ホンダeに乗りながら日産「サクラ」と三菱「ekクロスEV」が提案するEVライフを考えてみる

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こんばんは、@kojisaitojpです。コロナだ戦争だと世界が混乱してる中でこのような混乱が起きている国もあります。

これはスリランカの画像ですが、現在国家がデフォルトし、燃料の輸入が滞っているようでガソリンスタンドに長蛇の列ができています。

日本でも東日本大震災の直後にガソリンの供給が間に合わず似たような体験をした方も多いかと思います。

ですが2022年現在になるとこんな選択肢も見えてきます。

そうです「EVを自宅で充電」すればガソリンスタンドがどうなろうが関係なく燃料が補給できます。これが「自宅に設置した太陽光パネル」で発電した電力なら停電しても関係なく充電できます。

「V2H(Vehicle to Home)」というEVから自宅に電力を供給する装置を用意すればEVが「移動の手段」のみならず「蓄電池として自宅に電力供給」も可能になるので停電知らずになれます。

今日はそんな新しいライフスタイルを可能にするEVのラインナップに日産「サクラ」・三菱「ekクロスEV」の2台が追加されたこと、しかもこれまでの高額なEVとは違って誰でも買える軽自動車のEVが登場したことの意味について考えてみます。

EVの正しい運用法を教える日産「サクラ」と三菱「ekクロスEV」に感じる可能性とは?

日産「サクラ」

まずは今回の日産「サクラ」、三菱「ekクロスEV」の2台の軽EVの長所・短所を簡単にまとめますが、

  • 20kWhの小さなバッテリー→「自宅充電」の必要性
  • V2H搭載で災害時などの際に「蓄電池」として使える
  • 軽自動車特有の「パワー不足」の解消

問題点は指摘するとキリがないのですが、先に長所を言っておきます。

以前から私のブログでも「田舎でこそEVが向いている」とか「実は離島でこそEVが向いている」という話に繋がる内容です。

山間部などアップダウンの激しい田舎、トルクがないガソリンエンジンの軽自動車だと悲鳴をあげるような環境でもEVのトルクだとスイスイ登っていきます。

田舎ではありませんが、東京23区内でも(実は都心は案外アップダウン多いです)感じます。

現在私のシトロエンが修理中なので代車でトヨタ「パッソ」に乗ってますが、坂を登ってると「踏んでも加速しねぇ」と思うことだらけで外出するのが億劫になってます(笑)。

この1-2週間ほどの間にシトロエンC6以外にパッソやIONIQ5、ホンダeと様々な車で同じ道を走っていますが「運転が楽」と感じたのはぶっちぎりでIONIQ5とホンダeでした。

ハイアットセントリック銀座とシトロエンC6

シトロエンC6? 実はこの車も2000キロ近い車体を3000ccの非力なエンジンで回してますので案外パワーはありません。

ハイドロニューマチックサスペンションのおかげで変な揺れがなく快適なのはIONIQ5と比較してもいい勝負なのですが、トルクという面では完敗です。

ハイアット銀座とIONIQ5

ちなみに「軽EVの試乗はまだだけど、どんな感じなのかを体験するのにサイズも航続距離も似てるホンダeで試してみようかな?」と思って「ホンダe」を借りた際の動画がこれです。

久々に借りてみましたが軽い車体をEVのトルクで動かすので急な坂道なども快適に登っていきます。

「500万近い車体価格がネック」というのはホンダeに必ず浴びせられる批判ですが、「この装備全部載せのようなホンダeから必要最低限の装備に絞ったのがサクラとekクロスEVなのでは?」というのが私の感想です。

「必要最低限の装備」でコストを下げた日産「サクラ」と三菱「ekクロスEV」

三菱ekクロスEV
「軽自動車なんだから仕方ないよ」で片付くところなのですが、搭載バッテリー容量が20kWhで航続距離が180キロ(WLTCモード)なのは誰もが批判するところです。

基準を更に厳しくして「高速道路を時速100キロで走行し、クーラーをつけても達成可能」なアメリカのEPAサイクルに換算した120キロになりますが、これは少し厳しすぎます。

というのもこのEVの位置付けは「街乗り専用のセカンドカー」です。

気候にもよりますが、日産・三菱のアナウンスする180キロは街乗りを考慮したWLTCモードですがちょっと甘めですので、中間の150キロくらいをイメージしておくと良いかもしれません。

などと言うと「軽EVでも高速乗るぞ!」「うちは軽自動車がファーストカーだ!」と怒る方が必ずいますが、残念ながらそういうタイプの方はこの軽EVのターゲットとする客層ではないのであれこれ言わない方が良いと思います。

また急速充電の30kWという出力も批判されてるようですが、「自宅で普通充電することが前提」のEVですのでおまけで搭載されているもの、むしろ急速充電よりも「V2H(Vehicle to home)」のために搭載されている位に割り切った方が良いです。

