ホンダも公開した「SUV E:Prototype」は本気のEVなのか?【中国メーカーとGMに依存?】

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こんばんは、@kojisaitojpです。上海モーターショーに合わせて連日世界の各社が新しいEVを発表している中で、この会社も発表するようです。

以前「EVはGMに全部丸投げか?」という記事を書いたことはありますが、販売台数も少なくやる気を感じない「Honda e」に続く電気自動車を中国市場向けにはリリースする予定のようです。

「EVやるやる詐欺(笑)」で曲がりなりにも期待を引っ張るトヨタとは違ってすっかり影が薄くなりつつあるホンダですが、今日はそんなホンダが中国市場向けにリリースする予定のEVについて取り上げてみます。

スペック不明、ホンダも出したのは「コンセプトカーEV」

ホンダ「eプロトタイプ」その3

ホンダはこれまで現地企業との合弁会社で生産することが求められる中国では広州汽車集団公司、東風汽車公司と合弁で会社を設立し、自動車の生産を行っていました。

EVについてもたとえば昨年2020年には東風汽車公司との合弁会社で日本名「ヴェゼル」のEVバージョンである「M-NV」を発売し、こちらは自社でバッテリー調達に失敗している「ホンダe」とは違い61.3kWhと比較的大きなサイズのバッテリーを搭載して販売しています(おそらく中国メーカーのバッテリーを使用)。

ところが私も日々指摘しているように「既存のガソリン車」をEVに置き換えても様々な問題が生じて上手くいかないのはこれまでのフォルクスワーゲンやメルセデス、レクサスなどを見ても明らかであり中国での販売台数ランキングにも入っていません。

ホンダ「eプロトタイプ」

「SUV E:Prototype」と書いてある通りで「プロトタイプ」、つまり先日のトヨタ同様にコンセプトカーに過ぎないということです。

「今頃コンセプトカーかよ」というのが最初の印象でしたが、先日のトヨタの発表同様に2025年までに10車種のEVを発売すると公言しており(日本市場に投入するのかは不明)、この現在はコンセプトカーにすぎない「SUV E:Prototype」を2022年春には中国市場で発売すると発表しました。

これは早いです。

ホンダ「eプロトタイプ」

これまで「ホンダe」以降電気自動車に関しての情報が全くなかったホンダから久々のEV関連の情報です。

とはいえ具体的なEVのスペックが明らかになっておらず「ホンダコネクト」と呼ばれる「ホンダe」にも搭載していた新しいインフォテイメントシステムくらいしか情報がありません。

したがっていつものように「搭載バッテリー容量、航続距離、最大充電出力」などは不明です。

具体的なスペックが出た時のチェックポイントは?

ホンダブリーズPHEV
2022年春に発売ですので今年中には具体的なスペックが出てくるでしょうが、何度も触れていますが私の定義で「本気のEV」と認めるのは以下のような条件です。

  • 電気自動車専用プラットホームなのか?
  • バッテリーを自社で調達するのか?
  • 充電インフラはどうするのか?

先ほども言ったように「ヴェゼル」をEV化した「M-NV」が全く売れていないことからもわかるように旧来のガソリン車のプラットホームを流用して電気自動車を作っても航続距離が短いとか荷物が全然積めないなど欠点だらけになってしまうということは知られてきたと思います。

具体例をあげるとフォルクスワーゲンの「e-ゴルフ」とかメルセデス「EQC」や「EQA」、レクサスの「Ux300e」などがありますが、いずれも電気自動車専用のプラットホームで設計されたEVと比較すると劣ります。

ですので今回のホンダのEV化戦略がこれまで述べてきたような「EVはGMのプラットホームを使用(これは北米市場での話なので中国では違う?)」とかであればかなり苦戦することでしょう。

同じように「ホンダe」で懸念されたバッテリー供給が得られていないという問題(おかげで日本市場には年間でたった1000台の販売)が解決するのかどうかも注目です。

まぁ今回の「SUV E:Prototype」は中国仕様ですのでCATLやBYDなどの中国のバッテリーメーカーから仕入れるという方向でしょうが。

充電インフラについても懸念材料で、先日のフォルクスワーゲンのように「本国でもない中国でも充電インフラを整備する」という意欲を少しでもホンダが見せられるのか、にも「どのくらい本気でEVをやる気があるの?」というのがわかるポイントだと思います。

ホンダ・トヨタのみならず政治家の「EV化」「脱炭素」にも温度差が

EV化を訴えるバイデン大統領
EVや再エネを巡る話は自動車メーカーの独断で決められるものではなく、「政治」が必ず絡むもの(法律を含めたルール設定の役割は政治の役割)ですが、先日の日米首脳会談でもかなり温度差があったようです。

わざと揶揄するようにツイートしていますが、連邦政府の公用車を全て電気自動車にする、全米50万箇所に充電ステーションを設置するという公約を掲げて大統領に当選したバイデン政権のやる気は本気です、

片や最近のニュースを見ても「原発再稼働」を検討していたり、「電動車」という日本でしか通用しないカテゴリーを設けてこの中にハイブリッド車も含めてしまうという中途半端な「脱炭素」を掲げているのが現在の菅政権です。

背景には電力会社からの圧力、自動車業界からの圧力があるのでしょうが、以前「Go to トラベル」について書いた時にも言ったようにこの政権の特徴として「既得権益のある全ての業界に配慮しようとして結局誰も得しない結果」を生む傾向がありますが、EV化・脱炭素化でも同じような印象を受けます。

「東京電力などの大手電力会社の既得権益に配慮するから再エネではなく原発で脱炭素」「日本メーカーのBEVだとテスラなどに負けてしまうからハイブリッド車も電動車」と業界団体に配慮しすぎることによって「脱炭素」も骨抜きになりつつあります。

片や完全電気自動車(BEV)専門にGMなどの歴史のある自動車メーカーも業態転換を表明しており、国内の電力供給を再生可能エネルギーに切り替えるなど本気でEV化・再エネ化を本気で推進するアメリカではこのような評価を受けます。

「ESG投資」などの話で説明したこともありますが、このように「脱炭素に後ろ向きな企業」と評価されると世界の投資マネーが逃げていきます。

グローバル化した世界で「日本だけガラパゴスで独自にやればいいんだ」というわけにはいかない、しかも同業他社が次々にエンジン開発をストップし、EV化に舵を切る中で「うちはハイブリッドもPHEVもEVも水素も全部やる(という割にBEVに対しては消極的)」で生き残れるのか?という問題も残ります。

「規制が厳しい中国やヨーロッパはEVで、日本市場だけはハイブリッド車で」とやりたいのでしょうが、それをやるとコストも人員もかかってしまい企業の収益を圧迫すると思うのは私だけでしょうか?

アメリカ政府やイギリス政府に「ハイブリッド車も認めてくれ」とロビー活動をして失敗したのがトヨタとホンダですが、「日本だけOKだったから日本だけはハイブリッドで」なんて企んでいるのだとしたら終わりが見えています。

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