テスラの驚異の売り上げ台数から感じるEV化の勢いとは?
こんばんは、@kojisaitojpです。年末年始が入っている関係で毎月取り上げる世界各国のEV化率の統計などはまだ出ていませんが、その前にテスラから衝撃の数字が出てきました。
Tesla closes year with home run delivery numbers: Q4 – 308,600 vehicles
2021 – 936,172 vehicles deliveredhttps://t.co/IewlKpXqU6 pic.twitter.com/e5UrorI2xy
— TESLARATI (@Teslarati) January 2, 2022
この数字見て何を感じるでしょうか?
「ついに100万台近く売れるようになった」と脅威を感じるのか?
「たったの100万台位でドヤるな。1000万台売ってからドヤれ」とバカにするのか?
先に出しますが、これが株式市場の反応です。
でも株価が上がるとインチキインチキと発狂する奴って絶対儲けられないタイプだと思う(笑) pic.twitter.com/fd2I0TjX4E
— saito koji@2022はぴあアリーナ→バルセロナへ (@kojisaitojp) January 3, 2022
もちろんこれに対しても「さすがはテスラ」と感じる人もいれば「株価なんて実態を反映しないインチキだ」と叫ぶ人もいることでしょう。
というわけで今日は話題にするとなぜかヒステリックに怒り出す人も多い「テスラ」が発表した2021年の売り上げ台数から感じる世界のEV化の流れについて考えてみます。
目次
半導体不足でも前年比87%増のテスラの販売台数
ちょうどいいツイートがあったのでそのまま引用しますが、これがテスラのこの10年の売り上げ台数の推移です。
Tesla vehicle deliveries each year:
2021: 936,172
2020: 499,550
2019: 367,500
2018: 245,240
2017: 103,097
2016: 76,295
2015: 50,580
2014: 31,655
2013: 22,477
2012: 2,650
2011: 0— Jon Erlichman (@JonErlichman) January 2, 2022
一昨年2020年が約50万台だったのと比較すると約94万台の2021年は87%販売増です。
テスラのことを自動車メーカーと言ってしまうのは私は間違いだと思う立場ですが、他の自動車メーカーで前年比87%販売台数を増やせるメーカーはいるでしょうか?
手元にあった2019年のランキングで見るとスバルが約100万台ですから既に肩を並べる水準です。
あるいは2021年は世界の自動車メーカー各社が半導体不足によって工場の操業停止などもありましたのでもっと少ないかもしれません。
その中でテスラは既にEVのみの販売台数でスバルに迫る水準まで来ました。
しかもこの数字が驚異なのは「新型のモデルSやモデルXがほとんど含まれていない」という点です。
実際にテスラではモデルSとモデルXの生産が遅れていて、本国アメリカでも2021年中に納車できた台数がごくわずかでした。
つまり2021年の約94万台という数字は実質モデル3とモデルYだけで叩き出した数字です。
何十という車種を出すのが当たり前の自動車業界でこの事実だけを見ても驚異です。
世界中にEVへの抵抗勢力がいる中でのテスラの偉業
などという話をしても「テスラなんて品質もアフターサービスもクソなんだよ!」「売れてるのは今だけでそのうち落ちる」などと根拠なく言い出す方々が現れますが。
なぜか日本だとこのようなニュースばかり大げさに報道される傾向があります。
テスラ、米国で47.5万台リコール 年間生産台数に匹敵、過去最大:朝日新聞デジタル
米高速道路交通安全局(NHTSA)は30日、米電気自動車(EV)大手テスラが計約47・5万台をリコール(回収・無償修理)すると発表した。テスラのリコールとしては過去最大で、2020年の世界での年間販…
「年間生産台数に匹敵」などと報道されるととてつもない台数のようにも思えますが、自動車メーカーがリコールを出す時はこの位の台数になることはよくあることです。
