【脱ライスワーク】ルールを守る・期待に応える=良いことって誰が決めた?
こんばんは、@kojisaitojpです。連日「ライスワーク」をテーマに「食うためだけに嫌々働くのって精神衛生上良くない」ということについて語っていますが、もう一日語らせてください。
「1億円貰えても今の仕事続ける?」
この質問にNOが続く場合は何かが間違っているので、仕事に対して考え直した方が良い。
僕自身NOが続いているので、これからも一定期間続くであろう仕事人生を考え直そうと思う。
ライスワークは嫌では無いことが大事で、その上に好きなライフワークを乗せたら良い。— やまと (@yamato__life) September 5, 2020
Twitterなどをのぞいても、このような意見は案外多く見られ「食うために嫌な仕事もやる」ということを否定的に見ている人は案外多いです。
でもいざ会社を辞めて独立だ、起業だとなると怖くて踏み出せない。そんな人が多いのが現実でしょう。
今日は「何となくおかしいと思ってもなかなか踏み出せない原因」について考えてみます。
目次
ライスワークを生み出す「ルール」と「周りの期待」
「ルールを守ることが人間としてのルールだ」なんて思ってませんか?
「周りのみんなが言ってることと違うことをするのが怖い」なんて思ってませんか?
「そもそもそのルール自体が妥当なルールなのか?」「ルール(規範)を押し付けているのは誰なのか?」という問いを立てたミシェル・フーコーという哲学者がいます。
十九世紀の半ばから後半にかけて、規律による「正常化=規範化(normalizaiton)」の効果と関わるかたちで浮上してきた異常性の領域=異常者たちと呼ばれるカテゴリーが、どのようにして精神医学によって特権化の対象となり、また同時にそれがどのようにして主権とも司法権力とも異なる真理という一つの審級=知を形成することに貢献したのか
(ミシェル・フーコー講義集成 V: 異常者たち、筑摩書房)
難しいことを言っているように見えますが、要は「あるものが正常、あるものが異常」と時の権力者によって設定されることが精神医学における「精神病」と結びついて世の中に定着していくプロセスについて語っています。
フーコーがコレージュドフランスの講義で取り上げた具体例は「セクシュアリティ」、つまりゲイやレズビアンがどのように「異常者」として扱われるようになったのかという背景ですが、別にセクシュアリティに限ったものではなくあらゆるものに当てはまるシステムです。
セクシュアリティについても近年のLGBTなどを見れば、「異性愛=正常」「同性愛=異常」って誰が決めたのという話になって徐々に崩れてきていますが、数十年前であれば同性愛は「精神病」の一種とされ、強制入院の対象になっていた時代もあります。
「正しい」「間違っている」の区別なんてこんなもので、時代と文脈が変わればどうにでも変化します。そんなものを「絶対に正しい」と思い込む方がおかしいというのがフーコーの言っていることです。
このような価値観を植え付けていくのが学校教育や会社などの社会システムです。日々あらゆる方面から「こういうのは間違っている」と言われ続けることが、価値観が「規範化(normalization)」していく近代社会の構造を分析したのがフーコーの功績です。
「大企業の正社員」というのもこれと一緒です。
昨日も「某有名企業の正社員の方が書道教室の経営者より偉いのか?」という話をしましたが、「大企業の正社員として終身雇用で務める」というのが「正しい」、「会社から独立して自分で起業する人=変な人」という価値観自体も、いつの間にか作られたものです。
このような「正常化=規範化」がいつの間にか脳内にインストールされてしまうと、「会社を辞める=悪いこと」と判断するようになってしまいます。
そして自分の周りの人間に色々言われると「他人の期待に答えないこと=悪いこと」と勘違いするようになります。
結局ルールや他人の期待を裏切る勇気がないからこそ、裏切るのは悪いことと自己洗脳して脳内のルール(規範)がゆるぎないものとなってしまう。
フーコーが語る「ノルマ化する社会」というのがまさにこの状態で、ノルマ(ルール・規範)自体の存在理由を疑わないという権力者にとって都合の良い社会が出来上がってしまいます。
「ノルマ(規範)」をブチ破った先にあるもの
昨日の話とかぶりますが、この「ノルマ」をブチ破るとuberの創業者トラビス・カラニックに行き着きます。
- そもそも何で他人を車に乗せるのにタクシーの営業許可いるんだ?
