アウディがEVの充電インフラを変える可能性とは?【e-MobilityPowerはオワコン】
こんばんは、@kojisaitojpです。先日も取り上げた「大黒PAの新型充電器」ですが、さらに悲惨なことになっているようです。
タイカンが追加されとる pic.twitter.com/3iZxuplSgf
— なわい (@nawaEV) December 22, 2021
数日前の記事で「アイミーブ・ホンダeは充電不可」とか「テスラ・モデル3は速度が出ない」ということに触れましたが、その後もどんどん使用不可のEVが追加されているようです。
「何で事前にテストしなかったの?」と思いますよね?
私も以前からe-MobilityPowerのやり方にはかなり批判的ですが、「こんな会社に充電インフラ任せていいの?」という以前からの指摘が裏付けられつつある残念な状況です。
そして現在の大黒PAの状況はこのような感じです。
わろたwww pic.twitter.com/W3oGb4cOt8
— sono106 (@sono106) December 22, 2021
「ホンダeとアイミーブ」とありますが、これまで使ってた急速充電器を再度稼働させたようです。
じゃあ速度が出ないテスラ・モデル3やモデルXはどうするの?とツッコミが更に入りますが、「外車なんかど〜でもいいんだ」というメッセージでしょうかね?
呆れてモノが言えないとはこのようなことを言います。こんな会社アテにしてはいけないということでしょうか?
とe-MobilityPowerが醜態を晒し続ける中でヨーロッパからアウディが斬新な充電ステーションを発表したという報道を見ましたので、今日はこれについて紹介しながら「もしかしたら日本でも可能かも?」という可能性を探ってみたいと思います。
目次
アウディの斬新なEV充電ステーションとは?
本題のアウディの充電ステーション(充電ハブ)ですが、12/23にドイツ・ニュルンベルクに1号店がオープンしたばかりです。
この話題の元ネタはこちらになります。
Audi Opening First Lounge-Style EV Charging Hub In Germany
Audi’s first charging hub in Nuremberg is a modern quick-charging station with reservable high-power charging areas powered mainly by second-life batteries.
2階のラウンジでは「付加価値のある休憩のための環境を提供」とのことで、充電している間にコーヒー休憩を取ることができる上にさまざまな軽食や飲み物も用意されているそうです。
私の最近の旅行ネタに合わせると「空港のラウンジ」のような雰囲気です。
そしてこの充電ハブは大量に電力を消費するので当然建物の屋根には合計30kWの太陽光パネルを敷設し、同時に蓄電池(アウディの廃車になったEVの電池を再利用)も活用することで消費電力を抑える仕組みです。
アウディ側の発表ではこのシステムで最大320kWの速度での急速充電が可能になるとのことです。
このハイスペックな充電器を100%再生可能エネルギーが賄うのですから「火力で発電した電力じゃ意味がない」というアンチEVの声もシャットアウトです。
ちなみに蓄電池を活用して消費電力を抑えるという方式はテスラのスーパーチャージャーと同じです。日本のe-MobilityPowerが取り入れてるのかは知りませんけど。
もちろん日本でいきなりこのような充電ハブをアウディが設置するのは厳しいかもしれません。
しかしもし「充電ハブのラウンジになってる部分をディーラーの店舗と兼用にすれば可能では?」と思ったりもします。
ただの充電ハブだと現在の日本のEV化率だとビジネスとして成立しにくいかもしれませんが「ディーラー兼充電待ちラウンジ」としてなら十分可能ですよね。
アウディジャパン側がそこまで考えてるかは分かりませんけど。
ですが「2026年以降はEVのみの販売、エンジン開発もストップ」を宣言してる会社ですので、本気でやってくる可能性もゼロではないと思います。
ちなみに日本の貧弱な充電インフラの解決策としては以前「テスラのスーパーチャージャーを利用しては?」という内容で記事を書いたことがあります。
イーロンマスクが「スーパーチャージャーを他社も使えるようにする」と宣言した直後に書いた記事ですので合わせてご参照いただければと思います。
「テスラ・スーパーチャージャー」が日本でも他社に開放される?【EVユーザー全員にメリット】
イーロンマスクが公式に「スーパーチャージャーを全世界で他社に開放する」と発言しました。ヨーロッパ以外はテスラとそれ以外のメーカーでは充電規格が違うのでアダプターの開発が必要になる、課金システムで他社のものも精算できるようにする必要があるなど障壁はありますが、日本の充電インフラ問題を解決する切り札になる可能性もあります。
ですがテスラのスーパーチャージャーの開放はまだ始まったばかり(ヨーロッパでも現時点ではオランダのみ)です。
実は日本でスーパーチャージャーの開放を待つより先に急速充電のインフラを充実させてくれる会社が本日取り上げたアウディであり、ヨーロッパでは親会社にあたるフォルクスワーゲンではないかと思うところです。
日本でもフォルクスワーゲンと合同でやる可能性?
