「水素(FCV・エンジン)」を絶賛しEVを叩く人々の背景とは?【既得権益の温存】
こんばんは、@kojisaitojpです。不思議なことに「EV叩きをする人々」と「水素を絶賛する人々」は大半が重なります。
ヤフコメが水素一色で気持ち悪い(笑)。
「三重苦」を克服しても、なおもEV普及に立ち塞がるハードル(JBpress)#Yahooニュースhttps://t.co/P1emOY81cW— saito koji@次の海外旅行の前にEV購入? (@kojisaitojp) June 5, 2021
いつも思う素朴な疑問なのですが「EVを口汚く罵ってくる人は本当に本当にEVに乗ったことがあるのか?」というのがあります。
まぁEVなら全くないということもないでしょうが(それが初代初期型リーフだったしても困りますが)、「水素(FCVでもエンジンでも)に乗ったことがあって絶賛してる人はほとんどいない」というのはトヨタ「Mirai」の販売台数から考えるとほぼ間違いないと思います。
さすがに「ガソリン車万歳!」というのは「脱炭素」の流れから言いにくいのか、「水素を絶賛して、EVを叩く」というパターンがネット上には多数見られます。
EVを否定するための逆張りとして水素を支持するというのは「アンチEV」と言ってしまえるのですが、落ち着いて「なぜアンチなのか?」を考えると「内燃機関からEVになると困る人か?」という想像ができて「誰がどんな利害関係でアンチEVになるか?」というのが見えてきます。
というわけで今日は「なぜEVに乗ったこともないのにEVの悪口を言うのか?」「なぜ水素(FCVもエンジンも)を体験したこともないのに絶賛するのか?」という疑問から生じた、「EVが普及したら困る人々ってどんな人々か?」について考えてみます。
目次
「水素(FCV・エンジン)の問題点を再確認
「水素燃料電池車(FCV)」やら「水素エンジン」で一部盛り上がっている人々がいるようですが、世界からは冷ややかな目で見られています。
こういうことやってると世界からは「この会社EVやる気ないんだね」とみなされるという当たり前の指摘。
Toyota Won't Commit To EVs, Debuts Hydrogen-Burning Engine https://t.co/udolRWc6Dz @insideevs.comより— saito koji@次の海外旅行の前にEV購入? (@kojisaitojp) June 4, 2021
トヨタがいくら「全方位戦略」「多様性を提供する」と言っていても世界から見ると「EVに注力していない」と見られるのは当然です。
「日本国内の雇用を維持するため」「これまで作ってきたサプライチェーンを維持するため」に内燃機関を維持する必要がある、だから水素エンジンだというのが最近出てきた話ですが。
しかしそもそも水素をネット上で絶賛してる方々は「水素燃料電池車」である「Mirai」に乗ったことあるの?という疑問が生じます。
自分が体験したこともない水素によくそこまで過剰な期待ができるよなと私なら思ってしまいます。
ましてや水素エンジンになると先日初めてサーキットを走った段階ですので、実際に乗って体験した人はほぼゼロのはずなのにヤフコメなどを見ると「日本の将来は水素エンジンで決まりだ」的に大絶賛しているコメントだらけで「体験したこともないものにそんなことよく言えるな」と思うところです。
実際に「水素」を用いることのハードルは想像以上に高く、
- 水素ステーションが全国にたったの130箇所(ほとんどが東京都と愛知県)
- 水素ステーションの設置には億単位の投資が必要
- 水素を充填する専門の係員が必要なので人件費もかかる(セルフにはできない)
- 水素タンクの定期点検と交換が必要(ユーザーには負担)
ユーザーの目線でみると自宅で充電ができるEVと比較するとデメリットだらけです。現在130箇所の水素ステーションが先日の日本政府の計画通りに1000箇所になってもガソリンスタンドよりかなり少ないので不便に感じることでしょう。
EVを叩きたい方々は「今の充電インフラじゃ」と批判しますが、水素ステーションの設置状況はEV以下です。
この「自分に都合の悪いことは無視する」ブーメランについては以前の記事でも書いたのでご参照いただければと思います。
「水素(FCV)」を絶賛してEVを攻撃すると直撃する特大ブーメランとは?【水素ステーション】
アンチEVという方々が絶賛したがる「水素燃料電池車(FCV)」や「水素エンジン」ですが、「水素」という物質の安全面の問題に加えて「水素ステーション」という水素を充填するインフラの問題で致命的な欠点があります。急速充電器のみならず自宅やホテル、会社の駐車場などに気軽に普通充電器を設置できるEVとの格差について説明します。
となると「ユーザー目線だとEVと比較して不利なことだらけ」なのにEVを批判して水素を絶賛する方々は「もしかしてEVが普及すると困る人たちでは?」と思うのが自然です。
次の項目でいくつか例をあげて考えてみます。
「ザ既得権益・抵抗勢力」その1「ガソリンスタンド」
ガソリンスタンドは最もわかりやすい「抵抗勢力」の例なのは誰でもわかるかと思います。
とはいえこの業界も「脱炭素」の流れからこれまで通りガソリンを売り続けるというビジネスモデルを維持することが不可能なこと位は自覚していると思います。
じゃあ何を狙うか?
