UXやUIを無視する日本の自動車メーカーに未来はあるのか?【テスラ・Appleと真逆のガラパゴス】
こんばんは、@kojisaitojpです。先日テスラセンター板橋へ行った記事を書きましたが、ツイッター上の反応を見ているとどうやら最も注目を集めたのがこの点だったようです。
やはりこのレバーだけでオートパイロットに入るテスラのユーザーエクスペリエンスってすげぇわ😱 pic.twitter.com/2jq86skGb5
— saito koji@2022はぴあアリーナ→バルセロナへ (@kojisaitojp) January 31, 2022
記事の中でも言いましたが右レバーを2回倒すとオートパイロットが作動します。
実はこういう「分厚い説明書なんか読まなくても手軽に使える」というのはユーザーの立場としては非常に楽であり、なおかつ快適です。
今すぐEVを買える状態ではないので注文は入れませんでしたが慎重な私にしては珍しく「即決しちゃおうかな?」と思うインパクトでした。
これが「UX(ユーザーエクスペリエンス)」なんだなと自覚した瞬間でしたが、私のブログを読まれている方々なら「お前、モデル3に何回も乗ってるのに今更言うの?」と思われることでしょう。
そこで今日はなぜ私が今になって急にテスラ「モデル3」のUX(ユーザエクスペリエンス)に目覚めたのかという個人的な動機から始めて、家電・スマホ・自動車と日本のあらゆる製造業に欠けている重要な問題について考えてみます。
目次
自動車でも家電でもなぜかUXやUIを無視して使いにくくなる日本メーカー
たまたまテスラ板橋で面白い体験をした後に面白い記事を発見しました。
日本の家電の「絶望的な使いづらさ」について
日本の家電の「絶望的な使いづらさ」について
記事は車の話ではなく家電の話で、「日本の家電はなぜこんなに使いにくい仕様になっているんだろう?」という記事です。
そしてその使いにくさの理由に「UX(ユーザーエクスペリエンス)」と「UI(ユーザーインターフェイス)」の欠如です。
まずは初心者向けに「UX」や「UI」の定義について確認しておきます。
UX(ユーザーエクスペリエンス)とは、ユーザーがプロダクトやサービスを通して得られた体験を表す言葉。 一方で、UI(ユーザーインターフェイス)とは、ユーザーとの間に現れるサービスやプロダクトの外観を表す言葉です。
(「UX/UIとは? 言葉の意味やUXとUIの違いをわかりやすく解説」より)
ここに一言で定義が書かれていますが、「読み込み速度が早い、アプリ内の導線がわかりやすい(欲しい情報にすぐ辿り着ける)、入力フォームでの手順がスムーズ」など実際にユーザーが操作などを通して「体験」する部分が「ユーザーエクスペリエンス(UX)」、「どのページからでもTOPに戻るボタンが認識しやすい、テキストリンクの位置や色がユーザーにとって違和感がない、見やすいフォント・レイアウト」などユーザーが商品に触れる部分を「ユーザーインターフェイス(UI)」と分けることができます。
そもそも「ユーザーエクスペリエンス」にしろ「ユーザーインターフェイス」にしろ横文字(英語)の表記になってしまうということは、「日本語や日本人の思考回路にこれに該当する単語がない」ということです。
なんていうと「また文系脳が」と言われそうですが、「あぁ文系脳だよ。でも私立文系・文学部卒業の視点でしか見えないこともあるよ」と先に反論しておきます。
自動車を具体例に語ると以下のような内容が「ユーザーエクスペリエンス」に該当します。