実はこの「客層をあえて絞った割り切り」が私が今回の軽EVを評価する理由でもあります。

そもそもバッテリー容量の小ささと航続距離の短さから「自宅充電が必須」となるので誰もが買えるEVではありません。

ですので「うちはマンション暮らしだから自宅で充電できないんだ!」と怒るのも筋違いです。

「必要最低限に絞った装備と性能に抑えて価格を下げた」という点をもう少し好意的に見ましょう。

高速道路での使用をあまり考えていないのでプロパイロットはオプション(これだけで数十万違います)、急速充電の出力も30kWに抑えることでコストダウンに成功しています。

しかも「安かろう悪かろう」ではないのはバッテリーの温度管理に失敗した初代初期型リーフと違い「強制空冷」と呼ばれる「エアコンの排熱を利用してバッテリーの温度を適切に管理する機能も搭載されています。

これをテスラ車や私が一推しのヒョンデ「IONIQ5」のように強制水冷にすると価格が跳ね上がります。

同様に急速充電の速度を引き上げても価格が跳ね上がります。

この部分を切り捨てることで車両価格233万3100円(Sグレード)に環境省の補助金が55万円で約178万円です。

これが東京都だと更に45万円(自宅の電力を再エネにすると60万円)、23区の中で区独自で補助金を出している足立区なら更に10万円、毎年東京23区の中でトップの補助金を出す葛飾区なら25万円です。

つまり最安のパターンだと108万円で買えてしまいます。

もちろんこれは最安のSグレードでオプションもなしというパターンなのでこの価格で購入する方はほとんどいないかもしれません。

しかし既に200万を切る価格でEVを買うことが現実になっていることは認識すべきです。

タイムズで充電するホンダe

「オートパイロット(ACCとレーンキープ)搭載」「ワンペダルドライブ可能」「サイドミラー・バックミラーはカメラ」「通常の車の2倍サイズの巨大な液晶」最新の装備を何もかも搭載したおかげで価格が500万円近くに跳ね上がったのがホンダeです。

「この装備も載せろ」「あの装備も載せろ」と要求を吊り上げると価格が上がるのは当然ですが、それゆえにホンダeに対しては「街乗り専用のEVとしては悪くないけど高い」という批判が常に浴びせられています。

「この軽自動車に近いコンパクトなEVにその装備必要なの?」というのは私も感じました。

反対に航続距離や充電性能を割り切って誰もが買える価格のEVにできたのが今回の日産「サクラ」と三菱「ekクロスEV」です。

日産・三菱のスマッシュヒットになる可能性もあると思います。

「割り切り」で低価格を重視した日産「サクラ」と三菱「ekクロスEV」に期待するものの…

Ora「BlaclCat」
どこかでみた事がある光景? そうです、ほんの少し前に「家電」や「ガラケー」でも見られたのと同じ光景です。

「この機能必要なの?」という装備をこれでもかと盛り込んだおかげで価格が上がる、価格が上がったことで日本メーカにコストで勝る中国勢や韓国勢に家電で市場を取られたというのはほんの10数年前の話です。

「割り切った仕様にして価格を下げる」という、これまでの日本メーカーが苦手だったアプローチを採用してきたことは評価すべきかと思います。

ですが「これで日本のEV化状況も大きく進歩」と言いたいところですが、世界の流れはそんなスローペースの日本なんか無視してどんどん先に進んでいます。

長城汽車「Ora Cat」

「敵」という言い方が適切かはわかりませんが、中国の「Great Wall Motors(長城汽車)」は既にこんなところにも進出しています。

私のブログでも以前から何度か取り上げた「Cat」の名前がつく小型のEVですが、こちらは既に192マイル(約307キロ)の航続距離を達成しています。

おそらくこの航続距離は欧州WLTCモードなので、EPAに換算すると240キロくらいになると思われますが、この位でも日産「サクラ」や三菱「ekクロスEV」の約2倍の航続距離です。

「中国の車なんて」と思うかもしれませんが、イギリスで販売開始ということは「右ハンドル対応」「ヨーロッパの安全基準クリア=日本の安全基準もクリア」になります。

つまりいつでも日本市場に上陸可能な状態になっているということです。

イギリスでの販売は輸送費がかかるのもあり約30000ポンド(約480万円)と少し高額ですが、中国と目と鼻の先にある日本市場であればもっと安い価格で投入可能なことでしょう。

日産「サクラ」や三菱「ekクロスEV」の登場は「EVは自宅充電するもの」「EVは蓄電池代わりになっていざという時役に立つもの」と日本人のEVに対する意識を変える一台にはなりますが、その背後には強大な敵が迫っていることは忘れない方が良いと思います。

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