テスラの「モデル2」や「Semi」が日本の市場を食い荒らすのか?【低価格・ハイスペック】
おはようございます、@kojisaitojpです。テスラを何とかして叩きたい人々には格好のネタになっているようです。
これが問題⇒「車の機能を大きく変えるソフトウェア・アップデートを提供できるが、一方で、コンピューターやディスプレイに障害が発生した場合には、多くの重要な機能も使えなくなる」
13.4万台のリコールに同意したテスラ、「タッチスクリーンの寿命は元々5、6年」と主張https://t.co/UBlx8bqaT4
— Shichiro Miyashita (@shichirom) February 5, 2021
まぁソフトウェアのアップデートで対処できると、米運輸省道路交通安全局(NHTSA)が勧告していたハード面の交換になかなか応じなかったという面ではテスラ側にも落ち度があります。
ですが既に行われたソフトウェアアップデートにより人命に関わることが無いようMCU(内のeMMC)が故障しても上記の機能が使えるように。仮にディスプレイがブラックアウトしても再起動すれば復活する、走行自体には影響がないという側面もあります。
これに関しては私なんかよりも、テスラを叩きたくてウズウズしている方は世の中にごまんといるでしょうから、そちらでやればいいのではと思います。
ただ今回の報道はテスラが正式にリコール対応をすると発表したというのがニュースになったというむしろポジティブなニュースであり、叩くネタとして活用できたのは今ではなくリコール対応しようとしない時期にすべきだったんじゃないの?と思いますが。
ちなみにテスラ車の安全性については以前扱った記事がありますので、こちらをご参照ください。
電気自動車はエンジンを搭載した車より安全なのか?【テスラのリコールと衝突安全テスト】
今日はテスラが勧告された「リコール」の内容とモデルYの衝突安全性テストについて書きます。ソフトウェアのアップデートをオンラインで行うことがテスラの独自性の一つですが、ソフトウェアを動かすためのタッチパネルに対し交換のリコールが勧告されています。それとは対照的に抜群の衝突安全性能を発揮したモデルYのテストにも触れます。
今日はそのようなテスラのネガティブな話題ではなく、ポジティブな話題を扱います。
目次
いよいよテスラモデル2生産開始か?
まだテスラ社からアナウンスがあったわけではありませんが、次に販売されると噂されていた「モデル2」と思われる車の情報が出てきました。
テスラ、中国でモデル3よりも安価なEV、モデル2発売?
280〜330万円程度?
ホントなら売れるでしょうね。
一気に販売台数100万台超えそう。
次々既存メーカの販売台数を抜いていく未来が見える。#電気自動車 #テスラ https://t.co/SKd6snABA6
— たか@電気自動車情報を発信 (@tk415523) February 5, 2021
既にコンパクトハッチバックの「モデル2」を開発していることは、昨年イーロンマスクが明らかにしていますが、今回出てきた情報は、この「モデル2」が2021年中には上海工場で生産を開始し、2022年いは発売を開始するのではないかという話です。
モデル3の車体をベースにするようですが、モデル3より更に小型のハッチバック車、価格が25000ドルから30000ドル、航続距離が350-450キロくらいではないかと言われています。
なお生産は先日モデルYでも話題となった上海のギガファクトリーの予定で、上海ギガファクトリーが車体の設計から生産まで全てを手がける最初の車種になるのではとのことです。
既にモデル3が電気自動車では世界最大の販売台数を誇る車種になっていますが、このサイズでも「日本では少し大きい」などと不満の声が出ることもあります。
それがもう1サイズ小さいコンパクトハッチバックが発売され、しかも価格も300万前後とこれまでのテスラ車の中で最も廉価版のモデルになれば日本でも爆発的に普及する可能性があります。
本来ならこの手のコンパクトハッチバックは日本の自動車メーカーが最も得意とする領域だと思うのですが、日本メーカーがいつまで経っても本気で電気自動車に取り組もうとしない間にテスラがこの領域にも進出してくるということです。
先日私が「バッテリーの開発に国が絡むと開発スピードが落ちるから良いことがない」と日本メーカーのスピードのなさを懸念したのもこのような背景からです。
今日はとりあげませんが、他にも中国の長城欧拉(ORA汽車)が「黒猫(Blackcat)「白猫(Whitecat)」と呼ばれる廉価版の小型ハッチバックEVを販売し始めており、これらの車種が日本に輸出されるようになると本日取り上げた「モデル2」と同様に日本メーカーの脅威になる存在です。
航続距離が足りないとか、寒さに弱い(これはでっち上げ)、充電設備が足りないなどと様々な理由をつけて電気自動車の開発に本気で取り組まない日本の自動車メーカーはますます窮地に追い込まれていると感じるのは私だけでしょうか?