もちろんこのようなアウディのサービスは本国・ドイツでも始まったばかりですし、日本市場に投入される可能性は全く不明です。
しかし「もしかしたらe-MobilityPowerより可能性がある?」と感じるニュースも飛び込んできてます。
VWグループジャパン、アウディジャパンを吸収合併 | レスポンス(Response.jp)
フォルクスワーゲン(VW)グループジャパン(VGJ)は、2022年1月1日(予定)付けで、アウディジャパン(AJ)を吸収合併すると発表した。
ヨーロッパでは元々フォルクスワーゲングループとして一つになっていましたが、日本法人に関してはフォルクスワーゲンジャパンとアウディジャパンは別会社でした。
しかし日本でもフォルクスワーゲンジャパンがアウディジャパンを吸収合併し、更に傘下のベントレー(フォルクスワーゲンジャパン傘下)とランボルギーニ(アウディジャパン傘下)も統一することが発表されました。
これだけならそれほど大きいニュースではないのですが、こんなニュースもあります。
アウディのBEV「e-tron」の販売拠点を全国102に拡大。150kWの急速充電器を順次設置 – Webモーターマガジン
2021年10月1日、アウディジャパンはアウディのBEV(電気自動車)「e-tronシリーズ」の販売店ネットワークを、全国102店舗に広げたと発表。
アウディジャパンが自社のディーラーに150kW級の急速充電器を設置するという計画を既に発表しています。
この話とフォルクスワーゲンジャパンとの合併を合わせて考えると一つの可能性が見えてきます。
フォルクスワーゲンジャパンが約250店舗、アウディジャパンが約100店舗ありますので合計約350店舗。
数は少ないですがこれにベントレーやランボルギーニも加わりますので約400店舗。
すると各都道府県に複数店舗150kW級の急速充電器を持つ充電ステーションが誕生します。
もちろん既にe-Tronを日本市場に投入しているアウディとは違いフォルクスワーゲン側からは「ID.3」や「ID.4」の日本市場投入計画は発表されていませんが、既に都内の道路でテスト走行をしている目撃情報はSNS上に日々上がってきてます。
ということは日本市場投入は当然考えているはずです。
となるとアウディとフォルクスワーゲンのディーラーだけでも約400箇所の充電ステーションが数年以内に誕生する可能性はかなり高いです。
「Ionity」のように350kWのヨーロッパ水準には及ばないにしても150kW出てくれれば現在ヨーロッパで発売されているフォルクスワーゲンやアウディのEVの最大充電出力に堪えるものですのでとてつもない進歩です。
片や日本ではe-MobilityPowerの新型充電器が「10kWしか出ない」「15kWしか出ない」「自分のEVでは充電できない」などの目を覆う惨状です。
これについては以前の記事で取り上げたのでこちらもご参照いただければと思います。
e-MobilityPowerの新型充電器がオワコン?【これが専門家・プロのやること?】
e-MobilityPowerの新型充電器が首都高の大黒PAにオープンしたので見学に行ってきましたが速度が出ない・不具合で充電できないなどのトラブル続出のようです。6台同時に充電可能でデザイン性が高い点は評価できますが肝心の充電性能が世界レベルには程遠く、ここに日本の充電インフラとEV化の障害を感じます。
「6台同時に充電可能」というのは確かに進歩ですが、10kW15kWなどというちょっと性能の良い普通充電器で出せる速度の急速充電器を出しておいて「10年先を見据えた先行投資」とドヤ顔されても困ります。
なんて言うと「専門家・プロは考えに考えた上でこれがベストだと判断したんだ」と猛烈な批判が飛んできたりしますが、アイミーブやホンダeのような国産のEVが充電できないことすら把握しないでリリースした連中ですよ、と思ってしまいます。
