2023年の「ミニキャブ・ミーブ」の新型発売が商用車のEV化のきっかけになる?【維持費格安】
こんにちは、@kojisaitojpです。マスコミの報道するEV関連の記事というのはなぜかピントのズレた記事が多いのですが、これは的確な指摘かと思います。
「日本で10万km走った場合、ガソリン車の燃料代は69万円なのに対してEVの電気代は31万円」と書いてるけど整備費用も数十万ってレベルで違うでしょ。
三菱自動車、200万円以下の商用EV—中国勢と価格競争[新聞ウォッチ] | 自動車情報サイト【新車・中古車】 – carview! https://t.co/qUUcl27N5F— saito koji@次の海外旅行の前にEV購入? (@kojisaitojp) June 26, 2021
先日の記事では「今更PHEV中心って三菱やる気あるの?」と私も批判しましたが、このように一旦生産を終了したミニキャブ・ミーブ(名称は変わるかもしれません)と同等のモデルを現在より安い価格で販売しようという試みは評価できます。
「毎日距離走るような商用バンにEVなんて無理だ」と思われがちですが、実は毎日配送の区域や距離が特定しやすい商用のバンはそれに合わせて充電のタイミングなども計画できるので最もEV化しやすい領域です。
今日は株主総会において三菱が復活を表明した「ミニキャブ・ミーブ」に注目しながら、商用車では死活問題となる維持費についても考えてみようと思います。
なおこの記事は2021年6月時点でのものですが、2022年2月に三菱から最新の状況が発表されてます。「ミニキャブミーブ 復活」の最新状況はこちらの記事も同時にご参照いただければと思います。
2022年に復活する三菱「ミニキャブミーブ」がライフスタイルを変える?【キャンパー仕様も】
2021年で一旦生産が中止になっていた三菱「ミニキャブミーブ」が当初の予定だった2023年より一年早く2022年秋にも復活することが発表されました。日本メーカーで数少ない商用車EVというメリットもありますが、今回は「キャンパー仕様」の外部給電ができるというEVのメリットを生かしたバージョンの投入も発表され期待できます。
目次
燃料代も維持費も全てが割安なのがEVの最大のメリット
「ミニキャブ・ミーブ」を主に使用する層というのは運送業などの仕事で車を使う層なのが大半かと思います。
となると最優先で「車にかかる経費をいかに抑えるか?」が重要になります。
ネット上で日産リーフやテスラ車のオーナーの方々が語っているのを検索すればいくらでも出てきますが、「車検で交換したものがワイパーとタイヤくらい」という格安の車検費用で済んだという例がいくらでも出てきます。
日産リーフの車検代はこんな感じです。メンテプロパックなので、追加はブレーキオイル、LLC、花粉用エアコンフィルター。ついでに地図更新と夏タイヤを交換してもらいました。 pic.twitter.com/qoddBqZ3vN
— ひかり (@hikarihikaruyo) March 5, 2021
冒頭の記事では燃料代の数分の1の電気代で済むことを強調していましたが、ガソリン車であれば日常当たり前にかかっていた「オイル交換」などがなくなるというのも大きいです。
「一人法人」や個人事業主で運送業をやられている方であれば維持費をいかに安く抑えるかは、失敗すると即廃業の危機に陥る死活問題です。
「そんなこと言ったって車両価格が高いだろ!」と怒る人も現れるのですが、それはあくまでも新車の場合の話です。
例えば現在は新車販売が終了している三菱「ミニキャブ・ミーブ」の中古車価格はこの程度です。
「ミニキャブ・ミーブ」は商用のバンですが、乗用車で考えても「アイミーブ」の中古が格安で買えます。
私も取り上げたことがありますが、「アイミーブMグレード」で使用されている東芝製のSCiBバッテリーが耐久性抜群であることが世の中に知れ渡ってきたのか、バッテリー容量の大きい16kWHのGグレードよりも価格が高止まりしています。
現在ですと中古車でこのくらいの水準のミニキャブミーブの新型を三菱が200万円以下で販売するという話ですから、車両価格という面でもガソリン車と大差のない水準までもう目前です。
他にも商用車のEVとしてはこの車もようやく日本のメディアに取り上げられるようになったようです。
「もはやただの箱」 カクカク過ぎる新型バン「MPDV」 何でも積める積載量がヤバい!
