ホンダがGMに電気自動車を作ってもらう未来が来る?【提携という名の依存?】
こんにちは、@kojisaitojpです。昨日「充電ステーション」について書いた後で、失笑してしまうような頓珍漢な充電ステーションを発見してしまいました。
電気自動車乗らない人達が充電器を設置するとこうなるという典例 pic.twitter.com/BQrmoIvFQT
— つくも@素人系テスラー (@tsukumo_teslapr) January 24, 2021
これ何がおかしいかわかります? 写真のテスラモデル3の右側に充電器があります。
よく見ると2台ありますよね? つまりモデル3の隣で充電する場合は一台またいで充電コードを引っ張って来なければいけません。
更に悲惨なのは充電器の横のコンクリートの柱です。テスラ車の場合は後ろに充電の差し込み口がありますので何とかなりますが、日産リーフのように前に充電の差し込み口がある車だと頭から入れることになります。
すると運転席のドアが柱に当たって開きません。
正確にはこの狭さだとテスラ・モデル3も充電中に助手席の人が降りれないですよね。
使う側のことを全く考えていない充電ステーションです。不親切と言えばそれまでですが、このような頓珍漢なことが電気自動車や再生可能エネルギーを巡って起きることが多いです。
今日取り上げるのは電気自動車に対して頓珍漢な対応をする会社「Honda」です。
先日「Honda e」について取り上げた際にも謎の価格設定や「そのエンタメ必要なの?」という位過剰に充実したインフォテイメントシステムを指して「ガラケーみたい」と揶揄している人もいますが、今日取り上げるニュースも「???」です。
ホンダ GMと共同開発の自動運転車 ことし中に公道で実証実験へ #nhk_news https://t.co/zBJWeDXNfC
— NHKニュース (@nhk_news) January 20, 2021
「共同開発」という言葉でボカされてますが、中身を知ると「これ大丈夫か?」と心配になります。
目次
「共同開発・業務提携」という名でGMに丸投げのホンダの電気自動車?
最近出たホンダとGMの提携に関するニュースはこちらです。
GM To Build Honda EVs, Mazda MX-30 With Rotary Range Extender Coming To US
The latest scuttlebutt whizzing around the US auto industry claims General Motors will manufacture two battery electric SUVs for Honda. At the China auto show last September, Honda revealed a concept electric SUV it said would be its first electric SUV offering in the Chinese market. In a press release, the company said,
The Honda SUV
「GMとホンダが電気自動車を共同開発」とか「業務提携」というと聞こえが良いですが、よく読むとこの提携はかなりマズい内容です。
簡単に言えば「GMのプラットフォーム(Cadillac Lyriq)でホンダのバッジをつけた車を生産する」、つまり実質ホンダの電気自動車をGMに作ってもらうということです。
おそらく昨年GMから発表された「キャデラック」ブランド初の電気自動車である「Lyriq」とほぼ同じデザインになると思われます。
現時点ではホンダのEVは日本上陸の予定はないようですが。
反対にホンダの有するハイブリッド車の技術を用いたハイブリッド車にはGMのバッジがつくことになりますが。
現在GMがLG化学と共同で開発している「Ultium Battery」というアルミニウムの割合を増やし、レアメタルであるコバルトの使用量を70%減らすことに成功したバッテリーで、レアメタルの割合が減ることで大幅なコストダウンが可能になります。
正確にはコストダウンだけではないですね。レアメタルに頼らないバッテリーとなれば中国への依存割合も減らせます。地政学的なリスクヘッジにもなります。
またGMの電気自動車プラットフォームである「第三世代グローバルEVプラットフォーム」はバッテリーが平型(従来は筒型)なのもあり、設計の自由度があがり、このプラットフォームで20車種以上を生産可能とGMが豪語しています。
「ホンダ e」について触れた際にも言いましたが、「ホンダ e」が日本国内で1000台しか売らないというのは「バッテリー調達」が上手くいかなかったという事情があり、思うように電気自動車の開発が進まないことがGMとの提携に踏み切った要因かもしれません。
大容量のパウチ型セルをバッテリーパック内で垂直にも水平にも積み重ねることができるという、画期的な方式を採用。これにより、各車両のデザインに応じてバッテリーの蓄電容量やレイアウトを最適化することを可能にした。
ちなみにGMは2021年から商用車も含めた全ての自動車を電気自動車化すると宣言しています。
このGMの新しいプラットフォームを用いた電気自動車については、先日「ハマー」について紹介した際にも触れました。
ハマーでさえ電気自動車化して復活?【アメリカもEV化】
2021年から電気自動車として復活が発表されている「ハマー」について説明します。ピックアップトラックというアメリカのカーライフの象徴のような自動車がいよいよ電気自動車化するだけでもGMの本気を感じますが、加速性能や航続可能距離などスペック面で異次元の仕様となり、テスラのサイバートラックとガチンコの競争になりそうです。