- 友達乗せたり、ヒッチハイクで他人を乗せるのは違法じゃないのに何で文句言われなきゃいけないんだ
何となく「他人を車に乗せてお金をもらうのはタクシーだけ」なのが当たり前と思ってしまうところに殴り込みをかけてきたのがUberです。
「従来あるルール自体が妥当なのか?」という問いかけをしただけでも価値があります。
実際に私もたまにタクシーに乗りますが、私より道を知らない、運転も客を乗せてると思えない荒い運転、しまいに客相手にタメ口だったりと、とてもプロのドライバーとは思えない運転手に当たることがよくあります。
「タクシーの営業許可や2種免許持ってなくてもきちんとお客さんを乗せて運転できるドライバーなんていくらでもいるかも」と既存のルール自体に疑問を感じたからこそ、Uberが立ち上がったわけで、「非常識」がビジネスに結びついた一つの例です。
ここに「違法なものは違法だろ」とルールの存在が絶対に正しいと思ってしまう人は正直一生ライスワークから抜けられないタイプなのかなと思ってしまいます。
実際にUberは世界中でタクシー業者などから猛烈に反発を受け、国によっては圧力に屈してUberが違法になってしまった国もありますが、タクシーのあり方に一石を投じたことは事実でしょう。
従来のタクシー業者も少しやり方を見直して配車アプリなどを取り入れるようになってきたのもUberの影響が間違いなくあるので、仮にUberが違法だったとしてもタクシーのあり方を変える効果はあったと言えます。
ちなみに私も海外でUberやGrab、Lyftなどの配車アプリを必ず使いますが、変なトラブルに見舞われたことは一度もありません。
インフルエンサーに頼っても無駄
ちなみにYouTubeなどを見て感化されて、インフルエンサーの毎日アップされるYouTubeに興奮する「信者」になるのも結局は「ノルマ化」されているのと一緒です。
インフルエンサーに煽られて「会社なんかで働いてたら俺の個性が生きない」とやたらと起業だ、独立だと興奮する。
この前までは社会で一般的に正しいと思っていた「ノルマ(規範)」が、インフルエンサーが煽っている「ノルマ(規範)」に置き換わっただけの寒い状態です。
で、インフルエンサーが始めたオンラインサロンやYoutubeのメンバーシップに登録する。
会社員という存在は、労働力を提供する代わりに給料をもらう形ですが、オンラインサロンは、料金を支払い、かつ無償で働く形なのです。
だってそのインフルエンサーに「会費」という名のお布施をしてますよね。
オンラインサロンによって、ファンクラブ的なところもあれば、各々の働きを求めるところもありますが、共通しているのは、「影響力のある主催者がいる」ということです。
はい、会社の次はインフルエンサーに搾取される情弱誕生となるわけです。
ちなみにいくらでも偽造できます
私も怪しい情報商材屋をやってみましょうか? 怪しい情報商材屋というのは、
- スーツに腕組み
- 出張(ただの旅行?)はビジネスクラス
- ホテルは五つ星のスイートルームで豪華ディナー
これらのものをインスタなどにアップしまくった上で、プロフィールに、「実家は貧乏、大学はFラン、就職した会社はブラック企業で残業しても月収14万、そんな俺でも月収100万を達成した秘密を特別に公開します」などと書いて情報商材を売る。で、プライベートはやたらとセレブ感をアピール。
これで私も詐欺師になれるかもしれません(スーツの画像は当たり前ですが私ではなくフリー素材です)。
実行したら本当に何人か買う人いそうで怖いですが。。。
まぁ旅行マニア目線で言わせてもらうと、ちょっとした工夫でエコノミーとほぼ同等の価格でビジネスクラスに乗ることも可能ですし(昔はファーストクラスも乗れる裏技がありました。五つ星ホテルもホテルの上級会員になれば格安でスイートルームにアップグレードしてもらえますし、実は簡単にセレブのフリをすることはできます。
今は海外旅行の記事を書いてもアクセスも集まらないでしょうから、上手なマイル修行の方法や格安で一流ホテルに泊まる方法などの記事は書きませんが、この10数年活用している裏技を公開すると20〜30記事くらいはすぐ埋まるでしょうな。
なんてことをブログに書いてしまう人間は詐欺師になる素質はないかもしれません…。
でも「脱ライスワーク」で人生を充実させましょう
「脱ライスワーク」というのは人生を充実させる上で、必須のことです。そのためにはルールや慣習・周りの目に縛られないことも必須です。
しかしそんな風に生き方に疑問を持った人間に忍び寄るインフルエンサーや情報商材屋がウヨウヨいるのが困ったところです。
インフルエンサーも所詮は他人なのであなたの行動に責任を持ってくれません。
おかげで「起業」とか「副業」という単語まで「胡散臭い」というイメージを持つようになった人も多いわけで「やっぱり会社で我慢して働くのが一番マシだ」的な社畜を再生産することにも貢献しているのかと思うと腹立たしいところです。
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