平凡なスペックで高価格のトヨタ「bz4X」や「Connectedは紙で申請」から感じる疑問とは?

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こんばんは、@kojisaitojpです。販売ではなく実質リースのような「サブスク」でトヨタ最初のEVである「bZ4X」の投入を発表したトヨタですが、モータージャーナリストなどの試乗動画が出るに従って徐々にツッコミどころが出てきてます。

昨年から多くのトヨタファンの間で「bZ4Xが発売されたら、テスラなんかすぐに抜ける」とまだEVのスペックも不明な時期からドヤ顔でSNSなどに書き込んでいる勢力はいました。

ですが冒頭のTwitterにもあるようにバッテリー残量の%表示がない、とEVの性能に触れる前から欠陥(%表示がないと運転がしにくくなることはEVを保有されている方なら理解できるでしょう)が判明してます。

しかも先日記事に書いたように2022年に生産される6万台の大半はヨーロッパ・北米・中国市場に投入するようで、日本市場には「サブスク(という名のリース)」でのみ提供されることが発表されています。

というわけで本日は販売する形式で投入するヨーロッパ市場でのbZ4Xについて触れながら、最近トヨタが起こした大きな事件(個人的見解)にも触れようと思います。

スペックの割に高価格でコスパの悪いトヨタ「bZ4X」

トヨタbZ4Xの前景
早速ヨーロッパ市場で競合しそうな車種と比較しますが、サイズ面を考慮して比較対象はテスラから「モデルY(ロングレンジ)」やヒョンデ(ヒュンダイ)から「IONIQ5(日本でいうLoungeAWD相当)」を出してみます。bZ4Xの方は「Motion」というAWDのグレードで比較してみます。

すると、

  • 航続距離ではモデルYに遠く及ばない
  • 価格面ではIONIQ5に遠く及ばない
  • 急速充電の速度は一応互角

まず航続距離で比較(数字はアメリカのEPAのもの)するとbZ4Xが約354キロ、モデルYが467-510キロ(ホイールのサイズによる)、IONIQ5が約386キロと、同じAWDのグレードで比較するとbZ4Xが最も航続距離が短いです。

次に価格ですが「bZ4X-Motion」が60290ユーロ(約770万円)、「モデルYロングレンジ」が56990ユーロ(約730万円)、「IONIQ5 LoungeAWD」が48900ユーロ(約625万円)です。

すぐお気づきかと思いますが、ヨーロッパの販売価格で比較するとbZ4Xが最も高いです。

なのに航続距離が短かったり、収納スペースが他2台と比較して狭いなど、負けている要素がほとんどです。

「誰が買うんだ?」と言いたくなりませんか?

トヨタbZ4Xの前景

あえて言えば充電性能に関しては150kWまで対応ですので、「モデルY(250kW)」や「IONIQ5(235kW)」には及ばないものの、現時点でのEVとしては十分な性能です。

テスラストア・パリマドレーヌのモデルY

実際に日本でサブスクで乗る人がどのくらいいるのかはわかりませんが、現在の日本の急速充電器はごく一部を除いて90kWまでですのでヒョンデ「IONIQ5」と充電性能を比較しても大差はないと思います。もちろんモデルYがテスラのスーパーチャージャーを使った際には大きな差になります。

日産グローバル本社前のヒョンデ「IONIQ5」

まぁ正直言うと褒められる点はここくらいですが(笑)。

アウトシュタットのIONITY

しかもこれは「日本の低スペックな急速充電器で運用した場合」の話ですから、例えばヨーロッパなら「IONITY」アメリカなら「Electrified America」の200kW以上の速度が出る充電器で運用すると大きな差になりそうです。

ElectrifyAmericaの充電ステーション

またディスプレイも8インチとテスラやヒョンデと比較すると小さいの見にくい可能性が高いです。

トヨタbZ4Xのインフォテイメント

「機能面で劣る上に価格も高い」となったら一体誰が買うのでしょうか?

豊田章男トヨタ自動車社長

そしてスペックにも問題があるbZ4Xですが、実は生産台数も2022年に6万台、2023年に5万台(どちらも全世界で)と非常に少ないのも「大丈夫なのか?」という不安を感じさせます。

ちなみに2021年にテスラは「モデル3」だけで約50万台生産してます。

そして生産台数が少ないことが生産能力の問題ではなく(私はバッテリー不足が原因と予想)「バッテリーが劣化するから」というトンチンカンな理由をつけて日本市場にはサブスク(という名の実質リース)で投入する点も謎で、「そもそもバッテリーが劣化するっていつの時代の話?」と思ったので次の項で解説します。

バッテリーが劣化しないのがEVの特徴ですが

トヨタ・パナソニック製のバッテリー
そして私が「bZ4X」に対して感じた最大の疑問が「バッテリー劣化などの不安があるからあえて日本ではサブスクにした」というトヨタサイドからの「言い訳」です。

既に「言い訳」と言ってしまったことからも私がこの弁明に怒り心頭なのわかりますよね。

試しに以前からブログで何度も使っている「日産・リーフのバッテリー劣化度合い」の表をツイッターにアップしてみたところ、思った以上に反響があったので自論に対する自信が確信に変わりました。