「ガソリンの代わりに水素を充填しに来てくれれば生き残れるかも」と思うのは自然です。
もちろん「水素ステーション」は設置には億単位の費用がかかりますから、資金力のある運営会社やオーナーじゃないと無理ですが。
EVの充電器を設置するという流れもあるようですが、充電だとほとんど利益が出ないことと「家で充電されるとほぼ用無し」になってしまいます。
で、自宅で車乗らない時間帯に充電というのが理解できなくて「五分で充電できなきゃ困るんだよ!」とガソリンスタンド感覚で攻撃されるのってのも定番のパターン(笑)
— saito koji@次の海外旅行の前にEV購入? (@kojisaitojp) June 4, 2021
このようなEV批判をする人たちに欠けてるのは「でも家で寝てる間に充電できるよ」という視点です。
こういう発言をする背景を想像すると「家で充電されるとガソリンスタンドに給油に来るというこれまでの習慣がなくなってしまう」という既得権益が見えてきます。
ということは「ガソリンスタンドへの給油」という習慣を維持させるために「水素ステーション」にこだわるという事情が理解できると思います。
「ザ既得権益・抵抗勢力」その2「ディーラー」「中古車店」
次は「ディーラー」と「街中の中古車店」がEVへの抵抗勢力となり、「水素」に執着しようとする背景です。
「ディーラーなんかに行かなくてもオンラインで買える」というモデルはテスラがもたらしたものですが、「自社で車が売れなくなる」というのはわかりやすいデメリットです。
中古車店であれば認定中古車以外でも売れるんだから問題ないのでは?と思うところですが、中古車店も販売した後の「整備で儲けるビジネスモデルが壊れる」とEVに対する抵抗勢力になる背景が見えてきます。
それ以前に「中古車屋もオンラインで車売れよ」とツッコミ入れれば終わってしまう話ですよね(笑)。ヤフオクなどに出品している中古車店も多少はいますが大抵は「買うためには店まで行く必要がある」とか「価格が店舗で買った場合と変わらない」などオンライン販売の意味をわかってない業者ばかりです。
またそれに加えて「水素」であれば例えばFCVでも水素エンジンでもタンクの点検や交換が必須になりますし、「水素エンジン」なる内燃機関が温存されればこれまで通り「オイル交換だ、タイミングベルトやウォーターポンプだ、ラジエターだ」などのエンジンの整備で稼ぐ手段が残ります。
となるとディーラーや中古車店の関係者が「アンチEVのショッカー戦闘員」となってネット上で暴れる背景が理解できるようになります(笑)。
ただここも考え方次第で、ボルボが提唱しているように「EV化してもサービススポットとしてディーラーを活用する」というアイディアを出しています。
詳細は以前書いたのでこちらをご参照ください。
ボルボの「全車電気自動車化(BEV)」とOTAアップデートの衝撃とは?【対照的なガラパゴス日本】
今度はスウェーデンのボルボが2030年からの「全車電気自動車化(BEV)」を発表しました。オンライン販売に切り替えながらも「サブスク形式」という独自の販売方法で既存のディーラー網を残す方向で(雇用を維持する方向で)電気自動車化するという北欧らしい電気自動車への対応方法を発表したボルボの戦略について解説します。
人を大事にする北欧の企業らしい発想で「EVと旧来のディーラー網の共存」のモデルとして「サブスク形式」というこれまでとは違ったモデルを提案しています。
実際に昨日から「日産・アリア」の予約もスタートしましたが、初日に予約を入れた人からも「テスラもいいと思ったけどディーラーで面倒みてくれるからアリアにした」という声もありますので、サービススポットとして既存のディーラー網を生かす方法はあります。
「今までと同じことをしようとするからEVに抵抗したくなる」わけで「EVなってもやっていけるビジネスモデル」を考えれば済む話なのですが「変化したくないマインド」が働くようです。
「ザ既得権益・抵抗勢力」その3「部品メーカー」
部品メーカーもEV化によって「エンジンの部品」などが不要になることで仕事(既得権益)がなくなる、それゆえに「抵抗勢力」になりやすい業種なのはわかりやすいかと思います。
とはいえこれまで自動車メーカーに部品を納入できる技術があるのであれば、そのノウハウを生かしてこれから需要が見込める業種の部品メーカーに「事業転換」することはできるはずです。
事業再構築補助金
