ついにマツダのEV「MX-30」に試乗して大黒PAの充電器を使った話【Gベクタリングが快適?】
こんばんは、@kojisaitojpです。ついに「アレ」に試乗してきました。
でもこいつカッコいいな。見た目だけは(笑) pic.twitter.com/qPxZLhi2dp
— saito koji@2022はぴあアリーナ→バルセロナへ (@kojisaitojp) January 20, 2022
TwitterでたくさんのEVユーザーをフォローしてますが、唯一オーナーを発見できてないのがこのマツダ「MX-30EV」でした。
オーナーが見つからないなら自分が乗ってしまえという勢いで試乗に行き、マツダの場合は近所だけでなく「18:00までに返却すれば自由」のルールなのでEVファンの間で話題沸騰(?)の大黒PAのあの充電器を試しに行ってきました。
というわけで今日はマツダのEV「MX-30」に実際に試乗してみた印象と「充電できないEVだらけ」と苦情殺到の大黒PAで果たして充電できたのかについて解説します。
目次
意外と快適? 試乗して驚いたマツダ「MX-30EV」の性能
もちろん私はモータージャーナリストのような専門家ではないので一般ユーザーとしての感想ですが、
- EVなのにピッチング(前後の揺れ)が全然ない
- オートパイロットも案外優秀
- デザインがカッコいい(特に試乗した赤と黒の組み合わせは)
「あれ?MX-30批判しないの?」と突っ込まれそうですが、実際に乗ってみると意外と快適でした。もちろん価格や航続距離に不満があるのは言うまでもないことですが、それは次の項で解説します。
まずは長所と感じた点からですが、EV好きの方々の大半は自分がドライバーになるので忘れてしまう(というか気付きにくくなる)ところですが、EVの乗り心地を損なう要素の一つが「ピッチング(前後の揺れ)」だと思います。
ドライバーは慣れると無意識に身構えますが、助手席や後部座席に乗っている人からすると急に揺れるので、それなりに不快感を与えてしまう要素です。
「MX-30」に乗って驚いたのは、このEVなら必ず付きまとうピッチングがほぼ消えているという点です。
0-100キロの加速が9.7秒(リーフより遅い)とわざと抑えてあること、回生ブレーキは弱めにしてること(ディーラー談)、そして今回体験した「GベクタリングコントロールPlus」の制御技術が非常によくできていることがピッチングを感じない原因のようです。
「Gベクタリングコントロール」については私が解説するよりマツダの公式サイトの方がわかりやすいと思いますので興味があればご参照いただければと思います。
マツダ|G-ベクタリング コントロール(GVC)|ダイナミクス
G-ベクタリング コントロール(GVC)は、ドライバーの運転技量によらず、低速からの日常走行、高速直進走行、ワインディング走行や緊急回避時など、幅広い走行シーンで誰もがリラックスして思いのままにクルマを操れる、それがG-ベクタリング コントロールです。
前輪駆動(FWD)でありながらピッチングをほとんど感じない制御技術は一言「すごい」です。
まぁ設計思想が「なるべくガソリンエンジンのフィーリングに近いように」と「本当にEVわかってるの?」と思うところですが、EV特有のピッチングを押さえ込むことができる制御技術「Gベクタリングコントロール」の優秀さは私も認めざるを得ませんでした。
これを感じてもらうには試乗に行く際にドライバーとなる自分だけでなく、配偶者や子供などを連れて行って同乗させるとわかりやすいと思います。
「なるべくガソリンエンジンのフィーリングに近いように」と言ってもアクセルを踏むとわざわざエンジン音がスピーカーから聴こえる機能は端的に不要だと思いますけど(笑)。
この辺りに「走る歓び」「人馬一体」と常にドライバー目線で設計してしまうマツダの特徴が出てしまい、「それ自動運転がいずれ当たり前になるEVの時代にどうなの?」と思うところですが。。。
次にテスラのオートパイロットに相当するのが「マツダ・レーダー・クルーズ・コントロール(MRCC)[全車速追従機能付]」と「クルージング&トラフィック・サポート(CTS)」になりますが、テスラのオートパイロットのように積極的に介入してくるわけではありませんが、最小限の動作で首都高を走ってくれましたので特に問題なく使えるかと思います。
日産「リーフ」に搭載の「プロパイロット2.0」については、私が過去に乗ったリーフが非搭載のモデルばかりだったため比較はできません。
