日産・三菱の軽EVが「正しいEVの運用法」を教えてくれる?【航続距離も充電も問題なし】
こんばんは、@kojisaitojpです。日産では「アリア」の納車がようやくスタートしたようですが、私がアリア以上に重要と位置付けるこのEVも予定通り発売されそうです。
「実態は田舎の自宅充電可能なセカンドカー需要が殆ど」と叫んでる奴は悪口のつもりで言ってるんだけど、それが実現したら軽EVの目的が達成されたことになる(笑)。
「EV普及のトリガーになる」、軽EV発売へ日産副社長が自信を深める理由(ニュースイッチ)#Yahooニュースhttps://t.co/ZvBIsfnTuX— saito koji@2022はぴあアリーナ→バルセロナへ (@kojisaitojp) April 2, 2022
Twitterでもつぶやきましたが「田舎の自宅充電可能なセカンドカー需要」というのは日産・三菱がこの軽EVに期待する役割のど真ん中だと思うのは私だけでしょうか?
「航続距離が短い」だの「充電インフラガー」と文句を言い出しそうな層は最初からこのEVの潜在的顧客として想定されてないと思うのですが。。。
発表の記者会見で三菱が「EVだからと構えることなく普通に使えるEV」と言ってましたが、自宅で普通充電して日常生活の範囲内でセカンドカーのように使うEVとしては最適だと思うのですが。
上手くいけば「自宅で普通充電する」という、従来の「充電=急速充電」という誤ったEVのイメージを変える一台になりうるのでは?と私は期待してます。
そこで今日は日産と三菱が間も無く発売予定の軽自動車規格のEVを取り上げて、同時に中国で爆発的に売れてる「宏光MiniEV」と比較しながら「実は低スペックなEVでも日常生活は十分快適」というEVのメリットに触れたいと思います。
目次
「自宅充電できないユーザーは買うな」と言うのが適切な日産・三菱の軽EVの可能性
「日産・三菱の軽自動車EV」と書くのは長いので車名で書きたいところですが(一応日産は「サクラ」、三菱は「ekMiEV」という噂)確定してませんのでまだ使いません。
正式な発売日が発表されていないのでスペックもはっきりは出ていませんが、現時点で伝えられているものだと、
- 搭載バッテリー容量は20kWh
- 航続距離は180〜200キロ位?
- 急速充電や外部給電(V2H)にも対応
と以前三菱が発売していた「アイミーブ」よりバッテリー容量や航続距離が増えたもの、価格はアイミーブ発売当時からバッテリー価格が下がっているので「補助金込みで200万前後に抑える」と発表されています。補助金抜きで250万くらいでしょうか。
サイズは軽自動車規格ですので「全長3395mm、全幅1475mm、全高1670mm」と軽自動車の規格を目一杯使ってくるようです。
そしてこの軽EVに対する補助金は破格で、普通車のようにバッテリー容量に応じて金額が変動するのではなく軽EVには経済産業省から55万円出ます(最大85万円)。
この金額は普通車のホンダeやマツダ「MX-30」より高いですし、テスラも「モデル3」が60万円ですから(外部給電がないのでバッテリー容量の割に少ない)軽EVが破格なのは間違いありません。
これに加えて都道府県の自治体が追加で補助金を出します。
最も大盤振る舞いの東京都の場合は軽EVでもMAXの60万が出ることが発表されています。
東京都、軽EV購入補助金 最大60万円 国の制度上回り登録車と同額 脱炭素目標達成に弾み|自動車流通・新車ディーラー|紙面記事
カーボンニュートラルに向けて軽のEV販売を後押し(写真は三菱自が発売する予定の軽乗用EV) 東京都は、2022年度に実施予定の都独自の電気自動車(EV)向け購入補助金で軽自動車への支給額を登録車と同額にする。国の「クリーンエネルギー自動車(CEV)・インフラ導入促進補助金」事業では登録車と…
更に東京都の場合は市区町村の補助金もあります。私が住んでいる北区はありませんが、隣の足立区は10万円、その隣の葛飾区では25万円も更に追加されます。
となると東京都葛飾区在住の場合「55万+60万+25万=130万」になります。
ということは正確な価格は日産からも三菱からも出てませんが「国の補助金込みで実質200万くらい」と言ってますので東京都だとそこから更に60-85万返ってくることになります。
150万前後で買えるなら「迷わず買い」と言ってしまいたくなる価格です。
ただしこの航続距離ですから「一軒家などに住んでいて自宅で充電可能な人」以外はこのEVに手を出すべきでないのは冒頭でも言った通りです。
と言ったところで「こんな航続距離じゃ」と必ず文句を言う人がいそうですが、自宅で充電できて毎日満充電で出発できる環境であれば200キロ以下の航続距離で困りますか?という話です。
あくまで日常の通勤や買い物などの街乗り専用、「長距離はワンボックスなどの大きなガソリン車があって、セカンドカーは日常用の軽自動車」という地方にありがちな家庭の軽自動車をEVに置き換えるという位の位置付けです。
納得行かないなら次の項でデータを示します。
日産・三菱の軽EVでも「航続距離」「充電」は問題にならない?
