「EVシフト」を唱えてもマインド・制度が整わないと普及しない?【充電器にガソリン車?】

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こんばんは、@kojisaitojpです。こんなニュースを見かけましたが、日本でこのようなことが行われるようになるとどんな反応が起きるでしょうか?

まぁこの「テスラ・スーパーチャージャーに着陸するドイツ警察のヘリ」というのはジョークです。

実際は「EV充電器にガソリン車停めるのを我々警察が見てますよ。だから止めましょう」というキャンペーンです。

でも実際にEVの乗られてる方であれば「このくらいの取り締まりやってくれ」と言いたくなる人もいますよね。私もヒョンデ「IONIQ5」納車から1ヶ月半ほど経ちましたが、「そこにガソリン車?」という場面には何度も遭遇してます。

EV充電器のあるスペースに駐車するガソリン車の「モラル」に訴えるよりは何かしらの強制力が必要になるのでは?という一つ提案をドイツ警察の広告から感じました。

そこで今日は私も実際に体験した「EV充電器がガソリン車に占拠される問題」を扱いながら充電器を管理・運営する側に欠けている視点について論じてみます。

「ガソリン車の聖地」になる大黒PAの最新のEV充電器

大黒PAの充電器を占拠するガソリン車

冒頭の話はドイツ警察の話ですが、日本でも同じことは日々起きています。

これは以前も取り上げたことのある首都高大黒PAの最新のEV充電器なのですが、私の「IONIQ5」以外は全てガソリン車なのお分かりでしょうか?

もう少し私が来るのが遅ければ6台の充電スペース全てがガソリン車に占拠されるというとんでもないシーンを公開できたかもしれませんね(笑)。実際私が充電を始めてからもガソリン車が頻繁に出たり入ったりしてました。

まぁ以前もこのことをTwitterで問題にした時には「専用ではなく優先なんだから別にいいだろ!」とか「ローソン前に充電器なんか設置する方が悪いんだ!」と反対に非難されたことがありますが。。。

EVの充電器が誰でもわかるように設置されていて、しかも「EV優先」と書いてあれば私がガソリン車のドライバーならここには駐車しませんが、この手の話を「モラル」に頼ること自体が間違いかなと思うようになりました。

日本の警察にもドイツ警察と同じようなキャンペーンをやってもらう必要があるかもしれません。

大黒PAで充電中のIONIQ5

ちなみにこの充電器については以前「全く使い物にならない」ということを問題としたことがありますが、現在は「ダイナミックコントロール」という規格に対応したEVについては充電器の性能に見合う速度が出るようになっています。

私の「IONIQ5」もヒョンデが納車前に対応のアップデートをかけてくれたのでこのように最大90kWのところが81kWと、先日「IONIQ5」の納車直後に長篠設楽原PAで充電した時同様の性能は発揮してくれました。

eMobiltyPowerの新型充電器のスペック

今回は残りの5台がガソリン車だったので81kWと最高の速度で充電できましたが、もし他にEVがいるとこのように電力を「シェア」するので速度が落ちる、だからガソリン車に占拠されてるのとどっちが良かったのか悩ましくなる困った充電器なのですが(笑)。

大黒PAで充電(15分まで)
大黒PA(15分以降)

また最大の速度が出るのは最初の15分だけで残りの15分は他にEVがいなくても問答無用で速度を下げられるのも大問題なのですが、今日は充電器の性能が問題ではないので大きくは触れないでおきます。

今日の問題はこのように「充電用のスペースがガソリン車に占拠されていて充電ができない」「ガソリン車に占拠される状況をモラルの問題にしても解決しない」ということです。

そもそも「充電器が設置されるスペースを充電しない車が占拠」というのは充電器を運営する会社(今回の場合はe-MobilityPower)に対する業務妨害になると思うのは私だけでしょうか?

大黒PAは元から走り屋の溜まり場になる場所で、神奈川県警も頻繁にパトロールに来ているのですからこの充電器対しても「そこはEV以外止めちゃダメだよ」と警告を発して欲しいと思うのは間違ってますでしょうか?

