電気自動車(BEV)でも負けパターンにはまる日本勢?【PC、スマホと同じ】

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こんにちは、@kojisaitojpです。有名YouTuberのこの方でもついに「テスラ>日産」であることを認めざるを得なくなっています。

私のブログでも「テスラ・モデル3の値下げ」によって起きる脅威については触れましたが、実は日本の自動車メーカーで唯一世界に売れる電気自動車を生産している日産すら勝負にならない次元にテスラが飛んで行ってしまったということです。

日産でさえオワコンなのですから、リーフやアリア、テスラ車に対抗できるようなマトモな電気自動車を今も作れていないトヨタ・ホンダ・マツダなどは論外です。

という事実を指摘しても「いや、日本のハイブリッド技術の方がテスラなんかより上だ」とか「電力供給が怪しい今の状況で電気自動車は普及しない」という噛み合わない反論が飛んできます。

「いや、問題は技術の優劣じゃないんだよ」というのが伝わらなくてもどかしくなることが多いです。

そこで今日は「どうしてこうなった?」と日本メーカーがなぜテスラなどに電気自動車の競争で追い詰められてしまったのか?について歴史的に考察してみます。

「技術で勝って、ルール設定で負ける」のが日本の負けパターン

三菱アイミーブ
ノルウェーで路駐する日産リーフ
まず私が感じた素朴な疑問は「でも電気自動車を市販化したのは日本勢が一番早かったんだよな?」という点です。

実際に三菱「i-MiEV」が市販化されたのは2009年、日産「リーフ」が市販化されたのは2010年です。

この当時冒頭でも取り上げたテスラ社はまだまだ電気自動車の量産化には程遠い状態で、「ロードスター」を台数限定でリリースする程度でした(「モデルS」の量産化は2012年からで、日本市場への投入は2013年から)。

テスラロードスター

余談になりますが、この「ロードスター」の次期モデルではイーロンマスクが「hoverさせる」、つまり宙に浮く仕様にすると豪語していますので、勢いの違いをまざまざと見せつけられていますね。。。

「火星に行く」のが目標の人は見ているものが違います(笑)。

さてこの当時の記事を探していたら面白いものが見つかりました。

記事のタイトルを見ると「電気自動車がガラケー化するって今言われてることじゃねぇの?」と思いますよね。

記事の内容は真逆です。

この当時三菱自動車がi-MiEVを普及させるために、フランスのプジョーとシトロエンにOEM供給していました。

シトロエンCZERO

「プジョー・イオン」と「シトロエンC-ZERO」という名前で売られていましたが、中身は三菱i-MiEVとほぼ一緒です。

プジョーイオン

ところが全く売れずに三菱はOEM供給を止めています。記事を引用しますが、

フランスにおける2011年の電気自動車国内販売台数は2630台。日本市場における「三菱i-MiEV」と「日産リーフ」「三菱ミニキャブ・ミーブ」の販売台数合計1万3449台からすると、5分の1以下である。

イタリアの2012年上半期の電気自動車販売台数を見ても、「C-ZERO」は107台、「イオン」は80台だ。そのほか「リーフ」40台、「スマート・フォーツー electric drive」29台、「ルノー・フルエンス」18台、「i-MiEV」7台と、「フィアット500」の3台に比べれば良好とはいえ、決して好成績とは言えない数字だった。
WEBCG 「第261回:警告! 電気自動車も「ガラケー化」する?」より)

当時は日本の方が電気自動車が売れていたという、今では信じられないような状況です。

プジョー107

まぁ確かにこの当時私は毎年フランスに旅行していましたが、最も小さいセグメントで最も見かけるのは「プジョー107」と「シトロエンC1」というガソリン車(当時なのでディーゼルも混じります)ばかり、たまにフィアット500も見かけるという感じで、パリの街中で日産リーフや三菱i-MiEVを見かけた記憶はありません。