先ほども言いましたがこのEVに対しては「200キロも走れない航続距離じゃ使えない」「急速充電インフラはどうするんだ?」と猛烈な勢いで否定する勢力がいることでしょう。
こちらはソニー損保が出している「2021年 全国カーライフ実態調査」における平均の走行距離なのですが、どの年代でも年間6000キロくらいです。
単純計算だと1ヶ月で500キロ、1日平均だと20キロにも満たない距離が日本人の平均の走行距離です。
なんて言うと「いや、俺は毎日100キロ走る」と例外アピールをする人が必ず現れますが、心配無用、宏光MiniEVと違って日産・三菱の軽EVであれば200キロ前後は走れます。
ただし冒頭から言ってるように「自宅で普通充電できればね」という条件は絶対に外せません。
反対に毎日自宅で普通充電できる環境であれば毎朝満タンで出発(つまり200キロ前後走れる状態)できます。これで距離が足りないという人こそごく少数だと思いますが。
更に付け加えれば通勤で使用する場合であれば会社の駐車場などにコンセント(か普通充電器)があれば会社にいる間も普通充電できるので更に走れる距離を伸ばせます。仕事で使わなかった場合には帰宅しようと会社を出発する時も満充電(200キロ前後走れる状態)です。
これで生活困りますか?というシンプルな話です。
今の説明でお分かりのように日本だと日産・三菱の軽EVを運用する場合は「急速充電」そのものがほとんど不要な状態で日常生活を送れます。
と言ったところで「年に一回の帰省の時はどうするんだ?」と怒る人がいそうなのもわかります。
あとは個人の価値観の問題ですよね。その年に一回の帰省のために燃料代もメンテナンスコストも大幅に安くなるEVの利便性を放棄するのか、それとも「年に一回なら充電待ちとかで多少不便でも我慢」「年に一回ならレンタカーやカーシェアで距離走れるガソリン車でも借りればOK」と割り切れるのか。
現在は高速道路のSAPAに基本的に1基しかない急速充電器ですが、性能に問題こそあれeMobilityPowerが設置を進める新型の充電器が今後増えていけば一気に6基になって最大6台充電可能と今後充電インフラは改良されることはあっても悪化することはほぼないと言えます。
ここのところ私も複数の記事で「EVの利便性・快適性」「EVのメンテナンスコストの安さ」を強調していますが、「自宅充電ができる環境で走行距離が1日100キロ程度」の人であればEVに変更することはメリットこそあれデメリットがほぼない環境が日本でさえ整っています。
「EVを選ぶのは便利だから」というのが理解できないのはマインドの問題?【メンテナンス費用も節約】
EVのデメリットとして「バッテリーが劣化する」とか「充電インフラが」と問題ばかり指摘されますが、中国で「宏光MiniEV」という航続距離も100キロ前後、急速充電なしで普通充電のみという低スペックのEVでもバカ売れしてる事実を見ると「メンテナンス費用も安くて実は運用しやすい」というEVのメリットが見えてきます。
繰り返しですが「マンション住まいだから」「駐車場が月極だから」などという方々には対象外のEVですのでいちいち私に文句をぶつけないで黙っててくださいね(笑)。
自宅に普通充電器(又は200Vコンセント)を設置できない環境であれば航続距離の長いEV、テスラ「モデル3」、ヒョンデ(ヒュンダイ)「IONIQ5」や昨日紹介したボルボ「C40Recharge」辺りは最低限必要になります。
本来の用法ではない「高速道路」でも使えないことはない?
