2021年11月のヨーロッパの驚異のEV化率とは【今回は私の実体験込み】
こんばんは、@kojisaitojpです。ヨーロッパを移動した順序で記事をアップしてましたが、1記事別ネタが割り込みます。
一泊しただけであれだけEV見かけただけのことはある😅😅😅
UK Plugin EV Share Hits Record 28․1% In November & Diesel At Just 5% https://t.co/TDgF6SoDHP @cleantechnicaより— saito koji@ヨーロッパから帰国 (@kojisaitojp) December 6, 2021
まぁ必ずしも別ネタでもないのですが、ヨーロッパの主要国の2021年11月のEV化率の統計が出てきました。
旅行中にも「日本で一番テスラを見かける東京都心よりロンドンやパリの方が明らかに多いな」と感じていましたが、それがしっかり数字に出てきています。
ヒースローの駐車場でUber待ってるわずかな時間にこれだけEVが見つかるわけで😱😱😱 pic.twitter.com/LbeLkx6yzR
— saito koji@ヨーロッパから帰国 (@kojisaitojp) December 6, 2021
この写真はロンドン・ヒースロー空港でUberを待っている10-20分の間にUberの待ち合わせ場所である駐車場で撮影したEVです。。。
このうちの1台のモデル3は駐車中に充電してました。普通充電器で7kWというスペックにも驚きましたが。
同じような探索を羽田空港や成田空港の駐車場でやったとして果たして1台でもEVに会えるの?というのが日本の現実ですよね。
というわけで本日は毎月恒例のヨーロッパ各国の新車販売状況について、自分が旅行で見てきたものと合わせて紹介します。
目次
2021年11月ノルウェーのEV化率は?
ノルウェーが世界でトップのEV化率を誇ることはもうEV愛好家の間では「常識」かと多いますが、2021年11月はBEVが73.9%、PHEVが17.4%で、合計のEV化率が91.2%と先月の89.2%を超えて再び90%の大台に乗っています。
9月のヨーロッパの統計をまとめた記事でも言いましたが2021年8月はBEVが77.9%、PHEVが13.9%で合計のEV化率が91.5%と過去最高でしたが、これに迫る史上2位の数字です。
車種別ではモデル3とモデルYが圧倒的なのは誰が見てもわかりますが、もはやEVの中では「古豪」と言ってもいい日産リーフが5位だったり、夏から納車が開始されたBYDの「TANG」やヒュンダイ「IONIQ5」もランクインしており、EVのバリュエーションが広いのもノルウェーの特徴です。
そして毎月のように触れてるような気がしますが、表の下から3番目に「Mazda MX-30」というのが見えますでしょうか? 販売台数214台は日本での月間10台にも満たない台数の約20倍、ランキングの中でもヨーロッパの幅広い国で売れていて、私もロンドンで配車アプリを使ったときに来た起亜「NiroEV」よりも上位です。
なぜかノルウェーでMX-30が売れるってのは不便を感じない充電インフラが整ってるということだと解釈してる。
— saito koji@ヨーロッパから帰国 (@kojisaitojp) December 4, 2021
あまりMX-30をいじっているとマツダファンの方々が怒りそうな気もしますが、別に揶揄するつもりで取り上げているわけでありません。
アメリカで「航続距離がたったの100マイル(160キロ)」と酷評されていたMX-30ですが(おかげでガソリン車のレンタカー無料という謎のサービスを付けたようですが)、それでもノルウェーで売れているという事実が重要です。
以前から紹介してるようにノルウェーでは元々ガソリン車の時代からオイルヒーターが必要な寒い地域で、駐車場にコンセントがついているのが当たり前だったのですが、裏を返せばどこでも充電できるなら航続距離は関係ないですよね?
だから私が「ノルウェーでMX-30が売れてるよ」というのは嫌味でも何でもなく、「充電インフラさえしっかり整っていればMX-30のような航続距離の短いEVでも問題なく運用できる」ということです。
ですので車種をホンダeやバッテリー劣化することがアンチEVに都合よく利用されがちの初代初期型リーフに置き換えても同じ結果になると思います。
今回の旅行も入国できるならノルウェーに行ってEVをレンタカーで借りたかったのが本音ですが、相変わらず日本人の入国を認めていないのがノルウェーだったので断念しましたが。
しかしノルウェーで感染拡大って意外すぎて驚く。
オミクロン株、40カ国・地域で確認 ノルウェーで60人超す可能性(毎日新聞)#Yahooニュースhttps://t.co/BgbfRiON6P— saito koji@ヨーロッパから帰国 (@kojisaitojp) December 4, 2021
EU外からの入国は厳しく規制していたノルウェーもEU内の人間は自由に移動できた(日本人でもEU圏内在住なら入国可能)影響からかオミクロン株の感染拡大が襲っているようで、私がノルウェーに行けるのはいつの話になるの?という状況なのが非常に残念です。
2021年11月フランスのEV化率は?
