ソニー・ホンダの合弁会社から感じる日本製EVの可能性とは?【EV:LIFE二子玉川の情報も】

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こんばんは、@kojisaitojpです。今日は一部の間で急にホットな話題となったこれを見に行ってきました。

ソニーが「Vision-S」と名付けたEVを作成した(生産はオーストリアのマグナシュタイヤー)ことと「商品化するために子会社を設立」という話は以前も触れたことがありましたが、昨日この話に続くビッグニュースが飛び出しました。

ソニーとホンダが合弁でEVを生産・販売する会社を設立するという、日本人でもほとんどが予想してなかったようなビッグニュースが飛び込んできました。私も「日本メーカーがファブレス方式に応じる会社はないだろうからマグナの生産になるのかな」と予想したので驚きです。

そんなタイミングでちょうどよく二子玉川で「EV:LIFE FUTAKOTAMAGAWA 2022」 が開催され、話題のソニーもホンダもEVを展示しているというので早速行ってきた次第です。

そこで今日は昨日でた「ソニーとホンダがEVの子会社を設立」というニュースについて、実際に二子玉川まで行って実車を見てきた印象を含めて取り上げます。

ファブレスの「AppleCar」とは違うソニー・ホンダの合弁会社でのEVの生産・販売?

ソニー「Vision-S2」

「ソニーがEVを生産・販売」と言われると「AppleCarのようにどこかのメーカーに作らせるのかな?」というイメージを持ってしまいがちですが、今回の発表だと「ソニーとホンダで合弁会社を設立」ですからAppleのように製品の企画・設計のみを行なって生産をどこかに委託というファブレス方式ではありません。

合弁会社設立についての冒頭の記事でも「新会社は、EV車両の企画、設計、開発、販売を手掛け、製造はホンダが担う。モビリティ向けサービスプラットフォームは、ソニーが開発し、新会社に提供」とあるようにソニーとホンダの両社が合同でEVの開発を行う、ただし提供するのはお互いの得意分野でという話です。

以前私が「ソニーがEVの製造・販売を」と取り上げた際にはマグナシュタイヤーというオーストリアの委託製造専門のメーカーを利用する(実際に「Vision-S」はマグナが製造)のでは?という予想でした。

ただしこの方式にも欠点があり、それは「ソニーが生産にタッチできない」という問題です。

もちろん現在スマホやPCなどでAppleがフォックスコンにやっているような「自らは製造こそしないけど、実質製造してるのと変わらない位徹底的に介入する」という方式のファブレスも可能ではありますが、これをやるためには製造を委託する側が実際に製造を行うメーカーと対等以上に渡り合える製造ノウハウを持っていることが必須になります。

ソニーも家電やスマホであれば可能かもしれませんが、現時点でEVでそれをやれというのは不可能に近い話です。現時点でマグナに製造を委託してもソニーが意図したEVができる保証はありません。

以前の記事でも引用したツイートですが、これの後に「でもマグナに全面的にお任せだと自由に作れないから、どっかのメーカーと組んだ方が良くないか?」→「ホンダなら協力してくれるかも」という流れが加わったのかもしれません。

片やホンダの側も「アメリカではGMと組むし、中国では東風と組む(合弁の「東風本田汽車有限公司」)から何とかなりそうだけど、肝心の日本市場どうする?」と悩んでたところにソニーから「良かったら一緒にやろうよ」と声をかけられて「チャンスだ!組むしかない!」となったかもしれません。

かくしてホンダが車両面の技術を、ソニーがカメラやソフトウェア、エンタメなどの技術を提供し合うタッグが成立します。

両社の発表では「2025年に最初のEVを販売」とかなり急ピッチな計画を出していますが、当然ですが今からゼロから考えるのでは間に合いません。これまでソニーやホンダが出していた計画がベースになることは明らかです。

もちろんそれも簡単に行くものではありませんが。

もちろんソニーにもホンダにも課題は山積み

ソニー「Vision-S2」
例えばEVの製造となると最大の問題は「バッテリーの調達をどうする?」というのが出てきますが、先日報道から推測するとこういう可能性もあります。

「エンビジョンAESC」から調達するというニュースはあくまでもホンダのEV戦略として報道されたものですので、今回のソニーとの合弁会社でもこのバッテリーを使用するかは不明ですが、ホンダから見えればただEVを生産する「ファブレス方式(委託されただけ)」ではなく自らもEVにコミットする立場ですので同じバッテリーを使用する可能性はあります。

