日産リーフのマイナーチェンジから感じる「疲弊しやすい日本社会」とは?【新商品作りすぎ】
こんばんは、@kojisaitojpです。ワーケーションで白馬まで来ています。まぁ正確にはワーケーションというかただ単に「この数日は東京にいなくても仕事ができる」からホテル修行とテスラ車の試乗がしたかったというだけなのですが。
ホテルと今回カーシェアで借りたテスラ「モデルX」については次回以降の記事でたっぷり語ります。
今日はその前にためていたこのネタです。
頻繁にマイナーチェンジしないと売れないという勘違い。
マイナーチェンジ版・日産の新型リーフが2021年4月19日に発表へ!何と新型アリアと同じブロンズカラー「暁(アカツキ)サンライズカッパー」も追加されるぞ | Creative Trend https://t.co/aazVeXb5wh— saito koji@次の海外旅行の前にEV購入? (@kojisaitojp) April 7, 2021
「いよいよ日産リーフが本格的にモデルチェンジか?」と息巻いて見てみると中身がほとんど変わらないマイナーチェンジのようです。
「BMS(バッテリーマネージメントシステム)くらい搭載しろよ」というのがリーフのオーナーやファンのぼやきになる状況はまだしばらく続きそうで残念です。
ここでふと感じた疑問が「そんなに頻繁なマイナーチェンジって必要なの?」という疑問です。「リーフのマイナーチェンジに充てる労力をアリアに充てて一刻も早く発売する方が優先じゃないの?」と思ったりもします。
実はこのような状況は車メーカーに限ったことではなく、例えばお菓子メーカーや飲料メーカーなどがなぜか毎年のように新商品を出したがる割に利益が出ないというのが日本企業の悪い癖であることについて書いてみます。
目次
「新商品」「モデルチェンジ」で疲弊する日本の「ものづくり」
まず日本車として「トヨタ・クラウン」を出してみます。初代クラウンから書くとキリがないので直近の3代だけ出してみます。
- 13代目S20(2008年-2012年)
- 14代目S21(2013年-2018年)
- 15代目S22(2018年-)
大体4〜5年でフルモデルチェンジ、当然この期間中にも毎年のようにマイナーチェンジをやっているようです。
ヨーロッパ車として「メルセデス・Sクラス」を出してみますが、同じように直近の3代だけにとどめます。
- 4代目W220(1998年〜2005年)
- 5代目W221(2005年〜2013年)
- 6代目W222(2013年〜2020年)
メルセデス・Sクラスの場合モデルチェンジの周期が7〜8年、マイナーチェンジの数も当然トヨタ・クラウンより少ないです。
もっと極端な例出しましょうか?
「コカコーラ」の主力商品「コカコーラ」はモデルチェンジしてますか?
まぁ「コカコーラライト」など若干は新商品を投入することがありますが、ラインナップはごくわずかです。
さらに極端な例出しましょう。
「レッドブル」は「レッドブル」と「レッドブル・シュガーフリー」で終了です。ごく稀に期間限定商品を出すことはありますが、基本的にコンビニなどに並んでいるのはこの2商品のみです。
レッドブル社はコカコーラ社のようにコカコーラ以外の商品を販売しているわけではありませんので、長年にわたって同じ商品のみを作り続けている企業です。
ちなみに1本辺りの利益率が70%、年間52億本売れています。日本市場の価格で計算するととんでもない利益になることがわかります。
そしてその莫大な利益から出たマネーをF1などのカーレース、サッカーチーム(RBライプツィヒやザルツブルグ、ニューヨーク・レッドブルズなど)も買収して莫大な投資をしてチームを強くしています。
ライプツィヒは昨シーズンのUEFAチャンピオンズリーグでもベスト4まで来たことで知っている方も多いでしょうが、急成長の秘密はレッドブルのマネーです。
話がそれましたが「レッドブル」というほぼ単一の商品のみを世界中で販売して莫大な利益を生み出しているのですからとても生産性の高い企業であると言えます。
ちなみに私は自宅にレッドブルの355mlの缶を箱で買って常に常備してる愛好家です(笑)。
毎日1本は必ず飲んでますが飽きないですよ。気分転換にモンスターエナジーとか買って「これは合わない」と捨てたこともあるのでずっとレッドブル一本です。
片や日本企業があらゆる業界で「利益削ってまで毎年必死で新商品出して意味あるの?」と思ってしまいますよね。
日本人は「新しいもの好き」だけど「新しいものには慎重」なの?
