思い付きで夜中に「ホンダe」をカーシェアして都内を走った話【価格以外は合格?】
こんにちは、@kojisaitojpです。ゴールデンウィークで手持ち無沙汰なのもあり、思いつきで試してきました。
夜中暇だったので試しに借りてみたんだけどこりゃ売れないってのが第一印象(笑) pic.twitter.com/EmBkvs1wTw
— saito koji@次の海外旅行の前にEV購入? (@kojisaitojp) April 30, 2021
これまでは「EVに後ろ向きのメーカーのEVなんか乗りたくないよ」という感情が優先していたので避けていましたが、私の家からすぐ近くのホンダディーラーでカーシェアできるのは知っていました。
とはいえ先日もアップしたようにホンダが「2040年から全車EV化」を日本メーカーで最初に(なぜ日産じゃない?)発表しましたので「これは試さないわけにはいかない」と思いチャレンジしてきました。
まぁ実際に乗った感想は以前「ホンダe」について取り上げた記事でも述べたように「中途半端なEVだなぁ」という印象です。
ただしサイズ面など肯定的に評価できる側面もあるので、EV化を発表したホンダの今後に生かされるようにとの思いも込めてレビューを書いてみます。
価格を考えるとテスラ・モデル3には絶対勝てないなと思いましたが、あくまでこのEVがお試しで今後本気のEVが出るという期待値を込めれば「最初の作品としてはまぁまぁ」というのが感想です。
というわけで今日はこの「ホンダe」にカーシェアで試乗した感想がメインです。
目次
今回の「ホンダe」のスペックと乗り心地は?
今回カーシェアで借りた「ホンダe」は2020年に発売されたばかりの新しいEVで、「搭載バッテリー容量35.5kWh、航続距離(欧州WLTC)202キロ〜220キロ、0-100キロの加速が8.3〜9.5秒」と加速を重視したテスラ車などと比べると劣るスペックにも見えますが、それでもその辺のガソリン車には負けないスペックです。
バッテリー容量が35.5kWhと小さいのは「シティーコミューター」に用途をあえて限定したためと当時のホンダは言っていますが、実際は「バッテリーが調達できなかっただけじゃないの?」という見方もできます。
実際に中国メーカーのバッテリーを使用した中国限定で発売されているEVは60kWh以上の容量の車種もあります。中国で発表されたEVについてはこちらをご覧ください。
ホンダも公開した「SUV E:Prototype」は本気のEVなのか?【中国メーカーとGMに依存?】
「ホンダe」以外にほとんどEVを発売していないホンダが中国市場限定ではありますが「SUV E:Prototype」がベースのEVを2022年に発売すると発表がありました。具体的なスペックは不明ですが、先行するフォルクスワーゲンやテスラなどと比較してプラットホームやバッテリー生産体制、充電インフラの構築などに注目です。
「シティーコミューターに限定しているので航続距離も短めで十分」というのも当時のホンダの主張ですが、航続距離が欧州WLTCで202キロ〜220キロと言われていますが、私が実際に走行した感じだと「エアコンオフで空いている一般道ならもう少し走りそう」という印象です(後述)。
この辺りは運転の個人差があるので一概には言えないと思います。
また一応言っておきますがシティーコミューターなので「高速道路を時速100キロで走行し、クーラーをつけても云々」の基準にはあえて触れません。
ここで繰り返し「当時のホンダ」とほんの少し前のことなのに区別を設けているのは「現在の社長になる前の話」だからです。旧体制がやったことですので、現体制とは全く別個のものと考えるべきでしょう。
サイズに関しては3895(全長)×1750(全幅)×1510(全高)mm、ホイールベースは2530mmとヨーロッパでいうBセグメントのコンパクトカーに該当するのが「ホンダe」の最大の長所で、小回りも最小回転半径4.3メートルと軽自動車級ですし、私もテスラ車なら怖くて出来なかった狭い路地とか停めにくいコインパーキングなどを試してみましたが、私が日々乗っているゴルフ5より使いやすいサイズに感じました。
サイズは小さいですが何だかんだ言ってもEVの加速ですから無理やり追い越そうとするガラの悪い車がいても大抵の場合は少し加速してやると抜けなくて諦めてくれます(笑)。
車両価格が451万円と495万円という高さが最大のネックです。現在の値下げされた「テスラ・モデル3」が補助金適用前の価格で429万ですから、2倍以上の航続距離を誇るテスラより高いとなると「買う人いるのかな?」というのが正直な印象です。
こういうEVを発売している限りは「EVなんて都会の金持ちが道楽で乗るもんだ」的な某有名自動車メーカーの幹部が言ったような暴言にもつながってしまいます。
まぁEVに対して全くやる気なしだった前社長の体制の時に「EUの排ガス規制に対応するため」という消極的な理由で作られたEVですから仕方ないの一言で終わりですが。
テスラの「モデル3」「モデルX」「モデルS」と立て続けに乗った後だったのでどうしても比較になりますが、「ホンダe」には「ホンダe」の魅力があるなと思う部分はありました。
次の項目で説明します。
私なりに感じた「ホンダe」を選ぶメリットとデメリットとは?
