テスラ・モデル3の値下げが日本メーカーを駆逐する?【電気自動車のゲームチェンジ】
こんにちは、@kojisaitojpです。昨日は日本市場でテスラがモデル3の価格を下げてきたことを話題にしましたが、どうやら世界中で仕掛けてきているようです。
【PSA】米国では、モデルYスタンダードレンジが$2,000値下げされ、モデル3 スタンダードレンジ Plusが$1,000値下げされました。パフォーマンスは逆に$1,000値上げとなりました。#テスラ pic.twitter.com/Wm0CFtR6RO
— ガスフリング⚡️近日大幅リニューアル予定 (@Gusfrin92486024) February 18, 2021
アメリカ市場では既にモデルYも納車されている状況ですが、価格を下げてきています。
日本市場に投入されると思われるのはモデル3同様に「上海ギガファクトリー」で生産されたものになると予想されていますが、既に中国同様の左ハンドル国である韓国では価格が出ています。
モデルYとリフレッシュモデル3が韓国で販売開始、モデルYの値段はモデル3の1割増し程度。
日本も韓国と同じく上海からの輸出ですが、右ハンドルなのでもう少し時間がかかりそうですね…💦
Tesla Launches Model Y And Refreshed Model 3 In South Korea https://t.co/jQ4EtqFLVF pic.twitter.com/bKEJT8MywC
— 🌸八重さくら🌸 (@yaesakura2019) February 18, 2021
となると日本市場に「モデルY」が470万前後から、昨日も話題にした補助金がフルに適用(国80万+東京都60万)されると300万前後で日本市場に投入される可能性があります。
アメリカ国内のみならず上海やベルリンにギガファクトリーが誕生し、まもなくインド国内にも誕生と噂されているようにテスラの生産能力がどんどん上がってくることで、ついに価格を下げてでも販売できるような力をつけてきたと言えます。
昨日の記事では「テスラが安くなったよ」という点だけ触れて、他はGMなど他のアメリカの自動車メーカーのEV化について触れましたが、実は過去の記事を見直すと「テスラ・モデル3」についてきちんと書いた記事がないことに気づきました。
安くて高品質な電気自動車は日本ではなくアメリカ?【EVでは立場が逆転?】
テスラが日本市場のモデル3の販売価格を一気に下げてきました。これではテスラが「高品質・低価格」で日本車が「低品質・高価格」となってしまい、昔日米貿易摩擦が起きた原因にもなった「ハイクオリティな日本車」の面影を感じないくらい変化してます。同様にGMも「シボレー・ボルトEV」の質を向上させ、価格も下げてきており、脅威です。
今や最も世界で売り上げ台数の多い電気自動車で日々「モデル3」という単語を出していたので書いたつもりで勘違いしていました。
ですので今日は「テスラ・モデル3」と4月から適用される「補助金の増額」について解説します。
目次
日本メーカーを蹴散らす「テスラ・モデル3」の値下げと注意点
まずは車のスペックから紹介しますが、今回のバージョンは3つに分かれており、
- スタンダードレンジプラス(RWD)→429万円
- ロングレンジ(AWD)→499万円
- パフォーマンス(AWD)→717万3000円
今回値下げの対象になったのは「スタンダードレンジプラス」と「ロングレンジ」のみですので、この二つの違いを説明します。
「スタンダードレンジプラス」はシングルモーターで、「搭載バッテリー容量60kWh、航続距離423キロ(EPA)、最大充電出力170kW」で、0-100キロの加速は5.6秒と他社の電気自動車と比べると航続距離も急速充電の速度も次元が違います。
テスラの場合は自社のスーパーチャージャーがあるので他社のように「チャデモ規格に合わせた50kWh」にはならないのもメリットです。
「ロングレンジ」はデュアルモーターで、「搭載バッテリー容量82kWh、航続距離568キロ(EPA)、最大充電出力250kW」で、0-100キロの加速は4.4秒、10%-80%の充電がたったの30分でできてしまいます。
568キロという航続距離は驚異で、東京から北方面に向かうと岩手県盛岡市まで、西方面に向かうと大阪府大阪市まで行けてしまうという驚異のスペックです。
遠出をするのは年に数回という方が大半でしょうが、そもそも568キロ走れるスペックだと充電に行くのも距離を乗る人でも週1回、たまにしか乗らない人であれば月に1〜2回充電すれば十分でしょうから、自宅で充電できない人でもいよいよガソリンスタンドに給油に行く生活より快適になります。
