ヒョンデ「IONIQ7」に見る「EVがライフスタイルを変える」可能性とは?【IONIQ5は序章?】

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こんばんは、@kojisaitojpです。SNSというのは時に自分が思ってもいなかった発見をもたらすことがあります。

昨日Anycaで借りたヒョンデ「IONIQ5」のブログ記事や動画をアップしたわけですが、この動画の中で「鳥のさえずり音」が流れてることを指摘されました。

実際に「IONIQ5」には「穏やかな波」「温かい暖炉」「清やかな森」「カフェテラス」「雨の日」など一見「誰が欲しがるの?」と思うような「自然の音」がインストールされています。

動画の撮影もするようになってから運転中にスマホで音楽を再生できなくなったのがきっかけでこの「自然の音」を何となく流していましたが、これが「IONIQ5」に触れたことのない人にはとても新鮮だったようです。

問題(?)の「自然の音」については後から追加でYouTubeにアップしましたので参考にしていただければと思います。

実はこの「自然の音」という演出が「これまでの車しか知らない層には新鮮に感じる」ということに気付かされた瞬間でした。

「あ、これEVについて、ヒョンデについて語る際にめちゃくちゃ重要なことかも」と私の頭の中で色々考えていたことが繋がる発見でした。

そこで今日は「IONIQ5」の車内の音楽に「自然の音」を導入したヒョンデの思想と今後リリースが予定されているEVのコンセプトについて解説してみます。

先に言っておくと「エンジン音」を人工的に再現したサウンドを搭載する日本メーカーとの格差を感じることになると思います。

もはや「車」というより「居住空間』? ヒョンデ「IONIQ7」の斬新な車内空間

ヒョンデ「IONIQ7」の外観

実はヒョンデは2021年に開催されたロサンゼルスモーターショーにおいて「SEVEN」というコンセプトカー(おそらく「IONIQ7」の原型?)を発表していました。

これを見て「こんなの車じゃないよ」と思います?

そうなんです、ただEVになるだけではなくこれまでの「車」という概念を覆すものをヒョンデが提案してきています。

ちなみにこの「IONIQ7」は2024年以降の構想ですが、先に「IONIQ6」と「IONIQ3」の計画があることは以前の記事で解説しましたのでこちらもご参照いただければと思います。

ヒョンデ「IONIQ7」の運転席

まずこれが「運転席」と言われるだけで仰天しますよね。ハンドルがないのは将来の自動運転を視野に入れてのことだと思いますが、運転席の肘掛けに操作に用いると思われるジョイスティックがあります。

ヒョンデ「IONIQ7」の運転席

同じものは2022年中にもリリースの噂がある「IONIQ6」のコンセプトカーとなる「Prophecy」でも見られます。

ヒュンダイ「Ioniq6」

この辺りの思想はテスラが現行(日本未発売)の「モデルS」や「モデルX」と共通するものを感じます。

新型テスラ「モデルS」の車内

このヨーク式のステアリングを外すと「IONIQ7」と近いものを感じますよね?

実際にイーロンマスクは「2024年にハンドルのない自動運転用の車両を販売する」と公言しています。

まぁ「2024年」という時期はイーロンマスクの言うことなのでアテにはなりませんけど(笑)、テスラがハンドルのない車両・自動運転が前提の車両へと向かっていることは明白です。

この話と冒頭の「自然の音」に何の関係があるんだ?と思います?

テレワークも可能なIONIQ5
車中泊も可能なヒョンデ「IONIQ5」

実は「IONIQ5」の車内で「自然の音」のBGMが提供されることと「従来の車では考えられない広い車内空間」が共通の思想で結ばれています。

そうです、「IONIQ5」では車内空間のことを「リビング」と名づけてましたよね。

原宿で試乗のヒョンデ「IONIQ5」のV2L
ヒョンデ「IONIQ5」のコンセント

私が車両の外側にある給電機能を使ってドライヤーを使ってみた動画はこちらになります。

そして後部座席のコンセントを使って自分のPCを起動させてみた動画はこちらになります。コンセントを接続する直前から再生できるようにしてます。

今考えるとMacBookではなくiMacを家から持って行って接続し、テーブルの上に置いてやった方が「IONIQ5」が実現しようとしてる空間のイメージがわいたかな?と思ったりもしますけど。

EVになったことで実現した「家電も使える車内空間」、EVになったことで床がフラットになったことで実現した「広い車内空間」が既に「IONIQ5」でも実現されています。

そして「リビングのような居住空間にふさわしい音」はエンジン音でしょうか?それとも「鳥のさえずり」のような「自然の音」でしょうか?

言うまでもないことですよね。

EV化と自動運転が可能になることで「車」が果たす役割が変わろうとしています。

「EV=車」であることを超えた「EV=居住空間」が世界のトレンド?

