「自宅で充電するのが面倒」だと思うのはマインドの問題?【地方からEV化は進む】
こんばんは、@kojisaitojpです。数日前にSNS上で面白い動画を発見したので紹介します。
「充電が面倒臭い」という奴はこれ見ても言えるのか? https://t.co/VdnfXPxbtj
— saito koji@2022はぴあアリーナ→バルセロナへ (@kojisaitojp) April 22, 2022
何がすごいかわかります? テスラのスーパーチャージャーで子供が充電してますよね。
私はこの動画を「子供でも充電できる、しかもガソリンの給油と違って安全」とEVの利便性の高さを強調したくて引用したのですが、こういうことを言うと必ずと言っていいほど「いや、充電は面倒臭い」「ガソリンスタンドで給油する方が楽」などと私からすると意味不明の批判が飛んできます。
検討するのも面倒なのが本音と言えば本音ですが、今週何度もこのネタでTwitter上で攻撃を受けた(笑)のでこの際一度「自宅で充電することのメリット」について論じておこうと思います。
目次
「自宅でEVに充電する」のは「ガソリンスタンドへ行く」より楽なのは自明
この「自宅で充電するのが面倒臭い」と叫ぶ人々が主張する根拠は大体以下の点に集約されます。
- 充電用のケーブルが重くて使いにくい
- 雨の日や雪の日に外へ出てケーブルの抜き差しをやりたくない
- ガソリンスタンドへは移動の途中で寄るから何も面倒じゃない
この中で後ろ2つは「じゃあ雨の中雪の中で車に乗ってガソリンスタンドへ行くのはもっと面倒では?」「移動の途中で寄り道するのと真っ直ぐ帰るのとどっちが楽?」と落ち着いて考えると「何言ってるんだ、こいつは?」と思われる次元の低い話なので割愛します。
問題は「ケーブルの重さ・太さ」なのですが、実際にやったことがある人はお分かりでしょうが、確かに日本のCHAdeMOケーブルでやると結構苦労します。
以前「ホンダe」を借りた際にCHAdeMOの急速充電器を片手にカメラで撮影しながら充電しようしたらなかなか上手くできなかったという例です。充電器に接続する場面だけ再生するように設定してあるので見てください。
カメラが揺れまくっているところに私が苦労した跡が見えると思います。実際カメラ落としそうになりましたし(笑)。
とはいえこの例をもって「だから充電は面倒臭いんだ」と言ってしまうのは早とちりです。
そもそも「CHAdeMOのケーブルが重くて使いにくい」というのは外出先で使う急速充電器の話です。
わかりやすい動画があったので引用しますが、「自宅で普通充電」だとこんな感じです。
キタ――(゚∀゚)――!! 素敵やん✨#テスラモデル3#ロングレンジ#エコな毎日#ウォールコネクター#Gen3 pic.twitter.com/bphtW9GjY4
— Teslaのてっちゃん (@tesla_no_techan) October 4, 2021
これはテスラの「ウォールコネクター(普通充電器)」このケーブルの細さであれば冒頭のスーパーチャージャー同様に子供でも充電できますよね。
「いや、テスラが特殊なんだ!」と思います?
じゃあ他の例も引用しましょう。
手持ちの写真だとメルセデスとフォルクスワーゲンの普通充電器のものがケーブルも写った写真として残っていたので引用します。
このようにメーカーにより多少の違いはありますが、自宅で普通充電に使うケーブルはどこのメーカーでも軽くて扱いやすいものです。
こちらは昨年フォルクスワーゲンのアウトシュタットに行った際に展示されていた「IONITY社の急速充電器」ですが、日本のCHAdeMOが当たり前になっているとケーブルの細さに驚くと思います。
IONITY社の充電器は「最大350kW」「プラグアンドチャージ対応(要はプラグを接続するだけで自動で認証して充電開始)」という高性能が特徴ですが、実は「細くて軽いケーブル」というだけでもユーザーフレンドリーな充電器です。
「ユーザーの利便性」を第一に考えるというだけでも日本のCHAdeMOとは違います。
日本の「e-MobilityPower」が設置する急速充電器のオワコン具合は以前から再三指摘してますので、こちらもご参照いただければと思います。
e-MobilityPowerの新型充電器がオワコン?【これが専門家・プロのやること?】
e-MobilityPowerの新型充電器が首都高の大黒PAにオープンしたので見学に行ってきましたが速度が出ない・不具合で充電できないなどのトラブル続出のようです。6台同時に充電可能でデザイン性が高い点は評価できますが肝心の充電性能が世界レベルには程遠く、ここに日本の充電インフラとEV化の障害を感じます。
「CHAdeMOという日本特有の問題」をあたかも世界の全人類が感じる問題だと思うこと自体が問題だと思うのは私だけでしょうか?
「バッテリー交換式」はEVでは非効率?