次は私が合計6日間滞在したフランスです。
2021年11月のフランスではBEVが13.5%、PHEVが10.0%で合計が23.5%と、BEV13.1%、PHEV9.7%で合計22.9%だった10月の数字を超えてきました。
前年同月で見ると2倍近く伸びているわけですが、フランスでは車種別ランキングに驚きの結果が出ています。
なんとルノー・プジョー・シトロエンのフランス勢を押しのけてダチア「Spring Electric」が首位に立っています。
ダチア「Spring Electric」については以前取り上げたことがありますので、詳細はこちらをご参照ください。
日産・三菱の軽自動車規格「IMK」の全貌を予想してみる【「Dacia Spring Electric」がヒント?】
数日前に日産が三菱と共同で開発する軽自動車規格のEVが2022年にも発売されると報道が出てきました。まだ公式な発表ではないので全貌は明らかになってはいませんが、「ルノー・日産・三菱」のグループから発売される軽自動車に近い規格の「Dacia Spring Electric」という電気自動車から予想してみます。
まぁこの記事でも触れてるように同じアライアンスの日産・三菱から軽自動車EVが発売されますから、ほぼ同じサイズのAセグメントのダチアのEVが日本に上陸する可能性はほぼ皆無でしょうけど。
しかしフランスの統計でフランス勢以外が首位を明け渡すのはこれまでテスラ・モデル3とフィアット・500e位だったのですが。。。
もちろん日産リーフと並ぶ、EVの世界では「古豪」に入るルノー「ZOE」こそ2位に付けていますが、いい加減フランス人にも飽きられつつあるのか、ルノー傘下のダチア(ルーマニア)に首位を明け渡す結果となりました。
もちろんパリの街中で見かけるEVは日本における日産リーフのように圧倒的にルノーZOEが多かったのは事実ですが、これはこれまでの発売の歴史と累積販売台数を考えれば当然のことで、それが未来も保証されてるわけではありません。
こんな感じでルノーのショールームにはBEVすら展示してなかったのでブログで取り上げる材料がない(笑) pic.twitter.com/nXhXkFbdM8
— saito koji@ヨーロッパから帰国 (@kojisaitojp) November 30, 2021
これはシャンゼリゼ通りにあるルノーのショールームで、私が宿泊した「ラメゾン・シャンゼリゼ」からも近い上に深夜まで営業してるのを知ってたのでフランスに到着したらすぐ行ってみたのですが、何と展示してるEVがありませんでした。
ルノーのEV化計画については以前も取り上げたように「メガーヌ・e-tech」や「ルノー5EV」の発売は発表されていますが、ドイツ勢などと比べるとEV化への動きが鈍いのが気になります。
ルノー「メガーヌ・e-Tech」「ルノー5EV」から感じる絶妙のコスパとは?【日産・アリアよりお得?】
現在開催中のミュンヘン・モーターショーでルノーも新しいEVとして「メガーヌ・e-Tech・エレクトリック」と往年の名車「ルノー5」をEVで復活させる計画を発表しました。日産と共同開発の「CMP-EVプラットフォーム」を用いて「アリア」や「リーフ」と同等以上、コスパでは上回るハイスペックなEVを発表しています。
と先ほどのノルウェー同様に販売されるEVのバリュエーションがテスラとルノー以外にも広がっているのがフランスの特徴です。
2021年11月のイギリスのEV化率は?
次は冒頭で触れたように私もEVの多さに驚いたイギリスです。
それが数字にもはっきりと現れており、BEVが18.8%、PHEVが9.3%で合計のEV化率が28.1%と、前月のBEV15.2%、PHEV7.9%の合計23.1%から順調に増えて過去最高の数字です。
2025年からのノルウェーに次ぐスピードで「2030年から内燃機関車の販売禁止(ハイブリッド車は2035年から禁止)」という厳しい規制を打ち出しているイギリスなのですから当然と言えば当然ですが。
先月の記事でも触れたような「ロンドン市内に乗り入れる自動車の排気ガス規制」もこのように「Ultra Low Emission Zone」と表示されるようになっており、脱エンジン・脱化石燃料へまっしぐらです。
車種別の売上については具体的なものは出ていませんが、メーカー別のシェアは出ており、テスラが14.96%と首位、これにフォルクスワーゲンが続いていますが、起亜とヒュンダイ(ヒョンデ)が4位5位というのも見逃せません。
統計の数字見てもヒュンダイ起亜が上位にいるからリーフより多く見かけたという認識は間違ってないような気がする。 pic.twitter.com/PpBKtu2eTA
— saito koji@ヨーロッパから帰国 (@kojisaitojp) December 6, 2021
先日の記事では「ホテルからロンドンシティ空港は起亜NiroEVで移動」に触れましたが、私が実際に目にした実感でも日産リーフより明らかにヒュンダイ・起亜のEVを見かける数が多かったです。
まぁ日産もランキングには入っているのでリーフもそれなりには売れているのですが、もうリーフだけだと限界なのかな、早くアリア出さないとシェア取られるよという状況です。
2021年11月のドイツのEV化率は?
