ノルウェーにNIOが上陸することが衝撃な理由とは?【2021年4月のEV販売台数も掲載】
こんばんは、@kojisaitojpです。「ノルウェー」という単語が出るだけで一部の方々は嫌悪感をむき出しにするのでしょうが、こんなニュースが飛び込んできました。
衝撃のノルウェー進出 https://t.co/x2NXMgtJUI
— saito koji@次の海外旅行の前にEV購入? (@kojisaitojp) May 6, 2021
あ、「ノルウェー」と同時に「中国」という単語も出てしまいますので一部の方々が最も嫌がるパターンですね、これ(笑)。
ただ見過ごせないのはNIOのノルウェー進出、正確にはヨーロッパ進出という事実です。
「ノルウェーみたいな小さいマーケット進出しても」とバカにする人は「ノルウェーに輸出=ヨーロッパ全域に輸出可能=日本やアメリカにもいつでも進出可能」と繋がっていく事実を見逃しています。
先日「Wuling HongGuang Mini EV」がラトビアの自動車メーカーと提携し、「Freeze Nikorob EV」という名前で世界最安のEVをヨーロッパの安全基準を満たすように改造して販売するというニュースを取り上げましたが、今度はNIOがヨーロッパの安全基準をクリアしたということになります。
いよいよ中国のEVメーカーの世界進出が始まりつつあるということです。
本日は中国のEVメーカーNIOがいよいよノルウェー市場に上陸するという話と最新2021年4月のヨーロッパ主要国の新車販売台数について解説します。
目次
NIOのノルウェー進出が世界に与える影響とは?
中国の新興EVメーカーの中でもNIOは「NIOハウス」というEVと関係なくオーナーが交流できる場所があったり、テスラが以前放棄した「バッテリー交換」の施設を設けていたりと中国メーカーの中でもかなり個性的な会社です。
詳細は以前お話ししてますのでこちらをご参照ください。
電気自動車(BEV)のAppleはテスラではなくNIO?【テスラとは違う戦略】
テスラとは違った方向性で中国で勢力を伸ばす新興の電気自動車(BEV)ベンチャーの一つが「NIO」です。先日は「ET7」のEVの側面に注目して説明しましたが、今回はNIOのテスラとは全く違うサービスの仕方、イメージ戦略について説明します。EVの世界でのAppleと言われるべきなのはテスラではなくNIOのような気がします。
NIO「ET7」がもたらす衝撃と破壊力とは?【電気自動車でテスラ超え?】
中国の新興EVメーカー「NIO」がET7という驚異のスペックの電気自動車の発売を発表しました。バッテリー容量の大きなものだと1000キロを超える航続距離、充電が不要になる「バッテリースワップ」というわずか5分でバッテリー交換をするシステムなど、日本のメーカーどころかテスラすら凌駕する電気自動車を紹介します。
さて今回のノルウェー進出の主な内容はこちらの記事に書かれています。
Nio Reaches Norway With Four Battery Swap Stations, ES8, And ET7
Nio announced it will reach the Norwegian market with the ES8 and four battery swap stations near Oslo. The expansion will include the ET7.
まずは現在のフラッグシップでもあるフルサイズSUVの「ES8」を2021年9月に投入し、その後2022年の中国での発売とほぼ同時にフラッグシップセダンとなるET7」を投入する計画です。
なお当初は首都のオスロに「NIOハウス」を一箇所、注目のバッテリー交換ステーションは4箇所設置し、その後ノルウェーの他の都市にも拡大する意向です。
新型コロナウイルスの影響(特にアジアで感染拡大中)もあり中国国内のNIOハウスやバッテリー交換ステーションを見に行けるのはまだしばらく先でしょうが、ノルウェーであれば基本的にはEUの基準に合わせますので、早ければ今年の夏にはワクチン接種済みであれば問題なく入国できるようになりそうです。
私の中の今年の野望の一つである「ノルウェーに行って世界トップのEV化状況を実際に調べてくる」を達成するためにもワクチンの1日も早い接種が必要となってきたかもしれません。
2021年4月のイギリスの電気自動車販売
さて今度はヨーロッパ諸国の電気自動車の販売状況を見ていきましょう。
まずは2030年から内燃機関車の販売禁止(PHEVもハイブリッドも不可)のイギリス市場からです。
2021年4月は完全電気自動車(BEV)が6.5%とPHEVが6.8%と合計で電気自動車の比率が13.25%を超えてきました。
合計10%を超えるのはヨーロッパではもう珍しくもないのですが、この数字が驚異である理由は「補助金カット」と「テスラ・モデル3の納車遅れ」という逆風の中での数字です。
一部の日本の自動車ジャーナリストがEVを批判する際に「補助金があるから売れてるだけだ」的な「EV=補助金頼み」の図式を破壊してきました。
これまでであれば車両価格5万ポンド以下が対象だった補助金が35000ポンド以下の車両に限定され、補助金の金額も3000ポンドから2500ポンドに減額されていますが、それでも先月とほぼ同程度の売り上げ割合を占めています。
車種別のデータはまだ公表されていませんが、自動車メーカー別の統計は出ており、トップがフォルクスワーゲンです。
この後紹介する他のヨーロッパ諸国でもようやくフォルクスワーゲン(BEVなのでID.3とID.4)が上位に出てきました。なおトップの常連だった「テスラ・モデル3」は4月はイギリスに到着していないのでランク外です。
「ID.3もID.4も自社で登録してるだけで全く売れてない」とバカにしていた自動車ジャーナリストはどうするのでしょうね(笑)。
出荷が遅れていたのがようやくヨーロッパ各国で納車できるようになったのが実際のところです。
