「テスラのインド市場参入」が持つ大きな意味とは?【インドネシアにも?】

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こんばんは、@kojisaitojpです。徐々に世界で販売する国を増やしているテスラ社ですが、ついにこの巨大市場に乗り込むことを発表しました。

人口約14億人のインド、しかも今後高齢化が進む中国とは違い若年層の人口が多く、発展の見込まれる国です。

現在は新車売上台数では世界5位ですが、日本やアメリカ、中国などを抜いて2030年以降には世界トップに立つ可能性もあると予想されている重要なマーケットです。

などというと「インドなんて貧乏な国で」と従来のイメージでバカにする日本人が多いかと思いますが、既にGoogleやマイクロソフト、アマゾンなどのハイテク企業が開発拠点をインドに置いていることは知っていますでしょうか?

バックパッカーがイメージするインドとは違うインドがあります。

以前の記事で私が格安のビジネスクラス料金で<ニューデリー⇄東京⇄ロサンゼルス>をPerfumeのライブのために使ったことに触れましたが、この区間が安い、というか世界の航空会社の激戦区となっているのも、これが理由です。

今日はそんなハイテク大国インドに進出するテスラについて取り上げます。

スズキが50%以上のシェアを握るインド市場にテスラ?

インドのインドの自動車シェア
インド市場というのは元々かなり特殊な市場で、シェアの5割くらいを占めているのが「スズキ」です。インドでUberなどを呼ぶとスズキ「スイフト」などの小型車が来ることが非常に多いのです。

長年にわたりインド政府とスズキ社が特別な関係にあるゆえ、他の日本のメーカーがなかなか入れなかった市場でシェアを握っているという大変珍しい国です。

インドの自動車メーカとしては「タタモーターズ」が有名です。以前世界で最安の自動車を販売したことでも話題になりましたが、現在はあのジャガー社を買収し、実はジャガーの親会社でもあります。

タタ自動車

ちなみにこちらがジャガー唯一の電気自動車の「ジャガーI-pace」です。

ジャガーI-pace

この市場にテスラがついに参入というのですから世界の自動車メーカーにとって一大事です。人口約14億と中国以上の巨大市場(自動車の販売台数では世界5位)のシェアが奪われてしまったら大変なことになります。

気がついたら日本車(エンジン搭載車)を売る国がどこにあるのか?という問題に直面します。

日本市場でしか売る場所がない(世界に居場所がない?)という状況になったらどうするのでしょうか?

まぁその話をすると「ハイブリッドが電気自動車より優れているのは明白だ」とどっかの某自動車メーカーの社長の受け売りのような言葉を浴びせてくる人が多数現れそうですが。。。

さてそういう世界の流れに乗ろうとしない人々が何を言おうが無視してテスラは世界に進出を続けます。

バンガロール

テスラが拠点として上陸するのもGoogleやマイクロソフトと同じバンガロールというインドのハイテク企業が集う街です。

コロナがなければ実は2020年3月から日本航空も「羽田⇄バンガロール」に就航予定でした。

世界のハイテク企業がインド市場に目を向けている(実際日本企業も多数バンガロールには進出しています)のが世界の流れです。

そこにテスラが参入するというのは自然な流れであるとも言えます。

「インド市場参入」=ギガファクトリー建設?

バンガロールに進出してダイムラー
実はインド市場に参入するというのは厄介なことで、輸出という形式だと100%を超えるバカ高い関税が課されてしまいます。

ですのでシェアナンバーワンのスズキにしろトヨタにしろ現地企業との合弁会社を設立し、現地生産しています。

テスラの看板

と言うことはギガファクトリーがインドに誕生することも実質確定ということになります。

現在テスラのギガファクトリーは本国アメリカ(カリフォルニア州とテキサス州)、上海、ベルリン(建設中)に誕生していますが、この次がインドのバンガロールになる可能性が高いということです。

実際にインド政府も貿易赤字の最大の原因である原油の輸入(年間約14兆円)を抑えるために、電気自動車の導入を推進しようと電気自動車への税制優遇措置などを打ち出しています。

先日はアフリカ諸国を例に説明しましたが、化石燃料に頼る状況が国家の財政を圧迫しているという国は多く、再生可能エネルギーを活用し、電気自動車を推進することに前向きな場合が多いです。

「日本は火力と原子力が発電の中心だから」「再生可能エネルギーには向いてない国だ」などと旧来の体制を維持することを正当化しようとして再生可能エネルギーにも消極的な国(しかも産油国でもないのに)は非常に特殊な国に見えることでしょう。

