「GrabがEVシフト・ヒョンデと業務提携」の衝撃とは?【東南アジアもEVへ】

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こんばんは、@kojisaitojpです。昨日の記事で先にヒョンデ「IONIQ5」の事故の話を取り上げましたが、実はこれと前後してかなり衝撃的な発表が東南アジアでなされています。

東南アジアに仕事でも旅行でも行ったことのある人であれば大半が利用したことのあるあの「Grab」です。

その「Grab」が本拠地のシンガポールでは2030年までに、事業を展開する他の東南アジアの国でもEVシフトを進めていくという話です。

そしてEV導入のパートナーとして安くEVを調達できるように支援するのが日本でも「IONIQ5」の納車が始まったばかりの「ヒョンデ」です。

実は「Grab」と「ヒョンデ」は2018年にEVシフトに関する協定を結んでいましたが、新型コロナウイルスの影響などで事業が止まっていました。

これらの事業が一気に動き出す時が来たようです。

そこで今日は「Grab」のような配車アプリ業者を具体例に「東南アジアのEVシフト」について考えてみます。

東南アジア全域で最大の配車アプリ「Grab」がEV化するインパクト

Grabのロゴ
「Grab」と言っても東南アジアへ行ったことがない方にはその衝撃が分からないでしょうからまずは簡単に紹介します。

「Grab」はシンガポールに拠点を置く会社で、ハーバード大経営大学院の同級生だったアンソニー・タン氏とタン・フイリン氏が2012年にマレーシアで立ち上げた企業です。

当初はタクシー予約アプリとして始まった同社は、配車サービスやフードデリバリー、金融サービスなど事業を多角化しています。

Grabのデリバリー

2018年にはUberの東南アジア事業を買収し、カンボジア、インドネシア、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナムの400以上の都市で事業を展開している巨大企業です。

私も2018年以前にこれらの国へ行った際にはUberを使っていましたが、それ以降は現地での移動は全てGrab(インドネシアでは国内2位の「Gojek」と併用)です。

と言っても最後に東南アジアへ行ったのはインドネシアへ行った2019年で、以降新型コロナウイルスの影響で訪れてはいませんが。

東南アジアへ行ったことがあればお分かりでしょうが、あらかじめ行き先を入力できる(英語ができないドライバーに住所を説明する手間が省ける)、料金が明確(普通のタクシーだと料金交渉でトラブルになりやすい)なのは大きなメリットで、旅行のストレスを軽減してくれます。

観光客にもそのようなありがたい面がありますが、現地人にとってもFinTech(金融とITを融合した新サービス)事業が恩恵をもたらしており、クレジットカードがなくても入金して各種支払いができる独自の決済システム「GrabPay」がキャッシュレス決済を可能にしています。

ちなみに東南アジアでは10人中6人が銀行口座もクレジットカードも持っていません。

そんな東南アジアの人々に「Grab」は雇用(280万人以上と言われています)をもたらし、ドライバーとして働く人には通信用のスマホや自動車を貸与しています。

バンドンのGrab乗り場

このような東南アジア最大の配車アプリを運営する会社が「これから導入する自動車はEVにする」ことと「EVシフトを推進するパートナーにヒョンデを選んだ」となるとこれがどれほどの衝撃かわかりますでしょうか?

2019年までの私の記憶だと「Grab」でタクシーを呼んでも、ホテルに送迎の車を用意してもらっても10台中8台9台は日本車でした。その中でもトヨタ・スズキが多かった印象があります。

東南アジアの大半の国は日本車の牙城で、街中を走ってる車も圧倒的に日本車が多いエリアです。

ヒョンデ(と系列の起亜)もいることはいましたが、遭遇する確率が1/10もあるかないか、配車アプリに「Hyundai〜」と表示されると「珍しいな」と思う程度でした。

Grabが会社の車両を全部EVに置き換えたらこの比率が逆転するのでは?と思うと恐ろしくなるのは私だけでしょうか?

インドネシアにはヒョンデ(起亜)もテスラも中国メーカーも進出?

