メルセデスが2030年めどに全車EV化する衝撃とは?【「EVはEUの陰謀」呼ばわりの残念日本】

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こんばんは、@kojisaitojpです。ヨーロッパを、いや世界を代表するあのメーカーもついに「全車EV化」を宣言してきました。

メルセデスについては数日前に「EVトラック」「FCVトラック(水素燃料電池車)」の生産開始のアナウンスがあり私も記事にしましたが、今後は乗用車の本格的なEV化の表明です。

まぁ私がTwitterでも揶揄したように、世界がEV化の流れに傾いていることを否定したい人々であれば「状況次第と言ってるんだから決まったわけではない」などと自分に都合の良い解釈をするかもしれませんが、後述するようにそのような妄想をマスコミを使って流すというのは日本人が世界の流れを見誤る方向に誘導するリスクがあり危険です。

というわけで今日は「2030年を目処にEV専業に」という方針を表明したメルセデスの電動化計画について解説します。

2025年からの「EQXX」と2030年からの全車EV化のメルセデスの計画とは?

全車EV化を打ち出したメルセデス
メルセデスのEV化戦略については先日取り上げた「EVトラック(とFCVトラック)」の生産計画の他に、4月に発表されたフラッグシップセダンの「EQS(従来のSクラスの後継)」がメルセデスのフラッグシップを名乗るにふさわしいEVであることは以前記事にしました

この「EQS」の発表までは、発売されるEVが従来の内燃機関車(ガソリン車・ディーゼル車)をEVに置き換えたものばかりで、私もブログで酷評しましたが「EQA」辺りは「メルセデス大丈夫なの?」と不安を感じさせるものでしたが、そのような懸念は「EQS」で全て吹っ飛ばされました。

さて具体的な「2030年目処のEV専業化計画」ですが、大きく以下の3点に集約されます。

  • メルセデスの全車種を3種類のEV専用プラットフォームに集約
  • 2030年までに年間200GWh以上のバッテリー工場(ギガファクトリー)を建設
  • 新コンセプト「EQXX」以降(2025年)は航続距離1000キロを実現

順番に解説します。

先日紹介したフォルクスワーゲンではグループ内のアウディやポルシェ、シュコダなども含めて統一のプラットフォーム「SSP」を使用することを表明していますが、メルセデスがEV専用プラットフォームを以下の3種類に分けるようです。

  • 「MB.EA」→メルセデスの標準的なサイズの車種用のEV専用プラットフォーム
  • 「AMG.EA」→これまでのAMG同様のハイパフォーマンスEV専用のプラットフォーム
  • 「VAN.EA」→電動バンや商用車用のEV専用プラットフォーム

なおこの3つのプラットフォームにメルセデスの全ての車種を統合し、全車種をEV化するための投資に2022年から2030年までの間に5兆円以上を出す計画ですからメルセデスがいかに本気かが分かります。

次にバッテリー生産を自社で行う「ギガファクトリー」の計画ですが、メルセデスでは現行のガソリン車・ディーゼル車の販売台数同様のEVを生産するために必要なバッテリー容量を年間200GWh前後と算出しています。

このバッテリー生産をヨーロッパ、中国、北米合わせて8つのギガファクトリーで行う計画で、協業関係が最も深い中国CATLや近年提携を強化している中国の「Farasis」を中心に数社のバッテリーメーカーと共同で生産するものと見られています。

また「Solid State」にも言及があり、これがいわゆる「全固体電池」を指すのかは不明ですが、現行のリチウムイオンバッテリーの更に先の開発も続けていく意向です。

メルセデス「Vision EQXX」

そして最後が「Vision EQXX」というコンセプトで、正式発表は2022年になりますが、2025年以降に航続距離620マイル(約1000キロ)以上を可能にする次世代のEVの投入計画も今回発表されています。

この「航続距離1000キロ以上」をうたう次の世代のEVは先日紹介したようにボルボも表明していますし、フォルクスワーゲンにも同じような計画があります。

メルセデス「EQXX」コンセプト

日本国内では今になっても「EVはエコじゃないので」とか「火力発電で発電した電力でEVを走らせるなんて」のようにEV化にすら抵抗する勢力がまだまだ多いように見えますが、多くのヨーロッパメーカーは「EV化はもう当たり前、既にEV化を終えた後の第二世代のEV」のコンセプトを公表するのがメインストリームです。

先日欧州委員会から発表された「2035年以降はゼロエミッション車のみの販売(エンジンを搭載した車は全て禁止)」を見据えてEV化へ向けてひたむきに前進しています。

続々とヨーロッパの自動車メーカーが「全車EV化」「EV専業化」へ

メルセデス「EQS」の運転席
私のブログに限ったことではありませんが、このように「何年から全車EV化」と発表する自動車メーカが多いのはEVに関するニュースを追っている人からすればもう見慣れた光景です。

