ルノー「メガーヌ・e-Tech」「ルノー5EV」から感じる絶妙のコスパとは?【日産・アリアよりお得?】
こんばんは、@kojisaitojpです。現在ドイツ・ミュンヘンでモーターショーが開催されている関係から、ヨーロッパの自動車メーカー各社が次から次へと新しいEVを発表しています。
アリアと共通プラットフォームでスペックもそっくりなメガーヌが出てきた。
Renault Megane E-Tech Electric Debuts New Page In Company History https://t.co/K6zEZzxKgZ @insideevs.comより— saito koji@次の海外旅行の前にEV購入? (@kojisaitojp) September 6, 2021
ルノー5もメガーヌも手頃な価格で出てくるな。
【目標価格は約280万円】新型ルノー5 プロトタイプ初公開 2024年発売予定のEVハッチバック(AUTOCAR JAPAN)#Yahooニュースhttps://t.co/nhYrGNsjFf— saito koji@次の海外旅行の前にEV購入? (@kojisaitojp) September 7, 2021
特に「メガーヌ・e-Tech・エレクトリック」については同じアライアンスを組む日産の「アリア」と同じプラットフォームを使用したEVでかなり期待が持てる内容となっています。
昨日はフォルクスワーゲンの「ID.Life」と「ID.Buzzを用いた自動運転」について解説しましたが、今日はフランスのルノーが出してきた「メガーヌ・e-Tech・エレクトリック」と「ルノー5(ev)」について取り上げてみようと思います。
目次
「日産アリア」のプラットフォームで更に廉価な「メガーヌ・e-Tech・エレクトリック」
さて今回発表されたルノーの新型EVである「メガーヌ・e-Tech・エレクトリック」ですが、まず前提として同じアライアンスの日産と共同で開発した「CMF-EVプラットフォーム」という「日産・アリア」と共通のプラットフォームを使用していることには触れる必要があります。
この時点で「アリアと同じくらいの性能のEVなの?」と期待させられるところですがその通りで、バッテリーは40kWhと60kWhのものを二種類用意し、航続距離もそれぞれ300キロと470キロ(WLTPモード)を叩き出し、アリアと同じ130kWの急速充電に対応しているので30分の急速充電で「10%-80%」の充電が可能になっています。
ヨーロッパだと「Ionity」など最大350kWの超急速充電が可能になっているのでこのスペックが生かされるのですが、現在の日本に持ってくると「チャデモで50kWに制限されるのかぁ」とネガティブな感情を持ってしまうところは残念ですが。
先日の日産「アリア」の記事でも言ったようにせめて同じアライアンスの日産ディーラーでは130kWに対応して急速充電器を設置するのがユーザーに対する礼儀ではないのかと思うところです。
とはいえサイズが「4210×1780×1500」とアリアと比較すると日本でも扱いやすいサイズですし、最大で440リットルのラゲッジスペースはリーフやアリアと同等以上ですので「メガーヌ・e-Tech・エレクトリック」が日本に上陸した場合アリアより使い勝手の良いEVかもしれません。
ホイールベースもこのサイズの乗用車では広めの2700ミリとヒュンダイ(ヒョンデ)の「IONIQ5」の3000ミリには及ばないもののかなり広い車内空間が実現しています。
日産との絡みがあるので上陸するかは未定ですが、これまでのガソリン車の「メガーヌ」も日本で販売していますので上陸する可能性は大いにあると思います。
またその他の特徴としては12.3インチの巨大タッチスクリーンを用意しており、物理ボタンを極力排してタッチスクリーンに機能を集中させるというテスラなどに見られる流れを踏襲しています。
そして気になる価格ですが、今回は具体的な金額はルノー側から発表されていませんが、30000-35000ユーロ(約400〜460万)くらいと噂されており、仮に日本に上陸した場合アリアよりお得なEVとして売れる可能性がかなり高いと思われます。
ヨーロッパでの販売価格で見た場合日産の「アリア」のみならず「リーフ」よりも小型で安価となる可能性がありますのでかなり脅威になると思われます。
以前も解説しましたが、ルノーがこのように一気に新型のEVを発表するに至る経緯は、アライアンスを組む日産が中国資本のエンビジョンAESCと共同でバッテリー工場を設立し、フランス国内に誕生する工場からはルノーもバッテリーの供給を受けるというのが関係ありそうです。
「ルノー・日産・三菱連合」のバッテリー工場とEV化計画の本気度は?【ようやくお目覚め?】
日産がイギリスのサンダーランドに元子会社のエンビジョンAESCと共同でEV向けのバッテリー工場をオープンさせました。ボリス・ジョンソン首相もお祝いに駆けつけるなど、日産がいかにEV化において期待されているかがわかります。アライアンスのルノーも「ルノー5」をEVで復活など本気のEV化計画を発表し、ようやくお目覚めです。
ヨーロッパの自動車メーカーの中ではルノーはいち早く「ZOE」を発売して以降は開発が止まっており、最近急速にEV化にシフトしているフォルクスワーゲンやアウディ、メルセデスなどに遅れを取っている印象でしたが、バッテリー供給の目処がついたのもありようやくEVを本格展開できるようになったのではと思われます。
既に周知の事実かと思いますが、ヨーロッパでは「2035年以降EVとFCV以外の販売禁止」の方向にシフトしているのですから当然の流れです。
「ルノ−5」もBEVとして復活
以前から話題にはなっていましたが、今回のミュンヘン・モーターショーで「ルノー5」もEVとして復活が発表されています。
私のように以前ルノー「トゥインゴ」やシトロエン「C3プルリエル」など複数のフランス車に乗ってきた人間の目線でも「あのルノー5がEVで復活か」と感慨深いところです(旧型のルノー5は1972年〜1996年まで生産されていたので馴染みがあります)。
こちらは「CMF-BEV」というアリアやメガーヌで使われるCMFプラットフォームの小型車用のプラットフォームで作られており、現在発売中のルノー「ZOE」より33%安い価格で販売できると発表されています。
となると現在 のルノーZOEから推測するとルノー5は と300万円以下の低価格で販売することを目指しているようです。
昨日開設した「フォルクスワーゲン・ID.Life」も最低20000ユーロ(約260万円)と日本円で300万を切る価格を打ち出してきましたが、ルノー5も負けじの価格設定です。
日産・三菱の共同開発の軽自動車規格EV(「Sakura」と「ek-MiEV」?)が補助金込みで200万くらいを目指しているのは以前から解説している通りですが、この「ルノー5」や「フォルクスワーゲン・ID.Life」も仮に日本市場に投入された場合同じ価格水準での競争となると思われます。
「EVは都会の金持ちが道楽で乗るもの」のように10年以上前のイメージでEVを語る人が今でも日本では見られますが、世界の流れはとっくにそんな段階を終えて「EVの普及期」に入っていると感じるのは私だけでしょうか?
