EVは「災害時に使えない」って本当なの?【むしろガソリン車より災害時に活用可能】
こんばんは、@kojisaitojpです。あの災害から10年経つと忘れる人、下手をするともう記憶のない人もいるのかなと思うことが最近多いです。
「東日本大震災を味わった者としては、電気一択は心許ない」とか言ってる奴って頭大丈夫か?というレベルだと思う。
独ダイムラー、EVシフト加速へ400億ユーロ超投資 30年までに(ロイター)#Yahooニュースhttps://t.co/NY6Indh2nk— saito koji@次の海外旅行の前にEV購入? (@kojisaitojp) July 23, 2021
10年前というともちろんあの「東日本大震災」を指しますが、確かに停電が起きた地域はありました。ですが(私の住んでいるエリアもそうでしたが)停電がなくてもガソリンの在庫がなくてガソリン給油ができないガソリンスタンドがあらゆる地域で見られたことを忘れたのでしょうか?と思ってしまいます。
ヤフコメや5ちゃんねるなどを見ていると「この人東日本大震災の記憶あるのかな?」と疑問を感じるようなピントのズレたEV叩きを見かけることが多くて呆れます。
特に「災害」との関連でEVを批判する内容のコメントは読むにたえないことが多いです。
そこで今日は東日本大震災のみならず「災害全般」を対象に「EVが災害に弱いって本当なの?」ということについて考えてみたいと思います。
目次
「EVは災害に弱い」「EVは寒さに弱い」は真っ赤なウソ
まずそもそも「EVは災害時に使えない」と言ってしまうこと自体が大間違いだという事実があります。
「停電になったら充電できないだろ!」と怒り出す人が必ずいるのですが、東日本大震災の際にはガソリンスタンドも使えなくなっています。
【特集クルマと震災】深刻なガソリン不足はなぜ起きたのか | レスポンス(Response.jp)
震災により大きな被害を受けたのが燃料供給網だ。東北地方を中心に製油所や出荷施設に甚大な被害が及んだだけでなく、供給力不足により、首都圏エリアでもガソリンの買いだめ騒動がおこるなど社会現象にまで発展した。
これは2011年当時の記事ですが、地震と津波で製油所がやられたことがきっかけでガソリンそのものの供給量が減った、ガソリンスタンド自体も損傷して復旧に時間がかかった、停電で電気が止まっているとそもそも給油自体ができないなどの問題が被災地では起きました。
このことは地震の影響がそこまで大きくなかった首都圏にも影響し、「首都圏での燃料ひっぱくの要因は、通常の供給量をはるかに上回る一時的な需要高騰」と記事内にあるように、ユーザーがガソリンスタンドに殺到したことによる「ガソリン不足→ガソリンスタンドが休業」という事態があらゆるところで起きていました。
私も当時「給油したいけどそもそも空いてるガソリンスタンドがない」という状況で、朝早くから何時間も並んでやっと給油できたという嫌な思い出があります。
当時は日産リーフの発売直後でまだEVという選択肢が頭に浮かばない状態でしたが、「EVだったらガソリン不足に悩む必要はなかった」ということになります。
「停電」に関しては東日本大震災の際もそうですし、他にも2018年の北海道での地震や2019年の台風でも停電は起きていますが、ごく一部の地域を除けば1〜2日もあれば復旧しています。
それどころか災害で停電になってしまった際にもEVから自宅への電源供給が可能なのも「EVは災害に強い」と根拠づけられる理由の一つです。
V2Hを設置していればEVを蓄電池代わりに使うことができますし、万が一の場合は蓄電池代わりのEVを災害の救援活動に使うことも可能です。
The day before yesterday in Zhengzhou, BYD electric vehicle became a mobile charging station.Organized by the owners' association, charging is free.😁😁😁 pic.twitter.com/xKRtCeFHqk
— Sharing travel (@lsjngs) July 23, 2021
これは中国での映像ですが、BYDのEVで住民がスマホを充電しています。災害の際にこのような貢献ができるのもEVの大きなメリットです。
