「ポルシェ・タイカン」に試乗したら衝撃を受けた話【充電も航続距離もEVで最強】

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こんばんは、@kojisaitojpです。マツダ「MX-30」、テスラ「モデル3」と続けて試乗してますが、ちょっと格が違うEVにも乗ってみました。

ちょっと格が違うので「すげぇ」となるのはある意味当然ですが(笑)。

ついにポルシェ「タイカン」に試乗してみました。ポルシェの場合試乗はディーラーのスタッフが同乗するのでいつものように動画を撮ったりはしにくい(明らかに冷やかしの一見さんだと思われます)ですし、こちらもそれなりの服装をして行くのはもちろんのこと発言にも神経を使う必要があります。

まぁハイドロのシトロエンで乗りつければ「ただ者じゃない客が来た」と気づいてくれたでしょうが(笑)。

ですので今回は画像は少なめですが実際にポルシェ「タイカン」を運転してみて感じたこと、そして私が「ポルシェだけはEVでもテスラと同等以上に戦える」と考える充電インフラについても解説します。

圧倒的なEVとしての性能に衝撃のポルシェ「タイカン」

ポルシェタイカン(認定中古車)

まず最初に今回私が試乗したポルシェ「タイカン」のグレードとスペックを紹介しておくと、

  • 試乗したのは「タイカン・ベースグレード(RWD)」
  • 搭載バッテリー容量79.2kWh
  • 航続距離406キロ(日本WLTCモード)

ですが、オプションが豊富なのがポルシェです。

最も廉価なベースグレードのタイカンもオプションでバッテリーを増量して、上級グレードの「ターボ」「ターボS」同様の93.4kWhに変更することも可能です。

バッテリーを変更した場合の航続距離は463キロ(日本WLTCモード)になります。

というと「バッテリー容量の割にテスラと比べると短くないか?」と思いますよね。ただここにはトリックがあります。

ディーラーのスタッフも「下道を中心に運転すると間違いなく航続距離は伸びます」とはっきり断言していました。

日本人の普通の感覚だと「カタログ値よりも走らない」のが当たり前になってますし、だからこそ日本の基準ではなく「高速道路を時速100キロで走行し、クーラーをつけても達成可能」なアメリカのEPAサイクルを航続距離の目安として考える方が妥当だったりします。

ところがポルシェの場合は逆で「カタログ値よりも航続距離が伸びる」のが特徴です。

走りに関しては別にモータージャーナリストなわけでもないので、一般的なユーザーとしての感想です。

ポルシェタイカン(認定中古車)の運転席

またEVにありがちなピッチング(前後の揺れ)はほとんどありません。

理由は実際に運転してみればわかるのですが、回生ブレーキの使われ方がテスラなどと違うからです。

通常のEVであればアクセルを離すと自動的に回生ブレーキが働きます(そしてこれがピッチングという前後の揺れが起きる原因)が、タイカンの場合はアクセルを離すだけでは回生ブレーキはかからずフットブレーキを踏んで初めて回生ブレーキも作動します。

この辺りに「走り重視」「なるべく内燃機関車と大差のないフィーリング」を重視するポルシェらしい設計思想が見えてきます。

ですが走り重視と言ってもドライバーだけではなく同乗者のことも考えられており、他のEVと比べてピッチング(前後の揺れ)がない、そしてガソリン車の時代から有名なポルシェのエアサスが機能しますから乗り心地はとても快適です。

ポルシェタイカン(認定中古車)の後部座席

どのくらい快適か? シトロエンで「ハイドロ」を経験している私が乗っても乗り心地が良いと感じるくらいと言えばイメージできますかね(笑)。

先日のマツダ「MX-30」の記事で「Gベクタリング」の優秀さを説明しましたが、それ以上の快適さです。ポルシェなのだから当然と言えば当然ですが。

ちなみに「スポーツモード(オプション)」に入れた時だけアクセルを踏み込むと人工のエンジン音のようなものが聞こえてきます。エンジン音が必要だというユーザー向けにはオプションでつけるところがポルシェらしいと感じるところです。

価格が最も廉価のベースグレードでも約1200万からと簡単に手が出る領域ではありませんが、価格に見合った価値は間違いなくあります。

また試乗中に私がテスラを引き合いに出しながら話をしていると「まぁテスラさんはアメ車ですからねぇ」というドイツ車の老舗ブランドとしてのプライドを感じさせる発言もありました。そしてそのプライドにふさわしいクオリティに仕上がっていると思います。

圧倒するのはEVだけじゃなく充電インフラも

ポルシェの急速充電器
ちなみにこの急速充電器は、今回ポルシェセンター浦和に着いた瞬間に「さすがはポルシェ」とすぐに気づいたのがこれなのですが、わかりますでしょうか?