テスラSemiも生産計画が
この前の記事で少し触れたテスラの電動トレーラー「Semi」についても少し進展があったようですので少し触れます。
テスラに部品を供給するサプライヤー筋から出てきた情報によると、「Semi」は車体をカリフォルニア州のフリーモント工場で生産し、最終的な組み立てはネバダ州のギガファクトリーかテキサス州のテスラギガオースティンで行うとのことです。
具体的な生産計画も出ており、
- 最終的なプロトタイプを2021年5月にリリース
- パイロットモデルを2021年7月に
- 2021年8月から販売モデルの生産に
という計画で、2021年8月には350台、2021年末までには週100台、2022年末には週200台ペースでの生産に入る計画のようです。
現時点では2023年以降にヨーロッパ市場に投入の予定までは出ていますが、日本市場への投入は未定です。
個人的には大型車、特にバスとトラックの電気自動車化をどこまで進めることができるのかが完全に電気自動車にシフトするためには最重要のポイントだと思っていますので、テスラ「Semi」の動向は非常に気になっています。
ちなみにバスの電動化については、既に中国のBYDが日本にも輸出しています。これについて触れた以前の記事がありますのでよろしければご参照ください。
「BYD」など中国のバッテリーメーカーが電気自動車で仕掛ける戦略とは?【敵は強大です】
「BYD」という中国のバッテリー・電気自動車などのメーカーを知っているでしょうか?電気自動車化のトレンドの中で中国メーカーの発言力が増し、今や世界の覇権を取ろうとしていることは意外に知られていません。今日は「BYD」がリリースする電気自動車を紹介しながら、「BYD」や「CATL」などの中国メーカーの世界戦略に迫ります。
またBYDはタクシーにも進出しているようで、テスラだけではなく中国のメーカーも日本市場を虎視眈々と狙っています。
ほら、国産メーカーがまともなEVミニバン出さないから先越されちゃった。何やってんだか。 https://t.co/YUJSjcc1sK
— Mont@ZE1 (@FLoE38961459) February 5, 2021
今でも10年ほど前に一部で導入された「リーフタクシー」が上手くいかなかったこと(当時のリーフはバッテリーに問題があり、航続距離が確保できないという欠陥がありました)を取り上げて「タクシーが電動かできるわけがない」とタカを括っていますが、当時と技術のレベルが違うことを忘れてしまうようでは困ります。
少しずつではありますが、日本メーカーが何もしない間に様々なセグメントの自動車でシェアを食われはじめています。
テスラと勝負するにはAppleと組むしかない日本メーカー?
以前「ヒュンダイで決まり」という報道が出た「AppleCar」の話題ですが、ここに来てまた別の情報が出てきました。
アップル、日本勢にEV生産打診か 水平分業の決断迫る
米アップルが電気自動車(EV)を巡り、日本を含む複数の自動車メーカーに生産を打診しているもようだ。3日、米CNBCは韓国・現代自動車傘下の起亜との交渉が合意に近づいていると報じた。サプライヤー幹部は「少なくとも6社くらいで交渉が進んでいる」と指摘する。自動車各社は設計・開発と生産を分担する「水平分業」モデルを受け入れるかどうかの難しい判断を迫られている。「韓国メーカーで決まるかは分からない。(
他にも「韓国起亜自動車で決まり」とか「日本のメーカーとは交渉してない」など様々な報道が飛び交っていますが、少なくともAppleが複数の自動車メーカーと交渉していることは間違いないようです。交渉先の中に日本の自動車メーカーが含まれていても不思議はありません。
私の考えだと電気自動車化に対応できない日本のメーカーは「Appleと組んでAppleの電気自動車を生産する」くらいしかテスラや急成長中の中国メーカーに対抗できないのではないかと思います。
ただ同時に日本のメーカーはAppleとは組まないだろうなとも思うところです。
乗れば生き残れる、でも自動車メーカーのトップダウン方式を捨てたくないで悩むと後者を選ぶのが日本の自動車メーカーかな。 https://t.co/LvXGswY9Ic
— saito koji@次の海外旅行はいつ? (@kojisaitojp) February 5, 2021
以前から電気自動車の肝になるのは先ほどのテスラのリコールでも話題になった「ソフトウェア」と「バッテリー」だと私は指摘してきました。
旧来のようにピラミッドの頂点に君臨する自動車メーカーが絶対の存在で、トップダウン式に系列企業や下請けの部品メーカーなどに指示を出すというモデルとは明確に違います。
日本の自動車メーカーが自社の名前を捨てて「Apple」の冠がついた電気自動車を生産するというのはこれまでのプライドが邪魔をして嫌がるだろうなと予想できます。
Appleが開発するソフトウェア(とAppleというブランド)を活用できれば、既に私が「電気自動車発展阻害国」と揶揄する日本のメーカーもテスラに対抗できる存在になれる可能性はあるのですが。。。
多分自社がトップに君臨しないビジネスモデルには乗らないだろうなという悲観的な予想しかできませんが。
仮にAppleブランドでも、Appleの要求に応えられる高い品質の電気自動車を生産して「日本の自動車産業はオワコン」と言われる状況をひっくり返すのに賭けるか、最後まで電気自動車化に抵抗して後々テスラに買収されてテスラ車を生産する下請けになってしまうのか、結構重要な分かれ目ではないかと思います。
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