新興EVメーカー・カヌーは、自社が開発する3台のクルマの予約受付を開始したと2021年5月17日に発表しました。なかでもカヌー「MPDV」は商用車として設計されていますが、一体どのようなクルマなのでしょうか。
私のブログでは去年から「CanooのEVが商用車には最適」くらいに推奨していたのですが、日本のメディアに取り上げられた後で下記の記事へのアクセスが急増してましたので「やっぱり日本のマスコミの取り上げ方次第でEVの風向きは変わるよなぁ」と思いました。
カヌー「MPDV」でハイエース・キャラバンもEV化しないとオワコン?
カヌー(Canoo)というアメリカの新興EVメーカーが「MPDV」というトヨタハイエースや日産キャラバンに対抗できる規模の商用バンを電気自動車でリリースします。カヌー社は他にもサブスクリプション式の車種を発表していたりと「CASE」という近年のトレンドを踏まえた斬新なビジネスモデルを提供しているので取り上げてみます。
「Canoo」のPickupTruckや「サイバートラック」が提供するEVのワクワク感とは?【日本メーカーが失ったもの?】
斬新なデザインと多目的にアレンジ可能なワゴンやバン(BEV)を発表していたアメリカの新興企業「Canoo」が今度はピックアップトラックを発表しました。5メートルを切る小型のピックアップでありながら、BEDと呼ばれる拡張機能、キャンピングカーのようにアレンジも可能な魅力的なピックアップが2023年から発売予定です。
アンチEVが賞賛する「水素燃料電池者(FCV)」は維持コストがガソリン車並?
片やEVを嫌う層がほぼ間違いなく推奨してくる「水素燃料電池車(FCV)」は維持費がガソリン車と変わらないくらいかかります。
例えば燃料である水素タンクを例に挙げても、道路運送車両法に基づく車検と高圧ガス保安法による容器再検査の実施が求められています。
初回の検査は、車検が登録日から3年後、水素タンクが製造日から4年4カ月後と定められ実施間隔が異なります。ですので短いスパンで点検費用が発生します。
更にややこしいことに水素タンクは製造日が基準になるので、売却などによって車両登録が中断されている期間も次の検査までの期限がカウントされるためタイミングにズレが生じます。
もしも車検時に容器の再検査を実施しなかった場合には期限切れとなる可能性があって、ある日突然乗れなくなるというリスクもあります。何人かのオーナーを経た中古車の場合はこの辺からややこしくなってしまいます。
そして高圧水素タンクの使用期限は15年と定められていますので、製造日から15年経った時点で車両価格並の費用を払ってタンクを交換するか廃車にするかを迫られることになります。
このようなややこしい法律の縛りがある上に、EVの充電インフラより更に不便な「水素ステーション」の問題も生じるのは先日の記事で述べた通りです。
「水素(FCV)」を絶賛してEVを攻撃すると直撃する特大ブーメランとは?【水素ステーション】
アンチEVという方々が絶賛したがる「水素燃料電池車(FCV)」や「水素エンジン」ですが、「水素」という物質の安全面の問題に加えて「水素ステーション」という水素を充填するインフラの問題で致命的な欠点があります。急速充電器のみならず自宅やホテル、会社の駐車場などに気軽に普通充電器を設置できるEVとの格差について説明します。
「じゃあ今から水素ステーションを増やせばいいんだ」「ガソリンスタンドを水素ステーションに変えればいい」と言う人もいるのですが、水素ステーションを一箇所設置するだけで費用が億単位でかかります。
ガソリンスタンドはコンビニ同様のフランチャイズがほとんどですので、オーナーは地元の自営業者です。ただでさえ経営が苦しいガソリンスタンドが多い中で億単位の投資をして水素ステーションに変更できるオーナーがほとんどいないのが現実です。
片やEVの充電器はこの程度の価格で用意できます。
設置事例のご紹介🔌
新潟市在住のお客様🙍♂️ 普通充電器
【メーカー】Panasonic カバー付屋外コンセント(簡易鍵)
【施工時間】4時間程度
【 費用 】税込7万円~ (材料費込み)
鍵付きの為、第三者の利用を制限することができますので、防犯にもなりますね!