一言「ふ・ざ・け・る・な」で終わりです(笑)。
充電インフラが「できない理由」を並べるのではなく「どうすればできるか?」を考えるべき
この充電インフラ問題を語ると必ず「できない理由」を必死に並べて反論してくる勢力がいます。
よく出てくるのは、
- 50kW以上の出力だと「高圧」の契約になって電気代が跳ね上がる
- 設備工事にも多額の費用がかかるので回収できない
- 計量法の関係で電力量で課金できない
など法律を盾に「日本ではできないんだ!」となぜかドヤ顔で批判されることが多いです。
だから「30分いくらという方式でしか課金できないからハイスペックな充電器を置くと儲からないんだ!」と批判されるわけですが、こんな意見もあります。
法規制ガー💦
いや、計量法の検定をとれば済む話でしょ?
計量法以外に実態に即さない規制があるなら改正を働きかければ良い。そんなに法律が邪魔で対応できないというなら、新電力の遠隔検針など成り立たないはず。
だだの怠慢です。
— しょに鉄@給電計装 (@electric_jn24) December 22, 2021
電気関係の業界の方が言えば私が言うのと違って批判しにくいのではないでしょうか?
もしかするとこのメーカーが少しは状況を変えてくれるかもしれませんが。
トヨタ、全販売店に充電設備 豊田章男社長「共有インフラつくる」(朝日新聞デジタル) – Yahoo!ニュース
トヨタ自動車の豊田章男社長や前田昌彦・執行役員らは14日都内で会見し、電気自動車(EV)を強化する方針を発表した。EVの世界販売目標を上方修正し2030年に350万台まで増やす。30車種を展開し品
トヨタのEV化計画について後日記事にする予定で私も実際にメガウェブまでトヨタのEVを見に行ってきました。
発売するEVの方には批判したいことや疑問点がいくつかあるのですが、「自社のディーラーに急速充電器を設置して他社のユーザーにも開放する」という計画自体は評価したいです。
全国津々浦々にあるトヨタディーラーに急速充電器が設置されれば今のe-MobilityPowerに任せっきりの状況よりマシになることは間違いありませんので。
ただし、
- ディーラーじゃなくて高速道路のSAPAに設置すべき
- 急速充電器のスペックが現時点で不明
という疑問点はあります。まぁ高速道路のSAPAに設置するとなるとe-MobilityPowerのように公共性の高い組織じゃないと厳しいのかもしれませんが、トヨタの政治力をもってすれば不可能でもないと思うのですが。
「経路充電」で最優先なのはディーラーではなく高速道路のSAPAです。ディーラーの充電器はあくまでも「自宅で充電できない環境のユーザー向けの救済措置」くらいに位置付けるべきで最優先で設置するものではありません。
あとは設置する急速充電器のスペックが不明なのも気がかりです。
まさか法律を盾に「できない理由」を並べて50kWなんかにしようものなら来年2022年発売予定の「bz4X」のスペックにすら対応できないという悲惨な充電インフラが誕生します。
現在日産ディーラーで置き換えが進む急速充電器は50kW-90kWのもののようですが、自社で発売するアリアの130kWにすら対応できないのでは話になりません。
となると「150kWの急速充電器を全ディーラーに設置する」と宣言したアウディジャパンとそのアウディジャパンと合併したフォルクスワーゲンジャパンが合同で設置してきた場合、日本では唯一テスラのスーパーチャージャーに匹敵できる充電インフラになるのではないでしょうか?
海外メーカーにどんどん先行を許す日本の残念な現実が露呈してきています。
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