ハイブリッド車をEV(電動車)と勘違いしてるのは日本人だけ?【定義もガラパゴス】

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こんばんは、@kojisaitojpです。EV好きの方々には「何言ってるんだ、こいつは?」と思わせてくれる自動車ジャーナリストが多いかと思いますが、さすがに笑って済ませるわけにもいかない発言を目にしました。

これはネット上で見かけたある記事に対するコメントなのですが、自動車評論家(正確には自称「自動車経済評論家」らしいです)を名乗る人が世界的な定義をわかってないはずがないと思いたいところなのですが、トンチンカンなことを言っています。

以下の記事がそれです。

まぁEVのことをある程度わかっている方なら「あぁ、あいつかよ」で終わるところなのですが、ふと思ったのは「そもそも日本人が「電動車」というカテゴリーのトンチンカンさ」に気づいているのかな?ということです。

そこで今日は「自動車の電動化」という日本語で語られる文脈と英語などの海外メディアで用いられる際の「Electrification」のズレについて解説します。

BEVとPHEVだけが「電動車」なのが世界の定義

2021年6月ノルウェーの電動化率

どこの国のデータでも良いのですが、先日も用いた2021年6月のノルウェーの電動化率のグラフを持ってきました。

BEV(Battery Electric Vehicle=バッテリーの電力だけで動く車)が64.7%、PHEV(プラグインハイブリッド車)が20.3%という驚異の数字は先日も紹介しましたが、「Total PEVs」、つまり「トータルの電動化率」が85.0%とBEVとPHEVの合計で掲載されています。

このグラフは「Clean technica」というアメリカのサイトから拝借していますが、アメリカ・ヨーロッパなどの主要国では「電動化」と言った時に対象となるのはBEVとPHEVだけです。

日本語のメディアにしか触れていない人だと「あれ?ハイブリッド車(いわゆるストロングハイブリッド)はどこ行った?」と思いますよね。

実は「電動車」と言った時にハイブリッド車を含むのは日本だけです。ある程度EVを知っている人であれば日本人の間でも常識なのですが。

ハイブリッド車販売禁止

と言うのも「Total PEVs」とあるように「P=Plugin」、つまりプラグに繋いで充電する車というのが世界基準ではEVの定義になります。

ですのでPHEVはエンジンを搭載しているものの充電もできるのでEV扱い、ハイブリッド車は常にエンジンを回しながら走るので不可という扱いです。

e-Powerはハイブリッド車

「じゃあe-Powerはどうなるんだ?」と思う人もいるでしょうが、e-Powerも電力で走っているとは言え充電ができませんし、発電用とは言え常にエンジンを回して発電する必要があるので世界の定義ではEVには該当しません。

e-Powerのエンジン

冒頭の自動車経済評論家(自称)がこれを知らないわけがないと思うのですが、日本語のメディアだから嘘言ってもバレないとナメてるのでしょうか?

それに関連してもう一個気になる発言がありました。

冒頭の記事で主張しているのは「自動車メーカーのHPを見ると(記事で引用されていたのはボルボ)電気自動車の項目にEVとPHEVとハイブリッドが入ってる、だからハイブリッドもEVなんだ」と主張してますが、これもおかしな話です。

私のTwitterを引用しましたが、「どういう車を売っていいのかを決めるのは車メーカーではなくて各国政府の法律」です。

リーフに乗るボリスジョンソン

日本の場合は日本政府が「電動車」のカテゴリーにハイブリッド車を入れたので販売できますが、日本以外の主要国でこの定義を採用している国はありません。

それどころかPHEVすら締め出そうとしているのが最新のヨーロッパの流れです。

ハイブリッド車もPHEV車も排除の方向に向かう世界の流れ

できない理由を作るな
まだ確定したわけではありませんがEUではこのような動きがあります。

2035年以降はゼロエミッション車、つまりBEVかFCEV(水素燃料電池車)しか売れなくなるというルールをEU内で設定しようとしています。

当然ですが内燃機関(エンジン)があるのは論外ですので、少し前に私も取り上げたトヨタが出してきた「水素エンジン」なるものも当然論外です。

現在提案されているこの話より少し前の2030年から適用される排気ガス規制も極めて厳しいものですので、PHEVでも達成できるか怪しい、ハイブリッド車だと論外という基準です。

