コンパクトEVでヨーロッパ勢に対抗できない日本勢の抱える問題とは?【中国勢も脅威】
こんばんは、@kojisaitojpです。どこまでが本当のことなのかはわかりませんが、こういう記事が出てくるという時点で終わっている証拠です。
有料記事だけど読んだ人に話聞いたら「殿ご乱心」の一言しか感想がない(笑)。
トヨタ章男「反脱炭素」の乱心 【公式】三万人のための総合情報誌『選択』- 選択出版 https://t.co/rHXduJ16iP— saito koji@次の海外旅行の前にEV購入? (@kojisaitojp) April 3, 2021
やはり日本のEV化がなかなか進まないのはこの人の影響か…というのが正直な感想です。
ご本人がガソリンエンジンが大好きで電気自動車が嫌いというのは勝手にどうぞという話なのですが、その自分の好き嫌いを経営に反映させる、それどころか日本が電気自動車にシフトしないようにマスコミに圧力をかけたり(自動車メーカーはマスコミにとって電力業界と並ぶ最大のスポンサーです)、メディアの前では「EVが普及したら原発が10基必要になる」などと根拠のない暴言を吐いて脅すようなことを言っているのは事実です。
などというと「いや、実はそうは言っててもきちんと準備してるんだよ」的なツッコミが必ず飛んできますが、目に見えないことをあれこれ想像するのは下手をすると陰謀論にもつながる危険な発想ですので耳を貸す気はありません。
そういう話はきちんとしたEVを発売してから言いましょうという話です。
というわけで今日は「殿ご乱心」によって相変わらず日本メーカーから投入される気配すらない(日産・三菱の軽規格EVの噂はありますが)コンパクトサイズの電気自動車(BEV)について、ヨーロッパで人気の車種を紹介します。
目次
日常使いには問題なしのコンパクトEV(Aセグメント)
電気自動車においてコンパクトカーというのは、サイズ的に不利なものなのは否定できません。
要は「車が小さい→バッテリーも小さくなるので航続距離に限界が」という
実はテスラにせよ、フォルクスワーゲンにせよバッテリーを自社生産に切り替えることで「安定供給」と「価格を抑える」ことを狙っています。
「EV=価格が高すぎる」と日本では勝手にイメージされてしまいましたが、車両価格の大半を占めるバッテリー価格を下げることができれば安価なEVを発売することは可能です。
テスラが「ロードスター」や「モデルS」という大きくてハイスペックな車種からスタートして、現在は普通の乗用車サイズのモデル3、来年2022年には更にコンパクトなモデル2と徐々にサイズの小さい車種の販売もする方向にシフトしてきたのはこの「コスト」の問題が最も大きかったと思われます、
テスラは上海工場で生産された「モデル3・スタンダードレンジプラス」にはレアメタルのコバルトを使用しないLFPバッテリーを搭載してコストを下げることに成功していますし、同様にフォルクスワーゲンも大衆車にはLFPバッテリーを採用することを表明(後述)しています。
つまりコンパクトサイズで安価な電気自動車がもうすぐ手の届くところまで来ているのが現実です。
そんな中で今日はヨーロッパの自動車メーカーが発売している(と言っても大半は既存の車種を改良したものですが)コンパクトサイズのEVを4つ紹介します。
「Dacia Spring Electric」
「Dacia Spring Electric」はルーマニアの自動車メーカーの「Dacia(ルノー傘下ですので日産・三菱の仲間です)」が2021年に発売したばかりの小型EVです。
26.8kWhの小型のバッテリーではありますが200キロ前後の航続距離は確保できますので、自宅充電がベースであれば何の問題もなく使える水準です。
Aセグメントですので軽自動車に近いサイズ、価格も日本円で200万を切る価格と「日本でも発売して欲しい」と思うEVであることは間違い無いのですが、ルノーや日産・三菱との絡みから日本市場への投入はないでしょう。
とはいえ「Dacia Spring Electric」については以前、同じプラットホームを使用していると思われる日産・三菱の軽規格EVを予想するために(同じルノー傘下)紹介していますのでよろしければご参照ください。
日産・三菱の軽自動車規格「IMK」の全貌を予想してみる【「Dacia Spring Electric」がヒント?】
数日前に日産が三菱と共同で開発する軽自動車規格のEVが2022年にも発売されると報道が出てきました。まだ公式な発表ではないので全貌は明らかになってはいませんが、「ルノー・日産・三菱」のグループから発売される軽自動車に近い規格の「Dacia Spring Electric」という電気自動車から予想してみます。
フォルクスワーゲン「e-Up!」
フォルクスワーゲン「e-up!」はAセグメントでありながらバッテリー容量が32.3 kWh、航続距離が240キロとこのサイズの電気自動車の中ではトップクラスの航続距離を誇ります。
ガソリン車のプラットホームを使用しているEVの中ではデメリットが少ないEVと評判です。
日本市場にも当初は「e-Golf」と同時に投入されるとの噂がありましたが、結局発売することなく今に至るのは残念なところです。
とはいえフォルクスワーゲンでは2023年以降に「e-Up!」の後継に当たるAセグメントのコンパクトEVとして「ID.1」を発売する計画であり、こちらは従来の車種の電気自動車版ではなく電気自動車専用プラットホームを使用した本物のEVになります。
先日の「Power Day」での構想からすると最も安価なLFPバッテリーを搭載してくる可能性が高いですので価格もリーズナブルなものになる可能性が高いです。
ルノー「Twingo Electric」
私の個人的な話になりますが、最初に買った車がこの「ルノー・トゥインゴ」のしかも旧式だったので思い入れのある車種です。
