ボルボ「C40Recharge」の試乗会に行ってきた話【IONIQ5やアリアとも互角以上】
こんばんは、@kojisaitojpです。一年以上前からブログでは取り上げていたこのEVについに試乗することができました。
今日はこれ。思った以上に良かった。 pic.twitter.com/hkv6Oedz3k
— saito koji@2022はぴあアリーナ→バルセロナへ (@kojisaitojp) April 1, 2022
昨年からボルボの「C40リチャージ」は日本市場への投入が表明されており、ネット上では情報も豊富にあり私も過去の記事で取り上げてきました。
ボルボが「C40Recharge」で提起する「所有」へのチャレンジとは?【サブスク・カーシェアへ】
先日取り上げたボルボの2030年からの全車電気自動車化には「サブスクリプション」で提供するという、自動車業界では当たり前だった「所有」という概念すら覆す可能性があります。「若者の車離れ」などと言われますが、月額課金で維持費もかからない、いつでも解約できるとなれば若者の車への興味を復活させるポテンシャルがあります。
ボルボの「全車電気自動車化(BEV)」とOTAアップデートの衝撃とは?【対照的なガラパゴス日本】
今度はスウェーデンのボルボが2030年からの「全車電気自動車化(BEV)」を発表しました。オンライン販売に切り替えながらも「サブスク形式」という独自の販売方法で既存のディーラー網を残す方向で(雇用を維持する方向で)電気自動車化するという北欧らしい電気自動車への対応方法を発表したボルボの戦略について解説します。
以前の記事では「サブスク(それも日本の某メーカーのように最低契約期間3年の実質リースではなく1ヶ月単位で解約できる本物のサブスク)」にも焦点を当てましたが、日本市場に割り当てられたサブスクの分は既に抽選も終わっており、一般販売へ向けた試乗会が今回のイベントになります。
先に結論を言ってしまうと「思って以上に良かった、これならIONIQ5と並べて購入候補に入れてもいい」というのが私の評価です。
というわけで今日はボルボの「C40リチャージ」に試乗した感想と今回の試乗会のために港区・竹芝のカフェを貸切にしたボルボのEVにかける意欲について解説します。
目次
思った以上に高性能?Volvo「C40 Recharge」の走りと快適性
今回も最近のパターンでブログ記事と同時にYouTubeに動画もアップしてますので、こちらもあわせてご参照いただければと思います。
試乗会だと実車に触れられる時間が短いのでどうしても動画の後半のように「残りはシトロエンC6で走りながらあれこれ叫ぶ」という展開になりますけど(笑)。
写真を見るとお分かりでしょうけど、まず第一印象が「サイズが手頃」というのがあります。
全長×全幅×全高が「4440×1875×1595mm」と駐車場に困らないサイズなのは他のメーカーのEVと比較しても長所かと思います。
以前取り上げたEVだとメルセデスの「EQC」やアウディの「e-tron」、ポルシェの「タイカン」、テスラの「モデルS」や「モデルY」は全幅1900mm超えなので「駐車場どうする?」という問題が発生します。
機械式の立体駐車場はほぼアウトです。
ここのところ力を入れて取り上げているヒョンデ(ヒュンダイ)「IONIQ5」も全幅が1890mm、テスラの「モデル3」でも1850mmと横幅があるのがEVの特徴でもありますが。
ボルボ「C40リチャージ」の場合は全長も4440mmですので現在発売されているEVの中では非常に使いやすいサイズかと思います。実際に運転してても大きいとは感じませんでした。
個人的にはレザーフリーの室内が安っぽいとは全く思わないですし、スピーカーも「ハーマンカードン」のものを使用しており、クオリティは高そうです。
EVとしての「走り」を論じないと「記事が薄っぺらい」と必ず叩かれますが、この一言で終わりです。
動画には撮れないけどワンペダルで止まる瞬間の揺れが全くないのはIONIQ5と同等のハイレベル。 pic.twitter.com/5WvhRjkqcb
— saito koji@2022はぴあアリーナ→バルセロナへ (@kojisaitojp) April 1, 2022
