日本メーカーの電気自動車を一気見せ【半分冷やかし?】

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こんにちは、@kojisaitojpです。世界の電気自動車化の流れは止まることを知らないのが現状です。

昔はGMと言えば「燃費も悪くて故障も多い」とアメリカ国内でも評判が悪く、北米市場はトヨタ・日産・ホンダなどの日本勢の独壇場だったような状況でした(実はヒュンダイも善戦してますが)。

そのGMでさえ「電気自動車」という新しい活路を見出して、既に発売中の「シボレー・ボルトEV」のみならず今後ハマーEVやキャデラック「Lyriq」と立て続けに販売予定で往年の勢いを取り戻してきています。

そんな状況の中で「日本の電気自動車はどうよ?」というのが本日の記事です。

別に悪意があるわけではなく、客観的事実を並べるとこの後非常に残念な車種の紹介が自然と続いてしまいますが、できれば日本の自動車業界の方々にも怒らずに読んでいただきたいところです。

EV(電気自動車)普及率1%未満の「後進国」の日本で孤軍奮闘の日産

現行日産リーフ
明るい話も出さないわけにいかないので、最初はテスラや中国メーカー、フォルクスワーゲンなどと互角に戦える「日産」の電気自動車について触れます。

現在販売しているのは「リーフ」のみですが、2021年中にはSUVの「アリア」も投入することを発表しており、日本メーカーの中で唯一本格的に電気自動車化を進めているのが日産です。

現行日産リーフ

まずは現在販売している「リーフ」についてですがグレードはノーマルのものとe+の2種類があり、

  • ノーマルのものが「搭載バッテリー容量42kWh、航続距離213-243キロ(EPA)、最大充電出力70kW」
  • e+では「搭載バッテリー容量62kWh、航続距離458キロ(EPA)、最大充電出力70kW」

2010年の発売当初はバッテリー容量も24kWhで、ヒーターにも問題があったため航続距離も短く、バッテリーも劣化するとの欠陥がありましたが、さすがに10年開発・販売を続けているとそのようなトラブルがないレベルまで進歩しました。

現行日産リーフ

ここで記載したのは「EPA」ですのでほぼ実走行で出せる数字です。

日産アリアのプラットフォーム

日産ディーラーでの充電設備も最大90kWhと高規格のものに置き換えられていますので、現在であれば自宅に充電設備がなくてもやっていける水準に向上しています。

電気自動車の販売ランキング

既にモデル末期ではありますが、現在でもヨーロッパ市場で上位に入る販売台数ですし、私のブログでも触れたように低年式の中古のリーフもアフリカなど発展途上国・新興国では需要があります。

そして2021年には「リーフ」に加えて、次の電気自動車となるSUVの「アリア」が発売予定で、こちらはBMS(バッテリーマネージメントシステム)も搭載され、更に電気自動車としてのクオリティも向上しています。

日産アリアの外観
日産アリア
日産アリアのインパネ

具体的なアリアについての詳細は以前書いた記事をご参照ください。

現時点で発表されている日本メーカーの電気自動車で唯一「テスラ・モデルY」や「フォルクスワーゲンID.4」と互角に勝負できる世界標準の一台になる可能性が高いのが「アリア」です。

トヨタ「C+Pod」

トヨタCpod
今回最大の「ネタ枠」はトヨタ「C+Pod」でしょう。

先日のニュースで2020年は5年ぶりに世界トップの売り上げ台数をフォルクスワーゲン社から奪還した文字通りの「世界最大の自動車メーカー」であるトヨタが満を持して(?)発表した電気自動車が「C+Pod」になります。

まぁ「これは小型モビリティであって自動車ではない」と色々な言い訳をするのでしょうが、世界最大の自動車メーカーが渾身の力を込めて製造した電気自動車が「搭載バッテリー容量9.06kWh、航続距離150キロ(日本WLTC)、普通充電のみ」です。。。