とにかくスマート✨#PAL #EV pic.twitter.com/1Ra2nT6XGl— (株)パルコミュニケーションズ【公式】👷EV充電器設置工事はPALへ! (@EV_chargePAL) June 25, 2021
たまたまTwitter上で見かけたものなので引用しましたが、一台7万円で普通充電器が設置できているようにこの程度の投資でEVが充電できる環境になるのは自宅の場合も営業所など会社に設置する場合も一緒です。
「ガソリンスタンド」のような施設をわざわざ作らなくても、自宅や会社の駐車場に簡単に設置できる充電器でいつでも充電できるコスト面での有利さが私にはEVの最大のメリットではないかと思います。
世界最安の格安EV「宏光MiniEV」もついに日本上陸?
EVに関しては「維持費が安いと言っても車両価格が高いじゃねぇか!」と文句を言う人が今でも多いのですが、冒頭で紹介した「ミニキャブ・ミーブ」の新型にしろ、来年以降に発売予定の三菱・日産が共同開発で販売予定の軽自動車規格のEVにしても200万円以下に設定される予定ですので、ガソリン車との価格差はもうほとんど感じないレベルまで来ています。
「価格」という障壁が取り払われるといよいよEVが本格的な普及期に入りますが、依然として日本メーカーの動きが鈍いのは残念なところです。
私のブログでもかなり前から「商用車こそさっさとEV化しないと」的にミニキャブ・ミーブを推奨する記事を書いていましたが、この時にも「日本メーカーがもたもたしてると中国メーカーが入ってきて市場取られるよ」と警告していました。
商用車(運送業)の電気自動車化は更にガラパゴス?【中国の足音が】
世界の電気自動車化の流れは乗用車のみならず商用車のバン・ワゴンなどにも広まっています。しかし相変わらず社用車を電気自動車にしたり、会社に充電設備を設ける経営者が少ないのが現実です。そんな中国から上陸した新しいメーカーの作った電気自動車が日本のメーカがなかなか作ろうとしない格安のEVトラックを日本に投入します。
私の予感は的中し、上記の記事を書いてから数ヶ月後に佐川急便が中国メーカー(正確には日本メーカーが企画設計したものを中国で生産というファブレス方式)に配送用のバン7000台を発注するという決定がされました。
佐川急便が商用車を中国製EVにする衝撃とは?【日産(三菱)以外は終了?】
佐川急便が配送用の軽規格のEVを日本のベンチャーが企画し、中国メーカーが生産したものを導入するという衝撃の発表がありました。しかもこの中国メーカーは「Wuling HongGuang Mini EV」を販売する「広西汽車集団」です。日本市場への中国メーカーの進出が始まったことに日本メーカーは危機感を持つ必要があります。
製造を担当する会社が中国であの激安EVの「宏光MiniEV」を製造する広西汽車集団(正確には広西汽車集団が合弁で設立した「柳州五菱汽車」であり、宏光MiniEVの「上汽通用五菱汽車」とは別会社)なのも衝撃でしたが。
ちなみに現在あの激安EVの「宏光MiniEV(Wuling Hongguang Mini EV)」が日本に上陸しており、展示されているようです。
TEKNO-FRONTIER2021で展示されていた上汽五菱製の「宏光MINIEV」。
今回の主目的はこれでした。いや…本業の方も見てきましたからね!
にしても…2年前の盛況振りが嘘のようでした。展示商談会でこれだとなかなか厳しいものがあります。 pic.twitter.com/qHDk7MfS8j— よねさか (@471uzenkomatsu) June 23, 2021
東京ビックサイトでの展示の後は名古屋大学の山本真義教授の元に1ヶ月ほど研究用に(もちろんあくまで研究用なので公道は走れません)展示されていて、一般の人間でも見学できるようですので行く機会があれば行ってみることをおすすめします。
あるところから有名な中国の50万円EV、五菱製「宏光MINI EV」を貸与頂きました
ちょっとした内部分解解析も行い、今の中国のパワエレ技術、自動車技術をチェックしてみようと思います
ご興味のある方、見学可能です
(というか、未来研、一時的にでもC-TECs前に置かせてくれるかなぁ・・・?) pic.twitter.com/A8Hb8Mmg0t— 山本 真義@名古屋大学 未来研 教授 (@YamamotoPENU) June 21, 2021
中国一国での売り上げ台数で「テスラ・モデル3」の全世界の売り上げ台数を超える激安EVを実際に見てみる貴重な機会かと思います。
「所詮中国の車だろ?」とバカにするのではなく、「どうしてこの車がバカ売れしたのか?」を謙虚に学ぶ姿勢が今の日本人は必要なのではないでしょうか?
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