ただし気をつけなければならないのはモデル3の3車種の中で「スタンダードレンジプラス」についてだけは注意が必要です。
値下げした理由が中国生産になったのと、バッテリーが中国CATL/LG製になったのでワンちゃんアメリカ(パナソニック製) の方が良いっていうのがあるかもしれない
SR+のLFPバッテリーは今の所良い話があまりない…— 琴吹ここい (@kazukokoi) February 18, 2021
スタンダードレンジプラスに搭載されているLFPバッテリー(中国・CATL社製)は新しいバッテリーで、レアメタルである「コバルト」を使用しないバッテリーで(だから安い)、発火しにくい、劣化しにくいので寿命が長いというメリットがある一方で、冬場の航続距離が異様に少なくなる(300キロという説も)とか充電速度が遅いという問題も多くのユーザーから指摘されています。
航続距離に関してはコンピューターのバグという説もあるのでテスラがソフトウェアのアップデートをすれば解決する可能性もありますが、現時点では不明確な点もあるので、最も安価なモデルではありますが、積極的に購入をおすすめできるモデルではありません。
となると今回値下げしたモデル3の中では「ロングレンジAWD」一択のおすすめになります。
航続距離がEPAでも550キロ以上、モデルSより小さめで取り回しもしやすい、急速充電も最大250kWhで現在日本国内にあるテスラのスーパーチャージャーの最も速いもの(埼玉県川口市にあります)にも対応するので現時点で発売されている電気自動車でも最強のモデルになります。
本国アメリカでは「スーパーチャージャーの充実がテスラが売れる秘密」という記事も見かけましたが、日本国内ではまだ少ない(私の地元の北海道に至ってはゼロ)ので最大出力が50kWhに制限される「チャデモ」で充電せざるを得ないケースが出てくるのはちょっと残念なところです。
やはり理想としては自宅にウォールコネクターを設置して充電できる環境にすることでしょうか。自宅で充電ができれば充電インフラについての問題は遠出をする時以外は問題になりませんので。
ちなみに以前「太陽光」「パワーウォール」も一緒に設置すれば電気も自給自足できて、これまでとは違う新しいライフスタイルが待っていることについては紹介しましたので、ご興味があればご参照いただければと思います。
テスラが提供する「未来のライフスタイル」とは?【American way of lifeの次の世界】
今日はテスラの電気自動車以外の主力事業である「電力供給」について説明します。日本でも既にパワーウォールが発売されていますが、「電気自動車と蓄電池(パワーウォール)」を用いて電力は再生可能エネルギーで自給自足できるコミュニティを事件をオーストラリアでやっていますが、これを日本に導入することはできないでしょうか?
値下げしても429〜499万だとまだ高いと思う方もいるでしょうが、心配は無用です。補助金があります。
環境省からの補助金(テスラもOK)
ネット上では「テスラは補助金の対象にならない」というようなデマが流れていますが、環境省からの補助金に関しては対象になりますのでご安心ください。
CEV補助金対象 最新車両(EV)_CEV、EV・PHV用充電設備、水素ステーション、サポカーの補助金交付を行う次世代自動車振興センター
CEV補助金対象 最新車両(EV)の一覧ページになります。CEV、EV・PHV用充電設備、水素ステーション、サポカーの補助金交付を行う一般社団法人次世代自動車振興センター。環境・エネルギーに優れた自動車の普及を促進しています。
正式名称を「再エネ電力と電気自動車や燃料電池自動車等を活用したゼロカーボンライフ・ワークスタイル先行導入モデル事業」と言いますが、現在は補助金が昨年度の40万円のままで倍増の80万円になるのは4月以降ですので、注意して欲しいところです。
また補助金を80万に増額する条件も「再生可能エネルギー100%の電力に切り替えること」のみですので、自宅に充電設備を設置できない人でも対象になります
。
再生可能エネルギー100%の電力と言われると、先月の電力供給不足の際に「電気代が上がる」と騒ぎになったような電力会社をイメージするかもしれませんが、実は関東在住なら東京電力にも「再エネ!00%」の契約プランはありますので誰でも簡単に切り替えられますしリスクもありません。
以下のサイトに「再生可能エネルギー100%」の電力会社が紹介されてますのでご参照ください。
再エネ100%電力プランを徹底比較!
