テスラ「モデル3」とヒョンデ(ヒュンダイ)「IONIQ5」を徹底比較【日本国内頂上決戦?】

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こんばんは、@kojisaitojpです。ヒョンデ(ヒュンダイ)「IONIQ5」の試乗開始から1日経ちましたが様々な方向で話題となっているようです。

初日や2日目の試乗は元からのEV好きが多く集まったようで、ヒョンデジャパンのある程度の肩書きの方に私が初日にうかがった際にも「今日はテスラオーナーやリーフオーナーのお客様が多いです」と言ってました。

私が試乗してきた後にTwitterなどSNS上での反応を見ると「すげぇEVが来た」という反応と「でもモデル3(テスラ)と比べたら全然」という反応がテスラオーナーなどを中心に数多く見られます。

まぁ既にテスラ「モデル3」を所有してる方ですとどうしても自分の車の方に高い評価をつけたくなるのは当然と言えば当然ですのでテスラオーナーの気持ちもわかります。

というか自分が乗ってる車を「これはあかん」と言うような車種はその時点で終わりですよね(笑)。さすがにテスラ車でそういうことはまずあり得ないです。

そこで今日はモデル3もIONIQ5も所有してない私の目線(とはいえモデル3には何度も乗って長距離ドライブも経験済み)でテスラ「モデル3」の長所短所とヒョンデ「IONIQ5」の長所短所をそれぞれ比較してみたいと思います。

テスラ「モデル3」とヒョンデ「IONIQ5」の長所と短所を比較

原宿で試乗のヒョンデ「IONIQ5」

まず先に前提を話してしまうとテスラ「モデル3」とヒョンデ(ヒュンダイ)「IONIQ5」はEVとしての基本性能(バッテリー搭載容量や航続距離)に大きな差はありません。

ノーマルのモデルであれば400キロ前後、ロングレンジのモデルであれば500キロ前後は実走行でも可能だというのは一緒です。

当たり前ですがEV同士の比較ですので「韓国が好きか嫌いか」のような価値判断は一切含めません。その辺りで私の言うことに不満があるのであれば私のブログにもTwitterにも来なければいい話です。

伊豆マリオット修善寺とモデル3

私が思いついた「モデル3」の長所はこの辺りです。

  • 全国50ヶ所近くのスーパーチャージャーで快適に急速充電
  • 機械式駐車場にぎりぎり収まる横幅1850mm
  • タッチパネル一枚で全てが可能なUXの高さ

反対にテスラ「モデル3」と比較した場合に「IONIQ5」が劣る可能性があるのはこの辺りです。

  • 既存のCHAdeMOを使う急速充電網は若干不安
  • 機械式駐車場にぎりぎり収まらない横幅1890mm
  • ナビの性能やオートパイロットに不安あり?

順番に解説していきますが、まず最初の違いは「充電インフラ」です。

「充電インフラ」については昨日の記事でも解説しましたが、テスラにはスーパーチャージャーという泣く子も黙る(?)超急速の充電ステーションが日本全国に40ヶ所以上オープンしており、現在も毎月新規でオープンしています。

スーパーチャージャーの充電速度は日本国内の充電器の中では他を圧倒する「150kW-250kW」ですので、これが使えるというだけで「モデル3>IONIQ5」と考える人が一定数いらっしゃるのも当然と言えば当然です。

テスラ代官山スーパーチャージャー

反対にヒョンデ「IONIQ5」の場合は現時点では自社で充電器を設置する計画はなく、これまで日本国内に設置されたCHAdeMO規格の充電器(例えば日産ディーラーや道の駅、高速道路のSAPAなどに設置)を使うことになります。

大黒PAで充電中のMX-30

この公共の充電器がいかにヤバいのかについては過去にいくつか記事を書いてますのでご参照いただければと思います。

ただしヒョンデ(ヒュンダイ)「IONIQ5」の場合は他のCHAdeMOを使うEVとは違って800Vにも対応してますので、日産「リーフ」などを充電する場合よりは高出力での充電が可能になる可能性があります。まだ未確認ではありますが。

この事実だけを見るとテスラの圧勝にも見えるのですが、忘れてはいけないのは「急速充電は長距離移動の際に使うもので、普段は自宅に設置した普通充電器で充電するのがEVの本来の姿」だということです。

