2022年1月ヨーロッパのEV化状況からわかることとは?【ヒョンデ・起亜・中国勢の脅威】

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こんばんは、@kojisaitojpです。毎月恒例のヨーロッパの新車販売に占めるEVの統計が出てくる時期ですが、こんなニュースを見て何か感じませんでしょうか?

昨年私がロンドンに行った際にも「見かけるEVがテスラか起亜ばかり」と記事にしたりもしましたが、何とイギリスのガソリン車やディーゼル車も含めた年間の売上台数ランキングで起亜自動車が1位になったとのことです。

ここのところ私のブログではヒョンデ(ヒュンダイ)「IONIQ5」について記事をいくつも書いており、いよいよ日本市場への進出が発表された状態ですが、傘下の起亜がイギリスで1位(ヒョンデ自身は4位)になりました。

「また韓国メーカーの話かよ」とブログでもツイッターでも怒り気味の人がフォロワーなどにもいるのはわかってます。

別にいいのです、これが世界の現実ですから。世界の現実を目を背けずに見つめることが今の日本人に必要なことだと思ってますので。それが不愉快ならブログに来なければいい、Twitterもフォローを解除するなりブロックするなりすればいいと思うだけです。

今日は2022年1月のヨーロッパ(イギリス・フランス・ドイツ・ノルウェー)の最新の新車販売に占めるEV化率について取り上げますが、その中で「ヒョンデ(ヒュンダイ)・起亜」の韓国勢や中国勢の話題には触れないわけにいかなくなってきました。

2022年1月のノルウェーのEV化率は?

2022年1月ノルウェーのEV化率

まずは世界最高のEV化率を誇るノルウェーから行きます。

ここのEV化率が高いのはもう常識ですが、2022年1月もBEVが83.7%、PHEVが6.8%で合計のEV化率が90.5%と、先月まで20%以上を占めていたPHEVが大幅に減少し、ほぼBEV一色になってきました。

以前から言っているようにノルウェーは世界で最も早く「2025年からエンジン車(ハイブリッドやPHEVも含む)の新車販売を禁止」が決まっており、いよいよPHEVすらも買う価値がないと見なされるようになってきた感じがします。

「EVは雪国では普及しない」「EVだと大雪で立ち往生したら凍死する」などとネット上でデマを撒き散らしている勢力は相変わらず日本では見られますが、日本よりはるかに緯度が高い上に北海道同様に雪国のノルウェーの数字を見て何を感じるのでしょうか?

もちろんノルウェーにはノルウェー固有の「EVを普及させやすい事情」はあります。それについては以前触れましたのでこちらもご参照ください。

寒冷地ゆえに元々エンジンの始動をスムーズにするためのブロックヒーターを使用するためのコンセントが駐車場に設置されているのが当たり前だったという環境がノルウェーがEV化しやすい理由としてあったのは事実です。

2022年1月ノルウェーのEVランキング

そして冒頭のイギリス同様に驚きなのが車種別ランキングです。まず前置きとして1月はテスラの納車がゼロなので常に首位争いをしている「モデル3」「モデルY」が不在です。

これによって首位に立ったのアウディ「Q4e-tron」です。先日日本での発売も発表されましたが、先に販売しているヨーロッパでは既に人気です。

その次に「IONIQ5」が見えますよね、そして6位に起亜「EV6」。

起亜の新型EV「EV6」も以前解説した記事がありますのでご参照いただければと思います。

紅旗「E-HS9」

これだけなら後で紹介するイギリスと大差はないのですが、真ん中辺に「Hongqi E-HS9」の文字が見えますでしょうか? 月間179台でノルウェーで安定して売れている日産「リーフ」の231台に肉薄しています。

そうです、先日日本でも販売を開始したことを紹介した「紅旗(Hongqi)」のフラッグシップEVの「E-HS9」がランク入りです(EVはまだ日本では未発売)。

先にノルウェーで販売を開始しているBYDやXpeng、NIOなどを差し置いて「紅旗」登場です。

紅旗と習近平

やはりこのお方を筆頭に中国共産党幹部愛用のブランドの強さでしょうか。

購入には身元を含めた審査があると中国では言われていますが(審査されたくねぇ…笑)、ノルウェーでどのように販売してるのかは不明です。

もしかしたら日本市場同様にノルウェー在住の中国人向けの販売かもしれませんが、いずれにせよ恐ろしいです。

ちなみに日本勢は日産「リーフ」とトヨタがプジョー・シトロエンにOEM供給を受けている「プロエースEV」だけがランクインです。

韓国勢や中国勢との勢いの差を感じるのは私だけでしょうか?

2022年1月イギリスのEV化率は?

