下がらない(むしろ上がる)ガソリン価格がEV化を更に促進する?【ガソリンスタンドは消滅?】

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こんばんは、@kojisaitojpです。この前も少し触れたテーマですが、まだ活用させてもらいます。

自動車業界のトップと同様に石油業界のトップも救いようがない無知(私の用語ではこれを「加齢臭」と呼びます)を披露しているのですが。

「EV化」だけを槍玉にあげて批判しているようですが、そもそも「脱炭素」という世界の流れは逆らえないものになってきていますので、エネルギー源が化石燃料から太陽光・風力などの再生可能エネルギーにシフトしていくのはもはや自然な流れなのにわかってないなと思ってしまいます。

アメリカのエネルギー比率

これはアメリカのエネルギー比率の推移ですが、実はトランプ政権下においても天然ガス・原油・石炭は減少していて再生可能エネルギーの比率が上がっていたのが現実です。

今日はそんな風に時代の流れに乗り遅れているガソリンスタンドを例に挙げて「今後ガソリンスタンドは減る一方」「ガソリン需要が減ってもガソリン価格は下がらないどころかむしろ上がる」ということについて考えてみたいと思います。

EV化しようがしまいが日本のガソリン価格は今後上がる一方?

閉店したガソリンスタンド
EVが嫌いな方々の間で「EVが普及したらガソリン買う人が減るから安くなるかも」などという甘い期待をしている人が多いようです。

「誰も買う人がいない」状況になると原油の生産量自体を減らせば(つまり需要に見合った供給量にする)価格は維持させるという簡単な構図です。昨年新型コロナウイルスにより世界各国がロックダウンに入った直後であればそこまで急激に需給調整はできないので一時的にガソリン価格が下落したことがありますが(現在の市場だと投機マネーの動きにより上昇も下落も極端に振れます)、すぐに元に戻りました。

ガソリン車(というか温存したのは「エンジン」なのでしょうが)至上主義に陥るとちょっとでも都合の良い材料を見つけるとそれを拡大拡大拡大解釈してはしゃぐ傾向があるようです(笑)。

そして先日も説明しましたが、それに輪をかけて「ガソリンスタンドの減少」という問題が影響を与えるのが今後の日本社会です。

既に「町に一つしかないガソリンスタンドを存続させるために税金投入」のようなことも起きているわけで、今後ガソリンスタンドが増えるという可能性はほぼゼロに近い状況となれば、残った数少ないガソリンスタンドは経営を維持するためにガソリンを値上げせざるを得なくなります。

日本のガソリンスタンド数の推移

万が一(私は想定してませんが)ハイブリッド車が今後も日本の自動車の中心として君臨した場合でも今以上の燃費向上が迫られることは世界的な義務ですのでガソリンの消費量が減ることは決定しています。

EV・原発とESG投資

冒頭の石油業界の偉い人もここを見落としてEVだけを目の敵にしていますが、「そもそもガソリンスタンドが減ってる原因はEVじゃなくてハイブリッド車でしょ?」という単純な事実が見えていないのは非常に残念なことです。

ですので賢い会社であれば「ガソリンの消費量が大幅に減った後」を見越して動いていますが。

例えば出光興産などはEVを目の敵にするのではなく共存を目指す、カーシェアなどの基地としてガソリンスタンドの役割を変えるという役割の転換を目指しています。

近年のガソリンスタンドは屋根に太陽光を敷き詰めている場合が多いので「100%再エネ」の目標達成にもEVは貢献してくれます。

なんて言うと「地方ではEVなんて乗れない」と「自宅のコンセントでも充電できるよ」という肝心な点を無視して騒ぐ人が出てきますが、基本的に対話する意思がなく自分に都合の良いことをわめき散らす人は相手にしません。

「新しいものはまず都会で普及する」「田舎はその後」という意識があるのかもしれませんが、少なくとも電気自動車に関しては都会よりも田舎の方が一軒家率の関係で有利です。

「集合住宅はどうするんだ?」と必ず噴き上がる人が出てきますが、この点についてもガソリンスタンドが消滅してEVに乗らざるを得ない人が増えてくればマンションのオーナーも管理組合も駐車場に充電器を設置することを真剣に検討せざるを得なくなります。

その動きが私の予想だとまだガソリンスタンドが残存する都会よりも消滅する田舎の方が早いのでは?となります。

アメリカでも今後もどんどん上がるガソリン価格?