日本国内だけの事情を見るとマンションなどの集合住宅の駐車場への普通充電器がなかなか設置されないのもあって「充電インフラ=急速充電器」と勝手に誤解してる人が多いですが、何度かブログでも取り上げたようにEV先進国のノルウェーがEV化率90%に到達した最大の要因は「エンジンブロックヒーター用のコンセントがどこの駐車場にも設置されてるのが当たり前だったから」です。

自宅や職場の駐車場のように長時間駐車することが前提の駐車場にコンセントがあっていつでも充電できるのであれば「スーパーチャージャー」という急速充電インフラにこだわる必要はなくなります。

実際に私のTwitterのフォロワーのテスラオーナーの中にもほとんど全て自宅の普通充電器のみで運用していて、スーパーチャージャーは滅多に使わないという方は何人もいます。

冷静に考えれば当たり前の話であって、夜自宅に帰宅した際にプラグインしておけば翌朝出発する際に満充電で出発できます。

この辺りの「日本で最優先で必要な充電インフラは普通充電器」という点については以前ブログで取り上げた記事もあるのでご参照いただければと思います。

となるとテスラ「モデル3」だろうがヒョンデ「IONIQ5」だろうが満充電から400キロ以上は走れますので、「毎日400キロ以上走るから急速充電器がないと無理だ!」と言う人はほとんどいませんよね(笑)。

つまり「自宅に普通充電器を設置できる環境の人」であれば「モデル3」を選ぼうが「IONIQ5」を選ぼうが大差はありません。自分の好みで選べばいいだけの話です。

「自宅に充電器がないEVオーナー」が「スーパーチャージャーがあるからテスラ一択」のように言っている話は割り引いて考える必要があります。

次に今の「充電環境」とも密接に関わる話ですが、「車両のサイズ」も問題になります。

充電器から移動したモデル3

テスラ「モデル3」の方は横幅が1850mmですので、制限のある機械式駐車場でもぎりぎりですが収まります。

ヒョンデ「IONIQ5」の試乗車

「IONIQ5」の横幅が案外あるなというのが実感できるかと思います。

ですので上記の2つのポイント「自宅で充電できないからスーパーチャージャーがメインになる」場合と「駐車場が機械式なので横幅1850mmがぎりぎり」

これもうお分かりの方はお分かりかと思いますが「都心などのタワーマンション住み」の場合はテスラ「モデル3」しか選択の余地がなくなるんですよね。

そう考えると「どういう生活環境にいるどういう人が情報発信してるのか?」を常に把握して上で情報に接する必要があります。機械式駐車場を使うタワマン住人の場合は最初から「モデル3」しか選択の余地がなくなることを前提に話を聞く必要があります。

このパターンに当てはまる場合は次の項目で紹介するテスラ「モデルY」の場合も同様で、横幅が1920mmあるので実は「モデルY」も選択肢に入りません。「モデルS」「モデルX」もアウトになります。

だから「テスラの方がヒョンデより上」という主張が実は「モデル3ならIONIQ5より上」という特定の車種限定の話になります。

例えばTwitter上などで「〇〇さんの言うことなら信用できるから」と鵜呑みにしたとしてもその方が「機械式駐車場のタワマン住み」で自分が「一軒家住みで駐車場も平置き、充電器も設置可能」だった場合は話が噛み合わないことになります。

ナビに関しては「IONIQ5」は未知数

原宿で試乗のヒョンデ「IONIQ5」のディスプレイ
最後の項目はナビですが、確かにテスラのナビは快適です。

センターに配置されたタッチパネルで全ての操作が可能ですし、ナビだけでしたら音声認識も優秀なので非常に使い勝手が良いのは事実です。

信号を読めるモデル3

これに対して「IONIQ5」の場合は、実際にナビとして使用したわけではなく触ってみただけですが、一応この位サクサク動くことは動きます。

ヒョンデのナビに関しては確かに音声認識については若干遅いなと思ったのですが、実際に公道を走らせるとテスラとの比較でどの程度になるのかは私はまだ未体験です(試乗はスタッフ付きでわずかな時間でしたので)。

