今更?メルセデス「EQC」に試乗してきた話【航続距離もスペックも悪くないけど…】
こんばんは、@kojisaitojpです。「今の日本で乗れる全てのEVに試乗する」という目的の下に毎週試乗に行ってますが、今週はこれに乗ってみました。
特に興味を持つEVではなかったけど「メルセデスはやる気あるな」という印象は持てた。営業マンもテスラとか乗って勉強してたし。 pic.twitter.com/jqlfFKmRli
— saito koji@2022はぴあアリーナ→バルセロナへ (@kojisaitojp) February 12, 2022
現行のメルセデスが販売してるEVの中だと「EQA」の方に興味があり、更には年内に発売が噂される「EQB」にも興味がありますが、現在のメルセデスディーラーで試乗できるのは「EQC」のみでした。
「EQC」はメルセデスが最初に発売したEVで、ガソリン車のプラットフォームをそのまま使っているのもあり(後述)厳しい評価をされていたりもしますが、先日アウディ「e-Tron スポーツバック」同様に「この会社がEVで何を実現しようとしているのか?」と測ることはできると思います。
そこで今日はメルセデス「EQC」に試乗した話を中心に、「EQCを発売してしばらく経ってから本気のEV化を始めたメルセデス」の可能性についても解説しようと思います。
目次
過渡期のEVで若干物足りないメルセデス「EQC」に試乗
ディーラーでの試乗車は全ての車種を用意しているわけではなく、現在の都内のメルセデスディーラーを見た感じだと「EQC」のみしか試乗車が用意されてないようです。
最近発売が発表された「EQB」は望めませんが、個人的には「EQA」の方が自分の好みには近かったですが。
とはいえメルセデスのEVがどういうものか体験するなら問題ありません。
今回の「EQC」のEVとしてのスペックを簡単に挙げておくと、
- バッテリー容量80kWh、航続距離400キロ(WLTCモード)・357.1キロ(EPA)
- 充電出力は50kWに抑制(今後最大110kWに変更)
- 試乗したのは「EQC 400 4MATIC」
というスペックだけを見ると「バッテリー容量の割に航続距離が短い」と思うかもしれません。まぁ2400キロの巨体なので仕方のない面もありますが、他社のEV以上にバッファー(電池の容量を使わず、安全のために残しておく容量)を多めに(5.68kWhという説も)取るのがメルセデスのEVの特徴です。
同じようなバッファーは日産「リーフ」などでも見られますが、安全性以外のメリットとしては「バッテリーが冷えてても急速充電の速度が出る」というのもあります。
またこれまで発売されていた「EQC」は充電出力が50kWに制限されており(ヨーロッパ・アメリカ向けは110kW)「CHAdeMOめ」と言いたくなるところでしたが、先日今度発売される車両では110kWのCHAdeMOに対応することを発表しています。
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これで欠点の一つが解消したかなという印象です。
走りに関しては「重い」なというのは誰もが感じることかと思います。アクセスを踏んだ際の動き出しの際に「やっぱり2400キロあるんだな」と重さを実感できますが、結局はEVなので踏めば飛びます(笑)。
実際にカタログ上の「0-100キロ」の加速が5.1秒と、「EQC」よりはるかに重量が軽い日産「リーフ」やマツダ「MX-30」より全然速いところは驚きです。
元のベースが「GLC」ですからスペースも十分あります。ベースがガソリン車なのでセンタートンネルがあったりと残念な面もあります。
後は回生ブレーキがハンドルについているパドルシフトで「+・ゼロ・-1・-2」まで調整できます。
これによって私がEVに試乗するたびにこだわる「ピッチング(前後の揺れ)」も調整でき、「+」は回生なしなのでガソリン車などと同等、ゼロ(正確には「D」と表記)と「-1」は軽い回生ブレーキなのもあってピッチングも抑えられています。
営業マンが「-2」にすると「テスラと変わらないです」と言ってましたが、確かにそれなりに揺れました(笑)。
別にモータージャーナリストでもないので多くは語りませんが、「思ったより悪くないな」という印象でした。
価格や車体のサイズ的に競合がテスラ「モデルX」やアウディ「e-tron」辺りになりますが、自分の好みに合わせて選べばいいのでは?というレベルです。
以前の、ちょうど一年前の記事を見直すと「メルセデスこれで大丈夫なの?」という論調でメルセデスのEV化を疑問視する記事を書いてました。
メルセデス「EQA」に漂う「大丈夫か?」という雰囲気はなぜ?【ポルシェ「タイカン」や日産「アリア」と比較】
メルセデスがようやく「GLA」のプラットフォームを活用した三度サイズSUVの「EQA」をリリースしました。しかし電気自動車専用の設計ではない点からポルシェ「タイカン」や日産「アリア」と比べると不十分なところも多く見られ、正直これで良いのか?という雰囲気があります。その結果は「EQS」が発表されれば分かります。
とはいえ上記の記事を書いた2021年1月頃にメルセデスに抱いていた不安は4月に「EQS」を発表し、その後次から次へとEVの発売を発表した現在では解消されています。
