「選択的夫婦別姓」の何がマズいの?【実は歴史が浅い】

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こんにちは、@kojisaitojpです。基本的に「政治」と「宗教」については発言をしないようにしているのですが、聞き捨てならないニュースを見かけたので引用します。

予備校で小論文を教えていた目線でこのツイートを添削すると、

    「夫婦別姓」→「日本ぶち壊し」の因果関係が不明確です。なぜ夫婦が別の姓を名乗ると日本が壊れるのでしょうか?

    「鈴木さんの奥さんが田中さんだとか言ったら混乱を招く」→名前で呼べば良いのでは?とツッコミが入ります。

    「女性は愛する男性の姓を名乗ることに喜び」→これも根拠が不明確です。そもそも結婚して姓を変えることが「喜び」なのでしょうか?

と小論文の添削をすると減点箇所だらけです(笑)。

基本的に小論文では因果関係、原因と結果のつながりがよくわからない文章は致命的な減点対象になるので非常に点数の低い論文になることでしょう。

しかもこの議論が破綻しているのは今回議論になっている「夫婦別姓」は「選択的夫婦別姓」ですから、どちらの姓を名乗るのかは本人の選択です。結婚して夫の姓にしたい女性は自由に変更できます。なのに猛烈に反対する人がいるのがなおさら意味不明です。

ちょっと意味不明すぎる話ですが、元々大学でこの辺を勉強していたこともあったので「夫婦別姓」について今日は語ります。

実は「夫婦同姓」は歴史が浅い?

カップルのイメージ
反対派の方々は「日本の伝統が破壊される」という論調の場合が多いのですが、実は日本の「夫婦同姓」というのは歴史的には全く古いものではありません。

実は、夫婦同姓の歴史はそれほど古くはない。一般の人が姓を名乗れるようになったのは、明治時代に入ってから。徴税や兵籍管理のために、戸籍制度を整備するためだったと言われる。当初は、妻は結婚後も実家の姓を名乗るとされたが、1896年、民法で「夫婦は同じ姓」を名乗ることが規定された。つまり、夫婦同姓はわずか120年ほどの歴史ということになる。
nippon.comより引用

たった120年くらいの歴史しかありません。これ以前の時代、例えば江戸時代などは農民はそもそも「姓」がなく名前だけでした。武士だけは「姓」があったのですが、結婚後も実家の姓(要は今でいう旧姓」を使っていたそうです。

明治になってから急に変更になったものを日本の古き良き伝統のように言ってしまうことにためらいを感じないのが謎です。

日本の古き良き伝統が壊れる的に興奮する方は多いのですが、日本の歴史の中でたった100年ちょっとしか通用していないものを「古き良き伝統」と言われても何を言ってるのという話になります。

一桁違って1000年以上、例えば平安時代から続いているのであればまだ議論の余地があるとは思いますが。

夫婦別姓に意地でも反対しようとする方々が語る「伝統」とはこの程度のものです。

しかも今の国会で議論されているものは、繰り返しですが「選択的夫婦別姓」です。夫の姓に変更したい女性は自由に変更できます。にもかかわらず猛反対する方が謎です。

世界で「夫婦別姓」を認めないのは日本位です

カップルのイメージ
次に世界各国の状況を見てみます。通常だとこっちが先で日本の歴史については触れるのは後にする場合が多いですが、それをやると「外国は外国、ここは日本だ」と噴き上がる方々がいるので後回しにしました。

一覧表を作っても良いのですが、世界の全ての国を挙げると膨大な数になるので記事の引用にとどめます。

疑うのであればググってみればすぐにわかりますが、日本以外のほとんど全ての国が「別姓にしてもいいし、同姓にしてもいい」か「両方の姓を並記する(名前が長い国に多いです)」となっていて、「別姓は絶対にダメ(民放の規定)」と言っているのは日本位です。