日本が考えを改めないといけないところって、こういう部分もあると思う。 pic.twitter.com/9bSCPYV917
— ろくりん🚘 with ModeI❸ (@RockCircle6) January 30, 2022
テスラ車を運転したことがあればお分かりかと思いますが、テスラのオートパイロットの操作方法は簡単で右レバーを2回倒すだけで作動します(もちろんオートパイロットにしても平気な条件がそろっている時のみです)。
これとの比較でスバルの「アイサイト」というオートパイロットの操作方法と比較されていますが、私が先日体験したマツダ「MX-30」のオートパイロットも似たような操作方法でした。
ついにマツダのEV「MX-30」に試乗して大黒PAの充電器を使った話【Gベクタリングが快適?】
これまで多くのEVに乗ってきた中で試乗したことのない数少ないEVの一つ、マツダ「MX-30」に試乗してきた感想をお話しします。「Gベクタリング」がもたらすEVとは思えない制御技術の高さ、テスラのデザイナーにも受け継がれる上質なデザインは高評価せざるを得ません。また噂の大黒PAの充電器も試してきたので結果を報告します。
EV特有のピッチング(前後の揺れ)をほとんど完璧に制御できている「Gベクタリングコントロール」にしろ、テスラのオートパイロット並に優秀なマツダ・レーダー・クルーズ・コントロール(MRCC)[全車速追従機能付]とクルージング&トラフィック・サポート(CTS)は認めざるを得ないクオリティでしたが、操作方法の難解さだけは謎でした。
ですのでマツダの誇る素晴らしい技術は認めるのですが、個人的な感想としては「テスラのオートパイロット並に優秀なのになぜこういう使いにくい設定になってるんだろう?」という疑問だけが残りました。
スバルの「アイサイト」も同様ですが、ステアリングにあるスイッチを複数回触る作業をするには前方から一瞬目を離してステアリングを見ないと簡単にできるものではありません。
そうです、運転において一番やってはいけない行為である「わき見運転」を一瞬とはいえ誘発してしまう危険性があるのです。
スバルの「アイサイト」も私は使ったことがありませんが、日本メーカーのオートパイロットの中では最も優秀、将来のレベル4以上の自動運転へ最短距離にあるもののように言われています。
実際私が知ってる限りの情報でも「ETCレーンを自動で通過」ができるのはスバルの「アイサイト」のみのはずです。
にもかかわらずわざわざ操作方法を複雑にすることで「使いにくい」とユーザーが感じてしまう、反対に誰でも簡単に操作できるテスラのオートパイロットなら使いやすいと感じることは誰の目にも明らかです。
これが「ユーザーエクスペリエンス(UX)」の典型例では?と思ったのです。
そしてこの視点が欠如してるの家電だろうがスマホだろうが自動車だろうが日本メーカーの弱みなのでは?と思いました。
中の人の目線だと気づかないのが「UX(ユーザーエクスペリエンス)」なのか?
おっと、「誰の目にも」という表現は不適切ですね、おそらく設計を担当した設計者や自動車メーカー内部の人間は「使いにくい」とは感じない、それどころか「当然の設定だ」位に思ってそうですね。
実際に引用した記事のコメントでも、
取説読まない人にはどんなUIもわかりづらいと思います。
高機能(高性能ではない)になれば使い方も複雑にならざるを得ないのは当然ですよ。
パソコンとタブレット、どちらが使いやすいですか?
難しいことをやろうとすればするほどパソコンが使いやすくなりますよね?
パソコンは直感的に使えないでしょ?
