「再エネ」「マイクログリッド」「EV」で格差を埋めるアフリカ【日本の方が後進国?】

お金 ビジネス 趣味

こんばんは、@kojisaitojpです。先日南アフリカ共和国の話をした際に文字数がいっぱいになってしまい触れる余裕がありませんでしたが、他にもEV化に向けて突き進むアフリカの国がいくつもあります。

以前「中国の黒猫(Ora R1 Blackcat)」がガーナで販売されるという話をしたことがありますが、ガーナで購入(またはリース)可能なEVが12種類に増えたという記事です。

XpengやBYDなど、私のブログで何度も紹介したことのある中国のEVメーカーが続々と進出しているようです。

今でも「ロクに電気も通ってないアフリカでEVなんか普及するわけねぇだろ!」とアンチEVの方々が息巻いているのですが、現実は変化しています。

先日は南アフリカのみの話で終わってしまったので、今日はそれ以外のアフリカをはじめとする新興国・発展途上国のEV化状況を取り上げてみます。

中国産の格安EVが増えるガーナなどのアフリカ諸国

XpengG3
先日取り上げた南アフリカ共和国の経済水準ですと、売れ筋のEVがBMWi3、ジャガー・i-Pace、ポルシェ・体感してなどの高級車(もちろん買えるのはごく一部の富裕層だけです)でしたが、南アフリカ共和国以外の国でこれらの車を売るのは不可能に近いです。

そこでガーナの「Solar Taxi」社が取り入れたのが「中国からのEV輸入」です。

BYDのE6

現時点で既にXpengやBYD、Donfeng(東風汽車集団)など複数の中国メーカーがEVの販売とリースを始めています。

Donfeng(東風汽車集団)に至ってはエジプトの「El Nasr」社と合弁でエジプトでEVを生産する計画も発表しており、アフリカ大陸の中でEVが生産される日も目前です。

エジプトで生産された格安のEVをアフリカ大陸内やヨーロッパへ輸出しようという計画が既に発表されており、中国が至る所で影響力を拡大しているのが分かります。

DaciaSpringElectric

他にもルノーが「K-ZE」という、ヨーロッパでは「Dacia Spring Electric」という私が以前ブログで紹介した格安のEVを販売していたりもします。

このラインナップに日本の自動車メーカーが全く顔を出さないというのも今のEVにおける日本勢の状況を物語っているようで残念な事実です。

「電力どうするんだよ?」とこの手の話をすると必ず言われますが「それいつの時代の話?」というのが今日のもう一つのテーマになります。

従来のように「電力会社から中央集権的に電力を供給してもらう」という電力供給のあり方しか思いつかないのであれば既に世界の流れから乗り遅れています。

送電網がなくても「マイクログリッド」でOK

太陽光発電を行うアフリカ
発展途上国でEVの話をすると必ず「ロクに電気も通ってない国でEVなんか普及するわけねぇだろ!」とバカにされるのですが、確かにアフリカ大陸に電線を張り巡らし人の住む場所を全て電化させるのは不可能です。

人口密度が低く、集落が点在しているのがアフリカの特徴ですので送電網を全域に行き渡らせることはほぼ不可能、やったとしても膨大なコストがかかります。ここに発電所をつくり、送電線を敷設し、変電所を介して電柱・電線で電力供給するのはコスト面から非現実的です。

住む人全員に電力を提供するのであれば、中央集権的に発電所から電線を張り巡らすというアプローチではなくもっと「分散化」が必要ですが、これを可能にするのが「再生可能エネルギー」です。

アフリカの風力発電の光景

極端にいえば太陽光パネルと蓄電池さえ用意すればどんな場所でも発電して電気を貯めることができます。

マイクログリッドで電力

集落が点在しているのであれば、集落ごとに「マイクログリッド」を作って電力を自給自足できるようにすれば、送電網なしで電気のある生活が可能になります。

この試みをやっている日本企業が実はいくつもあります。

今日話題にしたガーナでまさに事業を行なっているので取り上げましたが、発展途上国に「マイクログリッド」を作ることで各地域で電力を自給自足しようという試みです。

太陽光で発電すると日が当たる昼間は電力が余ってしまいますので、この余剰電力を蓄電池のみならずEVに充電すれば移動手段も確保できます。

アフリカで太陽光

実はガソリンスタンドを僻地に行き渡らせることよりも簡単にできてしまいます。

以前私のブログで「実はEVが向いているのは都会よりも田舎」と日本の文脈で述べたのと同じパターンです。わざわざ遠く離れたガソリンスタンドまで行かなくても自宅の電力で充電できるというメリットは都会よりもむしろ田舎の方が大きいです。

とEVや再エネの話をすると必ず「机上の空論だ」と攻撃されてりしますが、「一箇所設置するのに何億円の投資が必要になる水素ステーションを日本中・世界中に行き渡らせることの方が全然非現実的では?」と思うのは私だけでしょうか?

「再生可能エネルギー」と「EV化」の流れはアフリカだけではなくアジアにも

地熱発電のイメージ
今日はアフリカ、特にガーナのEV化と再生可能エネルギーについて解説してきましたが、この動きはアジアにも広まっています。

行ったことがあればお分かりでしょうが「あのインドネシアが?」と思ってしまいますよね。私は何度もインドネシアには行ってますけど、田舎は別としてもジャカルタの排気ガスなどはなかなか凄まじいものがあります。

これに対してもヤフコメなどでは「できるわけがない」とか「中国の陰謀だ」的な寒いことを言ってる人が多いですが、既にインドネシアも再生可能エネルギーへのシフトは始まっています。

これは住友商事ですが、先日消化したケニアなどの件同様に日本メーカーが数多くインドネシアの地熱発電に参加しています。

インドネシアはアメリカに次ぐ世界2位の地熱資源を持つ国で、これをフル活用して「脱炭素」へ向けて動き出しているわけですが、世界3位の地熱資源がある日本でこの動きが全く出てこないのは本当に理解不能です。

少し前にはタイが2035年以降の全車EV化の方針が出ましたが、2021年に入ってからはヨーロッパなどの先進国だけではなく新興国・発展途上国でもこの動きが加速しています。

実は発展途上国と先進国の格差を埋める強力な切り札となるのが「再生可能エネルギー」と「EV」だったりします。引用したツイートではそれに加えてテスラなどが現在進めている宇宙からインターネット回線を提供する「Starlink」によって情報の格差も埋まるということも言われています。

「Starlink」については以前取り上げたことがありますので、こちらをご参照ください。

「再生可能エネルギー」と「EV」に異常なほどの抵抗を示している国、「電気もロクに来ない発展途上国が」的に発展途上国・新興国に対して見下したような態度を取っている国が世界の流れからどんどん遅れていきます。

人気記事電気自動車専門のカーシェア・サブスク・EV販売店立ち上げのためのクラウドファンディングを始めます!

人気記事電気自動車(EV)を日本で普及させるために誤解を解消する【過去記事総まとめ】