「メルセデスさん、ナメててすみませんでした」という感想です(笑)。
あえて言えばディーラー設置の急速充電器が現時点では最大50kWで「110kWまで対応しても使えないな」という不満点はありますが、「EQS」クラスのEVを保有する方であれば一軒家で自宅充電という方も多いでしょうから日常使う分には問題のないEVでしょう。
ちなみにメルセデス純正の普通充電器も先日のポルシェ同様にかっこいいです。
現在であればEVを購入すれば普通充電器は無料、工事費も10万円まで補助と、既にウォールコネクターの無料サービスなどを打ち切っているテスラなどと比較すると太っ腹のサービスが続いています。
もちろん最大6kWに対応なので、夜に帰宅して充電しておけば毎朝満充電で出発できます。
メルセデスのEVで期待は2022年発売の「EQS」と「EQB」
とはいえ現在発売されている「EQC」や「EQA」よりもメルセデスの本気を感じることができるのは2022年中に発売を予定している「EQS」でしょう。
「EQS」については過去に何度も記事を書いているのでこちらもご参照いただければと思います。
ついに「メルセデス・EQS」の全貌が公開!【テスラ超えのスペック?】
電気自動車(BEV)では他のドイツ勢やテスラと比較して遅れていたメルセデスがついにフラッグシップ「EQS」において「これぞメルセデス」というスペックをワールドプレミアで公開してきました。航続距離だけではなく「ショーファーカー」であることを踏まえた後部座席を含む室内空間の充実度など間違いなくトップクラスのEVになります。
ついに「メルセデス・EQS」の全貌が公開!【テスラ超えのスペック?】
電気自動車(BEV)では他のドイツ勢やテスラと比較して遅れていたメルセデスがついにフラッグシップ「EQS」において「これぞメルセデス」というスペックをワールドプレミアで公開してきました。航続距離だけではなく「ショーファーカー」であることを踏まえた後部座席を含む室内空間の充実度など間違いなくトップクラスのEVになります。
この「EQS」の発表以降メルセデスは次から次へと現行のガソリン車・ディーゼル車に相当するEVを発表しており、2030年以降「新車販売はEVのみ」という目標へ向けて突っ走っています。
最近だと現行のEクラス相当の「EQE」やGクラス相当の「EQG」、更にはマイバッハのEV化も発表しており、ガチの本気を感じるところです。
「EQE」「EQG」「マイバッハ」と矢継ぎ早のメルセデスのEV化攻勢の勝算は?
現在開催中のミュンヘンモーターショーに合わせてメルセデスが「EQE」「EQG」やマイバッハのEVバージョンも発表しており急速にEVシフトを進めています。新型コロナウイルスの影響もあり日本メーカーは全車不参加となっていますが、このようにやる気を疑われる姿勢で世界のEV化戦争に勝てる可能性は徐々に低くなっています。
私が今では「メルセデスさん、ナメててすみませんでした」という状態になっているのはご理解いただけるかと思います。
メルセデス・ベンツ中野のロケーション
今回伺ったメルセデスのディーラーの紹介もしておきます。
住所:東京都中野区中央3-13-11
JR中野駅から徒歩15分ほど、東京メトロ丸の内線、都営大江戸線 中野坂上駅から徒歩15分くらいです。駐車場もあるので車で行くことをお勧めします。
メルセデスの本気のEVに触れたいなら「EQC」ではなく「EQS」と「EQB」がベスト?
今回私が試乗したメルセデス「EQC」については、「まだガソリン車をコンバージョンしたものなので限界はあるよね」という感想でした。
ですが今後登場するフラッグシップセダンの「EQS」からは新型のEV専用プラットフォーム「エレクトリック・ビークル・アーキテクチャ(EVA)」を使用した本格的なEVが登場するので評価も一気に変わるかと思います。
どこがとは言いませんがこれまで行ったいくつかのディーラーでは「あれ?この人EVのこときちんとわかって話してるの?」と思ってしまうような営業マンも複数いましたが、メルセデスの営業マンは実際にテスラなども試乗したことがあるようで、EVのこともそれなりに勉強している印象でした。
メーカーがいくらEV化を急速に進めたとしても肝心の現場、特に顧客と接する営業マンがEVのことをよくわからない、あるいは個人的にアンチEVの立場だったりすると顧客に正しい情報を提供できませんで上手くいきません。
「自分と対等にEVの話ができるか?」というのを営業マンを見る基準に勝手にしてますが、そういう面でもメルセデスは「EVシフトに対応できそう」という印象を持ちました。
ちなみに先ほど少し触れた「EQB」についてはディーラーの営業マンも「楽しみにしててください」とかなり自信を持っているようでした。
標準では5人乗りですが、オプションでまだEVでは非常に少ない7人乗りにすることも可能で、車両のサイズも「4684mm/1834mm/1701mm」と横幅もEVの中では小さい方です
既に海外では発売されていますが日本でも2022年中には発売するとのことですので、メルセデスから詳細が出たら私もブログで解説しようと思います。
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