんじゃなくて英語か中国語で発信しないと意味ないぞ(笑)
— saito koji@次の海外旅行はいつ? (@kojisaitojp) December 28, 2020
まぁ日本の某自動車メーカーのトップも同じことをやってますのでTwitterや5ちゃんねるなどで叫んでいる層だけが悪いとも言えませんが(笑)。
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