昨日テスラ・モデルSの新型について説明した後なので正直何とコメントしていいのか…というレベルです(笑)。

もちろん「小型モビリティ」という、軽自動車にも及ばない規格で、制限速度60キロ以上の道路は走れない(要は高速道路は不可)という制約のある車両だからこれでいいのだという声もありますが。

しかしこのサイズの車で比較しても私が先日取り上げた車両価格約45万円の「Wuling HongGuang mini EV」に価格面でも、スペック面でも及びません。

宏光MINIEV

もちろん「Wuling HongGuang mini EV」は自動車の国際的な安全基準を定めた条約に加盟していない中国の基準で作られてますので、仮に日本市場に投入するとなると様々な改良が必要になり、この価格では販売できないことは間違いないのですが。

まぁ世界では「電気自動車」という定義が「完全電気自動車(BEV)」と「プラグインハイブリッド(PHEV)」だけ(つまり電力のみでの走行が可能であり、充電も可能)のところを、いわゆる普通のハイブリッド車(電力のみで走行できないという意味)も「電気自動車」の定義に含めてしまう社長の会社ですから、脳内では電気自動車を開発・販売していると思っているのかもしれません。

日本の「内燃機関車(エンジン搭載車)」の販売が2035年から禁止というルールにはハイブリッド車も含まれますが、例えば2025年以降だとノルウェー、2030年以降だとイギリスではハイブリッド車は販売禁止になります。

他にも国としての姿勢ははっきりしてませんが、2030年以降はフランスだとパリ市内、オランダだとアムステルダム市内へはハイブリッド車の乗り入れが禁止になります。

つまり「完全電気自動車(BEV)」と「プラグインハイブリッド(PHEV)」しか売れなくなります。

「いや、実はトヨタは隠れて電気自動車の開発をしている」など、事実としてわからないことを勝手に推測(希望的憶測?)するような人もいますが、現時点で出ている情報と今回の「C+Pod」を見る限りは「実は電気自動車作れないんじゃないの?」と思ってしまいますが。

「世界最大の自動車メーカーなんだからきっと対策は立てているはずだ」という信仰心を裏切ることがあるのかどうかは今後も注目材料です。

マツダ「MX-30EV」

マツダ「MX-30」のEV

昨日も紹介しましたが、「搭載バッテリー容量33.5kWh、航続距離256キロ(WLTC)、最大充電出力50kW」と、バッテリー容量も航続距離も現代の電気自動車のスペックではありません。

私のブログでも様々な国の電気自動車を紹介していますが、ヨーロッパ・アメリカ・中国の最新の電気自動車と勝負できるレベルではありません。

ところがこのショボい航続距離にも関わらずヨーロッパでは案外売れました。それもあって日本市場にも投入とのことですが(おそらく最初はEUの排気ガス規制対策でアリバイ的に作っただけ?)販売台数もたったの500台。。。

日本で電気自動車を売る気がないのか、それともホンダのようにバッテリーの調達ができないのか、その両方なのか謎です。

まぁ「大型バッテリーを搭載するEVはガソリン車よりも環境負荷が高くなるという試算をベースにしたマツダの哲学」だそうですが、もはや「(笑)」しかコメントがありません。

あえて言えば日産が最初にリーフを発売した2011〜2012年頃にこの航続距離でしたら、「まぁ最初だから仕方ないよね」と言ってもらえたような気がします。

じゃあ後続に期待!と言いたいところなのですが、2022年にはこの「MX-30EV」のレンジエクステンダー版をリリースするそうです。

レンジエクステンダーの発電用のエンジンはもちろん「ロータリーエンジン」だそうです。。。

レンジエクステンダーという発想自体もBMWが「i3」を発売したのが2014年です。その頃リリースしていればありはありだったのでしょうが。

「ロータリーエンジン」という過去の栄光を忘れられない会社にはそれに応じた評価が世界から下されることでしょう。

ホンダ「ホンダe」

ホンダの電気自動車e
ホンダ初の電気自動車として2020年に発売された「ホンダ e」もなかなかのネタ枠に入る車です。

以前「ホンダやる気あるの?」という記事も書きましたが、200キロに満たない航続距離の割に値段が高いのはマツダ「MX-30EV」と同じですが、インフォテイメントシステムも「テスラがスマホなら、ホンダはガラケー」と揶揄されるようなシロモノが出てきました。

