ボルボの「Volvo Concept Recharge」の衝撃とは?【アンチEVの批判を一掃?】

お金 ビジネス 趣味

こんばんは、@kojisaitojpです。2030年までに販売する自動車を全てEVにしていると宣言するボルボが、今後のプランとコンセプトを公表してきました。

現在「XC40-Recharge」と「C40-Recharge」をEVのラインナップにボルボは載せていますが、これらは既存の内燃機関車のをベースにした車両であり、私があらゆる記事で「本気のEV化のために必須」という電気自動車専用のプラットフォームではありません。あくまでも「とりあえずEVを販売するためのもの」という位置付けです。

以前のボルボのEVに関する記事はこちらをご参照いただければと思います。「C40 Recharge」については年内にも日本市場への投入が予定されています。

そのボルボが「EV化戦略第二弾」として2025年くらいから実現予定のプランが今回発表された「Volvo Concept Recharge」です。

先に結論を言ってしまうと、「EVに関して必ず言われる懸念材料をほぼ払拭」というのがプランを見た私の感想です。

今日はなぜかEVを受け入れようとしない人が依然として多い日本でもよく言われる「EVの欠点」とされる批判をほぼ解消するボルボの「Volvo Concept Recharge」について解説します。

EVの懸念材料をほぼ解消する「Volvo Concept Recharge」の内容とは?

ボルボ「concept recharge」の外装
今回の「Volvo Concept Recharge」で登場したボルボのコンセプトカーはこれまでのボルボが発売したEVと比較するとこれまでの内燃機関車のアレンジからEV専用設計にシフトしたことが伺えます。

ボルボ「concept recharge」の外装

EVプラットフォームらしい空力を意識した外装で(例えばドアハンドルがないなど)、内装もEV専用プラットフォームだからこそ可能になるフラットな車内、広い車内空間が実現しています。

ボルボ「concept recharge」の内装

この内装を見ると先日取り上げたヒュンダイ(ヒョンデ)の「IONIQ5」を連想させる車内空間です。

そしてEVとしての性能を左右する「バッテリー」と「ソフトウエア」もこれまでのEVとは全く違う規格で来るようです。

ボルボのEVプラットフォーム

今回ボルボが提唱する「Structural Battery」というのはテスラでもよく名前が出てきますが、これまでとは違うバッテリーの搭載方法です。

近年の傾向で「航続距離を伸ばすためにいかにバッテリーの搭載量を増やすか?」が一つのテーマとなっており、「Cell to Pack」「Cell to Chasis」など通常であれば筒状のバッテリーを組み合わせて「モジュール」という形にし、それを車体の下に敷き詰めるというのが一般的でしたが、それでは無駄なスペースができてしまいます。

テスラのstructuralバッテリー

これはテスラが「バッテリーデイ」で出した資料ですが、航空機の燃料タンクを例に無駄なスペースを廃することで大幅に燃料(バッテリー)の搭載量を増やせることの根拠になります。

フォルクスワーゲンのセルトゥシャシー

フォルクスワーゲンが提唱する「Cell to Chasis」も基本的には同じ発想です。

「Structual」という言い方をしますが、すごく簡単に言えばバッテリーを構造、つまり車体の一部にしてしまおう、それによってバッテリーの搭載量も増やせる上に車両重量も軽くなる、つまり今より大幅に航続距離を伸ばせるという計画です。

以前私のブログでも「EVが出始めた初期と違ってバッテリー交換式は普及しない」ということについて解説しましたが、このようにバッテリーがシャシーなどに直接埋め込まれることが主流となっている現在のトレンドで交換式は不可能というのが私の見解です。

ボルボも同様に「Structural Battery」を提唱しており、これによって航続距離は1000キロまで実現(2025年頃の予定)できると主張しています。同様に充電時間も現在の半分の時間で可能になるとのことです。

「1000キロ走れないようなEVじゃ」とか「充電時間がかかりすぎる」というEVに批判的な勢力が定番のように主張するポイントをボルボはあっさりとクリアするようです。