ですので今月末から始まる「Anyca」でのカーシェアで再度IONIQ5に乗ってみてナビ性能や高速道路でのオートパイロットの性能については確認してみようと思います。

ちなみにテスラーオーナーの方も自覚はあるでしょうが、テスラのナビも決して頭は良くないと思います(笑)。

私の場合だと東京都心など自分がよく知っているエリアを走ってる場合は「え?ナビのルートよりこっちの方が早いだろ」と自分の経験で「これは違う」と思ったら自分で勝手にルート変更するので不便だと思ったことはありませんが、ナビの指示を忠実に守る人だと不満を言っている方も時々見かけます。

これが「IONIQ5」だとどうなるのかは今度実験してみます。

もちろんその際にはブログ記事と動画の両方をアップしますのでしばらくお待ちください。

テスラ「モデルY」だと話は変わるか?

テスラストア・フランクフルトのモデルY

さてこれがまだ日本での発売こそ発表されてませんが、既にイギリスを始めとする右ハンドル国で納車が始まっており、来るのは時間の問題と言われるテスラ「モデルY」だとどう変化するでしょうか?

いつまで経っても日本市場への投入が発表されず「本当に来るの?」という雰囲気も漂い始めているテスラ「モデルY」ですが、一応右ハンドル仕様は完成してます。

まぁ以前私が旅行した際の記事でも「ロンドン市内のEVの数が異常」という趣旨のことを言いましたが(しかも大半はテスラか起亜)、右ハンドル市場の中でイギリスが最優先で納車されるのは当然と言えば当然です。

ですのでイギリス市場の予約分をある程度さばいてから次は日本市場へという流れでしょうか。

ただし先ほども述べたように横幅が1920mmの巨体であるテスラ「モデルY」は機械式駐車場などを使用するマンション住まいの方には最初から購入不可なEVであるという事実は忘れてはいけません。

自宅に普通充電器があればテスラでもヒョンデ(ヒュンダイ)でも選び放題

シトロエン・テスラ・ヒョンデ

と今日はテスラ「モデル3」の方が優れていると思われる点をいくつか挙げてヒョンデ「IONIQ5」がどの位不安点をカバーできるかについて見てきましたが、個人個人の好き嫌いや現在の住環境の問題以外では大差のないEVであると言うことも可能です。

今日は例として出しませんが「モデル3」や「IONIQ5」に対抗できる日本のEVはほぼ皆無というのが現実です。だからこそタイトルに「頂上決戦」という少し大げさな表現を用いました。

仮にテスラとヒョンデ(ヒュンダイ)に対抗できるのはこのメーカーくらいかもしれません。

実は「モデル3」や「IONIQ5」と同じ価格水準、つまり大衆車の価格帯での大穴はフォルクスワーゲンが2022年中にも日本市場への投入を予定している「ID.3」と「ID.4」かなと思ってたりもします。

アウトシュタットに展示されているID.3
エントランスに展示されたID.4GTX

フォルクスワーゲンの強みは以前私のブログでも紹介した「アウディと共通の150kW級の急速充電器」です。

これが設置されることはテスラのスーパーチャージャーに匹敵する急速充電が可能になるので、先ほどの「機械式駐車場でマンション住まいのEVオーナー」でも問題なく運用できます。

しかも全国40数カ所のスーパーチャージャーと違いアウディとフォルクスワーゲンのディーラーが全国に250箇所以上あるのでどこの地域でも急速充電に困ることはありません。

高速道路での長距離移動の際にも嫌々SAPAの低速のCHAdeMOを使わなくても、少し大きな街の高速のIC付近にアウディかフォルクスワーゲンのどちらかのディーラーが存在する可能性は非常に高いです。

そういう意味では「急速充電インフラでテスラに唯一対抗できるのはフォルクスワーゲングループ」かもしれません。

とはいえ急速充電の速度でEVを決めなきゃいけない日本の住環境に大いに問題があると思います。

「自分が乗りたいものに乗る」ため、個々人の趣味・嗜好が最も反映されるものの一つである「車」を自由に選べるようになるためにも「集合住宅への普通充電器」の設置は欠かせないです。

「どこの家でも自宅に普通充電器があっていつでも充電可能」になればEVを選ぶ際の制約が一つ消えるという状況にならない日本の現状こそが終わってるのかもしれません。

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