【EnergyShift公式】地球温暖化問題の緊急性が増している現在、再生可能エネルギーの普及が、世界の重要な課題となっています。そんな中、再エネで発電された電力を使いたい家庭や企業も増えています。一方、再エネを使っていることを売りにする様々な電気料金プランも現れました。ここでは、「再エネ100%とは何か?」「再エネとFITの違い」「再エネ100%プランに切り替える時の注意事項」を解説し、再エネ比率が高い10社のプランをご紹介します。
経済産業省からの補助金(テスラは不可)
テスラ車が不可なのはこちらの「経済産業省からの補助金」です。
正式名称を「災害時にも活用可能なクリーンエネルギー自動車導入事業費補助金」と言いますが、これはV2Hなどのように電気自動車を蓄電池代わりに使う(日産リーフや三菱i-MiEVでは可能)設備を設置した場合に別途もらえる補助金です。
「クリーンエネルギー自動車の導入補助金」について (METI/経済産業省)
テスラ車の場合はパワーウォールがあるからなのか蓄電池としては使えませんので、この補助金は対象にはなりません。
地方自治体ごとの補助金も要チェック
また今の環境省と経済産業省からの補助金は「国」からの補助金ですが、地方自治体の中にはこれとは別の独自の補助金を用意している自治体も多いので、必ず自分が住んでいる自治体が電気自動車の補助金を導入しているか確認してみましょう。
東京都の場合はこれまでは30万円でしたが、次年度は60万円に増額されます。
電気自動車等の普及促進事業(EV・PHV車両)
EV・PHV車両を導入する個人、事業者等に対して、その経費の一部を助成する事業です。
ちなみに私が現在住んでいる東京都北区にはありませんが、23区内でも江東区や葛飾区などは区独自の補助金が更にあったりしますので、必ず自分が住む都道府県と市区町村両方のホームページをチェックしてみることをお勧めします。
葛飾区がEV車に補助金を25万円出すのは、このまま地球温暖化が進み、海面が上昇すると区が丸ごと沈没してしまうという事実からして、理にかなっていると思う。
— あちらい (@sachirai) February 19, 2021
現時点で私が調べた限りだと市区町村レベルですと東京都葛飾区が最強です。太陽光パネルや蓄電池にも補助金が適用されるようですので、最も補助金が充実している自治体かもしれません。
「国+東京都+葛飾区」で合計160万位の補助金になりますので、テスラ・モデル3の最も安いスタンダードレンジモデルなら269万とついにプリウスと同等の車両価格まで来てしまいます。
「電気自動車=高くて買えない」がテスラによって破壊されるゲームチェンジ
今日は値下げを発表したテスラ・モデル3と国・地方自治体の補助金について説明してきましたが、この2つを組み合わせることで「ゲームチェンジ」が起きます。
国と東京都の補助金を合わせると合計140万ですが、これを適用させるとスタンダードレンジプラスが289万円、ロングレンジが359万円になります。
既存のガソリン車やハイブリッド車で見ても例えばトヨタのカムリの車両価格などより安くなってきました。プリウスの車両価格を抜くのもあと一歩です。
「電気自動車なんて高くて買えねぇんだよ」的なことを言う人は多いですが、テスラの販売価格は徐々に従来のガソリン車・ハイブリッド車に近づいてきました。
「航続距離が短い車なんて乗れねぇんだよ」的なことを言う人もいますが、モデル3で既に400〜500キロ走れるようになったので、日常生活ではほとんど問題がないレベルに進化してきました。
いよいよ電気自動車による「ゲームチェンジ」が日本でも起きるタイミングかもしれません。価格面でも航続距離などの性能面でもテスラに劣る電気自動車しか発売できない日本メーカーはいよいよテスラに食い尽くされるかもしれません。
ヤフコメ民のクオリティ(笑)。
テスラ モデル3 が突如82万円の値下げ!…これは買いか?(レスポンス)#Yahooニュースhttps://t.co/hEOQmgW0YD— saito koji@次の海外旅行はいつ? (@kojisaitojp) February 18, 2021
そういう危機感があるからなのか最近はヤフコメなどでとても醜悪に電気自動車やテスラを罵るような書き込みを見かけることが増えてきました。
しかし「電気自動車なんか絶対に普及しない」とか「ヨーロッパや中国も今に諦めて日本のハイブリッドを買うようになる」とか世界の流れを見ようともせずに、感情論でわめき散らす人が増えていて、必死なのはわかりますが努力の方向を間違えているように思えます。
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