ホンダ、米国などで計180万台リコール
ホンダは16日までに、車両のソフトウエアや窓のスイッチの不具合で複数のリコール(回収・無償修理)を実施すると明らかにした。対象は全世界で約180万台で、米国が約140万台を占めるという。日本で該当する車種はないという。ソフトウエア関連のリコールは米国を中心にセダン「アコード」など約78万台が対象となる。ウインカーな
これはホンダのリコールの例ですが台数で見てもテスラとは規模が違います。
しかも「ボンネットの不具合」とはいうものの「テスラはこのリコールに関連した衝突や負傷、死亡事故は把握していない」とあり、事故が起きる前にきちんと対応してるのになぜか日本では「テスラの品質ガー」と張り切って攻撃を始める人々が現れます。
Teslaや電気自動車関連のニュースは
悪い時は大きく
良い時は小さくor載せない https://t.co/YoHLWtu4dQ— テスラファン.in熊本 (@LOVE_FAN_Tesla) January 2, 2022
テスラユーザーではない私でも「なぜテスラの悪いニュースだけ大きく報じられるんだろう?」という疑問は以前から感じています。
まぁこの手の攻撃は日本だけではありませんが。こんな例もあります。
<米国株情報>テスラ、独「ギガファクトリー」完成目前で環境保護団体の抵抗に直面 – ニュース・コラム – Yahoo!ファイナンス
電気自動車(EV)大手テスラ<TSLA>が建設中のドイツのEV生産拠点「ギガファクトリー」が、地元の環境保護団体による…
ギガファクトリーベルリンについては昨年の段階で私のブログでもプレオープンの際に公開された最新の技術などを取り上げましたが、実はまだ稼働してません。
テスラ「ギガベルリン」が世界のEV化を加速?【ギガプレス・Structural Battery】
テスラがギガベルリンで公表した新技術は先日解説した4680セルだけではありません。ボディのチリ合わせを不要にする一体成形のボディを作り出す「ギガプレス」や車体にバッテリーが埋め込まれて一体化した「Structural Battery」によってバッテリー容量と航続距離の増加と安全性の向上と斬新な技術がてんこ盛りです。
というか稼働寸前まで来ると「環境保護団体」とか「自動車業界」などから次から次へとケチをつけられて邪魔されているというべきでしょうか。
よく「EV化はドイツ勢の日本潰しの陰謀だ」のような言い方をする人が日本では見られますが、ドイツでもEV化に抵抗する勢力はそれなりに力があって、テスラ・ギガファクトリーベルリンの開業を妨害したり、EV化を推し進めるフォルクスワーゲンのディースCEOを解任しようという動きがあったりとなかなかカオスです。
独VW、ディースCEO続投へ 権限は縮小=関係筋
労働組合との緊張が高まっている独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)のヘルベルト・ディース最高経営責任者(CEO)の進退を巡り、事情に詳しい複数の関係筋は、同氏が権限を縮小した形でCEOにとどまる可能性が高いと明らかにした。
結局解任は阻止したようですが、以前よりも権限が縮小されるようです。
労働組合から「EV化を進めると雇用が減少する」とか「EV化が性急すぎる」などと猛烈に批判されたようですが、日本にもそんなこと言ってるメーカーありましたよね。
「自動車業界550万人の雇用が失われる」などと少し前に言ってたような気がしますけど(笑)。
まぁそれは置いておいてもドイツでもEV化に抵抗する勢力はそれなりにいるわけで、決して「ドイツ勢が一枚岩となって日本メーカーを潰しに来てる」なんてデタラメもいいところです。
ホント、ただの自意識過剰。 https://t.co/dbvZJgaSBl
— saito koji@2022はぴあアリーナ→バルセロナへ (@kojisaitojp) December 27, 2021
ドイツ勢からすればEV化競争での真のライバルはテスラであり、BYDやNIO、Xpengなどの中国勢です。正直日本勢なんて視界にも入ってないと思うんですが「EV化は日本潰しだ」と日々ツイッターなどで叫んでいる人を見かけるのは「自意識過剰」以外の何ものでもないと思うのは私だけでしょうか?