こういう話をすると必ず「日本人は新しいもの好きだから、頻繁に新商品出さないと買ってくれなくなる」としたり顔でいう人がいます。
「新しいもの好き」なら確かに車も頻繁にマイナーチェンジしないと買ってくれないというのは正しい言い分になります。
しかしこれがEVの話になると同じ人が真逆のことを言ったりします。
「新しいもの好き」なら電気自動車(BEV)なんて喜んで飛びつくはずなのに飛びついていないという事実はスルーだったり、「日本人は保守的だから新しいものには手を出さないんだよ」的に都合の良いように言い方を使い分ける人が結構目につきます。
「日本人は新しいもの好き」「日本人は保守的だから新しいものには慎重」という矛盾した言い方を都合の良いように使っている人が案外多いように思えます。
つまりこのような言い方をすることの言うことを聞いても全くアテにならないということもできます。
生産性の低さの改善ができない日本とEV化で雇用を生み出すアメリカ
本来は「利益を上げるための新商品開発」であるはずなのにどこをどう間違えたのか日本では「利益を削ってでも新商品開発」の方向へと行ってしまったいるようです。
それでも「海外に売る」など市場を拡張する目的でもあれば別なのですが、車メーカーを除けばお菓子や飲み物などの日本メーカーで海外の新しい市場を切り開いていく会社は非常に少ないです。
(車メーカーもヨーロッパ・アメリカ・中国の規制が強化されてEV以外売れなくなったら詰みますがそれは今日の本題ではないので指摘だけにとどめます)
しかも日本の人口は少子高齢化により年々減っているわけで、必死に新商品を出しても買ってくれる人数が毎年減っていく、つまり毎年利益が減っていきます。
それでも「同業他社もやっているんだからうちがやらないわけにはいかない」的に競争をやめる気がないのですから完全に悪循環にハマっています。
なぜ大企業は、毎年“新商品”を作り続けるのか? 目的と手段が曖昧な状態で起こる、仕組み化の弊害
累計16万部突破のベストセラー『サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい』の著者であり、『営業はいらない』にて「あと10年で、営業マンは不要になる」と語った、株式会社日本創生投資 代表取締役社長 三戸政和氏。一方で著書『無敗営業』にて「営業力とは技術である。誰でも身につけられる」と語り、自身の「コンペで8年無敗」のノウハウを公開した、TORiX株式会社 代表取締役 高橋浩一氏。「営業」に関するヒット書籍を持つ両名が、2020年8月11日に「結局、営業っているの? いらないの?」というテーマで対談を行いました。本パートでは「『手段としての“営業”を極めよう』は違うんじゃないか?」などについて語ります。
こちらの記事でも「社員を食わせるためにも新規開発をやめられない」などと言ってますが、これこそが典型的な悪循環です。記事から引用しますが、
「じゃあポテトチップスの塩味だけじゃなくて、チーズ味を作りましょう」みたいな。「ただチーズって、あまりお客さんが欲しいと思ってない。だけど、この『チーズ味部門』を食わさないといけないから、無理にこのチーズ味をずっと作ってる」みたいな。
それでチーズ味が売れなくなっても、ヒエラルキー、組織は大きくなっていくから、今度また別の「のり塩を作ろう」みたいなことになって。プロダクトがバンバン出ていくみたいなことが、今の日本の市場で実際に起こっていると思うんですよね。
(中略)
カルビーとしての目的が「おいしいポテトチップスを作る」であるのなら、それはもう「『塩味』と、せめて『コンソメ』で終わろう」って言えると思うんですけど。それはたぶん、従業員の手前もあるとか、これまでの慣習もあるとか。よくわからないロジックでそれが続いていってる、というシーンもあると思うんですよね。
「利益を上げるために商品を開発する」という本来の目的がどっかに飛んでいってしまい、新商品を作ることが習慣化(もっと厳しく言えば惰性化)する病が大企業の中で進行しているという話です。
売れ筋の商品だけに絞ればいいものを、それをやると新商品に関する「商品開発・デザイン・広告・販促キャンペーン」などを担う人材が不要になってしまいます。
「雇用を維持するだけのために商品開発を続ける」となると先程のコカコーラやレッドブルとは完全に真逆の方向に行ってしまい、毎年毎年新商品のために莫大な経費をかけることになって、結果として商品が売れても利益が全然出ないという方向に行きがちです。
日本の自動車業界でもそんな話ありましたよね?
「性急なEV化が自動車業界550万人の雇用を脅かす」ようなことを言っている某大企業のトップがいましたよね。
だから現状維持こそがベストだという方向に行ってしまいがちなのが残念なところです。
反対にアメリカでは先日のバイデン政権の「EV化戦略」について触れましたが、当然EV化によって失われる雇用に対するケアも考えています。
バイデン大統領のスピーチから読み解く電気自動車シフトに対するアメリカの「本気」 | EVsmartブログhttps://t.co/0BqJqAlFJF
米国バイデン大統領が雇用計画を発表し、ペンシルバニア州ピッツバーグで演説を行った。計画の中で重要なポイントは、電気自動車産業の促進及び交通インフラの整備だ。— evsmart (@evsmartnet) April 6, 2021
例えば「全米50万箇所に充電ステーションの建設」というのもEV化によって失われる雇用の受け皿としての一つの提案です。
「どうせ失われる産業なら早いうちに終わらせて傷が浅いうちに今後必要になる産業に労働力を移す」という賢明な戦略です。
「EV化すると自動車業界550万人の雇用が失われる」という勝手な都合ばかり言ってその受け皿を考えない日本の某大企業とはえらい違いです。
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