「節電」の日本と「EVを蓄電池に再エネシフト」のドイツの違いとは?【デフレマインド】

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こんばんは、@kojisaitojpです。私のブログは別に政治について論じるところではありませんが、これはEVシフト・再エネシフトに向けて大きな悪影響が出そうなので取り上げます。

既に世の中でも話題の「夏の電力不足」と「政府からの節電要請」ですが、節電を促すためなのかわけのわからないポイント還元をやろうとしてるようです。

一般家庭の平均的な消費電力が1日辺り6kWh位と言われてますので、この「節電チャレンジ」とやらに協力したところで「5円×6=30円」で、1ヶ月でも1000円行くかどうかというレベルです。

しかもたったこれだけのポイントを支給するために「自宅にスマートメーターを設置」などの条件が付けられており、「これやって誰得なの?」というレベルです。

「こんなものに税金使うくらいなら再エネの発電量増やすとかできることいくらでもあるのでは?」と思います。

今日は自分が今後展開していくEVビジネスにも影響を及ぼす可能性があるこの「節電」とこの背後に感じる日本人の「節約マインド」が様々な面で負の影響をもたらすのでは?という疑問について論じてみます。

EVや再エネを無視する「節電」と「節約」がますます日本人を貧しくする?

「節電」の話とほぼ同時にこんな話も出ていて一部で話題になっています。

「年収200万でも節約生活でハッピーに」という私が「デフレマインド」と呼んで最も忌み嫌うライフスタイルが提唱されてて寒気がしました。

昨今の物価高・インフレ基調に対応するために「収入を増やそう」ではなく「節約しよう」に向かってしまう日本人のマインドが相当病んでるなという印象しかありません。

私が冒頭で取り上げた「節電」と同じような後ろ向きな意識を感じてしまいます。

「電気が足りないなら発電すればいい」「物価高で大変なら収入を増やせばいい」と「新しいことをやって何かを生み出していこう」ではなく「現状維持で我慢しよう」に向かう国に未来はあるの?と思ってしまいます。

本日のテーマは「節電」なので電力の話が中心ですが、実は「電力不足」というのも本当かどうか怪しい話で、実際日本の各地の電力会社では「出力規制」というやり方でせっかく発電された太陽光や風力などの電力が送電されないまま捨てられています。

出力規制のイメージ

要は「太陽光発電の場合だと太陽が出てる昼間に過剰に発電されて消費しきれない→だから出力規制をかけて送電させない」ということなのですが、「電力不足」を叫ぶくらいなら「この余剰な電力を有効活用できないの?」と思ってしまいますよね?

なんて話をすると「再エネ? そんなもの不安定すぎる」とか「太陽が出なければ太陽光発電は使えないし、風が吹かないと風力も使えない」と叫ぶ人が現れるのはTwitterなどで日常茶飯事です。

「再生可能エネルギー」という単語を聞いただけで「再エネ=不安定=使えない→だから原発再稼働だ」という方向に無理矢理持っていこうとする輩が必ずわいてきます。

欠点を指摘するのは熱心ですが「じゃあその不安定な再エネを上手に活用する方法はないのか?」と考える視点が欠けています。

電力の話に限ったことでもありませんが、これが私が日々指摘する「できない理由ばかり並べる残念な大人」「どうすればできるようになるか考えようとしない残念な大人」の典型例です。

海外の例を出すと必ず「出羽守」などと罵ってくる輩もいますが、再エネを有効活用する方法を懸命に考えている国もあるんだという例として今ドイツで始まったプロジェクトについて次の項で解説します。

「電気が足りない」→「じゃあEVを上手に活用しよう」がドイツ・フォルクスワーゲン

フォルクスワーゲンのV2H計画

日本だと「電力不足なのにEVなんか乗るんじゃねぇ」と猛烈に叩かれそうですが、ドイツでは反対に「電力不足に対処するためにEVを活用しよう」とフォルクスワーゲンが動いています。

昨年フォルクスワーゲンが今後のEV化戦略を語るイベント「PowerDay」で再三強調していたのが「捨てられる再エネをEVによって有効活用すべき」という話です。

これがついに実証実験に入るようで、最初は20台のIDシリーズに乗るオーナーの協力を得て始めるようです。

フォルクスワーゲンのV2H計画2

「PowerDay」でもせっかく発電された再生可能エネルギーのうち6500GWh/年の電力量(270万台のEVの一年分の充電を賄える量)が使われず捨てられてしまうことを問題視し、「EVをグリッドに接続させることで有効活用しよう」というアイディアです。