「自宅で充電するのが面倒」と謎の主張を繰り広げる人々の中には「バッテリー交換すればいちいち充電不要」という論理(?)を駆使してくる勢力もいます。
ですがこれも結局はお笑いです。
ただ交換という行為のために出かける必要があるのがデメリットであることは変わらない。自宅で充電する方が楽だと思うんだけどな。 https://t.co/ifnQ7vYuQK
— saito koji@2022はぴあアリーナ→バルセロナへ (@kojisaitojp) April 20, 2022
「交換に行く」では「ガソリンスタンドに給油に行く」と何も変わりません。
10年ほど前にスマホでも「充電するよりバッテリーを交換した方が楽ではないか?」という議論がありましたが、今では「自力で交換は不可能」なものがほとんどです。
「なぜスマホのバッテリーは交換できないの?」 その理由と問題の本質を考える
しばしば聴かれる質問。だが、この問題については誰もちゃんと答えていないようなので、西田宗千佳さんが乗り出した。
私もその昔ガラケーのバッテリーを取り外して自分で交換したことはありますが、自宅で自力で交換できるスマホでもそっちの方向へ進まなかったのですから、「わざわざ交換ステーションに交換に行く」という行為を伴うEVのバッテリー交換が普及する可能性が見出せません。
実際にテスラだと「Structural Battery」、フォルクスワーゲンだと「Cell to Chassis」と「車体とバッテリーの一体化」→「それによって搭載容量を増やして航続距離を伸ばす」方向に世界の主要メーカーは動いています。
この状況で「交換に対応できるように取り外しが簡単な構造にする」「交換の際に手間にならないようにバッテリーの規格を世界の各社で統一する」ことは不可能に近いと思うのは私だけでしょうか?
EV化の波は「自宅で普通充電」ができる地方から?
「新しいものは都会から」という認識なのでしょうが、そもそも都会の方が「マンションの充電器どうする?」という問題が解決するのには時間がかかります。
また更に問題がややこしいのは「自宅のマンションに駐車場がないから近所の月極を借りている」という人も都心だと結構多いので更に厄介です。
私自身もその立場ですので、近いうちに人柱となって「駐車場が月極の場合でも充電器の設置が可能なのか?」は試してみようと思いますが。
まぁ月極駐車場のオーナーが承諾すれば充電器を設置することはできるでしょうが、
- 照明等がない月極駐車場の場合電線を引っ張ってくるところからスタート
- 照明等がある月極駐車場の場合は電気代の支払いをオーナーとユーザーに分ける必要
- 退去する際に「充電器の撤去」を確約したとしてオーナーが承諾するか?
と並べてみましたが、「オーナーが承諾するか?」の一点だけが問題です。様々な事例を調べていると「オーナーの承諾を得て屋外の月極駐車場にカーポートを設置」という例まで見たことがありますのでオーナーを説得できるか、そもそもオーナーが話を聞く気のある人物なのか次第だとは思いますが。
これが戸建て率の高い地方ならそんな心配ほとんどなくなりますよね。
冒頭でも出したように「子供でも自分でプラグインして充電できるのがEVの利便性」です。
自宅で普通充電ができれば「毎朝満タンで出発」できることが何より便利ですし、今までのように「ガソリンスタンドに給油に行く」という行為が不要になります。
これに対して「いや、ガソリンスタンドには移動中に寄るだけだから何も面倒ではない」と反発する人がなぜか現れますが、「わざわざ給油のために外出」と同様に「移動中にわざわざガソリンスタンドに寄る」というのも面倒な行為です。
同じことは先ほども解説しましたが、「バッテリー交換」にも言えます。
またビジネスとして考えてもガソリンスタンド同様に「設置しても利益が出ない地域には交換ステーションも普及しない」ということになります。
「ガソリンスタンドの減少→地方でEV化が進む」って意外なの?むしろ当然の帰結だと思うけど。
EV普及が地方で静かに進行中…その意外でキビしい理由とは クルマ界近未来ニュース3選(ベストカーWeb)#Yahooニュースhttps://t.co/7EjMEGRVcg— saito koji@2022はぴあアリーナ→バルセロナへ (@kojisaitojp) April 24, 2022
個人的にはこの「ガソリンスタンドの減少→地方でEV化が進む」を「意外」と言ってしまう記者の価値観自体が理解不能です。
以前も論じたことがありますが「田舎ほど戸建て率が高い」→「自宅に200Vのコンセントさえつければ即自宅充電が可能な環境」ということです。
「EVは都会で乗るもの」は勘違い?【むしろ田舎の方が向いてる】
「EVは都会で金持ちが道楽で乗るもの」的な偏見が今でも根強いようですが、実は田舎の方が電気自動車に適した環境であることが知られていません。一軒家率が高くて自宅で充電することが容易、道路が空いてて電費も良い田舎の道路事情などEVは田舎でこそ向いている点、ガソリンスタンドが減少する今後はますますそうなる点について触れます。
その一方で過疎化によってガソリンスタンドはどんどん減少しているわけで、「だったら自宅のコンセントで充電できるEVこそが最適」という単純な図式です。
同様に「走る距離が限られてる上にガソリン代が高い離島」も以前論じたように「EVが最適」な環境です。
離島こそEVと再エネで快適に暮らせる?【燃料代節約・自給自足】
フランスの田舎町やギリシャの離島で車両を全てEVにする動きが加速してしますが、日本でも離島こそEVを積極的に導入し、エネルギーも再エネ中心に切り替えることが輸送費という面で本土よりも高額になってしまうガソリン代・燃料代の節約につながり、ゼロエミッションのみならず経済的にも大きなプラスをもたらします。
今までガソリンスタンドに燃料を汲みに行くのが当たり前だったからかなぜか自宅で充電プラグをさすことにすら「面倒だ」と抵抗する人がいますが、単なる習慣の問題ではないでしょうか?
「自宅で充電して毎朝満タンで出発」が当たり前になると「何で今までガソリンスタンドまでわざわざ出かけてたんだろう?」と価値観が変化することでしょう。
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