最後は先日の記事でフォルクスワーゲンの「アウトシュタット」に行った話でも触れたドイツです。
ドイツでは先月初めてEV化率が30%を超えましたが、11月はBEVが20.3%、PHEVが14.1%で合計のEV化率が34.4%と更に上昇しています。
ドイツもフランス同様に7月に若干EV化率が下がった際にアンチEVの方々が「ドイツ人はEVの限界に気づき始めた」とヤフコメなどではしゃいでいたのですが(笑)。
ドイツでは少し遅れて2021年10月の車種別の売上台数の統計は出ており、「テスラ・モデル3」「フォルクスワーゲン・ID.3」「ルノー・ZOE」がトップ3です。
フランクフルトでは路駐が一般的なロンドンやパリと比較すると数は少ないですが、このように充電しているテスラ車は何台も見かけました。
先日フランクフルトのテスラストアに行った際に「モデルY」がようやく並べられていましたし、ギガベルリンが稼働すれば間違いなくモデルYもランクインしてくることでしょう。
パリとフランクフルトのテスラストアに行ってみた話【モデルYと初対面】
パリとフランクフルトでは街の中心にテスラストアがあったので早速見学に行ってきました。日本市場より既に一歩早く発売が開始されているモデルYが展示されているのみならず、パワーウォール(蓄電池)やソーラールーフ(太陽光パネル)もテスラストアで販売されており、「持続可能な社会の実現」を唱えるテスラらしい店構えになっています。
この記事でも触れましたがモデルYはまだロングレンジのみ(パフォーマンスは2022年発売と記載あり)で、上海工場からの輸入になるのもありまだ割高ですが、ギガベルリンで生産されたモデルYは価格も下がって更に競争力を高めることでしょう。
今回の旅行では見学には行けてませんが、「ギガベルリン」とそこで披露されたテスラの最新技術についてはこちらの記事をご参照いただければと思います。
テスラ「ギガベルリン」が世界のEV化を加速?【ギガプレス・Structural Battery】
テスラがギガベルリンで公表した新技術は先日解説した4680セルだけではありません。ボディのチリ合わせを不要にする一体成形のボディを作り出す「ギガプレス」や車体にバッテリーが埋め込まれて一体化した「Structural Battery」によってバッテリー容量と航続距離の増加と安全性の向上と斬新な技術がてんこ盛りです。
ヨーロッパ各国のランキングを見るとテスラのモデル3とモデルYが当たり前のようにランクインしてるので忘れそうになりますが、現在は上海工場やフリーモント工場からの輸入になってますので割高です。ギガベルリンで生産されたモデル3やモデルYがヨーロッパ中に出荷されるようになると一体どれだけ売れるのか想像がつきません。
フランス・ドイツ・イギリスで当たり前になってるEVが当たり前にならない日本
先月まではヨーロッパの統計についての記事は数字上の話をするだけのいわば「机上の空論」とアンチEVから攻撃されても仕方ない内容だったかもしれません。
しかし実際にヨーロッパへ行って路上で充電されているEVやUberなどの配車アプリなどを使った際にEVが来たりすると「あぁ間違いなく日本より先を行ってるな」と実感できました。
なんてことを言うと「いや、日本は火力発電中心だから意味がない」「日本は充電インフラがないからEVは無理だ」「EV化したら自動車業界550万人の雇用が失われる」などと猛烈な批判が飛んでくるでしょうけど。
共通するのは「日本は特殊な国だから世界基準は当てはまらない」というロジックです。
ですが日本に長く住む外国人がこんなことを言ってます。
アンチEV、アンチ再エネに言ってやりたい一言が。
「日本が特別は言い訳」“スウェーデン出身”ボルボ日本法人社長が語る仕事観 | bizSPA!フレッシュ https://t.co/WSlyCJw3W6— saito koji@ヨーロッパから帰国 (@kojisaitojp) December 6, 2021
私もまさかボルボの日本法人の社長が「北千住に10年間住んでいた」方だとは思ってもいませんでしたが、このように日本に長く住んでいて、日本語も堪能で日本人のことをよく知っている方が「日本が特別は言い訳」と一刀両断しています。
ボルボが初のサブスク形式で提供するEVである「C40」がヨーロッパ以外の市場でいち早く日本市場に投入される背景がわかったようで納得した記事でしたが。
まぁ結局は「一生懸命できない理由を並べて変化に抵抗する」という、私がブログやTwitterで日々主張していることが最も端的に現れる例の一つがEVや再エネだったということなのですが。
このまま世界の流れから取り残される「加齢臭国家」にならないことを祈るのみです。
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