この電力は日本だと「出力規制」と言われる、発電された電力を送電させないまま捨てられるものをEVに蓄電させようというアイディアです。

わかりやすく言えば「EVを蓄電池として活用しよう」ということです。

「日本でもV2Hとかあるだろ!」と言われそうですが、「V2H(Vehicle to home)」の場合はあくまでも「EVから自宅などに電力供給を行う」にとどまってしまい、グリッド(送電網)とのやりとりはできません。

これがフォルクスワーゲンの提唱する「V2G(Vehicle to Grid)」だと文字通りグリッド(送電網)とEVが接続されます。

すると「グリッドの電力が余る時間帯(例えば太陽光発電が過剰になる昼間など)はグリッドからEVに電力を送ることでEVに蓄電させる」、反対に「グリッドの電力が足りなくなる時間帯(例えば太陽光が発電できない夜間など)にはEVからグリッドへ電力を供給する」ことが可能になります。

「再エネの不安定さ」を蓄電池代わりにEVを活用することで解消しようというアイディアです。

「再エネは不安定だから使えないんだ!」とできない理由にするのではなく「どうすればできるのか?」と考えた一つの例になると思います。

このフォルクスワーゲンの「V2G」については以前の記事でも取り上げていますので、こちらも合わせてご参照いただければと思います。

EVシフト・再エネシフトに有害なのは「出羽守」ではなく「日本出羽守」?

できない理由を並べる人
このようなフォルクスワーゲンの試みを「机上の空論だ」と批判することは簡単です。

ですが「節電」と後ろ向きなことばかり言っていて、前を向こうとしないどっかの国と比べると「できない理由を並べるのではなく、どうすればできるのか?」を一生懸命考えるチャレンジ精神を感じます。

同じようなマインドが随所に見られるのが日本の病の深刻さを物語っているかもしれません。

「節電」「節約」は「今あるもので何とかしよう」という「後ろ向き」なものであり、「これから何かを生み出していこう」という前向きなものではありません。

「電気が足りないなら発電する」「物価高で苦しいならもっと収入を増やそう」という前向きな努力ではない点こそが私がこう言う話を聞く度にイライラするところです。

できない理由を作るな

私がこのような発言をするとこれもこれで怒り出す人がわいてくるでしょうが、気にせず引用します。

実際に私がこれまで乗ってきたシトロエンC6は古い車なので燃費は非常に悪く(せいぜいリッター6-7キロ)、今の使用ペースだと月に3回は給油してました。75リットル入る巨大なタンクなのもあり一回の給油に15000円前後かかります。

ハイアットセントリック銀座とシトロエンC6
ハイアット銀座とIONIQ5

これが来週にも納車が予定されているヒョンデ「IONIQ5」に変わると充電代が月5000円前後で済み、C6のガソリン代との比較だと月に3-4万は「節約」できます。

なんて言うと「起業するのにこんな高い車を買うこと自体が無駄遣いだ」「人に貸す車ならもっと安いEVを使え」などと文句を言うコメントが来てますが、これこそが私の最も嫌う「デフレマインド」「後ろ向きの思考回路」です(笑)。

こういうコメントを寄越す輩は私がやろうとしてることを全く理解できてません。

そもそもEVのカーシェアを基軸としてビジネスを起業すると言っても「ただEV貸すよ」と言ってるだけでは日本のEV普及率向上に全く貢献できないでしょうから、「自らもEVに乗って、EVに関する正しい情報発信」をするのも事業の一部だと思っています。

以前クラウドファンディングについて解説する記事でも言いましたが、事業の柱は3本で、

  • EVのカーシェア・サブスクで貸し出すこと
  • EVの販売事業(中古・新車の両方)
  • ブログ・YouTubeを活用したEVに関する情報発信

ブログとYouTubeは「広告収入による収益化」を前提に考えています。YouTubeチャンネルの方はまだチャンネル登録者が300人もいないので収益化にはほど遠いですが、「IONIQ5」が納車されれば今までより数多くの動画を配信することができるようになります。

「EVに関する正しい情報」「EVの正しい運用法」についての情報発信も行いながら、実際にEVで長距離ドライブをする旅行などの動画も発信することで「EVがある生活ってこういうものだよ」という情報をこれまで以上に発信していきます。

決して「EVで節約生活できるよ」という貧乏臭い情報発信をする気はないことをご理解いただければと思います。

最後に一応言っておきますが、事故の事実関係を無視して「燃えるEVなんか乗るんじゃねぇ」のような誹謗中傷にはコメント削除・通報(虚偽の情報の流布に該当)しますので。

デマを撒き散らして対話を拒否するようなコメントに返信する義務はないと思っていますので。

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