現在だと例えば2025年から内燃機関車の全ての販売を禁止するノルウェー(もちろんハイブリッドも禁止)、2030年から内燃機関車の販売を禁止するもののそれはガソリン車とディーゼル車のみでハイブリッド車に関しては2035年から販売禁止予定のイギリス、2030年以降は内燃機関車のパリ市内への乗り入れを禁止するもののの販売禁止のスケジュールがはっきり決まっていない(2040年という説も?)フランスなどヨーロッパ各国の対応はバラバラなのですが、少なくともEU加盟国(なのでノルウェーとイギリスは除外)で共通のルールを設定しようとしています。

この提案が通るとEU内ではハイブリッド車やPHEV車は不可、独自にルールを設定しているノルウェーやイギリスも不可ですのでヨーロッパのほぼ全ての国で売れなくなることが確定です。

なんて言うと「どうせ日本メーカーはヨーロッパでは売れないんだから関係ねぇよ!」と怒る人が現れるのですが、日本メーカーにとって重要な市場である北米市場でもこのような動きがあります。

例えばこれはカナダの例ですが、元々2040年予定だった内燃機関車の販売禁止を2035年に前倒ししてきました。

アメリカに関しては以前から何度か取り上げましたが、カリフォルニア州やニューヨーク州が2035年以降内燃機関車の販売を禁止する方向です。連邦政府としての方針はまだはっきり決まっていませんが、「自動車の未来は電気である」と演説し、全米に50万箇所の充電ステーションの設置やEV化率が50%を超えるまでEVに対する補助金(税控除)を継続しようとしているバイデン政権ですので既に方向性は見えています。

F-150に試乗するバイデン大統領

このように世界各国が徐々にハイブリッド車はPHEV車も含めた内燃機関車を締め出そうという動きをしている状況で「ハイブリッドこそが最もエコなんだ」と叫んだどころで誰も聞く耳を持っていないのが現実の世界の動きです。

中国のEVに関する定義はアメリカ・ヨーロッパとは違うけど…

中国の電気自動車
という風にアメリカやヨーロッパの例をあげてハイブリッド車も含めた内燃機関車の販売が禁止されようとしていることについて述べても、「でも世界最大の自動車マーケットである中国はハイブリッドを認めている」と必ず反論が飛んできます。

個人的には「え?中国のやることアテにするの?」と思うところですが(笑)。

習近平と中国

以前の記事でも言及しましたが、中国のNEV(新エネルギー自動車)の規制は少々ややこしくて、電気自動車[EV]、燃料電池車[FCV]、プラグインハイブリッド車[PHV]の3種類が対象で、通常のハイブリッド車[HV]は含まれてません。

上記の記事でも解説しましたが、NEV以外のモデル、中国で伝統能源車(従来からの動力を搭載した車という意味ですが要は内燃機関車)と呼ばれるカテゴリーについては、2025年に全新車販売台数での平均燃費目標を5.6ℓ/100km(17.86km/ℓ)、2030年には4.8ℓ/100km(20.83km/ℓ)、2035年には4ℓ/100km(25km/ℓ)と厳しい燃費制限を設けています。

燃費制限が未達成の場合にはペナルティになるのですが、このペナルティの対象にハイブリッド車が入ってます。

もちろん規制をクリアすれば売っても良いのですが、ハイブリッド車は伝統能源車同様のカテゴリーです。減点の点数が半分というだけです。

NIOのバッテリースワップ

しかも先ほども言ったように相手はあの中国です。NIOでもBYDでもXpengでもいくらでも例が上がりますが自国の自動車メーカーのほとんどがEV専門です。

自国メーカーがEV専門なのに日本メーカーの独壇場であるハイブリッドをいつまでも認めるでしょうか?

ある日突然、それも日本メーカーが油断しているタイミングで梯子を外してくると私は予想してます。

これはフィルムカメラからデジカメに移行したスピードを表したグラフなのですが、このように技術革新というのはある時から急激に進みます。

なんて話をしても「車と家電を一緒にするな!」「車は人の命がかかってるんだ!」と怒って絡んでくる人が必ずいるのですが、自動車だけが技術革新と無縁ということはありません。

しかもヨーロッパ・アメリカなどの世界の主要国で内燃機関車(エンジン)を締め出そうとしているのですから、無駄な抵抗に終わるというのが私の見解です。

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