テスラギガファクトリー上海

「何で日本にギガファクトリーができないんだ?」と今も日本がアジアの中心だと錯覚している人は言うでしょうが、単純にテスラ社がそれをやるメリットを感じていないというのが現実です。

もし日本が電気自動車化を積極的に推進し、太陽光などの再生可能エネルギーにシフトする方向なのが見えれば流れが変わる可能性はありますが、現在のように日本の自動車メーカーとマスコミが世界の流れに逆行するようにガソリン車こそが素晴らしいと言い続けているような国にテスラ社が魅力を感じるとは思えません。

「メディアを使った情報操作」をやりすぎるとお笑いになります

メディアリテラシーを身につける
何がなんでも日本車、特にトヨタ車の優位性や会社の姿勢を褒める記事でメディアを埋めようとする動きがあり、特に昨年11月の日本政府による「2035年以降の内燃機関(エンジン搭載車)の新車販売禁止」の方針が表明されて以降特にこの動きが顕著です。

自動車メーカーに限ったことではありませんが、「広告」という手段を使ってメディアに圧力をかけるのは常套手段です。

具体的なやり方は2種類あって、

  • 広告(スポンサー)としてテレビ局に資金を入れる
  • お抱えのジャーナリストなどに意向に沿った記事を書かせる

テレビ局に広告マネーを投入してCMをバンバン打つことで批判的な報道をさせない(テレビ局に資金を入れてくれる会社の悪口を報道しにくくなる)という手段で「情報操作」に近いことをやってくるのが「広告」を使った情報操作です。

「情報操作」というのは別に自社のことを褒める報道をさせるだけではなく「批判的な報道をさせない」という圧力としても機能します。

賄賂のイメージ

もう一つのやり方は「自動車ジャーナリスト」や「経済評論家」などに自分の会社を褒める記事を書かせるというやり方ですが、今回はその「褒める記事」に重大なミスがあり、結果としてお笑いになってしまいました。

まさかモータージャーナリストとしては「トヨタが年間100台しか販売しない」という方針なのは知らなかった、「こんなに少ない予定だとは知らなかった」という意味で想定外だったのでしょう。

年間100台しか生産する予定のない車が「国内最量販EV」になるわけがないのですが(笑)。テスラ・モデルSのような1000万超えの高級車でさえ毎年何百台という単位で売れてます。

なんとかしてトヨタを褒める記事を書こうとして、ジャーナリストが間違った方向に暴走したパターンですね。

モータージャーナリストという存在は、例えば新車の発売情報や発売前の試乗などをさせてもらう立場なので基本的に車メーカーに頭が上がらない存在です。批判的な記事を書いたジャーナリストがそのメーカーから情報をもらえなくなるというのはよくある話です。

賄賂のイメージ

このような通常であれば世の中の流れを変える「情報操作」すらお笑いになっているのが最近の日本の車メーカーの状況です。

インドの他にはインドネシアにもギガファクトリー?

バンガロール
アジアでは現在上海にのみギガファクトリーがあるテスラですが、本日紹介したようなバンガロールの他にもインドネシアにもギガファクトリーを設立するという話があります。

人口が2億4000万と日本の二倍、東南アジアでは最大の市場になり得る国としてインドネシアに注目するのはテスラらしい方針です。

インドにしろ、インドネシアにしろ、既に設立してモデル3やモデルYの生産を開始している上海など、今後成長する可能性が見える市場に積極的に投資しています。

日本は? と不満を持たれる方もいることでしょうが、もうアジアにおいて日本市場が最優先してもらえる時代は終わりつつあるのが現実かもしれません。

ましてやあらゆる言いがかりのような電気自動車の悪口を企業とマスコミがグルになって書きまくっている日本市場にテスラが魅力を感じるでしょうか?

高齢化が進み人口が減少する国、既存の自動車メーカーが揃いも揃って電気自動車嫌いの国にギガファクトリーを設けて投資しようとは思わないでしょう。

もちろん今後中国が経済成長して中国の方が人件費が高くなる時が来たら「日本の方が安上がり」と注目してもらえる可能性はありますが。

その時には以前「テスラと違って優秀なシェフとキッチンがある」と豪語した社長の会社などは「テスラのレシピに従って生産してくれる優秀なシェフとキッチンがある」とテスラの下請け企業として重宝されるかもしれませんが。

という悲観的な結論しか見えないのが非常に残念な日本の自動車業界です。

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