しかも日本の場合も「国際結婚」、つまり外国人と結婚した場合には夫婦別姓OK(要は相手の国のルールに合わせる)なのですからますます意味不明です。

国際連合で1979年に採択され日本も1985年に批准した「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」では選択的夫婦別氏制度の導入が要求され、日本は国際連合の女子差別撤廃委員会(CEDAW)より度重なる改善勧告を受けているのに拒否し続けているという謎対応を続けている世界でも珍しい国なのです。
(そもそも別姓が嫌なら条約を批准しなければいいのに、条約の批准はしておいて中身を認めることは拒否するという、世界から見ると意味不明の謎対応です)

国会議員の中にもこんな謎対応をする人たちがいます。

おそらく論理的に説明できないから「絆」とかいう精神的なものを持ち出すしかないのでしょうが、夫婦の姓が違うくらいで崩壊するような絆であれば最初から絆とは言えない程度の脆いつながりだったんじゃないの?と思ってしまいます。

「夫婦別姓」によって「わが国の更なる発展が妨害される」というのであれば、明治以前の日本、江戸時代より前の全ての歴史が全て間違っていたと否定することになります。

反対を唱える方々が会話が成立しないほど論理破綻をしているので何を言っても無駄かもしれませんが、こういう方々には「同姓を強制することによる不利益」というのを全く考慮しない傾向があります。

女性の不利益を全く考慮しない日本社会

対立する夫婦
「夫婦同姓こそが素晴らしい」と熱弁を振るう人が一定数いますが、実はこれ自体が「同姓にすることによる女性の不利益」を全く考えていないので恐ろしいです。

「研究者は名前が変わると論文の引用数がゼロになる」という実害について語っていますが、研究者としてそれまでやってきた実績がゼロになるというのは文字通り終了を意味します。

これ以外にもいくらでも女性が不利益を被る例はあげることができて、

  • 保険証や免許証、銀行口座や株式の名義、パスポートなどの氏名変更手続きの山は面倒
  • ホテルや飛行機の予約名が違うと利用できない
  • プライバシー情報が漏れる

どれも「本人確認」という点で発生する問題なのですが、基本的に姓が違うと別の人間として扱われてしまうので、旧姓を併記したところで、あらゆる手続きにおいて問題が生じます。

最後の「プライバシー情報が漏れる」というのは、改姓やそれに伴う旧姓の併記によって、婚姻状況が周囲にわかってしまうデメリットです。特に離婚時に苦痛の原因になりやすい。EUでは、婚姻状況はプライバシー情報として保護対象になっています。

まぁこういうのに対して先ほどのように別姓にムキになって反対する方々は「離婚しようと思うこと自体がけしからん」とか言いそうですが。。。愛情のない夫婦関係を嫌々続ける方が本人たちの精神衛生上も良くないですし、関係がギクシャクしている夫婦に育てられる子どもにも悪影響を及ぼします。

男性は姓を変える側になることが少ないので、こういう不利益について無関心な人が多いように思います。

反対に「男性が女性の姓に変える」というケースを想像してみれば手続きも煩雑で、様々な不利益が出ることが簡単に想像できると思うのですが、そういう発想はないのでしょう。

おそらくこういう方々に「そんなに別姓が嫌なら自分が妻の姓を名乗れば?」と言ってやると急に嫌がりだすと思います。

まだまだ「男性優位」の日本社会の典型例

時代錯誤な「昭和マインド」
結局のところ「女性は男性の持ち物なのだから同じ姓にするのは当然である」的な男尊女卑的な思想が透けて見えるのが今回の「選択的夫婦別姓」に関する議論です。

選択なんだから同姓にしたければすればいいし、別姓が良いなら別姓にすれば良いと女性に選択権を与えること自体を拒否しているのですから。

こういうのが理解できない人というのは、私が以前の記事で批判した「昭和マインド」の人々かもしれません。

まぁこのように女性を下に見るような発想は日本社会の至るところに見られるわけで、それが日本社会の欠点として徐々に浮き彫りになってきているとも言えます。

今回はたまたまニュースが目についたので取り上げましたが、実は日本の「会社」についてあれこれ調べているとこのような男尊女卑的なものはいくらでも発見できます。過去の記事で「日本の会社のここがダメ」的なことを繰り返し書いてきたのがこのブログですので、またの機会に女性についての問題も取り上げます。

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