富裕層対象のビジネスってどうよ?【失敗しやすい?】

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こんばんは、@kojisaitojpです。起業をしよう、自分でビジネスをやろうとあれこれ相談に行ったりすると必ず「富裕層対象のビジネスをやれ」と言われることがあります。

10億円以上だと「超富裕層」、1億円以上だと「富裕層」と分けられるようですが、この両方を足しても人口の1.3%しかいません。

「人口の1%しか興味を持たない(手が出ない)ビジネスやって上手くいくの?」と私の感覚では思ってしまいますが、基本的に富裕層対象のビジネスは客単価が高く、利益幅も大きいことからスモールビジネスとして一人で起業しようと思ってコンサルタントなどと話をしているとすすめられることも多いです。

今日はそんな富裕層対象のビジネスを手掛けることのメリットとデメリットを考えてみたいと思います。

富裕層ビジネスをやることのメリットとは?

富裕層の豪邸
富裕層を相手にビジネスをやることのメリットは何と言っても「利益幅が大きい」という点です。

例えば富裕層対象の車ビジネスですと「ビンテージカー」「クラシックカー」がそれに該当します。ディーラー以外の業者であれば新車販売で勝ち目はないので競うなら「古くてクオリティの高い車」になります。

トヨタ2000GT

この「トヨタ2000GT」の場合ですと、発売当時237万円(最終型は1970年)だった車が現在であれば1億円の値段がつくこともあるくらいプレミアがついています。

トヨタ2000GT

生産台数が337台と極めて希少なので、さすがに当時の車体を手に入れるのは不可能に近いですが、レプリカであればエンジンを現代風のハイブリッドやEVに改造したりしたものが1000〜2000万くらいにはなるようです。

ロールスロイス/シルバークラウド

外車ですとイギリスの高級車メーカー、ロールスロイスの最高傑作の1つ、「シルバークラウド」などがよく例に挙げられます。

生産年が1955年〜1960年で、比較的入手しやすいビンテージカーとして有名です。

入手しやすいと言っても仕入れだけで1000万を超えるような水準ですが。。。

こんな例を出すと「古い車体買ってきて現代の部品でレストアしたら儲かる」と思ってしまいます。

ですがそれはあくまでも「売れれば」という話です。高額なものを仕入れて、それを更に高額で富裕層に売りつければボロ儲けと妄想することは簡単ですが、富裕層は一筋縄で行く相手ではありません。

富裕層と実際に接したことがない人はピンと来ないかもしれませんが、富裕層は基本的に「面倒くさい人」が多いです。

このことを知らないで富裕層ビジネスを始めてしまうことが、失敗への落とし穴になります。

「富裕層」には曲者(くせもの)が多い?

ひねくれた富裕層
今の車ビジネスの例を見ての通り、富裕層ビジネスは客単価が高いのは事実ですが、それはビジネスをする側の目線でみると高額な在庫リスクを抱えることにもつながります。

つまり富裕層に買ってもらえなければ「不良在庫」となって自分が多大な借金を背負うことになります。

「高くて良いもの出せば売れるでしょ?」と安易に考えてしまう人は、実は富裕層のことを何も理解していません。

天邪鬼のイラスト

接したことがある人はわかるかと思いますが、富裕層は基本的に「面倒くさい人」、世間一般の価値観が当てはまらない「変人」が多いです。

もちろんそれは社会的に成功したという世の中の少数派であるが故に当然のことで、彼らは見え透いた広告宣伝やセールストークには簡単に乗りません。

基本的にチヤホヤされることにも慣れているので、おべっかを使ってすり寄ってくるような営業をしたところで嫌われるだけです。

彼らは自分が認めたものには「いくらでも払う」的に大金を払いますが、そうでないものには1円も出しません。富裕層が「ケチ」と誤解されるのはこの辺から来てると思います。

