「bz4X」をサブスク(実質リース)でのみ提供のトヨタのお寒いEV計画とは?

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こんばんは、@kojisaitojpです。昨日は「日産のハンバーガー屋」というのを「これで本気でEVやる気あるの?」と批判しましたが、翌日にトヨタからこんな報道が出てきました。

まぁ100歩譲って「先にEVを投入すべきなのはヨーロッパと中国市場」なのでそっちにEVを優先的に配分するというのはわかります。

EVを用意しないと中国やヨーロッパで売れる車がなくなってしまいますから。

しかし日本に投入する「bz4X」を販売しない、「KINTO」というサブスク(後で書きますが、このサービスを「サブスク」と言ってしまうことも問題があります)でのみ提供しようという「本気でEVやろうとしてるの?」と疑いの目を向けてしまうところです。

そこで昨日の日産の「ハンバーガー屋」という謎のEV戦略に続いて出てきた「日本市場にはサブスク(実質リース)で十分」という謎のEV戦略を出してきたトヨタ「bz4X」について解説します。

トヨタ「bz4X」をKINTO(サブスク)で提供するトヨタから感じる疑問

トヨタのKINTO

今回の日経新聞の報道によると、トヨタは最初のEVとなるbz4Xを「2022年4月から生産を開始し、年間6万台弱を生産」という予定が書かれています。

この時点で実は「あれ?生産台数少なくないか?」と気づくはずです。

EVの話になると世界で最もEVを売っているテスラと比較することになりますが、テスラの2021年の生産台数はこんな感じです。

テスラは2021年に世界で93万台のEVを売っています。しかも「モデルS」「モデルX」はモデルチェンジ後の生産が間に合ってないのでほぼ売れてない数字です。

つまり「モデル3」と「モデルY」だけで90万台近く売ったことになります。

1/2にしても45万台です。これに対してトヨタの「bz4X」の2022年の生産台数はたったの6万台です。

この辺見ただけでも「ホントにEVやる気あるの?」と思ってしまいますよね。

しかも記事をよく見ると「???」と思われることがいくつか書いてあります。

それが「バッテリーが劣化」というのと「日本ではサブスクで提供のみ」という点です。

「EVはバッテリーが劣化するから」というのはデマ?

トヨタ・パナソニック製のバッテリー
そして私が気になったのは冒頭の日経の記事の書かれ方で、「EVはバッテリー劣化が不安なので」という言い方こそがおかしい、それを理由に販売はせずサブスクのみと。

リーフのバッテリー消耗率

こちらは私のブログでも何度か取り上げている日産「リーフ」のバッテリー消耗率ですが2016年辺りからバッテリーの消耗率がかなり下がってるのが実験で明らかになっています。

しかもバッテリーに関しては消耗を懸念する必要もありません。実は各メーカーが保証をつけていて、

  • 日産のバッテリー保証は「8年16万キロ」
  • テスラのバッテリー保証は「8年16万キロ(又は192000キロ)
  • ヒョンデ(ヒュンダイ)のバッテリー保証は「8年16万キロ」

代表的なものを列挙しましたが、「8年16万キロ」に設定してるメーカーが多く、「8年」又は「16万キロ」に達するまでにバッテリーが劣化して使いものにならなくなると(容量の70%以下というルールのメーカーがほとんど)無料で交換してもらえます。

ということは「バッテリーが劣化して何百万かかるからEVは使えない」と私にTwitterなどでクソリプを飛ばす方々は8年以上、16万キロ以上乗ることが前提で話をしてるの?と思ってしまいます。

まぁ私自身がシトロエン「C3プルリエル」やジャガー「XJ」を20万キロまで乗って廃車にしたので20万キロ以上乗ることは問題なく可能だと思いますが、世の中でこれを言うと「そんなに乗ったの!」と珍しがられます。

ほとんどの方が8年16万キロに達する前に次の車に乗り換えてるかと思いますが私がおかしいのでしょうか?

実質リースの「KINTO」をサブスクと言うのも嘘?

Volvo C40 Recharge
そして更に問題を指摘すると今回トヨタがbz4Xを提供する「KINTO」を「サブスク」と報道すること自体も大間違いです。

定義を確認するとこのようになります。

サブスクは「サブスクリプション」の略で、英語では「予約購読」「定期購読」「会費」という意味の言葉です。 月額課金・定額制でサービスを契約することを指します。 サブスクはモノを所有するのではなく、必要なときに借りて利用するスタイルのサービス。
(セゾンカード公式「サブスクとは?概要やメリット・デメリットについて徹底解説」より)

この定義だけを見ると「月額課金・定額bz4Xが利用できるならサブスクじゃないのか?」と思うかもしれませんが、違います。

KINTOのルール

よく見ると「最低契約期間」が3年に設定されています。3年以内に解約すると違約金取られるサブスクって他にあります?

同じように「EVをサブスクで提供」はボルボが新型EVの「C40」で提供を始めましたが、こちらは「3ヶ月前に申し出ればいつでも解約可能」のルールになっています。

ボルボのサブスク

1ヶ月が理想といえば理想ですが、自動車の場合は登録・名義変更などの手続きなど手間がかかる、提供する側も車両の保管場所の確保、整備点検などの手間がかかることを考えると少し幅を持たせるのは致し方ないと思います。

なおボルボ「C40」については以前取り上げてますので、こちらも合わせてご覧ください。

このようなボルボの「サブスク」と比較するとトヨタの「KINTO」はサブスクというよりは「リース」と言うべき性質のものです。

もちろん「リース」は税金上の関係で必要としている法人は数多くありますのでそっちの方面では使われるかと思いますが、一般の個人が使うには不便です。

わざわざ個人がアクセスしにくいシステムにして「bz4Xを日本市場にも投入」とドヤ顔をして誰が喜ぶのか疑問です。

日産の「ハンバーガー」に続きトヨタも「サブスク(リース)」でオワコン?

トヨタbZ4X
「トヨタはEVも本気でやるんだ!」と昨年12月のEV発表のイベントで豊田社長が息巻いていましたが「どこが本気なの?」と失望させる内容です。

私は昨年お台場の「メガウェブ」まで実物を見に行った後で「これが本気でEVもやろうする会社なの?」と疑問を呈しましたが、この予想が的中しつつあるのではと思います。

また今年の正月に開催された箱根駅伝でも「bz4X」の実車が伴走車として走ってましたが、「なぜスポーツイベントでアルファードとかガソリン車ばかり使うんだ?」という疑問がありました。

1台だけ「bz4X」を走らせて、番組の中で「トヨタのEVです」とアナウンサーなどにも宣伝させておきながら、走ってる車両はほとんどがアルファードなどのガソリン車、東京オリンピックではFCV(水素燃料電池車)の「Mirai」をマラソンなどで使用してましたが、箱根駅伝では姿を見せませんでした。

伴走車や大会運営車が「EVやFCVで排気ガスなし」なのと「1台だけEVであとはガソリン車」のどっちが駅伝を走るランナーにとってありがたいのか?なんて問いを立てるまでもないことですよね。

箱根駅伝もそうですし、12月のEVの発表イベントも「bz4X以外はほとんどハリボテ」なのがバレてますし、今度は唯一2022年に発売できそうな「bz4Xは販売せずサブスク(という名のリース)」とトヨタのEVを待ち望んでいるユーザーの期待をひたすら裏切り続けています。

何となく「やってる感」を演出して「トヨタはEVも本気なんだ」というポーズを見せているだけと感じるのは私だけでしょうか?

「ダンボールハウスでハンバーガー」の「やっちまったな日産」に続いてトヨタからもオワコン臭が漂ってきてます。

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