「テスラ・スーパーチャージャー」が日本でも他社に開放される?【EVユーザー全員にメリット】

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こんばんは、@kojisaitojpです。以前私が「ヨーロッパだけの話じゃないの?」と言ったネタが予想とは違う方向に進む可能性が出てきました。

イーロンマスクのツイートをそのまま引用しましたが、「we’re making our Supercharger network open to other EVs later this year.」とスーパーチャージャーを他社にも解放する発言がCEOの口から直接出てきました。

しかもこの後のリプライを見ての通りで「Over time, all countries」と言っていることからヨーロッパのみならず北米、アジア、もちろん日本市場も対象になるようです。

ですので今日はこの「スーパーチャージャーの他社への開放」が日本で行われることも前提に「日本で実現させるためには何が必要か?」考えてみます。

また同時に「他社のユーザーに使われて混雑したら困る」的に既に不満を言っているテスラのオーナーもSNS上で結構見られることから「実はスーパーチャージャーを開放することがテスラのユーザーにも大きなメリットになる」ことにも触れたいと思います。

「テスラ・スーパーチャージャー」をヨーロッパ以外で開放する際の困難とは?

スーパーチャージャーを使うイーロンマスク
イーロンマスクが「all countries」と言ったからには当然日本市場も対象になるはずなのですが、既に導入が目前のヨーロッパと比較すると「充電規格が違う」という問題が発生します。

テスラはヨーロッパ市場だけは他社と共通の「CCS2」という規格を採用していますが、それ以外の国ではテスラ独自の企画です。

世界のEV充電規格

これが「ヨーロッパ以外で開放するのは大変」だという根拠になります。「チャオジが互換性を持つ」という話もありますが、今日の本題ではないので触れません。

ちなみに以前私が「スーパーチャージャーの開放はヨーロッパだけじゃないの?」と予想した記事はこちらになります。

この時「ヨーロッパ以外だと難しい」という根拠として挙げたのは「ヨーロッパではテスラ車もCCS2というヨーロッパ共通の充電規格を採用」という点です。

規格さえ共通であれば「認証・課金」のシステムさえ統一し、「他社がスーパーチャージャーを利用した際の料金(当然テスラ車より割高にはなるでしょう)」を設定できればすぐにでも他社のユーザーがスーパーチャージャーを使うことは可能です。

ただしヨーロッパ以外ではテスラのコネクターとそれ以外のコネクターが全く別規格ですので、アダプターを開発するかどちらかの規格に合わせる(この場合はテスラ側が変更することはあり得ないので他社が合わせるしかない)のが障壁になります。

ですが私の見解では「他社に開放することでスーパーチャージャーが多少混雑しようとも開放するメリットが非常に大きいので日本でもぜひやるべき」です。

実はテスラユーザーにもスーパーチャージャー開放はメリット?

テスラのスーパーチャージャー
とはいえこれまでテスラ専用だったスーパーチャージャーが他社にも開放されるというのはテスラユーザーからは「混雑の原因になる」などとあまり評判が良くないのが現実です。

実は他社のユーザーだけではなく、テスラユーザーにも大きなメリットがあることが見逃されているように思えます。

「充電をガソリンスタンド感覚で捉える(「充電しに行く」のような認識)」姿勢については以前から問題にしていますし、他にも「急速充電にばかり執着して肝心の自宅充電や目的地充電を充実させようという方向に行かない」姿勢をいつも私のブログでは問題にしていますが、唯一「設置が必須」と考える高速道路のSAPAにテスラのスーパーチャージャーはありません。

日本独自の「チャデモ」と比較してもかなりの超高速充電(150kW〜250kW)なのだからスーパーチャージャーが高速道路のSAPAにあると最もありがたいと思いますよね? 

この疑問をNEXCOに投げかけているEVファンは結構多いのですが、NEXCO側の回答はいつも同じです。

高速道路のSAPAといういわば誰もが使う「公共の場所」であるがゆえに「テスラしか使えないスーパーチャージャーは不適当」とこれまで見なされてきたということです。

ですので数も速度も不足しているとはいえ日本中のほとんどのSAPAに「チャデモ」の急速充電器が設置されているのは「公共性(誰でも使える)」という観点からは正しいことでした。

チャデモ使用中のモデル3

ですがもしスーパーチャージャーが他社にも開放されて、全てのEVで使えるようになれば(それが仮にアダプター必須だとしても)「公共性」の観点からも高速道路のSAPAにテスラのスーパーチャージャーを設置することが正当化されます。

これまでだと一回高速道路を降りてスーパーチャージャーに行かなければならないという不便と高速道路の追加料金が発生するというテスラユーザーのデメリットが解消されます。

他社のユーザーだけではなく、テスラのユーザーにとってもメリットは大きいと言えます。

「スーパーチャージャー開放」への障壁は日本メーカー?

御殿場スーパーチャージャーとモデル3
しかし先ほども言ったようにテスラのスーパーチャージャーを他社にも開放するにはヨーロッパよりも高い壁があります。

  • テスラの課金システムと他社の課金システムをどう統合するか?
  • スーパーチャージャー対応のアダプターを開発する気があるのか?

この二つの問題を解決しなければならないのは事実ですし、特にコストがかかる「スーパーチャージャーに接続するアダプター」を日本メーカーが開発することが必須(これはイーロンマスクも発言しています)になるので「誰がやるのか?」「誰もやろうとしない?」という恐れはありますが。

とはいえ現在日本のeMobilityPowerが進める充電器設置計画は「最大200kWを6台でシェア」とか「一台辺りの速度は最大90kW」など、どう考えても使うユーザーの目線で考えていないような不便な計画なのは以前もお話しした通りです。

そして「チャデモ」の規格上の問題で現時点では充電出力が50kWに制限したモデルを日本市場に投入する海外メーカーも多数あり(例えばジャガーやプジョーなど)、「チャデモ」が日本の充電インフラ普及の妨げになっているというのも以前お話しした通りです。

テスラのスーパーチャージャーが150kW〜250kW、世界を見ても例えばヨーロッパの自動車メーカーが共同出資で設立した「IONITY」が350kW級の急速充電器を設置している状況と比較すると「高速の充電に対応するための水冷ケーブルを開発していない」というお粗末な理由で日本国内の急速充電器の速度を上げることができないというのが日本の残念な現実です。

長野スーパーチャージャー

それであればテスラのスーパーチャージャーを開放してもらって、高速道路のSAPAにもスーパーチャージャーを増やしてもらった方が日本のEV普及のためにはプラスではないか?と思うところです。

EVの本格的な普及を視野に入れるのであれば、テスラとその他で充電器が別々というのはプラスの材料ではありません。日本の独自規格であった「チャデモ」が結局日本以外には普及せず衰退している現状を考えると日本の充電規格をテスラのスーパーチャージャーに統一するくらいの大胆な方針を取るのもありなのでは?と思います。

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