先ほどはスペック解説に重点を置いて「ホンダe」について説明しましたが、一応私なりの「ホンダe」に対して感じたメリットとデメリットを簡単にまとめると以下のような感じです。
- まずサイズが小さいので小回りがきく
- 言われているほど電費は悪くない
- エンタメ系はあってもなくてもという「ガラケー仕様」
- 価格が高いので今は買う価値がないがいずれ中古だと魅力的になるかも?
まずサイズに関しては先ほど説明した通りです。テスラ車や日産リーフなどより小さくて小回りのきく車体は現在発売されているEVの中では貴重(同じくらいなのはプジョー「e-208」くらい)ですので街乗りに特化したモデルと思えば不満はありません。
次に電費ですが、私の場合は「7.5km/kWh」の数値が出ましたが、ネット上で調べていると平均燃費は6くらいが多いようで「電費が悪い」と言っている人が多いです。
この違いは「夏の暑い時期以外は原則エアコンオフ」「急発進急加速急ブレーキはやらない」と言う私の使用スタイルが影響していると思います。
反対に「常にエアコンはオン」「運転は急加速と急ブレーキの繰り返し」だったりすると6を下回る電費になるかもしれません。
ちなみに7.5/kWhだと260キロ以上走れることになり、カタログ値を超えます。EVでは珍しいことではありませんが。
先ほど「欧州WLTC」を引用したのも実はここに理由があります。
「シティーコミューター」で街乗りが中心であるというホンダのコンセプトに従えば「高速道路を時速100キロでクーラーをつけても」という例のEPA基準は不要です。
インフォテイメントシステムについては「Honda Connect」という独自のものが用意されており、これを用いるもよしではありますが(iPhoneなどを持ち出して同期すれば更に快適)、「この巨大ディスプレイ必要か?」というのが私の感想です。
縦置き・横置きの違いはありましたがテスラのように一枚のディスプレイで十分だと思います。助手席側のディスプレイを運転席とは全く別のことに使えるというのは一見メリットのような気もしますが「それで車両価格上がったのなら不要」というのが私の見解です。
この辺りが「テスラがスマホならホンダeはハイスペックなガラケー」に感じる部分です。
「ハイスペックなガラケー」にふさわしくACコンセントやUSBは抜かりなく装備されています。私は短時間のカーシェアだったので試してませんが、任天堂Switchやソニープレイステーションなどを接続してゲームをやることも可能なようです。
ただ新車販売の車両価格だけは高すぎます。使うかどうかわからないような機能を搭載するくらいなら、この辺の装備をオプションにして価格を下げるとかできなかったのかな?と思ってしまいます。
仮にこの「ホンダe」が「日産リーフ」と同じか若干安いくらいの価格であればそれなりに勝負になったのに…というのが残念な点です。
ただし私が以前三菱「i-MiEV」でも述べたように、数年後に中古車として市場に出てきた際にはお得なEVとなっている可能性はあります。私も新車価格の半額くらいまで中古車価格が下がってきたら試してみたいと思う一台です。
三菱ディーラーでチャデモ充電もお試し
航続距離が200キロちょっとと言われる車ですが、今回は都内をちょっと走ってみただけですので充電は不要でしたが、「実験」としてテスラのスーパーチャージャー以外の充電も体験したいので、西新宿の三菱ディーラーで急速充電をやってみました。
なお先ほどのスペックでは触れませんでしたが「ホンダe」はヨーロッパ仕様では最大出力100kWなのですが、日本仕様だけはチャデモの規格に合わせて50kWに制限されています。
とはいえバッテリー容量自体が35.5kWhと小さいので充電も短時間で終わりますし、「このバッテリー容量なら問題ないかな」というのが私の感想です。テスラ車で来ていた場合は感想が全然違うと思いますが。