そしてこの記事で「フランスでEVが普及しない原因」として挙げられているのが、

  • 航続距離が短い
  • 充電ステーションが少ない

「あれ?それって今の日本で言われていることと同じじゃないの?」と思いますよね。

どうやら日本メーカーは「世界の流れが来る前に世界の最先端を突っ走りすぎた」ようです(笑)。

この当時だと「電気自動車に関しては技術では世界のトップを走っていたのに、電気自動車(BEV)をスタンダード(ルール設定)にできなかった日本」という、技術は優れているけど売り方が下手だから負ける日本という、それ以前のパソコンやガラケーで失敗した日本と同じ姿が見えます。

これが2021年現在だと例えばテスラ車であればモデル3でもモデルSでも航続距離は軽く400〜500キロは走れますし、日本国内ではまだ十分とは言えませんが世界中にスーパーチャージャーを整備しており充電環境も整っています。

日本勢が何もしていない間に、当時の電気自動車に課せられた課題をテスラなどがクリアしてしまったわけです。

特にヨーロッパの場合は国、というEU全体の目標として「充電ステーションの充実」を掲げています。

以前も紹介したように、パリ市内やロンドン市内では「パーキングメーター」で充電ができるようになるなど、「いつでもどこでも充電できる」ように国とEUが主導で整備しています。

フランスの充電ステーション
イギリスの充電ステーション

またアメリカでも先日就任したばかりのバイデン大統領が「全米50万箇所に充電ステーションを設置」という公約を掲げており、今後はテスラのスーパーチャージャー以外にも急速に増えていくことがほぼ確実な状況です。

どうやら日本市場でハイブリッド車が売れているのをいいことに、世界の標準規格がいつの間にか電気自動車(BEV)にすりかわっていることを無視して突っ走ってきたのが日本の自動車メーカーです。

もちろんこの間にフォルクスワーゲン社の「ディーゼル不正事件」など、ヨーロッパがそれまでスタンダードとしていたディーゼル車を諦めざるを得なくなるという事件も起きています。ヨーロッパが電気自動車に舵を切るのはこの後ですので。

ちなみにこの空白の10年くらいの間に中国ではBYDやCATLなどの電池メーカー、先日も紹介したNIOやGreatWallなどの電気自動車専業メーカーが虎視眈々を開発を行い、電気自動車でもバッテリー供給でも世界のトップに上がってきました。

「ガソリンエンジン、ハイブリッド車では日本勢にかなわないから、中国は電気自動車で世界の覇権を取る」的な国家プロジェクト(実際「中国製造2025」という目標があります)に沿って日本勢を打倒すべく周到に準備している間にヨーロッパでディーゼルエンジンから電気自動車への転換が起こり、一気に流れに乗ったというのが正直なところです。

日本勢がルール設定に失敗し、「やっぱりハイブリッドでいいや」と後退している間に一気に攻め込まれたというべきでしょうか。

それどころか「電気自動車(BEV)よりもハイブリッドの方が技術は上なんだ」と今では開き直りのようなことを日本の自動車メーカーのトップが堂々と言うようになってますので、状況は更に悪化していますが。

10年ほど前とは真逆の開き直りを賞賛するような記事がこの1、2年増えているですから日本人の思考力も技術も退化しているかもしれません。

もし電気自動車の開発を続けていて(日産・三菱だけは開発を続けてはいましたが、やはりトヨタがやってないのが痛い)世界の流れが変わった時に一気に投入していれば違った世界があったかもしれません。

「他の商品とは違う」とやたら強調する日本の悪い癖

世界規格になれなかった日本製品
「パソコンは他とは違うんだ」
「携帯電話(ガラケー)は他とは違うんだ」

負ける時は必ずこの「この商品は他とは違うんだ」と負けパターンに嵌っていることを懸命に否定したがります。

今もそうですよね。「自動車は他の家電とは違うんだ」って言ってますよね。

パソコンの前にワープロ(今のWordやPages)が単体で発売されていた時代がありますが、その頃も言われていました。「パソコンが普及してもワープロはなくならない」と。

この話を「電気自動車が普及してもハイブリッドはなくならない」と置き換えるとどうでしょうか?