ワンペダルドライブの際の回生ブレーキは比較的強め(テスラと同じくらいです)ですが、信号待ちなどで停車する際に揺れがほとんどなくピタッと止まるのは見事です。
現在発売するEVでこの位揺れなく止まれるのは「IONIQ5かC40リチャージか」という位のハイレベルです。
ヒョンデ「IONIQ5」と同等、日産「アリア」以上のコスパとパフォーマンス
次はEVとしてのスペック・価格を見ながら競合となりそうなEVと比較します。
価格で見るとIONIQ5のAWDが589万でC40リチャージのツインモーターが719万なので高いですが、先日発表されたシングルモーターだと598万になりますので「IONIQ5」の549万と比較すると許容範囲内の差です。
USB端子がTYPE-CなのはAppleユーザーの私には非常にありがたいですし、ヒョンデ(ヒュンダイ)「IONIQ5」やテスラ「モデル3」などと同様にスマホのワイヤレス充電も可能です。
ですが外部給電がシガーソケットからというのはEVであることを考えると寒いです。この辺は「IONIQ5」のように外部給電やV2Hを搭載してるEVには負けます。
「ボルボ」というブランドにヒョンデ(ヒュンダイ)との差の50万に価値を見いだせれば買う価値はあると思います。
日産「アリア」との比較だとシングルモーターの「B6」は539万と「C40リチャージ」より安くなりますが、プロパイロット2.0がオプションなので足すと大差がありません。
AWDで比較すると「C40リチャージ」のツインモーターが719万なのに対し、「B6 e-4ORCE limited」が720万なので互角です。
同じSUVタイプのEV、高級車仕様でサイズ的にも似ている日産「アリア」も当然「C40リチャージ」の対抗馬になります。
ボルボというブランドに価値を見出すか、日産という日本ブランドを信頼するかは個人の好みの問題ですが、競合として争う資格はあると思います。
Volvo「C40 Recharge」の試乗会のロケーション
「C40リチャージ」の試乗会で強調すべきなのは会場です。「Beside Seaside」というカフェをボルボ専用(10:00-18:00は貸切で一般営業は18:00から)で用意し、カフェ内では「C40リチャージ」の説明の他に来場者専用のドリンクとカフェメニューが無料で提供されており、この辺りにもボルボの意欲を感じます。
ヒョンデ(ヒュンダイ)が原宿の以前ルイヴィトンやポルシェも使ったスペースを使って試乗イベントを5月まで開催してるのも斬新ですが、湾岸沿いのカフェを試乗会の会場として貸切にするボルボにもプレミアムなブランドとしての意地を感じます。
先日は「ヒョンデハウス原宿」でのトークイベントにも参加しましたが、その際の記事はこちらになります。
「ヒョンデハウス原宿」で「IONIQ5」に関するトークショーに参加した話【テスラはギガベルリンオープン】
ヒョンデ(ヒュンダイ)が「ヒョンデハウス原宿」で開発に携わった方のトークショーがあったので行ってきました。充電インフラやファームウェアのアップデートなどの話を通じてヒョンデのEVにかける熱意・日本市場への意欲が伝わってきました。同時期にテスラもギガベルリンをオープンさせており、海外勢のEV化が加速しています。
ディーラーを設けないテスラに近い方式でEVを販売するヒョンデ(ヒュンダイ)に対し、オンライン販売が中心でも従来のディーラー網をサービス拠点として再活用しようというボルボとスタンスの違いはありますが、EVという新しいものを提供するにはそれにあった新しいスタイルでという点で「なるべくガソリン車と同じように」というのを強調したがる他のメーカーとは違うものを感じました。
なお試乗会が終わると「Beside Seaside」は通常のカフェ営業に戻るようです。こちらも湾岸エリアのおすすめカフェの一つとして推奨できる雰囲気を感じましたので場所と地図は掲載しておきます。
住所:東京都港区海岸2-7
ボルボの「2030年までに全車EV化」に呼応するスウェーデンのEV化率
ヨーロッパのEV化率については毎月独立した記事で取り上げていますが、今回はボルボの母国スウェーデンの最新の統計が出ていたので取り上げてみます。
スウェーデンの2022年3月のEV化率は、BEVが31.8%、PHEVが23.7%で合計55.6%と前年同月の37%から大幅に増えています。
