「電動化→自動運転」へと進むフォルクスワーゲンの戦略とは?【世界はEV第二世代へ】

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こんばんは、@kojisaitojpです。日本国内で「EVが主流になるのかハイブリッドが主流になるのかまだわからない」とか言われている間にヨーロッパでは既に次世代のEVの計画が出てきています。

先日取り上げた記事では「ボルボの次世代EV」について解説しましたが、今度はフォルクワーゲンが2025年以降の次世代のEVについての計画を出してきました。

先日欧州委員会に出された「2035年からEU内でのハイブリッド車を含む内燃機関車の販売禁止(ゼロエミッション車のみOK)」がまだ法律として成立しているわけではありませんが、既にヨーロッパでは「EV化するのは前提で次の段階へ」と動いている流れが主流です。

そこで今回はフォルクスワーゲンが先日「New Auto」というイベントで発表した2025年以降の「EV化を前提とした自動運転」という次のステップについて解説します。

グループ共通の「SSPプラットフォーム」とソフトウェアを導入するフォルクスワーゲン

フォルクスワーゲンの収益化計画
フォルクスワーゲンが現時点で販売するEVの割合は3〜6%に過ぎないですが、今後グローバル全体で販売するEVの割合を2025年には20%、2030年には50%、2040年には100%に持っていくというのが元からの計画です。

当然現在の販売台数だとグループの利益に占めるEVの割合が7-8%程度なのですが、3年以内には内燃機関車(ガソリン車。ディーゼル車)と利益率を逆転させるプランを披露しています。

このためのカギとなるのが以下の点です。

  • 「SSP(Scalable Systems Platform)」という新しい共通のプラットフォームの導入
  • OTAアップデートも可能、自動運転も視野に入れたソフトウェアの導入
  • ノースボルト社と共同で進めるバッテリーの自社生産

この中で具体的なEV計画、特にバッテリーの自社調達の計画については3月に開催された「Power Day」の直後に私も記事にしていますので、こちらもご参照いただければと思います。

今日はバッテリー以外の点についてお話ししますが、まずは「SSP(Scalable Systems Platform)」という新しい共通のプラットフォームです。

フォルクスワーゲンの共通プラットフォーム
現在フォルクスワーゲングループではEV専用のプラットフォームとして「MEBプラットフォーム」がフォルクスワーゲンやシュコダ、ポルシェやアウディのような高級車ブランドには「PPEプラットフォーム」と別々のものを使用してますが、これを「SSP」という全社共通のプラットフォームに統一します。

フォルクスワーゲンのセルトゥシャシー

プラットフォームをグループで統一化することでコスト削減と新しいバッテリー技術である「Cell to Chasis」と呼ばれるバッテリーをシャシーに埋め込む技術の導入(先日紹介したテスラの「Structural Battery」に近いもの)を進める計画のようです。

そして今回の「New Auto」というイベントで最も強調したいたのがただの自動車メーカーから「Software-driven mobility company」になるという宣言です。

これについては次の項で説明します。

ただのEVを生産する自動車メーカーから「Software-driven mobility company」へフォルクスワーゲンが変身

完全自動運転のイメージ画像
この「Software」の開発を自社のソフトウェア部門「CARIAD」を用いて自社で行う(テスラも自社開発です)のですが、まずはOTA(over the air)アップデートから開始し、2025年にはアウディやポルシェ、シュコダなどグループ全社に共通の「E3 2.0(現在は1.0)」を導入予定です。

これによりフォルクスワーゲングループの全車両(ネットに「Connect」されているもの)の走行情報と最新の地図情報や位置情報を収集し、オンラインでのアップデートを通して車両センサーにこの地図情報を追加していくことで「自動運転レベル4(ドライバーの責任が免除されるレベル)」を実現する計画です。

実はガソリン車ではありますが先日日本市場に導入されたばかりの「ゴルフ8」にもこのソフトウェアは搭載されており、自動運転こそはレベル2止まりですが将来の完全自動運転に向けた準備を始めています。

フォルクスワーゲン・ゴルフ8

完全自動運転を実現するために必要とされる高精度のデジタルマップ、車両の正確な位置情報を把握するためのレーダー、カメラ、車両の動きに関する情報を常時ネットに接続された車両から送られてくるデータをクラウドベースで管理します。