2022年1月イギリスのEV化率

「日本に都合の悪い情報ばかり流してるんじゃねぇよ!」と怒る人もいるでしょうが構わず行きます。

次はイギリスで、BEVが12.9%、PHEVが7.9%と2021年12月よりは落ちていますが、前年同月比では増えています。

テスラに限らず(もちろん1月は納車ゼロです)自動車メーカーはどこも年末に納車を集中させるので(排ガス規制のクリア及び決算のため)その反動で1月は前年12月よりは落ちます。

そして冒頭でも取り上げた車種別ランキングですが、現時点では車種別までは統計が発表されておらず、メーカー別のシェアになります。

2022年1月イギリスのEVランキング

総合のランキング同様に起亜が首位、それにメルセデス、フォルクスワーゲン、ヒョンデ(ヒュンダイ)と続きます。

日本勢は真ん中辺に日産、一番下にマツダの文字が見えるだけです。

配車アプリできた起亜NiroEV

私がロンドンでUberを呼んだ時に来たのは起亜「NiroEV」でしたが、イギリスでトップを争う売上台数のようです。

ホテル前で充電中の起亜NiroEV

実際に路上で充電してる車両も何台も見ましたし、ロンドンに1日いただけでも「起亜とテスラが多いな」と感じました。

昨年ロンドンに滞在した際のEVに関する記事はこちらになりますのであわせてご参照いただければと思います。

韓国勢がガソリン車・ディーゼル車を含めた売上ランキングでも上位を占めているという事実は見逃せません。

2022年1月フランスのEV化率は?

2022年1月フランスのEV化率
次はフランスです。

2022年1月のフランスではBEVが9.9.6%、PHEVが7.7%で合計が17.6%と2021年12月の24.4%からは下がっていますが、これもテスラの納車がゼロなこと、その他の自動車メーカーも年末に納車を集中させたことからくる数字です。

実際に前年同月比では増えてますので「ヨーロッパでもようやくEVの限界に気づき始めた」などとはしゃいでいると3月のテスラの納車台数で倍返しを食らうと思います。

2022年1月フランスのEVランキング

車種別のランキングは2ヶ月ほど前からダチア「Spring」が首位で、ずっとフランスで首位を走っていたルノー「Zoe」の上にいます。

ダチアSpringElectric
パリで路駐してるルノーZOE

なお「Dacia(ダチア)」はルノー傘下のルーマニアのメーカーで「Spring」については以前取り上げた記事がありますので、こちらもご参照ください。

またここにもヒョンデ(ヒュンダイ)「KONAEV」、起亜「NiroEV」「EV6」がランクインしており、イギリスやノルウェー同様に「ヒョンデ(ヒュンダイ)・起亜グループ」の強さが目立ちます。

起亜「EV6」

これだけヒョンデ(ヒュンダイ)・起亜がどこの国でも強いと「あれ?日本勢より売れてないか?」と思いますよね。

2022年1月のドイツのEV化率は?

2022年1月ドイツのEV化率

そして最後はヨーロッパトップの販売台数を誇る自動車大国であり、私も昨年フォルクスワーゲンの「アウトシュタット」を訪れた際にも触れたドイツです。

ドイツでは先月35.7%という過去最高のEV化率を達成しましたが、1月はBEVが11.3%、PHEVが10.3%で合計21.6%と下がっていますが、これもテスラの納車がゼロなこと、ほとんどの自動車メーカーが年末に大量に納車することが関係しています。

2022年1月ドイツのEVランキング

そして車種別ランキングですが、首位がフィアット「500e」というのも意外ですが、3位にヒョンデ(ヒュンダイ)「KonaEV」と4位に「IONIQ5」が入っています。

アウディ・メルセデス・BMW・フォルクスワーゲン・ポルシェなど世界を代表する自動車メーカーの母国ドイツでもこの結果です。

ヒョンデ(ヒュンダイ)の地域別販売台数

こちらは日本経済新聞に掲載されていた表を引用しましたが、見ての通り本国韓国で売上を減らしているのは意外ですが、ヨーロッパ・北米市場では着実に販売台数を伸ばしていますし、他には中南米の新興国・発展途上国でも売上を伸ばしています。

他にもこれまでならスズキが無敵の強さを誇っていたインド市場でも着実にスズキのシェアを食い始めています。

「ヒョンデ(ヒュンダイ)・起亜が売れてないの日本位じゃないの?」という事実に気づきましたか?

まぁこの事実を指摘したところで「世界でいくら売れようが日本は特殊な市場だから絶対に売れない!」とムキになる人が多い(特に年齢層が上に行けばいくほど)でしょうけど。

わざわざ右ウインカーに改造したり、日本独自のシステムであるV2Hにも対応してきたりと、案外本気で日本市場で売ろうとしてることがわかります。

「そんなこと言われても韓国の車なんて日本人は絶対に買わない」と興奮する人が一定数いるでしょうが、そもそもそんな風に偏見でしかヒョンデ(ヒュンダイ)を見れない人はそもそも販売ターゲットではないと思います。

日本でも放送するのかは不明ですが、世界ではCMにBTSを起用し、明らかに日本メーカーとは対象とする年齢層が違うことがわかります。

「若者の車離れ」などと勝手に決めつけて若者層へ車を売ろうともしなかったことのツケが回ってくるかもしれません。

「どうせ韓国車なんて」という偏見は既に日本以外では崩れていることは忘れない方が良いと思います。

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