富裕層の人々は、常に本質を見極めようとします。「良いものならいくらでも投資する」というポリシー。

だからこそ、物の価値をわかってない人が始める中途半端な富裕層ビジネスというのは、彼らに手の内を見透かされてしまい相手にされません

またビジネスを仕掛ける側の人が、富裕層の本当の気持ちをわかっていないことも失敗の原因です。「気持ち」というとわかりにくいですが、物事に対する価値基準・判断基準などが普通の人とは違う(普通の人と考え方が違うからこそ社会的に成功したとも言えます)のが普通です。

ですので本物の富裕層というのは常人では理解できない発想と購買行動を取ります。これが「変人」と思われる原因なのですが、富裕層でない人が、富裕層の求めるものはわからないのです。

こうして、世の中の富裕層向けビジネスはことごとく消えていくというわけです。私の知っている人間でも富裕層のことを知りもしないのに高付加価値なビジネスとやらを始めて失敗した例はたくさんありました。

高単価のものを求める富裕層の心理とは?

富裕層のイメージ
そもそも富裕層はなぜ高価なものを欲しがるのでしょうか?

ここが重要で、実は「高価格=豪華・ゴージャス」ではありません。

同様に「高品質・高付加価値でもありません」と言われて「え?何言ってるの?」と思った方は富裕層を理解できていない人かもしれません。

高価格=高い顧客体験価値(提供価値)であるということです。

更には、富裕層の方々は様々なことを経験してこられているので、審美眼も一般消費者より高く、顧客体験価値を見極める力が強いことを忘れてはいけません。

この言われてみると単純明快なことが、富裕層が対象だと高価格帯が許容されるため、ついつい提供者側の企業は忘れがちです。

先ほど出した車の例で言いますと、「体験価値」は主に主観に左右されます。先ほどはトヨタ2000GTの例を出しましたがせっかく仕入れたのに「俺は1967年物だけが欲しかったのに、1968年物じゃ興味ないよ」と言われるかもしれません。

「いや、67年と68年では部品も工場も同じですし、違いありませんよ」などと言おうものなら、「帰ってくれ」と言われて終わりの可能性もあります。

主観的過ぎてわかりにくいので別な例を出すと、例えば「車の内張りの皮が白だったら欲しいけど、茶色のものは要らない」と言われるかもしれません。

「どっちでも変わらねぇよ」とこっちが思っても「体験価値」に価値を見出しているので話は通じないことでしょう。

マニア・コレクターというのは、普通の人からすると「ど〜でもよくねぇか?」と思うことに普通の人では考えられないくらいこだわります。そのこだわりに応えられれば大金をつかめるかもしれませんが、応えられなければせっかく多大な投資をして仕入れたビンテージカーが「不良在庫」に変身します。

富裕層のイメージ

もう少しわかりやすい例として、不動産を例にしてマンションで考えてみると、いくら内装を豪華にしても、アクセスが悪い、または、資産価値が低い土地だと買ってくれないということです。

これは「投資価値」の問題ですから誰でもわかりやすいと思います。

多くの顧客体験価値を経験した消費者(富裕層)の選択眼は厳しく、小手先の販促や広告では買ってはくれないのです。

人口の1%の奪い合いをしたいのか?

天邪鬼のイメージ
客単価が高いがゆえ何のビジネスをしても一件あたりの単価が高いのは富裕層ビジネスの最大の魅力ではあります。

しかしみんながこぞって富裕層ビジネスに参入すると、日本の人口のわずか1%くらいというとても小さいパイの奪い合いになり大激戦となることは間違いありません。

例えば私が興味を持っている中古車のビジネスで考えると、何百万、何千万もする高価なビンテージカーを仕入れたとしても売れない限りはただの在庫、その大金はこちらの持ち出しです。

しかも実際に色々な場面で富裕層と接していると、はっきり言って「曲者」、世の中一般とは全く違った価値基準を持つ人ばかりなので、機嫌を損ねないようにコミュニケーションを取るのも一苦労です。

私はこの手のいわゆる「面倒くさい人々」と関わってビジネスをやる気になれないのが正直な感想です。

わずか1%の人々のために苦労するのであれば、残り99%が手を出せるビジネスの方が可能性を感じます。

富裕層の実際の姿を知らない人ほど「これからは富裕層だけを対象にしたビジネス」とイキり立つのかなと思います。

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