アメリカのガソリンスタンド
今のは日本独自の要因を中心に見てきましたが、世界的に見ても地政学的要因など、ちょっとしたきっかけでガソリン価格はすぐに上がってしまいます。

サイバー攻撃によってパイプラインがストップしたというのが最新のニュースで飛び込んできましたが、他にもテロや戦争、先日のスエズ運河でのタンカーの立ち往生のように何か起きればすぐに供給不足になり価格が上昇するのが原油という商品の特徴でもあります。

元々アメリカではガソリンを運搬するタンクローリーの運転手不足が言われていましたが、新型コロナの影響による需要減でスルーされていました。

ところが今年は日本と違いワクチンの接種も進み、かなりのドライブ需要が見込まれていますが、コロナによって更に減ってしまったタンクローリーのドライバーが足りなければガソリンスタンドまで運ぶことができません。

新規でドライバーを育成しようとしてもアメリカの法律で最低6ヶ月かかりますので今年の夏にはもう間に合いません。

なので今年の夏はかなりガソリン価格が上がるだろう、そして高騰するガソリン価格に嫌気が差した人々が多数EVへの乗り換えを選択するだろうという予想がなされています。

アメリカのガソリン価格の推移

これはアメリカのガソリン価格の推移ですが、また以前の高値を狙うのでは?と言われています。

アメリカのテスラ・スーパーチャージャー

「EVに乗り換えようかな?」と思った時にこれだけのスーパーチャージャーが設置されているテスラのネットワークはありがたいですよね。

日本ではなぜか電気よりもガソリンの方が簡単に手に入ると思い込んでいる人が多いですが。

「ロジスティックス(補給路)」の確保が下手な日本だとガソリン供給が更に悲惨なことになる?

ロジスティックスのイメージ
「必要な物資(この場合はガソリン)が確保されているのに、運送が追いつかず全米に供給できない」というのはまるで日本のワクチンの話を見ているようです。

私も「ワクチンを早く接種したいならアメリカ行ってきた方がいいかな?」と思ってたりもします。

以前であればこのネタはSNS上で現地民からボロクソに罵倒されたようですので私も表立って話すことはしませんでしたが、現在ではニューヨーク市などが「観光客にもワクチンを提供して観光客誘致」のようなことを言い始めていますので「観光のついでにワクチン」という思わぬ海外旅行再開のパターンがあり得るかもしれません。

反対に見ればこれだけの猛スピードで住民にワクチンの供給体制を整えるロジスティックスを持つアメリカでさえ、先ほどのパイプラインへのサイバー攻撃やタンクローリーのドライバー不足などのアクシデントによりガソリン供給に不安がたちこめてしまうという位「ガソリン」は供給が不安定なものであるとも言えます。

であればもっと安定供給が期待できる「電力」を動力にした方が良くないか?という議論がわき起こってくるのが本来であれば自然です。

ところが現在の日本では「東日本大震災の経験を生かして脱化石燃料・脱原発・EV化が最適解だ」のように言うとあらゆる方面から猛烈にぶっ叩かれるという非常に奇妙な状況です。

たった10年前のことをもう忘れたのでしょうか? 電力に関してはほとんどの地域で即日か翌日くらいには復旧したものの、ガソリンの供給が追いつかず給油できない状態がしばらく続いたことで何も学習しなかったのが今の日本人のようです。

引用したTwitterでも語られていましたが、ノルマンディー上陸の際に最優先でパイプラインを敷設する連合国軍に対し、「燃料?現地調達で何とかなるでしょ?」的なお気楽な考えで補給路も考えず進撃を続け崩壊した旧日本軍という悪しき伝統は今も「充電インフラ」や「ワクチン」において繰り返されています。

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