まぁ「エンビジョンAESC」と言われて「中国メーカーかよ」と言ってしまう人はEVに関する知識があまりにも乏しいので反省すべきかと思います。

EVを日産「リーフ」の発売から見ている人にとっては「AESC」というと「日産自動車とNECの合弁」ということは常識ですよね。日産の経営難によって中国資本のエンビジョングループに売却されましたが現在も日産が株主として影響力を持っていますし、日産のみならず親会社のルノーのバッテリーも供給することになっているのは先日の記事でも紹介しました。

このバッテリーをホンダが採用するというのが先日のニュースでしたが、もし仮にソニーと合弁で生産するEVにもこのバッテリーを採用するのであればイコールそれは「これまで発火した案件がゼロの日産・リーフと同じバッテリー」ということになります。

今回の「ソニー・ホンダ」のEVを「箱」の面から見ると「あれ?案外良いものができそう?」という予感もします。

むしろ「ソフトウェア」の方が若干不安があるかもしれません。

  • ソニーのカメラ技術が将来の自動運転に活用できる
  • ソニーの音響技術やコンテンツ(プレステ?)による車内空間の価値観の変化に対応できる
  • でも車両を制御する「ソフトウェア」をソニーが作れるかは不明

以前も記事にしたように「自動運転の時代には車内空間のエンタメ化」が必要になることは間違いなく、この点ではソニーの持つコンテンツが魅力になることは間違いありません。

しかし私も現在のようにMacBookとiMacを使う前は「VAIO」を使っていたので良くわかりますが、過去のソニーを見ていると「ソフトウェア」を開発する能力が高いか?と言われるとお世辞にも高いとは言えません。

ですのでこの辺りにはまだまだ実現まで高いハードルが待ち受けていることは間違いないでしょう。

意外と似てる?「ソニー・Vision-S」と「ホンダe」

ソニー「Vision-S」
さてそのようなソニーとホンダが合弁でEVの生産を行うというホットなニュースが出た直後に「EV:LIFE FUTAKOTAMAGAWA 2022」にソニーの「Vision-S」が展示されているというので私も情報収集を兼ねて行ってきました。

そしてすぐ近くで展示されていた「ホンダe」がこちらになります。

ホンダe(二子玉川)

確かにミラーレスでカメラを使用してるところとかディスプレイが助手席まで全面使っているところなど似ている面はあります。

「ホンダe」の内装

ちなみに「ホンダe」のカメラの位置は先日試乗したアウディ「e-tron」とは違い自然に視線が向く高さにあるので違和感はありません。「Vision-S」もほぼ同じ位置にあるので違和感なく使えると思います。

ソニー「Vision-S2」の車内

ですが「Vision-S」に関しては冒頭でも言いましたがオーストリアのマグナシュタイヤーが生産してますので、ホンダは絡んでないと思います。

あり得るとすれば開発・設計の段階でソニー側がホンダeのデザインを参考にしたことで結果として似ているというだけでしょうか。

後付けになりますが、そう考えるとソニー・ホンダの相性が良かったということになりますが。

ですので先ほども言ったように課題は山積みとはいえ「ソニー・ホンダ」のタッグには、「もしかしたらこれまでの日本メーカーにはできなかった新しいEVを生み出せるかも」と可能性を感じる部分もあります。

ここのところ私のブログで取り上げる日本メーカーのネタが「日産がハンバーガー屋を」という「え?他にやることあるんじゃないの?」と思ってしまうサービスだったり、「トヨタのbZ4Xは日本ではサブスクのみの提供で販売は無し」という拍子抜けするものだったので「ソニーとホンダが合同でEVを製造」というのは久々に明るいニュースでしょう。

以前「ホンダe」について取り上げた記事では「可能性は感じるんだけど物足りない」と批判的に論じざるを得なかったホンダから日産やトヨタを超えるEVが生まれてくる可能性に期待してみたいです。

最近のTwitterなどでは「もう『日本メーカーの奮起に期待したい』のような発言をする気になれない」と愚痴りたくなるほどEVを巡る日本メーカーの惨状に呆れていましたが、久々に日本メーカーにポジティブな期待を抱ける今回の発表だったと思います。

ちなみに「EV:LIFE FUTAKOTAMAGAWA 2022」は明日(3/6)までの開催で、本日紹介したソニーの「Vision-S」以外にもメルセデスの「EQS」が日本初公開だったり、先日日本市場への投入を発表したばかりのヒョンデ「IONIQ5」やBMW「i4」「IX」なども展示されており、時間があれば行ってみることをおすすめします。

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