現在中小企業庁が公募している「事業再構築補助金」の資料で「再構築」の具体例として「車の部品から医療機器の製造へ」「金属加工の部品メーカーから産業用ロボットの製造へ」などのように「これまで培ってきた技術を生かして今後成長が見込める新分野へ展開する」というモデルが提案されています。
これに対して「今更新しいことなんかやってられるか!」と思うような経営者でしたら、時代の変化に対応できない時代遅れの経営者ですから市場から退場させられるのは当然と言えば当然です。
過去にも、技術革新によって様々な職業が無くなっていきましたが、社会全体では人々の雇用が不要になったことはありません。
絶対にやってはいけないのが、技術の流れに抗う事。
未だかつて、流れに逆らって碌な結果になったことはありません。 https://t.co/JUO5HmySbf— mania3bb (@mania3bb2007) June 3, 2021
ここでは「スイスの時計職人」と「バーレーンの真珠養殖」の話が出ていますが、私もドバイで博物館に行った際に「元々はペルシャ湾は真珠の養殖で栄えていた」というのを見て驚いた記憶があります。
日本の真珠養殖技術が優れていた(「ミキモト」とか有名ですよね)ため競争に敗れた後に石油が発見されて現在に至るまで石油産業で栄華を極めてきました。
ドバイなどは有名ですが「将来化石燃料がなくなっても国を維持できるように」というコンセプトの元に大規模な都市開発を行い、「タックスヘイブン」として世界から企業を誘致して「石油なしでも食いっぱぐれない国」を作ろうとしています。
このように「終わった業種からの業態転換」を図ることもせずにネットにEVの悪口やテスラの悪口を必死で書き込んでいるような人々に未来がないのは当然のことです。
「既得権益」をぶっ壊す秘密兵器がEV
このように「既得権益」を攻撃していると「そこまでして何でEVにこだわるの?」とちゃぶ台返しのようなことを言われることもあります。
それに対する一つの回答はこれです。
ホントこれ。ジジイどもの既得権益からは排除されるのに若い奴らには既得権益にまみれたジジイ扱いされるという最悪のポジション。 https://t.co/WVKlUsRDLA
— saito koji@次の海外旅行の前にEV購入? (@kojisaitojp) June 4, 2021
「お前の都合かよ」と思われるかもしれませんが、人間が基本的に何かをやりたいと思う時って個人的な動機から始まるのではないでしょうか?
仮に旧来のガソリン車でビジネスをやろうとしても正直言ってこれまで長年中古車店などをやっている人々と比べると致命的に不利です。
でも「既得権益の連中がやりたがらないEVを人より早く始めると一歩前に出て一発逆転」という芽があります。
まぁ「一発逆転」とかいうと「全固体電池で一発逆転」とか言ってるお寒い会社みたいなのであまり使いたくない表現ですが(笑)。
他にも理由はありますよ。例えば自分が付き合ってた元彼女を私から奪っていった奴がガソリンスタンドの奴だったとか(笑)。
まぁ当時「正社員で出世コース」だったらしいのですが知ったことではありません。ぶっ潰すだけです(笑)。
まぁガソリンスタンドへの恨みは半分冗談のレベルですが、「既得権益から排除された最初の世代」というのは新しいことをやってやろうという動機にはなりますよね。
実際に私が過去に予備校という「元からあるシステム」の中で勝負した時は結局自分が現場で生徒からの支持を集めても「年功序列」のように古くからいる講師の牙城を崩すチャンスすら与えられないというのが非常に不愉快でした。
ちなみに私が受験生だった頃に有名だったカリスマ講師の方々がそれから30年近く経った今も同じ顔ぶれでやっているのを見るとこの世界も「既得権益」になってるなと思います。
この辺りを理解できない(理解しようとしない?)私より少し上の年代(要はバブル世代)の投資家に会った際には「この年齢じゃもう若くないから期待できない」「今から新しいことやるなんて無理無理」とバカにされたこともありますが、この年代に一泡吹かせるのもそろそろ人生が半分くらい終わる自分の残り半分の使命かなと勝手に思っています。
「既得権益」に邪魔されて沈んでいく日本を見ながら自分が老人になるのだけは避けたいところです。
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