「専門家」を名乗っているジャーナリストでも平気で嘘をつくことがありますので気をつけましょう。
2021年4月のドイツの電気自動車販売
次はドイツをみてみましょう。BEVが10.4%、PHEVが11.8%で合計22.1%といよいよ合計で20%を超えてきました。
この数字は昨年の同時期の7.6%から見ると3倍です。
たった一年で比率が3倍に増えるのは驚異としか言いようがないと思うのですが、どうしてもEVが普及して欲しくないジャーナリストなどは「たったの10%20%のくせに」と言ってますけど。
「指数関数」という言葉を勉強しましょう(笑)。
なお車種別の売り上げ台数では、上位の常連だった「テスラ・モデル3」はテスラ社が4半期末の最後の月(つまり3月)に納車を集中させる販売戦略のため、4月はわずか484台の納車(3月は3699台)です。
4月の車種別データはまだ出ていませんが、代わりに1〜3月の統計が発表になっており、フォルクスワーゲンでは「e-Up」「ID.3」、テスラ「モデル3」、ヒュンダイ「Kona EV」などが上位に入っています。
「e-Up」が首位というのは意外ですが、元々ヨーロッパではAセグメントという最も小型の、日本でいう軽自動車に近いサイズは人気ですので、このサイズの「ID.1」が数年後に発売されるまでは一定のニーズがあるかもしれません。
航続距離が短いですが、既に充電インフラの充実しているヨーロッパであれば特に問題ないでしょうし。
あとはしつこいですがドイツでも「ID.3」がきちんとランクインしています。
2021年4月のフランスの電気自動車販売
さて次はフランスです。「フランスの自動車メーカーは全車EV化を明言していない」と言っているジャーナリストもいましたが。
2021年4月はBEVが6.8%、PHEVが8.0%で合計で電気自動車の比率が14.8%になります。
2020年4月が7.8%だったのでほぼ2倍に増加しています。自動車メーカーがEV化を宣言していなくても「2030年からパリ市内に内燃機関車の乗り入れ禁止」などが決まっていますので、結局はEVに流れると思うのは私だけでしょうか?
法律を決めるのは政府ですので「自動車メーカー<政府」の力関係だと思います。
なお車種別では3月はぶっちぎりで「テスラ・モデル3」が首位だったのですが、先ほどのドイツ・イギリス同様に4月はテスラ自体が納車を控える時期ですので「プジョー・e-208」「ルノー・ZOE」「ルノー・トゥインゴEV」「フィアット500e」辺りが上位を占めていると予想されています。
ドイツ以上にコンパクトカーが人気のフランスらしい結果です。
またフォルクスワーゲンの「ID.3」「ID.4」も他のヨーロッパ諸国同様にトップ10にはランクインしている模様です。
他には以前私のブログでも取り上げた「Dacia Spring Electric」も親会社であるルノーの本国フランスにはいち早く納車が開始されているようです。
2021年4月のノルウェーの電気自動車販売
最後の最後は電気自動車嫌いの方々が既に国自体すら嫌いになってそうなノルウェーです(笑)。
まぁこの国に関しては「電気自動車(BEV)を買うのが普通、PHEVを買う人が珍しい人、ハイブリッド車やガソリン車を買う人は絶滅危惧種」という状態にとっくに突入しているのは以前からと同様ですけど。
既に電気自動車に乗るのが当たり前の国ですから、BEVとPHEVを合わせた比率が80.1%ともはやガソリン車の存在自体が風前の灯です。8割超えが普通になってきました。
ガソリン車・ディーゼル車を合わせたシェアがもう10%を切る目前で、消滅は時間の問題のようにも思えます。
また売り上げ台数もなかなか興味深い数字が出ていて、トップのアウディe-Tronに続いているのが「フォルクスワーゲンID.4」「テスラ・モデル3」ですが、4位に今でも「日産リーフ」が入ってたりと日本国内よりも評価されているのが面白いところです。
某ジャーナリストが全く売れてないとバカにしていたフォルクスワーゲンのIDシリーズがノルウェーでもランクインしています。
今後はXpengや先ほどのNIOなど中国メーカーも参入するので更に面白いランキングに変化するかもしれません。
それでもガソリン車に日本は固執してEV後進国になるのか?
このようにEVの比率が毎年倍々ゲームのように増えているヨーロッパを見ると日本の惨状には失望しかありません。
先日は「e-MobilityPowerの残念な充電インフラ計画」に触れましたが、社会的地位のある方がこんな残念な発言を繰り返しています。
「大雪で立ち往生したらEVはどうなるんだ?」とかとっくに結論出てることにケチつけるザ老害・ザ加齢臭(笑)。
ガソリンスタンドは最後の砦 「道筋なき電動化目標に抵抗感」 https://t.co/sTA97mIrk0— saito koji@次の海外旅行の前にEV購入? (@kojisaitojp) May 6, 2021
ある程度電気自動車のことがわかっている人から見ると「何で既に解決済みの問題を?」と言いたくなるところですし、ガソリンスタンド業界のトップでありながらこの30年ガソリンスタンドの数が右肩下がりに減少しているのはEVのせいではありません。
EVやPHEVが増えてきたのはせいぜいこの10年くらいですし、普及率が1%と先進国で最低水準の日本でガソリンスタンドが減る理由にはなりません。
ガソリンスタンドの減少については以前も書きましたが「1997年のトヨタ・プリウス」の発売以降です。つまりハイブリッド車が増えて燃費の良い車が多くなった辺りからガソリン需要は右肩下がりなのですが、この方は「ハイブリッドはまだいいけど」的に何もわかっていないことがバレてしまいます。
まぁ、日本の各業界にこのような「頭の中が加齢臭」な方々だらけなのが年々日本が衰退していく原因だと私は思っていますが、それにしても残念な状況です。
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