そして私が批判するつもりで「MX-30」に試乗したのに「案外悪くないな」と思った最大の原因が「デザイン」です。
まだ走行中に撮影するほど慣れてないので駐車した時ですが外装を動画に撮ったのでいつものようにアップしておきます。
また内装はこんな感じです。
今回試乗した赤と黒の組み合わせが特に良かったのかもしれませんが、過去にヨーロッパ車ばかり乗ってきた私の感性にも刺さるものがありました。
まぁ私の過去に乗ってきた車・好きな車がシトロエンの「C3プルリエル」や「C6」、ジャガー「XJ」ですから普通の人とは違う変態紳士の趣味かもしれませんが(笑)。
ですがEVファンなら誰もが知ってるようにテスラのチーフデザイナーは元マツダのデザイナーです。
無駄を省いたシンプルなデザインでありながら品格もあるというのはテスラ車にもこの「MX-30」にも共通して感じる部分かと思います。
結果としてテスラは別格なので置いておいても私の中で日本車のEVの序列が「MX-30>リーフ>ホンダe」の順になってしまいました。
批判する記事を期待してた方にはごめんなさいと言っておきます(笑)。
もちろん欠点(山積み?)の「MX-30EV」ですが…
もちろん欠点はいくらでもあります。私も過去の記事でボロクソに言ってきたように、
- 高すぎる価格
- 少な過ぎる航続距離
- 自社で充電インフラがないという会社のやる気
航続距離が200キロにも満たない車種で500万円近くというのは当たり前ですが高いです。しかも同価格帯のテスラ「モデル3」はバッテリー容量が大きい関係で補助金が満額出ますが、「MX-30」はテスラ「モデル3」の半額くらいの補助金です(環境省のもの、自治体が出すものは例えば東京都の場合はテスラもMX-30も満額出ます)。
ですので補助金を差し引くとモデル3より高くなるのは致命的です。
そして補助金の額にも影響を与えてしまった「搭載バッテリー容量35.5kWh」という小さいバッテリーがもたらす航続距離の短さ。まぁアメリカでは「100マイル(160キロ)」と揶揄されていますが、実際は200キロ前後は走りそうというのが私の印象ですがそれでも少ないことに変わりはありません。
またマツダは充電インフラの投資にも消極的でトヨタ・日産・ホンダ・三菱が出資しているe-MobilityPowerに1円も出資しておらず、自社のディーラーにも充電器がありません。ここがEVファンの怒りを招く原因になってますが。
このような欠点が「MX-30」にあるのは誰もがわかっていることです。だから日本市場では全く売れてないのですが。
ですが先ほど言ったような「見た目のかっこよさ」と「ピッチングを感じないGベクタリングの制御技術」は認めざるを得ないところです。個人的には「数年後に中古で価格が下がったら検討してもいいかな」と思ったりもしました。
ちなみに行く前は「ディーラーの営業マン」も懸念材料でした。EVの試乗に来てる客にガソリン車勧めてきたらぶっ飛ばすぞと構えて乗り込んだのですが、
乗る前に来たディーラーのスタッフが「新入社員です!広島から研修で来てます!」なんて挨拶するならいじめるの可哀想だなと思ってあまりつっこめなかった(笑)
— saito koji@2022はぴあアリーナ→バルセロナへ (@kojisaitojp) January 20, 2022
私も人でなしではないのでこんな感じで新入社員が対応してくれるとあれこれ文句を言って困らせようとは思えませんでした。
「新入社員いじめるのも可哀想だしな…」というのと「Perfumeと同郷か、うらやましいな」と思ったのは大きいですね(笑)。
私の日頃の発言とPerfumeのおかげで広島に甘いという傾向を調べた上で新入社員を用意してきたならマツダファンになってしまいますが、まぁあり得ないでしょうね(笑)。
とはいえ返却して帰る時には「来る前は正直全く期待してなかった」と言った上で「家建てようかと思ってて、自宅で充電できる環境用意できたらMX-30も有力な候補になる」と伝えて帰ってきました。
これ半分は社交辞令ですが、半分は本気です。
マツダ「MX-30」は大黒PAの充電器に接続できたのか?
結論から言えば接続できました。
日本メーカーのEVでもホンダeや三菱アイミーブなどが充電できないと問題になってましたが「MX-30」は問題なく作動してました。
ただし次に注目の充電速度については「???」です。
待て、15分で2.66kWhだと?