ヒョンデ「IONIQ7」の天井スクリーン

こちらは「IONIQ7」で提示されていた天井のスクリーンですが、これが72インチの巨大スクリーンとなって車内がエンタメ空間となることが暗示されています。

そして現行の「IONIQ5」にも「ビジョンルーフ」という巨大なグラスルームが搭載されています(VoyageとLoungeのみ)。

「テスラと違って開閉式のブラインドがあるよ」と言った「IONIQ5」の「ビジョンルーフ」はこんな感じです。

あ、私が予約を入れたノーマルの「IONIQ5」には残念ながらこのビジョンルーフはありませんけど(笑)。

ですがこのビジョンルーフが巨大なスクリーンになると想像すると、「EVの車内が居住空間になる」というイメージが更に具体的になりますよね。

これが現在EV化・自動運転化を進める世界の自動車メーカーがやろうとしてることです。

現在はBMW傘下のMINIもこのようなコンセプトを打ち出してるようです。以前の記事で解説したようにMINIも全車EV化の方針を打ち出してはいますが、本日取り上げているヒョンデやテスラのように販売予定の車両に具体的に落とし込むところまでは行けてないのが残念ではありますが。

このようなEVを「居住空間」と捉えた発想から出てくるEVは本日紹介しているヒョンデやテスラだけではなく、私が以前から時折紹介しているアメリカの新興EVメーカーの「Canoo」などにも見られます。

「Canoo」のワゴン

「Canoo」は既に商用のバンやピックアップトラックを発表してますが、EVの特徴であるフラットな床を生かした広い居住空間を配送用の巨大な収納スペースにしたり、部屋のようにくつろげる車内空間にしたりというこれまでの「車」とは違った車内空間を作り出そうとしています。

「Canoo」のワゴン

乗用車として用いる場合はこのように車中泊も可能となる広大な居住空間になります。

カヌー「MPDV」
カヌー「MPDV」

配送用のバンとして用いる場合にはこのように巨大な積載スペースに活用できます。

「Canoo」の斬新さについては以前の記事でも解説してますので、ご興味があればご参照いただければと思います。

「Canoo」が実現しようとしている車内空間と「IONIQ7」の車内空間には相通じるものを感じます。

ヒョンデ「IONIQ7」の車内

「IONIQ5」で車内空間を「リビング」と名づけた意味がわかりますよね?

ヒョンデ「IONIQ7」の車内

そしてこのような居住空間となった車内にふさわしい音楽が「エンジン音」ではなく鳥のさえずりなどの「自然の音」であることも。

EVを「車」としか考えられない日本メーカーは詰んでる?

ヒョンデ「IONIQ7」の外観

日本ではなぜかEVの話になると「EVはバッテリーの製造時に二酸化炭素を排出するからエコじゃないんだ」「充電する電力が火力発電のものなら結局二酸化炭素を排出するから意味がないんだ」と「エコじゃない」ことを根拠にEVを否定したがる勢力が今でも多数いるようですが、本日見てきたヒョンデやテスラ、新興EVメーカーのCanooなどの動きに「実はエコじゃないんだ!」と叫んだどころでピントのずれた議論になることがお分かりでしょうか?

従来の「車」というイメージが捨てられない、未来の車の姿がイメージできないとこのような発想に行きやすいようです。

「CX-60」についてはPHEVですので電気のみの走行もディーゼルエンジンと併用で走ることも可能なのですが、私が腰を抜かしそうになったのは「スピーカーからはエンジン音を際立たせる疑似サウンドを小音量で出力」という部分です。

実はこの謎の「エンジンサウンド」はBEVである「MX-30」にも搭載されており、私が試乗した際にも「この機能何の意味があるの?」と思ったところです。

以前マツダ「MX-30」に試乗した際の記事では「このEV意外と高性能だよ」と私はEVとしての動力性能については高い評価をしました。

この記事では触れなかったのですが、実は不満点が2つほどあって、

  • 謎の「エンジンサウンド」は不要
  • 抜群の制御技術があるのになぜかワンペダルで停止できない

「Gベクタリングコントロール」という抜群の制御技術のおかげでEVに必然的についてきてしまう「回生ブレーキによる前後の不快な揺れ」をほとんど抑えることができている点は感動しましたが、「運転は人間がコントロールするもの」という会社のコンセプトから(これが「人馬一体」?)「あえてワンペダルで停止できないようにしてる」という謎仕様に腰を抜かしそうになりました。

「謎のエンジン音」と「運転は人間がするもの」では本日紹介したような「居住空間としてのEV」というヒョンデやテスラ、Canooなどが実現しようしてる未来の車にはつながりません。

この反対を行くのがヒョンデ「IONIQ5」であり、再三私がブログやYouTubeで語っているように「前後の不快な揺れが全くないワンペダル時の停止」が非常に優秀です。

「IONIQ5」の場合はワンペダルで機械に任せた運転がしたければできますが、従来の車と同じように自分で操作したければ回生ブレーキを効かなくすることも可能で、どっちを選ぶかはドライバーの自由と委ねています。

「走る歓び」「人馬一体」を強調したい場合でも同じようにドライバーに選択を委ねれば良かったのでは?と思うところです。

今日は触れませんがトヨタがまもなく提供を始める「bZ4X」や充電性能の問題がYouTubeなどで指摘されている日産「アリア」などEVとしてのスペック面でもヒョンデ「IONIQ5」やテスラ「モデル3」などと比較して日本勢が「実は劣ってるのでは?」というのが徐々にバレてきています。

「実はEVはエコじゃない」と強がってみたり(世界がEV化に進んでるのはエコだけが理由ではない)、「走りの質は上(でもEVの車内を居住空間とは考えられない)」など徐々に日本メーカーが世界の流れから取り残されているのがはっきりとわかるようになってきました。

本日取り上げたヒョンデ「IONIQ7」のようなEVを日本メーカーが開発するには創造力も技術も怪しくなってきてると感じるのは私だけでしょうか?

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