「3Dプリンター」で建設業もオワコン?【30坪300万のオフグリッド住宅?】

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こんばんは、@kojisaitojpです。EVの話ではありませんが、面白いものを見つけたので取り上げてみます。

既にヨーロッパやアメリカでは「3Dプリンターを使った住宅建設」が行われているという話なのですが、その価格がびっくりの3万1900ドル(約350万円)ですから更に衝撃です。

新しい技術の流れは何もEVに限ったことではなく、あらゆる分野に「DX」の動きは押し寄せるよといういい例かもしれません。

ツイートでもつぶやいたように日本で実現しようとするとあらゆる方向から「できない理由」が殺到しそうなネタですが(笑)。

今日はそれも含めて世界で3Dプリンターを用いた住宅がどのくらい実現されているのか、日本でも同じような動きがあることまで含めて紹介します。

世界で広まる3Dプリンターで印刷(?)したサステイナブルな家

3Dプリンターで住宅
冒頭の引用した記事は2017年のもので少し古いのですが、3Dプリンターで作った住宅については現在このくらいまで進化しています。

オランダのアイントホーフェン工科大学と自治体、建設業者が共同で進めるプロジェクトの「プロジェクト・マイルストーン」は世界初の3Dプリンターで作るコンクリート製の「商業用住宅プロジェクト」ですが、既に希望者の入居も始まっているようです。

これまでにも3Dプリンターを用いた住宅建築は行われてはいたのですが、そのほとんどが「住宅の部材を3Dプリンターで作る」とか「あらかじめ作られたコンテナハウスのようなものを運んでくるだけ」にとどまっていました。

3Dプリンターで住宅を作るイメージ

それが現在では基礎工事から3Dプリンターが行うところまで進化しています。こうなると「3Dプリンターで印刷」というときの「印刷」という用語が適切なのか?の疑問まで出てきます。

24時間で家ができるという時間も驚異ですが、3Dプリンターを用いることによる「人員削減」、そしてそれによるコスト削減というのが最大の恩恵かもしれません。

住宅の建築費の大半は「部材の輸送費・人件費」です。

ログハウスのイメージ

私も少し前に「ログハウスが欲しい」と思っていくつか調べてみたのですが、例えばログハウスのキットが500万円で販売されていたとしても工事費が1000万以上かかると見積もりが来ました。

「資材より工事費の方が高いの?」と思ってしまいましたが、これが3Dプリンターの作業になるとごく少数のスタッフの手で工事ができてしまいますので大幅に人件費を削減できます。

現在日本でも大工の高齢化が進んでおり、若年層の大工の人材不足が叫ばれていますが、3Dプリンター住宅が普及すれば問題が解決するかもしれません。

また3Dプリンターを使った住宅には「サステイナブル」な側面もあり、3DプリンターのAIにより建築資材の無駄がほとんどなくなるという側面と、現時点では別荘やグランピングなどの用途を想定していることから「オフグリッド」に対応した仕様なもの特徴です。

人里離れた静かな田舎に移住し、太陽光で発電した電力で自給自足の生活、基本はリモートワークでたまに都会に仕事で行く際には自動運転化されたEVで快適に移動すればOKという未来のライフスタイルを提案しているように思えます。

日本だと3Dプリンターは建築基準法でNG?

日本でも3Dプリンター住宅
と未来を語ると「できない理由」を並べて「こんなもの日本では無理だ」と言い出す人がわんさか現れるのは私が日々論じているEVや再エネの話と同じかもしれません(笑)。

EVや再エネにおける「できない理由を並べる人」については以前も解説していますので、こちらをご参照ください。

「住宅を3Dプリンターで」というのを語った場合にもすぐに思いつく「できない理由」として、

  • 地震や台風の多い日本では無理
  • そもそも建築基準法で定められていないから無理
  • 大工や職人の仕事を奪うな

この辺りはすぐに出てきそうです。

ですが日本でも3Dプリンターで住宅を作ろうというベンチャービジネスが立ち上がっています。

セレンディクスパートナーズというベンチャーが「30坪の家を300万円で作る」と既に実用化へ向けて動き出しています。

計画では「当初は建築基準法における建築確認の対象にならない10㎡以下の建物の建築家から始めて、建築基準法上既定のない3Dプリンター工法の認可を取得する」とステップを踏んだ計画を公表しています。