特に「ホットハッチ」と呼ばれ小型車が好まれるフランスにおいてもようやくEV化の流れが本格化しているという印象です。
「世界のEV化」を理解してないのは日本人だけ?
このようにミュンヘン・モーターショーがEV一色になっているにもかかわらず、日本では相変わらずEV化に必死で抵抗する勢力がまだまだ多いようです。
「EUでもEVから内燃機関に乗り換える傾向が強くなってきている」とかヤフコメで言ってる奴増えてきたけど、どこの統計見て言ってるんだ?各国で過去最高のEV化率更新中なんだけど。
— saito koji@次の海外旅行の前にEV購入? (@kojisaitojp) September 9, 2021
例えば最近ヤフコメなどでよく見かけるのが「EUでもEVから内燃機関に乗り換える傾向が強くなってきている」などというコメントなのですが、「どこをどう見ればそう見えるの?」と疑問を感じるところです。
「何を根拠に言ってるんだろう?」と思い統計を見てみると以下のようになっています。
これは本日取り上げたルノーの本国フランスのEV化率ですが確かにBEVで見ると6月の10.5%から7月は6.5%に減っています。反対にPHEVに関しては8.3%から9.3%と僅かに増えています。
実はこの時期は他のヨーロッパ諸国(イギリスやドイツなど)でも同様の傾向が見られ、「EVの限界に気づいたからPHEVにシフトしてるんだ」とドヤ顔でヤフコメやTwitterなどで発言しているアンチEVの方々が多く見られました。
この時私が書いた記事がこちらになります。もちろん「売れてない」というタイトルは釣りなのですが(笑)。
実はヨーロッパでEVは売れてない?【2021年7月の統計から考える】
2021年7月のヨーロッパでの新車販売台数とEV化率が出てきました。EV化率8割のノルウェーはもちろんのことドイツやフランスでも前年比2倍以上のEV化率が進行してます。同時にアメリカも2030年以降はPHEVこそはOKなもののハイブリッド車の販売は禁止の法案が通りそうでEV化に対応できない日本メーカーは窮地に陥ります。
ところが私も先日解説しましたが、2021年8月の統計はこれです。
6.5%から11.3%と以前流行った言葉を使うと「倍返し」という表現がぴったりなのではないでしょうか? 実はこの時期にヨーロッパ各国でEVに対する補助金のルールが変わったり(例えば高級車は除外など)、補助金の金額が減ったりしたので一時的に買い控えが起きたという事情があります。
なんて言うと「ほら、補助金に頼らないと売れないEVなんて不健全だ」と猛反発する層がいるのですが、翌月に見事に倍返しを食らっています(笑)。
ちなみにBEVとPHEVを合わせた19.8%というEV化率は過去最高水準です。
「こんなのはヨーロッパだけだ!世界には広がってない」と思う方はこちらの記事をご覧ください。アメリカや中国も同様にEVにシフトしていることを解説してますので。
「世界がEV化」の「世界」にはヨーロッパ・中国・アメリカ全部含まれる?【ノルウェーだけじゃない】
EV化というとノルウェーなどのヨーロッパがまず連想されますが、気がつけば中国もアメリカもEVが有利な制度に変更されたり、政府がEV化へシフトするための大型のインフラ投資をするなどのバックアップ体制も整ってきました。今回はEV化最先端のヨーロッパの状況に加えて、最近のアメリカや中国のEVへの動向も合わせて紹介します。
もういい加減に「日本ではEVは向いてないんだ」「日本では再エネは無理なんだ」と意地を張るのをやめて世界の流れに合わせていかないと日本以外の国で自動車を売れなくなるよと言いたくなるところなのですが、相変わらず「どうせEV化は失敗して内燃機関が復活する」など希望・願望をネット上で叫んでいる人が多数見られる残念な状況です。
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