このようなサービスは既にテスラでは当たり前のもので、今ブログを読んでいるテスラユーザーの方も含めて世界中で走行のデータを集めています。

現在の「オートパイロット」、つまり自動運転レベル2相当の運転もこれによって可能になったものです。

テスラのオートパイロット

実はテスラ車を走らせるだけで将来の完全自動運転を可能にするための情報をテスラに送っているわけですが、今後はフォルクスワーゲングループでも同じようなシステムが稼働します。

テスラから比べると数年以上遅れていますが、フォルクスワーゲンもようやくただEVという車両を生産するだけの状態から(大半の自動車メーカーは今もまだこの水準ですが)、自動運転やそれに続くロボタクシーなどを可能にするための「ソフトウェアを提供する自動車メーカー」になろうとしています。

伊豆マリオット修善寺とモデル3

以前私がTwitterで「EV化以降の自動車メーカーはソフトウェアとバッテリーの開発能力がないと生き残れない」などと呟いたら「ソフトウェアで車が動くと思ってるのか? お花畑な文系脳」などと罵られたことがあります。

まぁ「俺文学部出身(事実です)だけど何か文句ある?」くらい言い返しても良かったのですが、ただの喧嘩になるので我慢しましたが(笑)。

こういう誹謗中傷をしてくる方々には「ソフトウェア=カーナビとかエンタメ」くらいにしか思ってないからこそ叩いてくるのでしょうが、EV化以降の世界、特に自動運転が視野に入ってくる世界では車を動かす根幹のシステムがソフトウェアになります。

テスラ車を保有していてオートパイロットなどを日常活用している人にとってはソフトウェアが車を動かすということは半ば「常識」なのですが、世の中にはこの水準まで脳みそがアップデートされている人はまだまだ少数派のようです。

自動運転をつかさどるのはAIが搭載されたソフトウェア(現在も運転支援や安全装置として既に働いてます)、動力となるのはEVの場合は電力を蓄えるバッテリーとこの2つが中核となるのがEVだという認識を理解できないようでは以前から取り上げている「CASE」という今後の自動車のトレンドから遅れていくだけでしょう。

「運転する主役は人間」という捉え方しかできないのでは先が思いやられるところです。

「EV化→自動運転」と先を見据えるフォルクスワーゲンと停滞する日本メーカー

フォルクスワーゲンID.4のGTX
さて今日はフォルクスワーゲンの2025年以降の計画について説明しましたが、現時点ではまだ「ビッグデータの活用」も「自動運転」に対応するソフトウェアには程遠い状態なのは事実です。

思わず「(笑)」と呟いてしまいましたが、残念ながら現時点でもフォルクスワーゲンのソフトウェア(この場合はナビ)のレベルはこの程度です。

ナビの場合は例えば日本市場に入った場合には日本のナビに交換されて販売されることが多いですが、それでも「外車のナビ=レベルが低い」と不満が出るのは普通です。

フォルクスワーゲンID.4のGTX

走行に関するファームウェアのアップデートに関してもユーザーから不満が出ていますが、現時点ではまだまだ力不足、ソフトウェアという面ではテスラの足元にも及んでないのは自覚した上で前に進もうとしています。

日本メーカーにとっては非常に重要な内容ですので後日別個で取り上げますが、トヨタとパナソニックが合弁のバッテリー事業については「ハイブリッドとEVのどちらが主流になるかを見極めるのが2025年頃」などと動きが非常に遅い状態です。

トヨタやパナソニックが積極的に動かず様子見をしている間にフォルクスワーゲン(と同グループのアウディやポルシェなど)はスウェーデンのノースボルト社と共同のバッテリー工場も稼働し、バッテリーを自社で調達、試行錯誤を繰り返して進化させた自動運転技術を備えたEVを出せるようになっていたら世界のシェアを根こそぎ奪われているかもしれません。

以前の記事でも「このままEV化に乗り遅れると2040年にはトヨタの売り上げ台数が1/3になる」というシンクタンクの予想を話題にしましたが、トヨタに異様に甘い日本のメディア以外からはかなり懸念されているのが現実です。

まぁ最近のトレンド(?)だとこのようにトヨタについてネガティブな話をすると「トヨタが負けるわけないだろ!」的に根拠もないのに怒る人が多いですが、ヨーロッパ、アメリカ、中国の自動車メーカーがEVと更にその先の自動運転へ向けて動いている事実は認識しておいた方がいいと思います。

2025年くらいになれば私の予想がどのくらい妥当だったのか答え合わせができるかと思います。

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