実際にリプ欄には私の主張を裏付けるEVオーナーからの声が多数寄せられていますので、ぜひ参照してみてください。

トヨタbZ4Xの充電ポート

自然空冷式(要は強制水冷機能がない)の日産「リーフ」が現在発売されているEVの中では最も加熱しやすい、バッテリーが熱を持つことが最大のバッテリー劣化要因であることはもはや「常識」レベルの話です。

日産「リーフ」が驚異なのは自然空冷式でありながらZE1以降(正確には2016年以降のAZE0末期から)は全然バッテリーが劣化しない

この辺りの「バッテリーの熱管理」についてはテスラが最も優れており、私のブログでも何度か取り上げていますのでぜひあわせてご参照いただければと思います。

そしてこのようなテスラの「バッテリーマネージメントシステム」が4680セルのような大型のバッテリーの導入を可能にしたことについてはこちらの記事をご参照ください。

ですのでトヨタがサブスク(実質リース)にした言い訳として「バッテリーが劣化するから」というのが本当だとすればトヨタにバッテリーの温度管理をする技術がない(少なくとも日産やテスラ以下)であることを認めることになるけどそれでいいの?と思うところです。

何でもかんでも「いや、それはあえてやってるんだ」と強弁すればするほどトヨタに対する信頼がなくなっていくと思うのは私だけでしょうか?

bz4xへの姿勢やスペックよりまずい「コネクト」

ペーパーレス社会
まぁEVのスペックに関して言えば「何台かリリースしていれば進化するでしょ」という楽観的な見通しを述べることも可能です。

私が「これはあかん」と思ったのはむしろこっちです。

この話を聞いて疑問を感じない時点で脳みそが加齢臭かもしれませんよ(笑)。

当たり前ですが「Connected」は「CASE」の「C」であり、車がネットに接続されることを意味します。

コネクテッドカーは、車両の状態や周囲の道路状況など取得した様々なデータをネットワークに接続して集積・分析することで、様々な価値を生み出します。一番わかりやすい例だと通信機能を生かすことで、エンターテインメントをはじめとしたサービスが可能になることでしょうか。

このサービスへの申し込みを「紙」という旧媒体を使っているトヨタの姿勢に私は正直呆れました。

「紙」の紛失によって顧客の個人情報が流出した可能性があるというのも言語道断で許されるべきことではありませんが、私が最もダメだなと思ったのは「Connected」への申請を「紙」で行っていたことです。

以前マツダの「MX-30」を取り上げて「OTAアップデートをディーラーで行うって頭大丈夫?」と批判したことがありますが、時代の進化について行けてないのはトヨタも同様です。

MX-30に関しては実際に試乗したことで「EVとしての性能は素晴らしい」ことを認めることにしましたが、OTAアップデートをディーラーに来させて行うというのは時代の変化をわかってない証拠です。

この手の話はこの人が最も怒り狂うだろうなと思って調べたらその通りだったので引用させてもらいましたが、飛行機に乗るときに私もモバイル搭乗券をiPhoneにダウンロードして使ってますが、なぜか手荷物検査場でスマホをかざすとこのような紙の搭乗券が出てきます。

「モバイル搭乗券あるのにこれ何か意味あるんですか?」と何度か意地悪い質問をJALにしたことがありますが、「一応」「念のため」などという何の説明にもならない言い訳ばかり返ってくるのでもう言うのやめましたけど。

今も日本では紙媒体が主流で、電話とファックスもガンガン使われるというデジタル化の遅れは自動車業界に限ったことではなく日本の致命傷になるのでは?と思うことも多いです。

その辺りの問題意識から以前書いた記事がありますので、あわせてご参照いただければと思います。

「日本メーカーだから」「トヨタだから」と甘やかして良いのか?

トヨタのEV発表会と社長
昨年16車種のEVを並べてお台場のメガウェブで「これでトヨタがEVにやる気がないと言うなら一体何をやれば良いんですか?」と啖呵を切った社長からのメッセージがありましたが、それから2ヶ月以上が経過し、「実は展示されたEVのほとんどがハリボテだった」とか「bZ4Xは日本市場ではサブスクでのみ提供する」など徐々に「実はEVやる気ないでしょ?」と馬脚をあらわしているのが今のトヨタのように思えます。

メガウェブでその「ハリボテ」と思われるものを撮影してますのでこちらもご覧ください。

bZ4Xこそは実車に見え、また今年の正月の箱根駅伝でも大会運営車として走っていました。

ですがそれ以外どう思います? もちろんご自身の判断にお任せしますが。

私には「やってる感」を演出しているようにしか見えません。

トヨタのEV発表会のレクサス

なんてことを言ってると「お前の話は車の話が少なくて薄っぺらい」などと攻撃されたりするのですが(笑)。見知らぬ他人に乱暴な野次を飛ばして聞いてくれるわけがないことに気づかないのでしょうか。

そのような暴言を吐く輩に遭遇するたびに「自動車業界ってこんな質の人間しかいないのか?」と思ってしまいます。

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