「充電が空の時に地震が起きたらどうするんだ!」と怒る人もいるでしょうが、それは「ガソリン空の時に地震が起きたらどうするの?」とブーメランのように自分に跳ね返ってきます。
防災という観点ではEVだろうがガソリン車だろうが常にある程度の量の充電とガソリン補給をしておくべきなのは言うまでもないことです。
むしろそれは「EVだから」というより本人の自己管理能力の問題です。この辺をごちゃ混ぜにしてEVの批判をしてくる人が時折いますが、はっきり言って論外です。
実は「寒さに強い」のがEVの本当の姿
そして地震の次にEV叩きでよく出てくるのは「EVは寒さに弱いから大雪で立ち往生すると死ぬ」的な批判です。
「EVが寒さに実は強い」点については以前も記事として取り上げたことがありますが、EVのことを誤解している人からよく浴びせられる批判がこの「EVは寒さに弱いので寒冷地では使えない」という批判です。
電気自動車(BEV)は本当に寒さに弱いのか?【寒さ対策あり】
雪で身動きが取れなくなるような災害が起きると「電気自動車じゃ凍え死ぬ」ような批判を持ち出してくる人がいますが、実は電気自動車でも長い時間暖まりながら耐えることは可能です。世界で最も電気自動車化が進んでいるノルウェーは日本より北にあり、北海道・東北のような気候でも電気自動車化に成功してるという事実を忘れてはいけません。
記事の中でも解説していますが、むしろ「ガソリン車だとマフラーが雪で埋もれると一酸化炭素中毒で死ぬリスクがあるから落ち着いて寝られない」という致命的な欠点があります。
ちなみに日産ディーラーの方が自ら人柱となって「冬にリーフで夜を越したらどうなるか?」と実験した動画があります。
一晩エアコンをオン(24度)にしていて(外気温は0度)19時から深夜4時まで放置して「93%から68%」にバッテリーが減ってます。
9時間で25%位の消費量、ざっくり「1時間で3%弱」のようです。単純計算で33時間は耐えられそうです。
これだけの時間耐えられるのであれば日常使いには全く問題なく(要は車中泊も可能ということ)、シートヒーターに切り替えれば更に耐えられる時間は伸びます。
「電欠したら終わりだろ!」と怒る方々はそもそも今の日本で何十時間も救助が来ない環境でサバイバルすることが日常なのでしょうか?
救助を待つのが一晩で済まず何日もかかる場所に、しかも悪天候の場合は事前に天気予報などで予想ができるのにそれでも出かけるという姿勢の方が問題に感じるのは私だけでしょうか?
などと言うと必ず「バッテリーが空に近い状態だったら一晩耐えられないだろ!』とまた怒りですのですが、それはガソリン車も一緒ですよね。そもそも吹雪の中でガス欠寸前、電欠寸前の状態で出かける方が「自己管理ができない」と思われても仕方がないと思うのですが。
と「EVの問題じゃない」ということを言うと決まって出てくるのが「EVはバッテリーが消耗するから動画みたいにディーラーの奴が新車で試すようには行かない」と怒り出す人(なぜかEVを攻撃してくる人々は常に怒り口調なのが個人的には謎ですが)が現れます。
まさに「あ〜言えばこ〜言う状態」なのですが、バッテリーの消耗について言いたいならこれを見てから考えましょう。
以前も使った「日産・リーフ」の年式別のバッテリー消費率なのですが、近年のリーフ(2016年以降)であれば5年乗ったところで10%も消耗してません。
この程度の消耗率ですからEVを買い替えてもリーフを蓄電池として使う、V2Hとして生かすという活用法が可能になるわけですが。24kWhのリーフが10%消耗してもまだ20kWh以上残っているわけで、容量が13.5kWのテスラの蓄電池「パワーウォール」より大容量です。
おそらくスマホの感覚で「数年でバッテリーがダメになる」と思いたいのでしょうが、EVのバッテリーの耐久性は年々上がっています。リーフが発売されたばかりの2010年2011年頃とは既に別物になっていることに気づいた方が良いです。
しかもこのデータは「空冷式」と呼ばれるバッテリーの温度管理を担うマネージメントシステム(BMS)を搭載していないリーフの話です。
以前も記事にしましたが、「BMS」が必ず搭載されているテスラ車の場合だと「20万キロ走っても10%も減ってない」などの例が既に出ていて、日常使う範囲でバッテリーが消耗することはほぼないというレベルまでEVは進化しています。
オクトバルブとBMS(バッテリーマネージメントシステム)を用いるテスラのイノベーションとは?