これまでの建築基準法だとコンクリート材料に鉄筋を挟みこんで造形する必要がありそれは3Dプリンターでは不可能なようですが、新しい材料で住宅を建てるような新しい取り組みに関しては、監督官庁が新規に検討できる「大臣認定」という仕組みがあり、これを取得することで「30坪で300万円」の本格的な住宅を日本でも作れるようにしようという構想です。

日本でも3Dプリンター住宅

それが「Sphere(スフィア)」と呼ぶ球型の独特なデザインの住宅なのですが、建築デザインはアメリカNASAと火星移住プロジェクトを進めている世界的な建築家「曽野正之」によるもので、火星の「風速120メートルの強風」にも耐えられるものを鉄筋のような構造体なしで実現しようとしています。

戦うイーロンマスク

「火星」というとこの顔が真っ先に浮かびましたが、もしかしたら何かこのプロジェクトに関連してるとかないですかね(笑)。

今「風速120メートル」と言ったように当然ですが日本で多発する地震や台風などの災害にも対応できる頑丈な建物を3Dプリンターで可能にしようとしています。

3Dプリンターで火星に住宅

セレンティクスパートナーズの計画では、2021年中に先ほども言った「10㎡以下の建築確認不要の物件」の販売を始め(トイレやバスルームは外付けにしてグランピングや別荘としての用途を想定)、その後建築基準法における「大臣認定」を取得して(期間は1年を想定)2022年には「30坪で300万円」の住宅を販売する計画のようです。

「建築基準法ガー」とか「地震や台風が多い日本では」という「できない理由」を破壊しようと努力するベンチャー企業は素直に応援したいところです。

「住宅ローン」からも「自動車ローン」からも解放された自由な生活が送れる?

ワーケーションのイメージ
私はこれまでもEVについて論じている中で、自動車業界に長年定着している「ぼったくり体質」というのを何度も問題にしてきました。

「ディーラー」という「中間搾取」が存在しないテスラはネット販売という、これまでの自動車業界の慣習をぶっ壊す販売方法で自動車業界に乗り込んできたことを私は高く評価していました。

同じように既得権益を破壊する動きが建設業界で起きないと誰が断言できるのでしょうか?

本日取り上げた3Dプリンターを使った住宅というのも、建設業者側の人件費や輸送費を大幅にカットできるという意味で、不透明さのないユーザーフレンドリーなシステムです。

私もそろそろいい歳ですので、賃貸マンションではなく住宅が欲しいなと思うようになってきたのですが、その際に頭を悩ませるのは「住宅ローン」の問題です。

先ほどログハウスの話をしましたが、住宅メーカーに問い合わせをするとほとんどの業者が「35年ローン」を前提としているようでローンの見積もりまでつけてくる場合があります。

「そもそも今の状態が35年も永続するとどうして前提にするんだろう?」というのが長年いわゆるフリーランス(個人事業主)の立場で仕事をしてきた私なら感じるところですが、まだまだ「終身雇用」が当たり前のように思っている人が日本には多いようです。

住宅建設中の3Dプリンター

「住宅ローンがあるから会社辞めたいけど辞められない」のような足枷、しかも35年間今の状況が継続するかも不明確な時代にリスクしかないと思うのは私だけでしょうか?

以前は自動車に関する話題で「所有という概念から解放される」ことをコンセプトとしてEVを提供することを表明しているボルボやアメリカのスタートアップCanooについて触れたことがありますが、「自動車ローン」に続き「住宅ローン」からも解放される未来のライフスタイルがすぐそこまできているのかもしてません。

ボルボやCanooが提唱する「サブスク」形式でのEVの提供については以前書いた記事がありますので、こちらをご参照ください。

最近SNS上でやたらと「カーシェア」の悪口を言う人が増えているのは、このように「所有」という概念が脅かされることへの抵抗なのかなと思うところですが、それについてはまた以後のEVに関する記事で取り上げます。

自動車はサブスク形式で気分次第でいつでも乗り換え可能、住宅も「30坪300万円」で住宅ローンとも無縁、気が向いたら移住も自由にできるという自由を手にするライフスタイルに魅力を感じるのは私だけでしょうか?

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