よくたとえに使いますがロクに女性にモテもしないダサい男が「俺ってモテるんだ」と言ってるのと変わらないと思います(笑)。
2022年は150〜200万台も視野のテスラと無知な日本人
ツッコミどころ満載で引用するのもアホらしいと思いますが、それなりにフォロワーを中心に「いいね」をいただいたので引用してみます。
正気か?頭大丈夫か(笑) pic.twitter.com/lxDyNxVS0t
— saito koji@2022はぴあアリーナ→バルセロナへ (@kojisaitojp) December 15, 2021
基本的にテスラを何がなんでも罵ろう(論理的に根拠のある「批判」は別です)とするような知的水準の低い人々を相手にする気はないのですが、こういうレベルになるともう誹謗中傷のレベルですよね。
デザインを批判するのは自由ですが、テスラのデザイナーは元マツダの方だということを知ってるのでしょうか?
「内装がしょぼい」というのはテスラ以外でも外車でよく言われることですが、おそらく念頭にあるモデル3は「大衆車」です。大衆車の内装に何を期待してるのでしょう?
無駄を一切省いたシンプルな内装は好き嫌いが分かれるかもしれませんが、無駄にごちゃごちゃと不要な装備を盛り込んだ日本車に違和感を感じる私には「これで十分では?」と思うところです。
これはホンダeの内装ですが、あれもこれもと盛り込み過ぎた内装は反対に「その装備要らないから省いて安くしてくれ」と思ったりもます。
まぁ私がそんなことを言うと「文系のくせに」とか言いそうですけどね。実際に私のところにもEVの話で何か言うたびに「文系脳」などと罵ったクソコメがくることがあります。
そういう輩には「私立文系文学部卒で何か文句ある?」と言い返しますけどね。こちらは私立文系であること文学部卒であることをむしろ誇りに思ってますので。
ついでに言えば「大企業に依存しない個人事業主」という生き方にも誇りを持ってます。
まぁ「文系・理系などという区分こそが不毛」というのは以前の記事で論じたことがありますので、気が向けば読んでいただければと思いますが。
【無意味な区分け】「理系=論理的」「文系=バカ」って誰が決めた?
「論理的思考」とか「ロジカルシンキング」と言われると理系向けの話のように聞こえますが、実は文系でも必須のツールです。しかしこの論理的思考も実際はかなりいい加減なもので、これさえあれば何でも解決する的に捉えているとビジネスで間違いなく失敗します。今日は論理の一つ「因果関係」がいかにテキトーなものだという話をしてみます。
一応私も教育者の端くれなので現場で生徒に接してると「文系だろうが理系だろうがバカはバカ、まともな奴はまとも」という実例を無限に見てきています。
まぁ知的水準の低い人間にあれこれ言う気もないのでこの話はこの程度にしておきましょう。文字数の無駄です。
それより前を見ましょう。現実はこれです。
上海の生産能力が倍増してベルリン、テキサスが稼働したら今年何台売れるのか?
Tesla Giga Shanghai is barreling towards an output of over 1M vehicles per year https://t.co/BwLju60Igo— saito koji@2022はぴあアリーナ→バルセロナへ (@kojisaitojp) January 4, 2022
2021年は生産台数の限界から約94万台の売り上げにとどまったテスラ(そのせいで新型のモデルSやモデルXはロクに納車もされていない)ですが、2022年はベルリンやテキサスの新しいギガファクトリーが稼働し、上海工場も大幅に生産能力が拡大します。
これはドイツのテスラストアで撮ったものですが、2021年11月時点で納車が2022年以降と言われている「モデルY・パフォーマンス」などもギガベルリンが稼働し生産体制が整えば待たされることなく購入できるようになります。
生産体制が整い納車までの期間が短縮されればキャンセルの件数も当然減ることになりますので2022年のテスラの売り上げ台数は更に増えることでしょう。
もう一度ランキングを引用しますが、2021年の売り上げ台数の50%増しで約150万台に到達しマツダも抜かれます。
仮に100%増しで売れようものなら200万台近くが見えてきて次のターゲットであるBMWにも迫ってきます。
このような予想を「机上の空論だ」「文系脳」と罵るのは自由ですが、
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