テスラがモデルYから投入した「オクトバルブ」という独自の温度管理システムについて解説します。「BMS(バッテリーマネージメントシステム)」によってバッテリーの温度調整の成否が電気自動車の航続距離やバッテリーの寿命も左右する電気自動車の要のシステムにイノベーションをもたらすことで、テスラが更に進化したことがわかります。
「EVのバッテリーが」というよく聞かれるEVに対する批判はよく見るとほとんどがバッテリーそのものとPTCヒーターに問題があった初代初期型のリーフ(2010年〜2012年)に関するものであり、近年の欠点を解消したEVを見ようともしないで攻撃してくるところがお寒いです。
技術の進歩をキャッチアップすることと自分自身の脳みそのアップデートは常に行っていくことが求められます。
「洪水」でも問題なく走るテスラ・モデル3
「災害とEV」という視点で考えるとこのような災害でもEVがガソリン車より強いことが証明されています。
こちらは先日中国で発生した洪水の際に撮影された映像です。
見ての通り「モデル3」が水をかきわけて走行しています。
車のことを多少でもわかっている人であればご理解いただけれるかと思いますが、ガソリンエンジンの場合「マフラーまで水に浸かったらアウト」と一般的に言われています。
「バッテリーだって水に浸かるだろ!」と言われるかもしれませんが、ご覧のように走れてますし、そもそもバッテリーは厳重に保護されています。
「水に浸かった後は点検が必要」とは言われていますが、特に問題がなければ走り続けることができますし、ガソリン車のように「エンジンが水に浸かったら終了」とはなりません。
ガソリン車なら「過失」扱いの事故もEVだと「故意の犯罪」になるので抑止力になるという「副次的効果」も?
「災害」というのは適切ではないと思いますが、EVだとこのような「人災」を防ぐことも可能です。
確かに遠隔で冷房入れたりできるEVだとありえない事故になるかも。 https://t.co/pkEpofpoKl
— saito koji@次の海外旅行の前にEV購入? (@kojisaitojp) July 23, 2021
親がパチンコ店などに行って子供車内に放置したことで熱射病で死亡するなどの「あってはならない事故(事件)」もEVであれば激減すると思います。
というのもテスラ車などが典型ですが、日産リーフなどでもスマホでドアロックや冷暖房を遠隔で設定することが可能だからです。
「遠隔で操作可能」というのがスマホなどと連携しているEVの強みの一つですが、だからと言って「子供を車内に放置していい」とはなりません。これは人としての「常識」です。
ですが万が一の時に何かできるというのはEVの強みです。「セントリー」と呼ばれるカメラを搭載しているテスラ車であれば車にいたずらした光景、ドライバーがいない時にドアパンチしたとかぶつけたというこれまでなら泣き寝入りが濃厚だった物損事故にも「証拠」が残ります。
将来の完全自動運転へ向けて必要だからなのですが、基本的にEVにはカメラが搭載されていますのでそういう意味でも安全です。
それに見方を変えれば「子供を車内に放置してしまうダメな親」についても「離れていても遠隔で操作できるのにあえてしなかった」となれば刑法上も「故意(わざと)」であるか「重過失(故意に極めて近い過失)」として扱われますので、重罰化も可能です。
これまでなら「過失致死」などのように重くない犯罪(「業務上過失致死」という単語は交通事故でも使われるのでイメージしやすいかと思います)として扱われていたものがより重罰となることがわかれば抑止力としても働きます。
子供を車内に放置するなどという親としてあるまじき行為自体が減るきっかけとしてEVが貢献するかもしれません。
と最後のネタは「災害」ではなく「人災」のような例ですが、様々なトラブルにEVが活躍してくれるというのは既に否定しがたい事実です。
「EVは寒さに弱い」とか「EVは停電したら使えない」とか思ってしまっている人には脳みそのアップデートが必要かと思われます。
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