一応言っておきますが、日産・三菱の軽EVでも高速道路で使えないことはありません。
もちろん毎日高速道路で長い距離を走るような方には該当しない(というかオススメしません)ですが、たまに走る程度であれば休憩時間中に急速充電すれば問題なく使えます。
300km以上を無休憩で走る車は6%ですな。https://t.co/y9B9r4Ue97
. pic.twitter.com/6XFegws9eG— Keiichiro SAKURAI (@kei_sakurai) April 3, 2022
私のところにも「300キロ以上休憩なしで走るから200キロしか走れないEVなんて使えねぇんだよ!」と必ず怒りながら文句を言ってくる人が現れますが、300キロ以上を休憩なしで走る人はガソリン車でもほとんどいないのが現状です。
実際NEXCO辺りでは「2時間に一回は休憩しましょう」と過労運転にならないように休憩を取ることが推奨されてますので、例えば時速100キロで1時間半(150キロ弱?)走って休憩を取れば走れないことはないです。
歯切れが悪いのは「軽EVはそういう用途を想定してないだろう」というのがありますので、「でも使ってみたら不便だった」とユーザーが文句を言う資格はないと思いますが。
これに真面目に注釈をつければ「男尊女卑」とか「子供の面倒は見ない」とは昭和の価値観が凝縮された価値観といわゆる「車好き」の価値観の親和性が高いと言うべきか。
偶然ではないと思う。— saito koji@2022はぴあアリーナ→バルセロナへ (@kojisaitojp) April 3, 2022
個人的には休憩を取らないで何百キロも走るドライバーは「同乗者の負担を全く関係ない独りよがりの運転しかできないドライバー」だと思いますけど。
中国市場を席巻の「宏光MiniEV」の役割が日本では日産・三菱の軽EV?
今日は「自宅充電前提」「セカンドカー用途」として日産(サクラ?)・三菱(ekMiEV?)の軽自動車EVについて触れてきましたが、実はこのくらいのスペックで何も問題がないことは中国の「宏光MiniEV」が中国でバカ売れしてることからもわかります。
宏光MiniEVは本日紹介した軽EV以上の低スペックで、
- 搭載バッテリー容量は9.3kWhと13.9kWh
- 航続距離はそれぞれ120キロと170キロ(NEDC基準)
- 急速充電なし・普通充電のみ
こんなスペックです。航続距離に関してはNEDCという中国のアテにならない基準ですが、9.3kWhの方でも100キロ前後は走行可能なようです。
私も昨年名古屋大学に展示されているのを見に行ってきましたが、本当に必要最低限の装備、日常の足代わりになればOKという割り切ったEVです。じゃなかったら最も安いグレードで約45万円で販売できません(名古屋大学に展示されていたのはエアコン付きの60万円前後のモデル)。
宏光MiniEVを見に名古屋まで行ってきた話【日本で必要なのはこういうEV?】
名古屋大学の「C-Tec」で展示されている「宏光MiniEV」を見学しに名古屋まで行ってきました。「価格45万円から」の低価格と日本の軽自動車サイズに近いサイズから中国で最も売れているEVですが、「日本でも日常使いにはこれで十分な人が大半では?」と感じます。実物を見た感想を述べつつ、EVの普及に必要なことを考えます。
ちなみにこのEVに対して「高速道路を時速100キロで走行し、クーラーをつけても達成可能な」アメリカのEPAサイクルを持ってきても役に立たないです。
三菱「アイミーブ」などでも同様でしたが、実質街乗りでしか使用しないEVにEPAを当てはめると厳しすぎる基準になってしまい適切な距離が出せません。
という前置きが必ず必要になりますが、このEVが中国で果たしている役割を日産・三菱の軽EVが日本で果たせるのでは?というのが私の問題意識です。
中国一国だと「モデル3」「モデルY」の上を行く驚異の売上台数を誇る宏光MiniEVですが、日本で最も売れ筋の軽自動車セグメントの日産・三菱の軽EVなら台数でテスラに対抗できるかもしれません。
航続距離?普通充電のみ?何も心配要らないと思います。
繰り返し言ってるけど、どう考えても日本人より短気で我慢が効かない人の割合が高い中国人でも出来てるわけで。
— saito koji@2022はぴあアリーナ→バルセロナへ (@kojisaitojp) April 1, 2022
中国人に対する好き嫌いはあるかと思いますが、基本的に日本人より短気ですし、何か不満があると猛烈な勢いで怒る人が多い気質の民族ですよ。そんな国でテスラを超える売上台数を1年以上継続しています。
本当に不便で使えないのであればとっくに売れなくなってると思うのは私だけでしょうか?
日産・三菱の軽EVはこの宏光MiniEVよりはハイスペックで航続距離もありますし、一応急速充電も可能です。ますます不便で使えないわけがないと思うのは私だけでしょうか?
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