EVが嫌いな方だと「スウェーデンは寒いからEVよりPHEVが好まれるんだ!」とテキトーなことを言いそうですが、本国がスウェーデンであるボルボが2020年まではPHEVに軸足を置いた戦略だったのが影響しているというただそれだけの理由です。
車種別で見るとテスラの納車月なのもあって「モデルY」「モデル3」がぶっちぎりの首位争い、それに続くのがフォルクスワーゲン「ID.4」や先月は首位だった起亜「NiroEV」、その後ろに本国であるボルボの「XC40」や「Polestar2」が続きます。
本日取り上げた「C40リチャージ」については元々生産台数の少ない車種なのもあり、ランキングには入っていませんがメインで販売する「XC40」と「Polestar2」は上位に入っています。
ボルボも既に「2030年までに全車EV化」を表明しており、「1000キロ走れるStructural Battery」などの2025年以降の構想も打ち出しているのは以前の記事で解説しました。
ボルボの「Volvo Concept Recharge」の衝撃とは?【アンチEVの批判を一掃?】
ボルボが現在発売しているEVに続く第二弾として「Volvo Concept Recharge」を発表しました。これまでの内燃機関車をベースにしたプラットフォームとは違う広い車内空間を実現するEV専用の設計、バッテリーも「Structural Battery」により航続距離が1000キロ可能になる進化を見せています。
既に日本以外の国では「EVが中心になるのはもう当たり前、テーマはEVか内燃機関かではなく『いかにEVを進化させるか?』に移っている」状態です。
同感です。EVブームは脱炭素、デジタルシフト、経済戦略、国策、メーカーの思惑、他産業の思惑、すべてが絡んでいるので、エコかエコじゃないかだけを論点にすると間違えるんですが、すでに間違えてるかも。
— 中尾真二 (@bushdog) April 1, 2022
ヤフコメや2ちゃんねるなどを見ていると「EVはエコじゃない」「バッテリーを生産する際に二酸化炭素が発生するから意味がない」というのをEVを否定する根拠に使いたがるコメントが多くていつも呆れるのですが、「じゃあエコじゃなかったらみんなEVを止めてガソリン車に戻るの?」という素朴な疑問が生じます。
なぜか「エコかどうか?」ばかり問題にされて「EVに乗った方が快適」などのEVのメリットについてあまり語られないのも謎です。
今日はあえて「C40リチャージ」のEVとしてのスペックには触れずに「居住性」や回生ブレーキの「快適性」のみに触れてきましたが、基本的なEVとしてのスペックもこんな感じです。
- 搭載バッテリー容量が78kWh
- 航続距離は485キロ(WLTC)、EPAだと約364キロ
- 急速充電は150kWまで対応
EPAが364キロ走れるという時点で「日常使う分には全く問題なし」なので触れませんでしたが、大体の印象でヒョンデ(ヒュンダイ)「IONIQ5」と同じくらいか若干少ないくらいの航続距離ではないかと思われます。
急速充電も50kWに制限のようなこともなく150kWまで対応しますので、今後のCHAdeMOのグレードアップにも対応できるので長距離を移動した際の急速充電にも不安は全くありません。
などというと「じゃあ大黒PAで充電できるのか?」という不安材料もあったりしますが、これについてはまだ試したユーザーがいないので不明です(笑)。
ですが自宅に普通充電器が設置できるユーザーであれば毎日満充電で出発できて350キロ以上走れるというのは何の障害もなくEV生活ができるということです。
いや、この位の航続距離のEVであれば(つまりヒョンデ「IONIQ5」も同様)よほど距離を走る人を除けば自宅に充電器がなくても「週に1回何処かに充電に行く」とか「買い物などのついでにショッピングセンターなどにある無料の充電器で充電すればOK」という運用の仕方でも何とかなりますよね。
徐々にEVの欠点をあげて「EVなんか使えない」と叫んでいる人々が「できない理由」を必死に探す痛い人に見えるようになっているのは私だけではないと思います。
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