半分以上バッテリー残った状態とはいえやはり速度10kW前後? pic.twitter.com/IvHqntZv3H— saito koji@2022はぴあアリーナ→バルセロナへ (@kojisaitojp) January 20, 2022
料金の部分は無視してください。充電カードを持たない私の場合だと結構高くつきますが、これは充電カードを作れば済む話ですので。
問題は速度です。「15分で2.66kWh」だと60分で10.64kWhです。。。
つまり充電速度が10.64kWということに…。
もちろん充電残量が半分以上ある状態での充電なので空の時より速度が遅くなることは理解してますが、「結局リーフ以外はカタログスペックで充電できないの?」という疑念が深まります。
この「e-MobilityPowerが大黒PAに設置した新型充電器の問題」については過去の記事で解説してますので、ご存知でない方はあわせてご参照いただければと思います。
e-MobilityPowerの新型充電器がオワコン?【これが専門家・プロのやること?】
e-MobilityPowerの新型充電器が首都高の大黒PAにオープンしたので見学に行ってきましたが速度が出ない・不具合で充電できないなどのトラブル続出のようです。6台同時に充電可能でデザイン性が高い点は評価できますが肝心の充電性能が世界レベルには程遠く、ここに日本の充電インフラとEV化の障害を感じます。
たまたま同じタイミングでリーフを充電してる方がいたので速度などを聞きたかったのですが、どこかへ行っていて充電が終わったらすぐに出発されたのでお話は聞けませんでしたが。。。
あと一言言っておくと大黒PAの充電器にガソリン車がひっきりなしに駐車してるのは「EV専用ではなく優先だから違反ではないけどマナーとしてどうなの?」と思いました。
まぁローソンの目の前に充電器があるというロケーションも問題ですが、ここに停めると大黒PAの中には戻れない構造なのに(逆走になる)よく停めるよな、とガソリン車の運転手に文句の一つも言ってやりたくなるところでしたが。
充電器の設置が進むノルウェーなら「MX-30」も問題なく運用できる?
と欠点はありまくりのマツダ「MX-30」でしたが、ピッチングがなく案外快適に走れるのは驚きでした。
これを体験するとノルウェーでそこそこ売れている理由が納得できます。
たくさん載せた方が説得力があるでしょうからノルウェーのEV販売ランキングを3ヶ月分並べますが、いずれの月でもMX-30がランキングの下の方にいることが分かりますでしょうか?
月によっては日産「リーフ」に迫る売り上げ台数だったり、私が先日紹介したシトロエン「E-C4」に勝ってる月もあります。
ちなみに日本市場では毎月5-10台の売り上げ台数です。日本の20分の1以下の人口(約540万人)のノルウェーでこの台数売り上げてるのは驚異的であるのと同時に「何でこんな欠陥ありまくりのEVが売れるんだ?」と思っていました。
ですが先ほど述べた「案外快適なGベクタリング」がもたらすパフォーマンスとこれが理由です。
ノルウェーなんかだと、こんな風にどこにでもコンセントがあって、エンジンブロックヒーターを繋げるようになってますね。https://t.co/zGvcTdvXdS pic.twitter.com/JVtkUOu2zu
— mania3bb (@mania3bb2007) January 12, 2022
ノルウェーは北極圏目前の寒い国なのもあり、ガソリン車の時代から冬場はエンジンオイルを暖めて始動をよくするためのブロックヒーターが広く使われており、そのために駐車場にコンセントが設置されているのが当たり前でした。
現在はこのコンセントをオイルヒーターとしてではなく充電器として使ってるわけですが、その結果がこれです。
既にPHEVも合わせると新車販売に占めるEV化率90%が当たり前になっているのがノルウェーです。
「駐車場に必ず普通充電器が設置されていていつでも充電できる」環境であればMX-30のように航続距離が短いEVでも運用できるという証明にならないでしょうか?
急速充電網はEVの売れ行きに大きな影響を与えるキラーアイテムだとは思うけど、実用上は普通充電器をアホみたいに普及させる事の方が大切です。自宅、駐車場、職場、店舗、ホテルなどに大量設置ですよ。
— Suomi Masuda (@SuomiMasuda) January 19, 2022
私もよく主張してますが「EVの普及率を上げるために必要なことは急速充電ではなく普通充電器の数」だと思います。
自宅や職場の駐車場、長時間駐車する例えばディズニーランドやホテルなどの駐車場に普通充電器があればいつでも充電して、常に満タンの状態で出発できます。
今日の「MX-30」の場合だと最も厳しいEPAサイクルで100マイル(160キロ)、私が運転した感じだともう少し多めで200キロ位は走れるかな?という印象ですが、「毎日200キロ以上走るから足りない」と言う人ほとんどいませんよね。
「駐車したらプラグイン」がいつも可能なノルウェーのような環境であればMX-30のように航続距離が短いEVでもほとんど問題なく運用できると思います。
ノルウェーでMX-30が売れるという事実から考えてもどこでも駐車中に普通充電器で気軽に充電できる環境なら簡単にEVが普及することはよくわかった。 pic.twitter.com/F4LPlnqWhj
— saito koji@2022はぴあアリーナ→バルセロナへ (@kojisaitojp) January 20, 2022
これは昨年私がパリで撮影したものですが、ヨーロッパではパリやロンドンのような大都市では路駐が普通なのもあり日本でいうパーキングメーターのような場所に普通充電器が設置されている場所が結構あります。
スマホ感覚で「使わない時はプラグイン」というのが習慣になれば日常使いの範囲では全く問題なくEVで生活できる、その社会を実現されるためにはとにかく普通充電器をあらゆる場所に増やすことが必要ではないかと今回航続距離の短い「MX-30」に乗って感じました。
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