実はこれができているディーラーはポルシェと日産だけです。

ポルシェタイカンの急速充電

敷地の一番外側に急速充電器(ポルシェの場合陰になってて写ってませんが普通充電器も一基あります)を設置すればディーラーがクローズした夜や夜中の時間帯、あるいはディーラーの定休日にユーザーが充電器を利用することが可能になります。

ポルシェセンターの方にも伺いましたが、「これを可能にするためにディーラーの全体のレイアウトから考え直した」と言っています。

しかも充電器のスペックが90kW-150kW(ポルシェセンター浦和のものは90kWのようです)と日本の公共の充電器ではお目にかかれないハイスペックなものです。

実は日産もリーフを発売した直後に日本全国のディーラーに充電器を設置する際にお店のレイアウトを一から見直して「24時間ユーザーが利用できるように」「24時間開放してもセキュリティ上問題がないように」と努力していました。

残念ながらこの重要な事実を見落としてるメーカーもいます。

先日私も記事にしましたが、アウディとフォルクスワーゲンもポルシェ同様に150kW級の急速充電器を自社のユーザーのために設置(フォルクスワーゲン・アウディで共用)する計画を発表してますが、こちらは残念ながら「ディーラーの営業時間のみ」というのが既にネックとして指摘されています。

私のように自由に働いてる人間ならいざ知らず普通のサラリーマンが10:00-18:00などの営業時間に充電に行くのは平日は厳しいですよね。かといって土日に行けば同じように平日に充電できないユーザーが殺到して混雑しそうですし。。。

アウディ側は「セキュリティ上の問題」ゆえに営業時間外は開放しないと言ってますが「同じことはポルシェにも当てはまるのでは?」とツッコミを入れたくなるところです。

ポルシェとアウディ・フォルクスワーゲンを比較した時にどっちがユーザーの利便性を最優先に考えているのかは言うまでもありません。

ポルシェセンター浦和のロケーション

ポルシェセンター浦和
住所:埼玉県さいたま市南区辻2-8-25

外環自動車道三郷方面外環浦和I.Cからクルマで10分、さらにJR埼京線武蔵浦和駅・JR京浜東北線南浦和駅からもクルマで10分という抜群のロケーションです。

EVと充電インフラをセットで考えるポルシェとテスラ

ポルシェタイカン(認定中古車)の外観
今回ポルシェ「タイカン」のEVとしての性能にも充実の充電インフラにも感激して帰ってきたわけですが、この「充電インフラ」という面では私の地元札幌でも衝撃的な発表がされたようです。

テスラのスーパーチャージャーが札幌にオープンしたのですが、何と場所が北海道電力本社の敷地内で北海道電力の公式アカウントがアナウンスしてるように電力会社の全面バックアップで作られたようです。

こうなると噂で出ている「今年中に旭川、帯広、釧路などにもスーパーチャージャー設置予定」というのも現実味を帯びてきます。

これまで北海道のテスラユーザーは自宅充電ができることがほぼ前提でしたが、これによって自宅充電できない環境の人もテスラを買えますし、北海道内の長距離移動の際にも必要な距離ごとにスーパーチャージャーがあって移動が非常に楽になります。

もしかしたらこれまでは「充電器=日産ディーラー」と言われるくらいリーフの独占状態だった北海道のEV事情が変わる可能性が出てきました。

今のところ「EVと充電インフラ」をセットで考えて自社のユーザーに快適なEV生活を提供しようと真剣に考えているのはテスラとポルシェのみです。

先ほども言ったようにフォルクスワーゲンとアウディも自社ユーザー専用の急速充電器を設置することを表明していますが、こちらは残念ながら「ディーラーの営業時間のみ提供」らしいので、「150kW級」と言っているので速度は問題がなくても24時間使えるポルシェ・テスラには劣ります。

そして日産も実は今後ピンチを迎えます。

日産グローバル本社のアリア

私のフォロワーの方々の中には多くの日産ファンがいらっしゃるのであまり言いたくはないところですが、発売目前の「アリア」のスペックに見合う130kW級の急速充電器を今も一基も用意できてないのが日産の現実です。

以前グローバル本社まで「アリア」の見学に行った際に書いた記事でも指摘しましたが、「自社のユーザーが快適に使える充電器も用意しないの?」と思ってしまいます。

2010年にリーフを販売した時には当然日本中・世界中のどこにも充電器がない状態から日本中・世界中の日産ディーラーに急速充電器を設置し、世界のEV化への先駆者となった当時の日産とは別の会社になってしまったかのようです。

反対に「自社のユーザーがEVのメリットを最大限享受できるように」と自社のディーラーに(それも24時間使えるように外側に)充電器を設置するポルシェや現在も日本全国にスーパーチャージャーを毎月オープンさせているテスラとの差が開くばかりです。

そして同時にこれまでの日本の充電インフラが日産「リーフ」を基準にした50kWでは出力不足に感じるほど大容量のバッテリーを搭載したEVが増えてきたことで「e-MobilityPower」の充電器設置計画の欠陥も明確になってきました。

その典型例が何度も記事にしている「大黒PA」のあの充電器です。

2022年は日産「アリア」やトヨタ「bz4X」など世界レベルでも通用すると思われる高性能なEVが日本メーカーからも発売される年になりますが、このままの充電インフラだと「本国の日本で性能をフルに発揮できない」という笑える状況になってしまうのを危惧するのは私だけではないでしょう。

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