「モラル」ではなく「制度・ルール」が必要です。

運営する側のUXという視点が欠ける多くの普通充電器

横浜赤レンガ倉庫の充電器とガソリン車

こちらは昨日の「BYDの展示」を見に訪れた際の横浜赤レンガ倉庫の駐車場の様子です。

こちらでもEV充電器の前に堂々とガソリン車が駐車してますよね。他の駐車スペースがガラガラなのに「なぜわざわざ充電器の前に停めるんだ?」と言いたくなる場面です。

混んでいて他にスペースがないならまだわかる(それでも容認すべきではありません)ところですが、駐車したガソリン車のドライバーには充電器が見えないの?と言ってやりたくなりますね。。。

こちらも先程の大黒PAの場合同様に「モラル」に訴えても守らない人は守らないので、駐車場を管理してる側がガソリン車が停めないように監視して注意するくらいのことはやるべきでは?と思いました。

このようにせっかくEVの充電器を設置してもそれが適切に使われるような管理がされていないのが今の日本の現実です。

横浜赤レンガ倉庫の場合はそれだけではなく、「充電するEVユーザーのこと」すら全く配慮がないなと感じました。

横浜赤レンガ倉庫の充電器

というのも、

  • 充電器は制限時間が1時間
  • 作動させるための暗証番号は管理室に電話で確認

こちらの充電器は速度が出ない普通充電器です。1時間に時間制限をすると3kWhしか充電できません。

私の「IONIQ5」の場合だと1kWhで6-7キロ走りますので18-21キロ分のエネルギー補給しかできません。

「ほとんど停める意味ないよな」と感じたので私は昨日の記事に書いたように近隣の「横浜ワールドポーターズ」の時間制限なしの駐車場で充電しながらBYDの展示を見に行きましたが。。。

なんてことを言うと「長い時間停められると迷惑なんだから仕方ないだろ!」と謎のアクロバット擁護が飛んできたりしますが、もし短い時間で出ていって欲しいなら急速充電器を置けば済む話です。

長時間駐車して充電することが前提の普通充電器に1時間という時間制限を設けることが謎です。

平塚市役所で充電するIONIQ5

実はこの数日前に私も同じトラブルに遭遇しました。

上の写真は「湘南ベルマーレVS北海道コンサドーレ札幌」の試合を観に平塚まで行った際に平塚市役所で充電した際のものですが、実はこちらでも「充電は1時間まで」の謎の制限がありました。

時間制限付きの平塚市役所

「市役所に何時間も居座られたら迷惑なんだから仕方ないだろ!」とこちらもアクロバット擁護の餌食になりそうですが、市役所の営業時間でもない日曜の夕方で駐車場もほぼ無人なのに制限をかける意味が私には理解できません。

ちなみにSNSを見てると誤解してる人がいるようですが、この充電器(豊田自動織機製)は運営者の設定次第で時間制限も設定できれば制限なしで運営することも可能です。

横浜ワールドポーターズの充電器

私がBYDのEVを見学に行った際に使った「横浜ワールドポーターズ」の充電器も同じものを使用してますが時間制限はありませんでしたよ。

実はEV充電器の問題ではなくマインドの問題?

大黒PAの新型充電器

「充電器前にガソリン車が駐車」などというとついつい「モラル」の問題にしてしまいがちですが、私はアテにならない個人の「モラル」の問題にするのではなく、「充電器を運営する側が適切に管理すること」が必要と感じます。

要は「充電器設置したからあとは故障した時だけ対応すればいいでしょ?」では済まないということです。

以前私はこれに関連する問題として「新しい技術を受け入れるためのマインド・制度が整っていないと普及しない」ことについて「社会実装力」という言葉を使って論じたことがあります。

以前私もこのような「新しい技術を受け入れるために必要な人々のマインド」の問題を「社会実装力」を名付けて論じたことがあります。

今日あげたEV充電器の例は充電器を管理・運営する側や高速道路のSAPAの管理をする側のマインドが変化しないとせっかく充電器を設置してもそれが十分に活用されることはないということです。

これについては反対の例を挙げると分かりやすいと思います。

EVユーザーでこれをやる人はほぼ皆無(そもそもガソリンスタンドに行く理由がないですから)でしょうけど、もし仮にガソリンスタンドの給油口の前にEVが停まっていてガソリン車が給油できなかったらガソリン車のユーザーは怒り狂いますよね?

当然ガソリンスタンドの側も「給油しない車に停められるのは営業妨害だ」と怒ってすぐに出ていくように要求すると思います。

「EV充電器の前にガソリン車を停める」のも全く同じことです。EV充電器や駐車場を管理する側が「営業妨害だ!」と本来であれば怒るべき話なのに…と思ってしまいます。

冒頭のドイツ警察の「テスラ・スーパーチャージャーに警察へりを着陸させて注意する」というのは極端なたとえでしたが、今後EVの台数が増えるとガソリン車ユーザーとEVユーザーのトラブルの元になる話なので日本でも適切な対応が求められるとことです。

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