航続距離については「街乗りに特化」と言い訳すればまだ許容できるものですが、テスラと大きく違うのはインフォテイメントシステムを自社で開発せず外注である点が先ほども言った「ガラケー」っぽさを漂わせます。

ホンダeの内装

ソフトウェアとバッテリーがほぼ全ての電気自動車において、ソフトウェアを自社で開発できないのは痛いです。

しかも今後は「電気自動車はGM、ハイブリッドはホンダ」と住み分けして生産(北米市場の話ですが)するとのことですので、実質電気自動車をGMに丸投げしてしまう点も問題です。

これまでどこの会社とも組むことなく独自路線だったホンダですが、数年後にはGMに買収されるという屈辱が待っているかもしれません。

「燃費悪くて故障も多い」と一時期は本国アメリカでも売れなくなって一回破綻したGMに、ほんの少し前まで「燃費も良く故障も少ない」と世界で評判の良かったホンダが買収されることになれば世界の自動車事情も変わったなと日本人が気づくきっかけになるかもしれませんが。

三菱「i-MiEV」

三菱アイミーブ
ネタ車を3台続けて紹介しましたが、最後はガチの電気自動車と言ってもいい隠し球です。

とはいえもう生産を終了してしまったので次回作を待つところですが(代わりのモデルは日産から「Imk」として発売するという噂も)。

今後は中古でしか手に入りませんが、バッテリーが劣化しないと評判の東芝製SCiBバッテリを用いた「Mグレード」は10.5kWhと小型のバッテリーでありながら耐久性抜群というのは、当時から「三菱i-MiEV」の愛好家を中心に、電気自動車の世界では広く知られていることです。

三菱アイミーブ

当時は新車で300万オーバーの価格がネックで思うように売れませんでしたが、現在であれば程度の良いものでも100万以下で購入できますし、軽自動車なのもあり(2018年以降のモデルは普通車ですが)維持費も格安です。

もし自宅で充電できる環境であれば航続距離もそれほど問題にせず毎朝満充電で出発できます

「用途は買い物と通勤で一日50〜100キロ以内。遠出はもう一台の車でするからいいや」などとセカンドカーとして割り切って使うのであれば、最初の発売から10年経った今でも自信を持っておすすめできる一台です。

以前車両価格約45万円の「Wuling HongGuang mini EV」を紹介した際にも比較対象として出しましたが、「HongGuang mini EV」を推さなくても日本国内であれば三菱i-MiEVで十分代わりの役目を果たしてくれます。

詳しい情報はこちらをご覧ください。

結局日本の自動車メーカーはオワコンなのか?

最初の日産と最後の三菱だけはネタ車ではなく、ある程度実用的に使える日本メーカーの電気自動車であると言えます。

ごく一部のメーカーだけでも電気自動車を今後の主軸に位置付けていけるのであれば、日本製の自動車もまだ生き残れる可能性があるかもしれません。

まぁ一部では日産の電動化計画が「甘い」と批判もありますが。

手ぬるいことは言わずにフォルクスワーゲン社のように「全車電動化」とカッコよく宣言してほしいところでしたが。。。

しかしそれでも電動化に踏み切るだけマシです。

その他のメーカーは私に「冷やかし」されても文句言えないのが今置かれている状況です。

電気自動車で最重要ポイントと言われるバッテリーの調達もCATLやBYDなどの中国メーカーや、パナソニックを超える世界シェアに拡大しつつある韓国のLG化学にバッテリーのシェアを握られ、調達が困難(要はテスラやフォルクワーゲンなどと競争になる)な状況です。

ソフトウェアも基本的に外注でやってきた日本メーカーがこれから自社で開発というのは不可能に近いです。

世界でトップのクオリティを誇った「内燃機関(エンジン)」やハイブリッドシステムに執着しすぎて日産以外のメーカーから「日本車オワコン」が見えるところまで追い詰められているのが日本の現状です。

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