またバッテリーと同じくらい今回のボルボが強調していたのが「自動運転」とボルボの最大のセールスポイントである「安全性」を実現するためのソフトウェアです。

ボルボ「concept recharge」の外装

GoogleとNVIDIAの技術を活用した「VolvoCars.OS」が早ければ2022年から発売するEVに搭載される予定ですが、2030年頃には自動運転を実現させるとのことです。

なおテスラと違う点は「RiDAR」を活用する点です。この部分に関してはテスラの方針と他社で対応が分かれている部分です。

またきちんと見なければならない重要ポイントは「安全性を実現させるための自動運転」というのをボルボが強調している点です。

以前も解説しましたが、このソフトウェアのアップデートはOTAアップデート、つまりテスラ同様にオンラインで行われます。

将来の自動運転につながるソフトウェアの開発を自社で行う点、そのアップデートはオンラインで行う(間違ってもディーラーでアップデートではない)辺りに世界の流れに乗ろうとしているボルボとそうではないメーカーの差を感じる部分です。

EVのカギは「バッテリー」と「ソフトウェア」

ボルボのEVプラットフォーム
EVの話をしていてバッテリーとソフトウェアこそが重要という点を強調しているとなぜか日本では叩かれることがあります。

これは実際に私のところに来た誹謗中傷の一例なのですが、「EVの動力源はバッテリー=バッテリーの性能が車の性能を決める」という点と「自動運転を制御するのはソフトウェア(AI)」というEV化、そしてその先にある自動運転を見据えた時に中核となる技術がバッテリーとソフトウェアだと言ってたら「文系脳」と罵られました。

「文学部出身だけど何か?」と言い返そうかと思いましたが大人げないのでやめておきました(笑)。

内燃機関車と違ってEVの場合はバッテリーが動力となるわけで、このバッテリーのレベルが低いと性能を発揮できないのですから内燃機関車でいうエンジンのようなものです。

多分「車のソフトウェア」という単語でエンタメ程度しか連想ができない貧しい想像力なのでしょうが。。。

バッテリーとソフトウェアが命だからこそ、Appleが進めるAppleCarについても「バッテリー」に関するニュースが次から次へと出てきます。

Appleの場合は最初から「自動運転」を前提としているようなので「バッテリーの耐久性」というのが最重要なポイントになります。だからこそ以前も解説しましたがBYDやCATLが開発を進める「LFPバッテリー」に関心を示しているようです。

日本メーカーのEVでボルボやテスラに対抗できるのは日産だけ?

日産アリア(サンライズカッパー)
EVに対して後ろ向きな姿勢が目立つ日本メーカーですが、ようやく肯定的に評価できる試みが日産から出てきました。

日産がこれまでリーフなどを製造していたイギリス・サンダーランドの工場をバッテリー工場に改装するとのニュースです。

年間のバッテリー生産能力が9GWhで、リーフ・アリアレベルのEVが年間10万台分賄える量の生産が可能になります。しかも生産能力は年々拡大し、2030年には年間25GWhに達する予定です。

この規模であればテスラのギガファクトリーや現在フォルクスワーゲンがヨーロッパ中に設置計画を立てているバッテリー工場と同じくらいの水準です。

ようやく世界で戦える規模のバッテリー工場を自社の手の届く範囲内で調達できるようになります。

それもあってか工場の完成式典にはイギリスのボリス・ジョンソン首相もお祝いに訪れたようで、このプロジェクトに対する期待度がうかがえます。

このような動きを見せた日本メーカーは日産が初めてですので、今後アライアンスを組むルノーも巻き込んだEVへの本格参入に期待ができます。

元々日産はリーフ、ルノーはZOE、三菱アイミーブと世界の自動車メーカーの中でかなり早い段階からEVを投入していたメーカーが数多く存在する「ルノー・日産・三菱連合」の巻き返しについてはまた後日取り上げますが、日本勢にも久々に明るいニュースかと思います。

人気記事電気自動車専門のカーシェア・サブスク・EV販売店立ち上げのためのクラウドファンディングを始めます!

人気記事電気自動車(EV)を日本で普及させるために誤解を解消する【過去記事総まとめ】