当時はこのポップなデザインが私には刺さりました。しかもホイールベースをかなり長く取っているので日本の軽自動車などよりも車内が広く使いやすい車でした。
軽自動車と大差のないサイズで非常に走りやすかった反面「イージーシステム」という謎のセミオートマトランスミッションがよく不具合を起こすことが不評で(私は幸い12万キロまでトラブルなしでした)した(笑)。
手頃なサイズに独特の個性的なデザインは一部のマニアには人気でしたが、その後モデルチェンジを経て(個性が失われて日産っぽいデザインなので私は好きではありませんが)現在はEVとして発売されています。
これが本国フランスなどヨーロッパでは案外ヒットしたようで、搭載バッテリー容量22kWhと小型ですが航続距離160キロ以上と、元から発売されている同じルノーの「Zoe」より「電費」が良いと好評のようです(ルノー「Zoe」は搭載バッテリー容量が大きい割に航続距離が少ない)。
「フィアット500EV」
そして今ヨーロッパでフォルクスワーゲン「ID.3」と同等の売上台数(本国イタリアでは「ID.3」やテスラ「モデル3」よりも売れている)のがフィアット500EVです。
以前から発売されているガソリン車の「フィアット500」をベースにEVにしたものではありますが、小型車で一つの目安になっている200キロ前後の航続距離(上位グレードならもっと走る)と補助金を込みにすると日本円で200万円を切る価格の基準はクリアしています。
あとは何度か話題にしてますが、このようにインフォテイメントシステムをスマホにしてしまうという割り切りが、ルパン三世の頃以来の昔ながらの「フィアット500」を彷彿とさせるところがあり好感が持てます。
「フィアット500EV」については既に2021年中に日本市場への投入も表明されており、実は私が個人的にかなり注目している電気自動車の一つです。
サイバートラックとフィアット500EVの2台を用意しておけばどんな用途にも対応できるなと妄想してたりもします。
「フィアット500EV」については以前詳細に解説した記事がありますので、よろしければご参照いただければと思います。
「フィアット500EV」が2021年に日本に上陸?【何とヨーロッパの次が日本】
昨年2020年にヨーロッパ市場に投入された「フィアット500EV」が2021年中に日本市場に投入されるとの発表がリリースされました。本国イタリアのあるヨーロッパの次に投入する市場が日本だということも驚きですが、価格も電気自動車の中では最もリーズナブルで、ファッション性も高く、人気の出るEVになる可能性を秘めています。
中国勢も狙うコンパクトEV市場
小型車のEVを生産しているのはヨーロッパに限った話ではありません。既に中国も生産しており輸出も始めているところが実は脅威です。
アフリカでも電気自動車(BEV)に市場を奪われる日本勢?【「ORA BLACKCAT」の脅威】
電気自動車化に向けて舵を切っているのは先進国だけではない、実は再生可能エネルギーの発電に適した自然があるアフリカも同様だということは前に話しましたが、ついにアフリカで「BlackCat」と呼ばれる中国の格安EVが販売され始めました。電気自動車で普及しないゆえに輸出する中古車もロクにない日本勢はいよいよピンチです。
「電気自動車=高い」はフェイクニュース?【三菱i-MiEVとHongGuang mini EVを比較】
「電気自動車=高い」という偏見を破壊すべく中国のメーカーであるWolingが「HongGuang mini EV」という約45万円で買える激安の電気自動車を発売して、現在中国国内で爆発的に売れています。しかし日本にも三菱i-MiEVという軽自動車の手頃な電気自動車があることを忘れてはいけませんので同時に紹介します。
日本の公道を走行するには、車両に使用されている各部品や装置の性能、安全性等を証明する必要があります。
そしてこれらの保安基準や技術基準に適合していることを技術基準適合証明(COCペーパー)又はWVTAラベル等のCOCペーパーと同等のものでその基準を満たしていることを多国間の協定で証明できるようになっています。
しかし中国はその協定に参加していませんのでいわゆる「並行輸入」でも日本に持ってくることは困難です。
中国製のテスラやフォルクスワーゲンは本国アメリカやEUで基準をクリアしているので輸入可能なのですが、中国メーカーの場合はゼロから照明が必要になり、個人が輸入するのは莫大な費用がかかってしまい実質不可能です。
ですがその中国も先日紹介した「Xpeng」がヨーロッパへの輸出を開始しています。
また「BYD」に至っては電動バスを日本を含む世界50カ国以上に輸出していますし、今年から乗用車もノルウェーを皮切りにヨーロッパ市場に入ります。
となるといずれ「Ora Black Cat」や「Hongguang Mini EV」なども安全基準や技適を通して世界の市場に輸出される可能性があり、ますます日本メーカーの居場所がなくなってきます。
「燃費が良い・故障が少ない」という日本車のメリットがフルに生かせたコンパクトカーの市場に現時点でヨーロッパ勢や中国勢にまともに対抗できる電気自動車がない(三菱i-MiEVは軽規格)というのは日本の国際競争力という意味では致命的に痛いところです。
「ハイブリッドの方が環境に良い」「まだEV化は時期尚早」「EV化すると原発が10基必要になる」などと暴言に近い発言で日本のEV化を妨害している会社がありますが、このままだとアメリカ・中国・ヨーロッパで日本車を売れなくなる日がどんどん近づいています。
世界各国の「内燃機関車(エンジン搭載車)」の販売禁止という規制を変えさせることがほぼ不可能になっている状況で日本国内向けだけに「反EV」を煽ったところで会社が競争力を無くして没落すると思ってしまうのは私だけでしょうか?
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