参考までに一覧で世界の自動車メーカーで「EV専業」への転換を表明した会社を一覧にしておきます。

世界の自動車メーカーの「EV専業化」の予定

ジャガー(イギリス)2025年から全車EV化
Mini(BMW)2025年前後に最後のガソリン車を販売(その後はEV専門へ)
アウディ(ドイツ)2026年に最後のガソリン車を販売(その後はEV専門へ)
オペル(ドイツ)2028年からEV専門へ
ボルボカー(スウェーデン)2030年からEV専門へ
GM(アメリカ)2035年全世界で販売する車両をEV化
ホンダ(日本)2040年までにEV・FCV専門へ
フォルクスワーゲン(ドイツ)2040年を目処にEV専門へ

2025年〜2030年にEV専門に切り替える予定のメーカーが多いですが、この表に「メルセデスが2030年を目処にEV専業へ」というのが加わります。

メルセデス「EQS」の後部座席

よく「EV化はヨーロッパの日本メーカー潰し」のような陰謀論を唱える人もいるのですが、別にヨーロッパの自動車メーカーに限ったことではないです。

(この手の「陰謀論」についてはいずれ機会のある時にまとめますが、論理的で事実ベースの会話ができない場合が多いので基本的には私のブログでは触れません)

フォード「F-150 Lightening」

アメリカのGMも2035年から全車EVにすることを表明していますし、アメリカ人のシンボルとも言えるピックアップトラック「F-150」をEV化したフォードも現時点では2030年からヨーロッパでは全車EV化の方針にとどまりますが、全米で40年以上トップの売り上げを誇る「F-150」がEVとして成功すればアメリカ国内でもEV化に舵を切ってくる可能性は濃厚です。

EV化計画を発表するホンダ社長

日本勢も何度か触れたようにホンダは「2040年までに全車EVとFCV」にすることを表明していますし、公式な発表ではありませんが日産も「2030年代にはEVとe-Power(ハイブリッド)の二本立てからEVに一本化」の方針は社長の発言からも出ています。

ですので「日本メーカーはEVに後ろ向きで」という言い方は実は不適切で、名前は出しませんが特定のメーカーだけやる気がなさそうというのが現実です。

メルセデスが「全車EV化」されると日本ではスーパーチャージャーをテスラと共有?

メルセデス「EQS」のプロダクトバージョン
メルセデスに限ったことではありませんが、日本市場に投入する場合は「充電はどうする?」という問題が生じます。

もちろんメルセデスの基本的なユーザー(特にこれまで「Sクラス」を購入するような層)であれば自宅で充電できる層が大半でしょうから(自分が経営者であれば会社の駐車場にも充電器を設置するでしょう)、日常の充電に困ることはまずないでしょうが、高速道路を使用した長距離移動の場合にはSAPAでの充電が必要になります。

これが何度もネタにしてる「eMobilityPowerの残念充電規格」だとせっかくの高性能EVが残念なことになってしまいます。

実際に以前取り上げた中でもプジョーの「e-208」「e-2008」辺りは本国フランスでは搭載されている100kWの急速充電が日本だと「チャデモ」の制限により50kWに抑えられ、本国フランス同様のパフォーマンスを発揮しにくくなっている残念な現実があります。

昨日はテスラのスーパーチャージャーが他社にも開放されるかもという記事にしましたが、大型の車両が多く搭載バッテリー容量の大きいメルセデスのようなメーカーにとってはテスラのスーパーチャージャーを使えるようになるのは非常に大きいと思います。

ヨーロッパでは「CCS2」という共通の規格をテスラが採用しているのもあり、メルセデスも自社が出資する「IONITY」以外にもテスラのスーパーチャージャーを使えるようにする可能性は高いです。

スーパーチャージャーを使うイーロンマスク

ですので日本でもメルセデスに開放される可能性は高いです。

もちろんあのメルセデスのことですからポルシェのように自社のディーラーには街中の急速充電器とはレベルの違う高速の充電器を設置する可能性もありますが、絶対数が足りないでしょうから日本でテスラのスーパーチャージャー開放に参加することは有益かと思います。

常識的に考えるとこれまでずっとメルセデスに乗ってきた富裕層が「EVは嫌だからこれからはトヨタに乗る」とか「これからはマツダに乗る」という光景は想像できないと思うのは私だけでしょうか?

日本メーカーが様々な理由をつけてEV化に抵抗したところで世界の流れには逆らえない方向に世界は動いています。

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