この事実からは以下のようなことが考えられます。
- ホンダは自力で電気自動車を作れないからGMに丸投げ
- 全車電気自動車化を唱えるGMはハイブリッドやプラグインの開発をホンダに丸投げ
GMからすれば「もう先が見えているハイブリッドやプラグインハイブリッドはホンダにやらせておけばコストもかからないし」位の感覚で提携した可能性が高いです。
要はババ抜きの「ババ」を押し付けられたのがホンダということです(笑)。
その昔アメリカ市場でGMなどのアメ車が「故障が多い上に燃費も悪い」と全く売れなくて(実際GMは一回破綻してます)、トヨタやホンダ、日産などの日本車が「故障も少なく、燃費も良い」とバカ売れして「日米貿易摩擦」の原因となってアメリカが激おこだった時代があったとは思えなくなるのが今の状況です。
冗談ではなく電気自動車の普及と共に「ホンダがGMに買収される」とか「トヨタがテスラに買収される」ような時代が来てもおかしくない(実際に株式の時価総額では既に大負け状態)です。まぁ日産は一応リーフや今年発売予定のアリアなど電気自動車の開発はしてますし、そもそも親会社がフランスのルノーですので(言うと怒る人がいますが資本関係的に「ルノー=親、日産=子」の関係です)これ以上動くことはないでしょうが。
「隠れて開発してるんだ」的な陰謀論(?)は止めましょう
このホンダの状況を見ると、どうやらホンダが作れる電気自動車は「ホンダ e」くらいのクオリティのものが限界という事実が見えてきます。そうでなければ電気自動車を実質GMに丸投げするようなことはしないはずです。
ホンダの開発に問題があるからGMと提携することになるわけです。
テスラや中国メーカーなどがとんでもないスペックの電気自動車をリリースすると「日本メーカーも実は隠れて開発してるんだ」とか「わざと他社を先行させて死んだフリ作戦だ」とか「諸外国のメーカーが限界に達したところで真打ち登場」的に日本メーカーが実は水面下で電気自動車を開発していて、いつでも発売できる状態なんだと勝手に想像(妄想?)する人が結構います。
反対に諸外国のニュースは可能な限りネガティブに捉えて、例えば先日の記事で紹介したNIOが全個体電池を搭載した「ET7」を発表した際にも「全固体電池を最初に開発するのはトヨタに決まってる」的に妄想する人も結構います。
NIO「ET7」がもたらす衝撃と破壊力とは?【電気自動車でテスラ超え?】
中国の新興EVメーカー「NIO」がET7という驚異のスペックの電気自動車の発売を発表しました。バッテリー容量の大きなものだと1000キロを超える航続距離、充電が不要になる「バッテリースワップ」というわずか5分でバッテリー交換をするシステムなど、日本のメーカーどころかテスラすら凌駕する電気自動車を紹介します。
個人的に思うのは「証拠がないことをあれこれ妄想するのは子供がやること」だということです。
日本メーカーが隠れてハイスペックの電気自動車を開発してる証拠や情報ありますか?
結果的に出てきたのはホンダは「ホンダ e」で、トヨタに至っては「C+Pod」という車と呼んでいいのかさえ疑問なシロモノだけです(一応レクサスはありますが「値段の割に…」というレベルです)。
どっかのタイミングで慌てて電気自動車やり始めてもバッテリー調達できなくて詰むぞ
— saito koji@次の海外旅行はいつ? (@kojisaitojp) January 24, 2021
その事実から導けることだけを判断材料にすべきではないでしょうか?
事実から判断すると「いずれGMに買収されるホンダ」か?
私も起業を考えている人間ですので、先日もある経営コンサルタントと面談してきましたが、このコンサルタントが「電気自動車」に対してネガティブなことしか言わないので正直困ってしまいました。
こちらが大量に用意してきたヨーロッパや中国の資料を提示して「もうすぐ電気自動車が爆発的に普及する」と言っても「いや、日本では普及しないと思いますよ」とやる気のない反応。
私も面白くないので「なぜそんなことが断言できるのですか?」と聞いたところ「もし電気自動車に可能性があるなら、日本のメーカーがとっくに本気でやってるはずだ。やってないということは何か理由があるんだ」と。
そんなに日本の車メーカーに絶大な信頼を置いているんだなと呆れてしまいましたが、よく話を聞いているとこのコンサルタント、元銀行員だったらしいです。
確かに将来のビジネスのアイディアを持って銀行に行くと同じように「売れるか分からないものに融資できない」と嫌がられます。
無駄な時間を資料を準備する手間隙を返せと言いたくなりました(笑)。
「日本のメーカーがやらないのは何か理由があるんだ」と過剰評価するのではなく「ホンダeやC+Podくらいしか作れない、電気自動車化の世界の流れに無為無策」という現実を見るべきだと思うのですがねぇ…。
「専門家」を名乗る人間でもこの程度ということはよくあることです。
ホンダとGMの提携というのも、出てきている情報から判断すると「電気自動車の生産をホンダがGMに全面に委託」することであり、ここから予想できることは「ハイブリッドが終了した時は(実際バイデン政権は100%電気自動車化を目指しています)GMにホンダが買収される」という可能性です。
ホンダはGMの傘下に入り、前から言っているようにトヨタはテスラの下請けとなる悲観的な未来のシナリオが見えてきます。
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