今回は短い時間の充電(15分)にとどめましたが、100キロ分くらいの容量は充電されたようです。
住所:東京都新宿区西新宿4-41-12
なおテスラ車については以下のような注意書きがありましたが、ネット上でも時々指摘されているように「テスラ車がチャデモを使うと上手くいかないことが多い」という噂は本当なのでしょうか。
ちなみに駐車スペースが狭い(おそらくi-MiEVを想定して作られたと思われる狭いスペース)のは欠点で「ホンダe」や「日産リーフ」くらいまでは問題なく停められるでしょうが、テスラだとモデル3辺りでも多少神経を使いそうです。
とはいえ三菱ディーラーの充電器は50kWの出力で、現行のチャデモではMAXまで出ますので比較的おすすめできます。
高い「ホンダe」もカーシェアなら乗れます
私はよく「アンチEVの人が一回でもEVを運転するとその性能の良さに気づいて悪口を言えなくなる」「一回でも乗るとアンチが減ってしまうからEVに対して生理的嫌悪感を持つようにマスコミを使ってEVの悪口を言いまくっている」ということをTwitterなどで発言しています。
本日のホンダeも正直買うのは高いですが、現在であれば「カーシェア」というレンタカーと比べると比較的割安の料金で電気自動車(EV)を試すことができます。
私の本音としては「乗ったこともないのにEV嫌いを自称する人」に乗ってほしいといつも思っています。
ホンダeに関しては私がいつも使用するAnycaの登録車はないので、ホンダ独自のカーシェア「everygo」になります。
「EVなんて〜」と乗ったこともないのに悪口を言うくらいであれば一度テスラ車でも日産リーフでもホンダeでもカーシェアで乗ってみてそれから判断しても遅くはないと私は思います。
バッテリーの温度が上がると思うようにいかないのかな。。。 https://t.co/DJfYxbiuQ5
— saito koji@次の海外旅行の前にEV購入? (@kojisaitojp) May 1, 2021
今回の「ホンダe」に関しては確かにスペック的には低スペックで高速道路を使用した長距離移動には全く向かないなど、問題はたくさんあるので万人に推奨できるEVではありません。
ですが先日の「Wuling HongGuang Mini EV」や「Ora BlackCat」について述べた記事でも触れたように「低スペックでもおしゃれ、可愛い」などのイメージでEVを普及させることは可能ですし、スペックではなく「可愛い」などのイメージで動くことの多い女性を取り込むには有効な戦略だと私は思っています。
「インスタ映え」する中国メーカーのEVマーケティング?【若い女性もターゲット】
中国で売れているEVの主な購買層が若い女性であることは日本では知られていません。ファッションや化粧品を彷彿とさせるおしゃれな広告を用いて「宏光MINIEV」や「Ora R1 BlackCat(黒猫)」などが大ヒットにつながっている秘密と旧態依然のおじさん層にしかアプローチできない日本メーカーとの違いを考えます。
全てのEVがテスラ車のような超ハイスペック・最先端の機能を目指す必要はありません。男性ユーザーに多いいわゆる「スペック厨」の方々が見落としがちな視点です。
まぁホンダeの場合はそもそもの車両価格が高すぎるのでこれを「Wuling HongGuang Mini EV」や「Ora BlackCat」のように女性ユーザーに売り込むことは困難でしょうが、ホンダが2024年に発売すると発表した軽自動車規格のEVに今回の経験が生かされることを祈ります。
海外メディアでは「本気でEVやる気あるの?またハイブリッドとか出して誤魔化す気じゃないの?」と懐疑的に見られているホンダですが、私は本気でEVをやろうとしていると期待しています。
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