高機能を使いこなすには言わば努力が必要なのです。
注目して欲しいところは私が太字にしましたが、などとなぜか複雑な操作が必要なことを「当然だ!使いこなせないのはお前の勉強不足だ!」とドヤってくる輩が現れます。
「高度なものを使いたいなら勉強してきやがれ」などという態度はユーザーエクスペリエンス(UX)とは全く真逆の視点です。
基本的に複雑な操作が必要なものであるほどユーザーは面倒だと感じて使わなくなる、そして「使わない機能がついてる高い商品は不要」と考えるようになりその会社の商品を二度と買わなくなる可能性が高まります。
このようなコメントが数多く寄せられていることから推測しても、不便だと言うユーザーに対して「勉強不足のユーザーが悪い」と言ってしまうのが日本メーカーの特徴のようです。
これと真逆の方向から顧客にアプローチしてきた会社があります。それがAppleでありiPhoneです。
Appleから学ぶUIデザイン。何も考えず直感的にiPhoneを使いこなせる秘密 – Workship MAGAZINE(ワークシップマガジン)
スティーブ・ジョブズ氏は、説明書がなくても誰もが使える製品を作るべきだと考えました。 たとえばiPhoneのホーム画面は、本のページと同じく、上下に「めくる」ことはできません。あくまで左右の動きです。 いまとなっては珍し […]
「説明書を見る必要がない」「直感的に操作できる」というのがiPhoneを筆頭とするApple製品の最大の特徴です。
デザインやApple Storeの提供するイメージ戦略も効いてるとは思いますが、いくら立派な広告を打ったどころで肝心のユーザーが「使いにくい」と感じればその商品は普及しません。
今や日本人の2人に1人以上がiPhoneを使う、ガラケーにしろスマホにしろ日本メーカーがソニーを除くとほぼシェアを失ってしまった理由がここにあるのでは?と思います。
「車とスマホを一緒にするな!」を真っ向から否定するテスラのUXとUI
まぁそのようなことを言っても「車と家電を一緒にするな!」「車はスマホと違って人の命がかかってるんだ!簡単に操作できるようじゃ困るんだ!」と怒り狂って反論してくる人がいるのは記事をアップする前から予想ができます(笑)。
私から言わせれば「運転中によそ見をしないと操作できない複雑な仕組みを作っておいて何が「人の命ガー」なんだよ?」と思うところですが。
そもそもガラパゴスな操作方法を「仕方ないんだ!」と居直る人に限ってテスラのタッチパネルなどに対して「タッチパネルはよそ見につながるからダメだ」「液晶がブラックアウトしたら危険だ」とか「テスラは安全性を軽視した自動車を作るのにふさわしくないメーカーだ」のように猛烈に批判してきます。
ブーメランなのも知らずに(笑)。
結局「中の人間の論理」が優先されてしまいユーザー目線で「どうすればユーザーが使いやすく感じるのか?」を考えることができないのが日本の自動車メーカーの欠陥のようです。
「車は特別」と言ってる限りUXにもUIにも気づかない日本メーカー
そもそも真面目に反論すれば車と同じ、いや事故が起きたらほぼ全員即死のリスクがある飛行機のコックピットは今やタッチパネルなのが常識です。
エアバスA380のコックピットなんて、車好きな方々が見たら発狂しそうw pic.twitter.com/iABMelmPy2
— Brownie (@browniejp) February 2, 2022
比較的新しい飛行機のエアバス380のコックピットです。車以上に多くの人員の命を預かる飛行機も既にUXやUIを意識したパイロットに使いやすい構造に変化しています。
ところがなぜか日本では自動車だけは何か今までと違うことを言うと猛烈に叩き始める勢力がいるようです。
ModelXオーナーさんだったか?
AP使用中に規制車線へ不注意で突っ込んでしまい「APが認識し易いパイロンにした方が良い」ってコメントしたら炎上してた。
でも、事故事例から学ぶ・改善提案するって、ものすごく重要だと思う。他責思考からその発言をした訳じゃないだろうし。叩くのはただのエンタメ。 https://t.co/lNxFz0dlYK— ろくりん🚘 with ModeI❸ (@RockCircle6) February 1, 2022
テスラのオートパイロットは車線や障害物を読み取る能力があります。
既にテスラのカメラとAIは信号や他の車、通行人などを認識して表示できるようになっています。
だから「認識しやすいパイロンを置いた方がいい」などと提案すると炎上したという話です。
実際私のところにも「スマホと車を一緒にするな!」「お前の議論は薄っぺらい」「文系のくせに」のように意味不明の誹謗中傷が特にテスラを取り上げると結構な数来ることがあります。
ですが本日の記事を見ての通り、「ユーザーにとって使いやすい構造」、ユーザーエクスペリエンスを自動車においても重視することの何が間違っていると言うのでしょうか?
ユーザーにとって使いやすい、操作が簡単ということは結果として事故の減少にもつながると思うのは私だけでしょうか?
不満があるなら「薄っぺらい」とか抽象的な表現で誤魔化さずに具体的に何が問題なのか指摘して欲しいところです。
それができないで何となく感情的に罵っているのであればTwitterであれば「議論をする価値のない相手」と見なして即時ブロックの対象にします。
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