やはり同じ失敗を繰り返しつつあると言えます。

「技術さえあれば勝てる」と勘違いする

ドヤ顔で説教する上司
「技術はウチが一番なんだ」

これも日本が負けパターンにハマる時に必ず言われる言葉です。

「ヨーロッパや中国は日本のハイブリッド技術に勝てないから電気自動車(BEV)を推進してるんだ」と言ってる人多いですよね?

それは間違いではないでしょう。

落とし穴は「でもその優秀な技術を日本以外のどこの国も採用しなくなったらどうする?」という視点が欠けていることです。

繰り返し引用しますが、この視点が欠けているからこそ、電気自動車の発売を発表するプレスリリースで「でもPHEVの方が優秀だからね」的な余計な一言をわざわざ自社のホームページに掲載してしまう残念な企業がいるわけですが。

どうも日本のメディアなどではこの会社を批判してはいけないという暗黙の了解があるように感じますが、私にはそのようなタブーを、空気を読む能力はないので遠慮なく批判します。

電気自動車(BEV)でもパソコンでも同じ負けパターンの日本メーカー

日本オワコン
今日は日本メーカーの失敗の原因を見てきましたが、この負けパターンを「スマホ、サムソン・ファーウェイ・アップル」と置き換えればスマホでの負けパターン、「パソコン、DELL・WINTEL」に置き換えるとパソコンでの負けパターンに見えませんか

電気自動車だと「テスラ・フォルクスワーゲン・CATLやBYDなどのバッテリー技術」という感じでしょうか。

老害のイメージ

まぁ自動車業界にいて業界の中の雰囲気が当たり前になってしまうと「家電製品と自動車を一緒にするな」と逆ギレする方が多いでしょうから馬の耳に念仏状態になってしまうのでしょうけど。

それどころか「ハイブリッド技術の方が電気自動車(BEV)の技術より上なんだ」「電力が足りなくなる」「二酸化炭素排出量は変わらない」と猛反発を食らってしまうかもしれません。

老害にいじめられる若手社員のイメージ

問題がそういう技術云々、二酸化炭素云々の話ではなく「電気自動車(BEV)が世界各国のデファクトスタンダードになりつつある」という点なので話が噛み合わなくなります。

「内燃機関車(エンジンを搭載した車)」の販売自体が禁止されてしまえば、どんなに技術的に優れていようともその優秀なハイブリッド技術を売る場所がなくなります。

私が電気自動車に関する議論で「このままじゃ日本メーカー終わるよ」と警告するのはこのような「世界の標準規格が電気自動車(BEV)になる」という世界のルールに関する部分で言っているのですが、返ってくる反論は「ハイブリッドの方が技術は上だ」という噛み合わない話になってしまいます。

まぁ日本政府の方針だと2035年以降もハイブリッド車の販売OKなので(そもそも「電動車」の定義にハイブリッドを入れること自体が間違いですが)日本国内限定であれば売ることはできますが、輸出が一切できなくなります。

もし日本の人口が10億人くらいいれば(中国やインドくらいの人口)日本だけ独自の規格で勝手にやっていくことも不可能ではないでしょうが、現在1億人ちょっとの日本の人口はこれから減っていく一方です。

となると輸出で稼ぐしかないのですが、売れないとなると輸出で利益を上げている日本メーカーが詰みます。

値下げしたテスラモデル3

冒頭で「テスラ・モデル3」の値下げに言及しましたが、日本メーカーが「電気自動車は普及しない」「ハイブリッドこそが優秀な技術だ」とあぐらをかいている間にテスラは日本メーカーが到底及ばないような高スペックで低価格の電気自動車(BEV)を販売できる企業に成長しました。

トヨタCpod

「世界の標準規格」争いで敗れて、次は電気自動車そのものの技術でも負けるとなると正直見通しは暗いです。

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