スカルノハッタのGrab乗り場
ちなみに東南アジアの中では特にインドネシアでは例に出した「Grab」「Gojek」のような配車アプリ以外にも自動車メーカー自身が積極的に投資する例が多数見られます。

上記の例で出したGrabとヒョンデの関係では、2019年には「コナ」200台のレンタル実験、2020年にはインドネシアのスカルノ・ハッタ国際空港で「IONIQ」の運用実験を行なってます。

そしてこのEVもインドネシアでの発売がスタートします。

日本でも既に最も早い人には納車が始まっている(私も来週の予定です)ヒョンデ「IONIQ5」は日本国内では数百台の予約が入っているようで、この台数でも「テスラ級」と衝撃を与えていますが、インドネシアでは6日間で1567台の予約が入っているようです。

日本の人口の約2倍のインドネシアなので台数が多くなる可能性はあるでしょうが、インドネシアの所得水準を考えると「富裕層がみんな予約した?」と思う水準です。

ガソリン価格の高騰の影響でしょうか? インドネシアでも猛烈な勢いでEVシフトが始まったのかもしれません。

ヒョンデだけではありません。日本メーカーにとって更に怖い存在がこちらです。

私のブログでも過去に何度も取り上げている格安EVの「宏光MiniEV」です。

11月にバリ島で開催される2022年G20サミット(G20サミット)で公用車として使用されるようですが、当然インドネシア市場で販売されるようです。

中国メーカーや韓国メーカーだけではありません。インドネシア市場にはあのテスラも興味を示しています。

実はインドネシアは世界有数のニッケルとコバルトの産出国で有名で、EV用バッテリーの原料を確保するために世界各国の自動車メーカーが関心を持っています。

ただし法律で鉱物そのものの輸出は禁止されており、インドネシア国内でバッテリーなどの製品として加工した限りにおいて輸出が許可されます。

ここにイーロンマスクが「じゃあインドネシアにテスラのギガファクトリーを作ろう」となるのは自然な流れです。

テスラからすれば「中国(上海)以外にアジアの生産拠点ができる」ことによる地政学的なリスクの軽減、バッテリーの原料となるニッケルやコバルトの確保ができるメリットがあります。

インドネシア側も「国内でテスラ車を製造して輸出することで外貨の獲得」もできますし「テスラが雇用を創出してくれる」というメリットもあります。

双方がWin-Winの関係ですので、もしかすると案外早く「ギガファクトリージャカルタ」の誕生も十分あり得る話です。

以前私のブログでは「インドにギガファクトリー?」という話を取り上げたことがありますが、ビジネスを行う際に色々難癖をつけて苦労する傾向があるインドよりもインドネシアの方がギガファクトリー誕生が早い可能性が出てきました。

もう一つの日本車の牙城「タイ」には長城汽車の「GoodCat」も参入

長城汽車「Ora Cat」その2
次はタイのEV化状況について解説します。

先日の記事では「イギリス市場に中国のCatが参入(「FunkyCat」)について解説しましたが、タイでは長城汽車(GreatWallMotors)が元々ガソリン車を販売するディーラー網がありましたのでイギリスより普及させやすい環境が整っています。

以前の記事でも取り上げたようにタイ政府は「2035年以降販売する自動車はEVのみ」という目標を掲げており、この目標に協力する存在として中国のGreatwallMotors(長城汽車)がすでに動いています。

現地へ行ったことがある人ならお分かりでしょうが、タイにしろインドネシアにしろ現在は「街を走ってる車のほぼ全てが日本車」という国です。

これが中国メーカーや韓国メーカーのEVに置き換わるというのはとんでもない地殻変動です。

「あれ?日本メーカーは何やってるの?」と思ってしまいますよね。。。最後は日本勢のことにも触れておきます。

日本メーカーの独壇場「東南アジア」が中国・韓国のEVへ

東南アジアを走る日本車
EVシフトが中国勢や韓国勢と比較してかなり遅れている日本メーカーですが、それは日本市場だけではなく東南アジアでも同様のようです。

日本経済新聞の記事を引用しましたが、例えばタイでは「2030年までに生産台数の30%をEVに」インドネシアでは「2025年までに生産台数の20%をEVに」と目標を立ててEVシフトを進めています。

このようにEVシフトを推進しようという政府に対して「いや、ハイブリッドの方が実はエコだからこっちにしときなよ」という姿勢でしか営業できてないのが今の日本勢です。

「ロクに電力もない発展途上国のくせに」と思います?

以前の記事でも触れましたが例えばインドネシアは世界2位の埋蔵量を誇る「地熱大国」であり(1位はアメリカ、3位はなんと日本)、再エネを推進する潜在能力は十分にあります。

必要な電力を確保できる上に、ニッケルやコバルトなどのレアメタルが埋蔵されている、だからこそテスラがイーロンマスクが注目しているとも言えます。

他にも広大な自然を持つ新興国・発展途上国であれば太陽光発電や風力発電を行うことも容易であり、現在の燃料価格の高騰から「EVにシフトしよう」という動きが加速しても何も驚きません。

「東南アジアは日本メーカーの牙城なので中国勢や韓国勢なんて敵じゃない」と余裕をぶっこいていると気がついたらシェアを大きく失うことになると懸念するのは私だけでしょうか?

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